|
|
通巻70号 2003.7.22発行 Ｍ4 Ｖision 「意外と儲かるスカパー!」 皆さんはテレビを見ますか。私は一日たぶん、4〜6時間はテレビを見ています。 たまにテレビ番組制作の仕事などもあり、ある意味、仕事の為と思いつつも、映画 やドラマが好きだし、ニュースやバラエティも大好きだからです。普通テレビとい ったら、地上波(4,700万世帯)ということになりますが、衛星系ではNHKのBS放送 (1,161万世帯)やCSデジタル放送のSKY PerfecTV!(342万世帯)に、デジタルBS放送 (423万世帯)などもあり、ケーブルテレビなども加えると、現在、あらゆるチャンネ ルが24時間に鬩ぎ合っていると言えます。 私のスカパーとの出会いはもう6年前、インターネット放送局のBTVをプロバイダー のベッコアメ・インターネットと共同で立ち上げてからのことです。当時はブロー ドバンドも、Windows Mediaもなく、Real Playerが32Kぐらいで動いていたときのこ とです。今ではマザーズに上場したインフラ稼業のJストリームもかなりの投資をし ていて、私たち弱小放送局はコンテンツが勝負ということで、あらゆる番組を企画 しました。低予算でできるもの、地上波とはまったく違ったスタイル、その中で、 CSデジタル放送とインターネットの連動企画というのが実現しました。「日立マル チメディア商品企画室」という朝日ニュースターで放送された番組です。ここで初 めて、インターネット放送とCSデジタルとの親和性を確認したのです。 その後、「エロ」と「ギャンブル」という人間の欲望を満たすチャンネルが増えて きた中で、現在もスカパーは、W杯サッカー人気も手伝って、342万人にまで視聴者 を増やしています。これはすごい数字です。昔、ゲーム機は100万台でビジネスにな ると言われてきました。実際にその100万台の3.4倍の規模です。ソフトの流通とい う意味では、参入障壁が低く、さらに課金システムが整備されたプラットホームは 他にはiMODEぐらいなものでしょう。「CSは儲からない」スカパーの開局当時から言 われてきた言葉です。しかし、ふたを開けてみると、もう既にチャンネルの淘汰は 昨年で終わっており、現在放送されているチャンネルはいずれも単体で儲けている か、赤字でも会社としてはうまく黒字のビジネスモデルに組み込んでいます。 何故でしょうか。まず、スカパーのチャンネルを維持するにはいくらぐらいのコス トがかかるでしょうか。JSATというCS衛星の会社からトランスポンダという衛星の 帯域を借りなくてはいけません。そこへ送出するためのコストが月額800万円程度。 さらにスカパーの放送センターへの伝送コストが月額200万円。さらに、課金手数料 が約25%で、一人当たり1,000円のチャンネルならば、約250円スカパーに持っていか れます。あとは制作費だけです。スカパーは、普通の家庭ならば、地上波と同じテ レビで見られることでしょう。地上波で面白いテレビがあれば、スカパーは見てく れません。1ヶ月で1時間番組が60本もあれば、リピートを含めてチャンネルを維持 できるでしょう。とあるチャンネルでは、1,200円の視聴者が65,000人いて、月の収 入は7,800万円。送出伝送コストに1,000万円。課金手数料に約2,000万円。制作費諸 経費に2,400円で、毎月2,000万円以上も利益を出しているところがあります。1/4を 粗利で出している計算になりますが、工夫をすれば、それも可能ということです。 いかにコストを抑え、視聴者を増やすかがポイントです。5,000万円あれば、チャン ネルを立ち上げられ、今では規制緩和で放送免許も届出制になりました。そして、1 年で投資資本が回収できます。こんな儲かるビジネス今時ないですね。 324万人の中にはいろいろな人がいるでしょう。よって、1%の3万人を相手にしたチ ャンネルがあってもいいのです。その人たちさえ楽しんでくれれば、あとの99%の人 は全く関心を持ってくれなくてもよい。そういう意味では、「エロ」や「ギャンブ ル」だけでなく、東大のことだけをやる「東大チャンネル」とかミスコンの女の子 ばかりが出てくる「ミスコン女王チャンネル」なんていうのもできるような気がし ています。もし、興味があれば、情報交換しましょう。 （こくぶ ひろゆき hk@ihg.jp http://www.ihg.jp/) ■密かに企画する「東京大学テレビジョン」㊙ http://www.utf.jp/utt.html ■「日立マルチメディア商品企画室」すでにwebはないので、出演者のページから http://www.ne.jp/asahi/mayuko/mayucom/btv1.html 追伸) 初めてこのメールマガジンをお送りさせて頂いた方もいらっしゃいますが、 1994年から(当時はFAXでしたが)不定期に発行しているものです。徒然なるまま に思いつきを皆さんにお送りするものですが、ご迷惑でしたら、一番下の解除 方法で解除できますので、お手数ですが、ご自身でご手配をお願いします。 なお、バックナンバーについては以下のホームページにあります。 http://www.spre.ad.jp/new/m4_index.html ◎最近見た映画 「ターミネーター3」 http://www1.t3-jp.com/ 3作目です。カリフォルニア州知事選に出るのではないかと噂されるシュワルツェネ ッガーですが、その肉体は55歳とは思えないですね。この終わりかた自体が、出馬 を予想させるものなので、やはり出るのでしょう。州知事からアメリカ大統領とい うのはなかなかあり得ますから、レーガン大統領みたいになってしまうのでしょう か。映画自体はなかなか面白いですが、皆さん続編はあまり期待しなくなっている のではないでしょうか。 「ミニミニ大作戦」 http://www.minimini-jp.com/ 原題は”The Italian Job”なんですが、どういうわけか「ミニミニ大作戦」。この タイトルのB級ぽさがあまり期待をさせないので、いざ面白いと喜びもひとしお。若 者にとってのさまざまな示唆が満載です。最新機器は「正確でスピーディ」とシャ ーリーズ・セロンは言うものの、その機器がなくなったら、経験と直観に頼るしか ない、アナログの大切さを教えてくれます。 「ソラリス」 http://www.foxjapan.com/movies/solaris/intro.html キャストが少ない。ほとんど宇宙船の中なので、こういうのもありかな、と。これ もリメイクだけあって、4人しかいない劇場には、親はオリジナルを見たことがある とかで観に来た親子もいました。ジェームズ・キャメロン製作にソダーバーグ監 督、ジョージ・クルーニーとかいうと、さぞ期待してしまいますが、それは無用で す。 「チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル」 http://www.charliesangels.jp/ 説明は要らないですかね。ぎりぎり前回ご紹介できなかったのですが、まあ面白い けど、最近はどの映画も弾はスローモーションで空を切り、カメラは回り込むの で、あまり新鮮味がないですね。制作費を回収できないとかで、キャメロン24億 円、ドリュー17億円、ルーシー5億円という高騰したギャラにも問題があるでしょ う。というか、この製作自体をドリュー・バリモアがやっており、ETの子役がハリ ウッドで製作にも携わるというケースです。続編でギャラが高騰するのが目に見え ている場合は、最初から複数本契約をするのだとか。だから、マトリックスみたい に1本を分割して公開するといったことが起きるんですね。まあ、私たちには関係な いことですけど、1,200円で見られますから。 -- 國分 裕之 (Hiroyuki Kokubu), Independent Holdings Inc. E-mail hiroyuki@kokubu.name URL http://www.ihg.jp/ |