メルマガ:南米旅行記
タイトル:南米旅行記  2003/08/25


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南米旅行記No.29(2003年8月25日 Mon.)


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おはようございます。エドワルドです。

最近、株取引に熱中していて、文章をほとんど書いていません。
しかし、本は毎日読んでいて、今読んでいるのは、山崎豊子の「大地
の子」です。

主人公は日本人であるが故に冤罪を着せられ労改(強制労働させられる
刑務所)に入れられる悲劇が描かれているのですが、私もアメリカの
マイアミで移民官の態度の悪さに不貞腐れてしまい、国外追放された
経験があるので、人事ではないような気がしました。

メキシコからの帰りに学生ビザが切れており、90ドル払わないといけな
というのです。「そんなお金今持っていない」というと、犯罪者扱いにさ
れ、癇癪を起こしてしまったのです。

後は、「お金もないのにアメリカに住んでいるのか」とお決まりのコース
です。運悪く週末で大学も閉まっており、「刑務所行きか、次のメキシコ
シティ行きの飛行機でアメリカを出て行くか、どっちか決めろ」と言われ
「月曜になったら大学に電話してください。お金はジョージアの銀行にある
んですよ(当時は州が違えばお金を下ろせなかった)」と言っても、聞いて
くれない。それでアメリカのジェールでケツの穴でも掘られたらいけない
と思い、泣く泣くアメリカを後にしたのです。

もし、私が白人だと、こんなひどい扱いは受けなかったでしょう。普段は
分からないが、人種が違うと何か手違いがあったときに、徹底的に痛め
付けられるものだなと思い知らされました。

しかし、10本の指の指紋に、正面と左右側面からの顔写真を撮られ、
メキシコシティ行きの飛行機の搭乗口までガードマン(それもラテーノ)
が一晩中付いていたので、本当に惨めな思いをしました。

みなさんも、白人の国に憧れるのは分かりますが、くれぐれも気を付けて
ください。この世の中には落とし穴が多いですからね。
                      エドワルド

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Index

1. 南米旅行記XXX
2.ワンポイントスペイン語会話
3.ワンポイントスペイン語文法
4. グアテマラからメキシコ経由でアメリカへVII

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南米旅行記XXX

篠塚さんが「エドワルド、もう、そろそろナスカに行かないか。彼がナ
スカに行くらしいんだけど。一緒に行こうと思って」
「後で追い掛けますから、先に行ってくれませんか。清算しなくちゃいけ
ないことがありますから」
「そうか」
次の日、篠塚さんは、日本人二人を引き連れて、ナスカへ旅立った。

エドワルドは暗いカヤオの街を(停電)花街へ向かって歩いていた。
「マリアになんて言おう。どうせ売春婦なんだから、黙ってこのままリマ
から離れようか。もし手首でも切ったらどうしよう。ラテンアメリカの女性
たちは情熱的だから、やりかねないからな」と考えているうちに、花街の前
まで来ていた。

ハピーランドに入っていくと、マリアがカウンターに坐っていた。アンヘ
ラ事件以来、彼女は怒っていてあまり私と口を聞かない。
「マリア、俺はもう南の方に放浪の旅に行くよ」
「え、なぜ、私を置いていくの。私も連れて行って」
「俺は貧乏旅行者だから、連れて行けないよ」
「そういうことは、私を棄てるということね」
「いや、アメリカに帰るためにエクアドルへ行かなければならないので、また
リマへ来なければならない。だから心配するな」
「いや。いや」
「今日はこれで帰るよ」

朝起きると、岡山君が部屋まで上がってきた「この色男。マリアが来てますよ」
「何しに来たんだろう。ありがとう」
階下に下りていくとマリアが椅子に坐っていた。
マリアが私の両頬にキスをした。風采の上がらない、貧乏旅行者どもが羨まし
そうに見ている。
「何しにきたんだ。ここは日本人以外立ち入り禁止なんだよ」
「そんなこと、関係ないですよ。いつも連れ込んでいるじゃないですか」と外
野から言葉が飛ぶ。
「うるさい。黙っていろ」
マリアを待たして、二階に上がり、旅の用意を始める。
篠塚君が上がってきて「エドワルドさん、マリアが妊娠してると言っていますよ」
「妊娠って、俺は彼女と生ではやっていないよ」と白々しく返答する。
「どうしよう。彼女が妊娠していたら、買春婦と結婚して、カオスのペルーに
骨を埋めることになるのか。アメリカの大学はどうなるんだ。親はどう思うだ
ろう。友達は何と言うだろう。こんな感じで、日本人が売春婦に引っ掛かって
沈没していくのか。俺は純真じゃないぞ。まあ、結婚しても、教会に届けなけれ
ば問題(カトリックは離婚できない)ないよ。もし俺がエィズならどうしよう。
子供ができたという事は検査にいかなければならない。生まれた瞬間からエィズ
なんて、なんて可哀想な子供なんだ」と頭が走馬灯のように回転していた。

