メルマガ:組紐工芸 工房 多津蔵通信
タイトル:工房 多津蔵  2003/05/30


物事には、限りがあります。
そして、時空間に規定されない人は、存在致しません。
全ての人に、平等に与えられているかの如く感じられる、唯一の物です。
多津蔵の挑戦は、此の制約を、乗り越えるべく戦いなのです。
言葉を変えれば、伝統の継承です。
日本は、明治以後、洋風化がスタンダードナンバーに成りました。
この事によって、全ての『和』の存在は、根底から変更を余儀なくされました。
日本の様式美が、激しい音をたてて、崩れ去っていきました。
此れと同時に、工芸の匠も、衰微を始めたのです。
今では、消えかかった小さな燈しか、残っていません。
多津蔵は、百年続く、組紐屋の挑戦なのです。
伝統の継承に留まるのではなく、新しい暮らし向きを提案し、形にしていきたいのです。
では、どんな具合にやるのか?
此の一点に、興味が集まります。
答えは、『地域の方の、内的な力を引き出して、物作りを形成する。』です。
多津蔵が存在する場所は、過疎の高齢化を迎えた町です。
此の町が、町の活性化に取り組んでいます。
多津蔵は、此の活性化の、期待の星?なのです。
それ故に、活性化の処方箋を書かなくては成りません。
其の処方箋が、『引き出す』なのです。
工芸の復興と継承を掲げて、其の実現の手法としての過疎地での取り組みなのです。
そんな事が出来るのか?と、お思いの方が多い事でしょう。
疑問には、敢えて反論は致しません。
多津蔵の生きざまで、お答えしたいと、考えるからです。
多津蔵は、此の春から、始まったばかりです。
未だ、よちよち歩きの、心配が一杯の、”工房”です。
そんな多津蔵が、地域の方々の力を頂き、手仕事が始まっています。
素晴らしいスピードの足取りです。
でも、此処で、慌ててはいけません。
ゆっくり、ゆったり、そして、のんびりと進みます。
地元の方々の足取りに、寄り添いながら、多津蔵は歩みます。

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