メルマガ:露骨。
タイトル:露骨。〜第56号〜  2003/10/05


まさかこんな事態が起きるだなんて。



まだたったの24時間と少し前、
ワタシはぽつりと、
新宿の街に放り出され、
ただ愕然と立ち尽くしていた。
手許には、幾ばくか残ったお金。
悔しさを通り越して、涙すらも、出なかった。


元はと言えば、自分にすべて原因があったんだ。
いくら何でも無防備すぎたし、
さらに不注意すぎていた。
この世の中に対して、
ワタシはいつの間にか、
警戒心というものを捨て切っていた。
こんな時代の、それもトーキョーなどという
最惡に危なっかしい都市に生きていく者として、
最低限のルール。
「自分の身は自分で守る」
こんなことは当たり前、
誰しもに共通の、暗黙の、そして絶対のルールだったというのに、
どうして、どうして、
今日に限って気を緩めてしまったのでしょう。
己の浅はかさに反吐が出そうでたまらない。



言いようのない不安を、少し乱暴なほどに力を込めて、拭い去る。
根底から押し寄せてくる寂しさを、このふたつの掌で掬い取る。
いつか、いつかきっと、ワタシはしあわせに成れる。
ワタシはしあわせに成れるワタシはしあわせに成れるワタシはしあわせに成れる。
呪文のように繰り返す。
幾度も幾度も、心の中で唱えてみる。
今は、そう、信じるしか、ない。
振り返っている時間なんて、
きっときっと、ない。
そう、そう、信じよう。



頭の奥底では後悔ばかり。



                     エイラ(eila)
                     eila@usa.co.jp



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