頭を混乱させながら、食堂に坐っているマリアを抱くようにして西海の外へ
連れ出し、連れ込みホテルの入り口をくぐった。話を付けるために・・・・・・

つづく・・・・

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ワンポイントスペイン語会話
Llame a un medico por favor. (医者を呼んでください)
ジャメ  ア ウン メディコ  ポル ファボール 

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ワンポイントスペイン語文法
Siで導かれる条件文での事実に対する反対を仮定しない場合は、直接法
動詞を用います。
Si lo haces, yo tambien lo hago.

このコーナーは上級者向きなので、読み方や訳は省く事にします。

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グアテマラからメキシコ経由でアメリカへVII

アンティグアは貧乏旅行者がメキシコから中南米に下って行く中継点になっ
ているし、スペイン語学校で有名なので、常に10〜20人ほどの日本人が
滞在している。だから、襌が閉まった後、たまに10人ほどの日本人がチキ
ン屋(ケンタッキーフライドチキンのような感じでビールが飲める)に大集
合する。

「おい、ゲームをしないか」
「どんなゲームをするんだ」
「『これは何ですか』と僕が訊いて指をさし、僕が欲しい物を指したときに彼
が『そうです』と当てるゲームなんだ」
「それで彼に超能力があるというところを見せびらかせるというわけか」

エドワルドは昔同じようなゲームを行い友達の頭を混乱させたことがあるので、
ゲームには参加しなかった。おそらく、ミドリさんがいなければホコテナンゴ
にでも行って夜の女性でもおちょくっていただろう。

「これですか」
「いいえ」
「これですか」
「いいえ」
「これですか」
「そうです」
「なぜわかるの」

超能力がある人間なら何の造作無しに当てる事ができるだろうが、普通の人間
が相手に欲しい物を当てるのだから、何かサインが出ていると考えなければな
らない。しかし、20代前半の若者たちは真剣になって不思議がっている。

「あなたどうして分かるの?」とミドリさんが訊いた。
「へへ、内緒です。それじゃ、みんなでどうして当たるのか当ててください」
みんな暇なんだなとエドワルドが薄笑いを浮かべた。

そのとき、地元の人間が「チ〜ノ」と大声を出した。
「なんだ」と言って京山大学の上田が日本語で怒鳴って、その男に言い寄った。
その怒鳴り声に引き付けられるように4〜5人の男が寄ってきた。仲間のようだ。
その中の一人が、食事用のナイフを持っている。エドワルドがすかさずナイフ
を持っている男の側面にまわり横腹に回し蹴りを入れる。男がしゃがみ込んだ。
他のグアテマラ人は入り口の方へ逃げていった。

「てめえ、ナイフなんか持つな。男の風上にも置けない奴だ」とエドワルドが
伝法なスペイン語で捲し上げた。スペイン語でどういう風に言うんだろ
う。(笑・・・・
「だから言っただろう。チ〜ノと言われたぐらいで熱くなるなと」
「でも、頭にきて」
「ばか、そんな事いいながら、在日のことを見下しているんじゃないのか」
「そんなこと」
「とにかくだ。ここは日本じゃないんだぞ。40年以上内戦が続いているグ
アテマラだ。プロの殺し屋がウロウロしているんだ。帰るぞ。彼らのうちの
誰かが、プロの殺し屋を連れてこないとも限らんからな」

10人ほどの日本人はレストランから出てホテルや下宿先へ足早に帰って
いった。
帰り道、一緒になった山本が口を開いた
「この国は怖いですね」
「あたりまえだ。内戦の国なんだよ。人の一人や二人殺す事なんて何とも
思ってしない」
「へ〜」
「このまえ、ドイツ人が4人殺されたのを知っているだろう。俺はホトボ
リを覚ますためにグアテマラシティにしばらく行くよ」
「学校はどうするんですか」
「ばか、学校より命の方が大事なんだよ。でも、しばらくの間ミドリさん
に会えないな。あの上田のやろう」

エドワルドは次の日早く、グアテマラシティへ旅立っていった。
つづく・・・・


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