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別世界(5)
一瞬何が起こったのか解らなかった
呆気に取られ固まっていると、肩に強くミリアの手が食い込み、
そのまま、彼女の全体重が肩に掛かった、「うっ?」
立ち上がって見下したかの様にカシスを少し見つめてから
小走りに駆け出し、少し行った所で立ち止まった。
「お客さーんこっちだよー」と何事も無かった様にそこで飛び跳ねる彼女、
何をどうしていいやら解らず案内役のトマスに目をやる、
「どうやら、彼女もその気の様ですな」と苦笑しながら手を差し出し、
カシスを引き起こした。
立ち上がりはしたものの要領を得ない彼にトマスは言った、
「戦士としても年齢からしても、まだまだ未熟だと思いますがね
仕方が無いでしょう?あなたは彼女の本名を知っている訳ですし」
「だから、どういう意味があるんだ?本名を知る事とは」
と、少し苛立たしげに口を尖らせて聞き返すカシス、 少し考えた後、彼は伏目がちに説明を始めた
「いいですか?トマスさん、気を確かに保ってください、
解りやすく言うとどちらかが死んだらその身体を得る、という事なんです」
「???」
「つまりは人食いですよ」
「うげ!」
「お互いどちらかが死ぬまで一緒に暮らすと言う意味なんですがね
「人食い・・・」
「ああ、そうだあなたの本名も変わりましたよ 
何とか何とかのカシスとミリア です、前の方は後々で考えましょう」
「・・・・・」
「彼女の名前も何とか何とかのミリアとカシスと言う事になりますね、
それと彼女が最初でしょ?だからこれから付いて来るだろう
女性達の実質的な支配者になりますからね彼女が」
「ちょっちょっと待ってくれ、解除とか解約とか出来ないのか?」
気を取り直して聞き返すカシスに大きく首を振るトマス
「その権利を持っているのは女だけなんですよ、
どうする事も出来ません、ましてや最初に名を付けたと知れば
まず、離れないでしょうねえ」
半ば悟りきったというか冷めた様に突き放す彼に
もう何も考えらないと深く頭を下げて大きくため息を付くカシス
トマスに促されて重い足を引きづる様に歩き出すと
肩を軽く叩いて
「まあ、この世界に留まっている限りですがね?」
と不器用なウィンクをしてみせた
「あっそうか」
それまでまったく気づかなかったカシスは急に目の前が明るくひらける
様な感じがした、すると現金なものでミリアが少し可愛想に思え
「彼女はどうなるのかな?」
「少しは探すでしょうが諦めて他の男のもとに行くでしょうね」
「そうか、あはは、そうか、そう言う事か」
自然と笑いが込み上げてくるカシス
「本当はギルドで気に入った戦士を最初に付けようと思ったんですがねえ
まあ、仕方が無いでしょう、予定は未定と言いいますし」
と言いながらミリアが立つギルドの店を指差し
「さ、とりあえずはめぼしい戦士でも見つけましょうか」


2003/07/18/アダルタスファクトリーズ