メルマガ:風のひとり言――マスコミの裏を読む
タイトル:「風のひとり言――マスコミの裏を読む」第54号  2006/11/03


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         「風のひとり言――マスコミの裏を読む」vol.53
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ごあいさつ
 
「再びお詫びに近況で」

 メルマガの発行がすっかり滞ってしまい、多くの方々に迷惑をかけたように
思います。何時も言い訳ばかりしている(前回もそうでした)ので、今回はそ
れはなしにして、これまでの経緯と簡単な近況報告をさせてください。

 私は多少内容の違うマガジンをまぐまぐとメルマその他から発行しています。
今年の半ばぐらいにまぐまぐから督促を受けたことで、8月に一回発行はして
いるのですが、メルマに関してパスワードを忘れてしまい、作業を億劫がって
いるうちにそのままになってしまったのです。申し訳ありませんでした。

 それと、5月からライブドア・ニュースのデスクとして若手の指導なども行
っているため、日常がかなり忙しくなってしまったことがあります。一方、こ
れまで扱うことがほぼなかったジェネラルニュースを扱えることになり、その
面では若干の興奮とともに面白く働いています。一時よりは大分、元気になっ
たようにも思いますね。

 ウェブニュースの世界というのは、本当に大変なところで、反応も素早くあ
る代わりに、ちょっと引っかかりのあるような曖昧なことを書くと、ものの見
事に非難・中傷の嵐になります。これはとにかくスサマジイ。知らないことと
はいえ、改めて恐れ入っているところです。

 今はホームページに関してもほぼ休止状態のような感じなので、今後1、2
カ月のうちにHPは解消してブログに引き継ぐことを考えています。いずれそ
の時にお知らせする予定ですが、ブログも本名で自分を前面に出すことに関し
て「満富さん、いざという時大変な攻撃を受けますよ」と若手から脅かされて
いることもあり、今、対処の仕方を考えているところです。

 いずれにしても、これからポータルサイトを含めていくつかの発信手段が共
存することになると思いますので、その面でもヨロシクお願いします。昔の私
宛てのメールを読んでいたら、このメルマガに関しても出した当初は「随分と
褒められていたんだなぁ〜」と、今更ながら感慨にふけったところ。初心を忘
れないように、これからまた情報を提供を行っていきますので、どうか見捨て
ないでくださいね。

□■□ 「風のひとり言」その53□■□-----------------------------------
「イジメ考」

感情的、感傷的に
なるのはやはり危険

 いじめによる自殺の報道が後を絶ちません。騒ぎが大きくなったキッカケに
なったのは北海道滝川市の小6女児が昨年9月、教室内で自殺を図り今年1月
に亡くなったケース。その後、ここ1カ月ほどの間だけで福岡県筑前町の中2
の男子生徒、ごく最近の話題を独り占めしているのは岐阜県瑞浪市の中2女子
生徒の話と、4、5件は同じような話が続いている勘定になります。

 幼い児童の自殺というのは、ありとあらゆる意味で周囲に悲しみを投げかけ
ます。私もテレビのニュースやワイドショーの背景説明を聞いていて、涙が止
まらないことがシバシバで、皆さん言うことですが子どもを持つ親として看過
できないのです。ただ、今の時点で言えることは、「余り感情的になり、一方
的な見方をするのは危険だ」――ということぐらいですかね。

 誤解を恐れずに言えば、こうした子どもの自殺にはさまざまな背景があると
思うのです。もちろん、キッカケや引き金になったのいじめが存在したことは、
現在進行しているケースでは間違いのないことなのでしょう。しかし、それで
も「心無い言葉を投げかけた級友や一緒になって責め立てた教師にだけ、責任
があると考えるのには、まだ議論の余地がある」ような気がするのです。

 あえて言えば、家庭や地域、私たちが形作っている社会そのものに問題がな
いとは言えない部分がある。私が感じるのは「人と人のつながりがなくなって
しまった社会なのだなぁ」といった気持ちばかりです。少しだけ、私の見方を
聞いてください。

大人がいなくなった
日本の社会

 いじめは昔も今も、何処の社会にもあります。私の小さな頃だってあった。
大人の社会にも厳然としてあることは、皆さんよぉ〜くご存じでしょう。しか
し、要はそのいじめをどのように受け止め、それを跳ね返していくかが問題な
んです。いじめを“困難”という言葉に置き換えれば、人生そのものがいじめ
との闘いと考えることだってできるでしょう。

 昔、ここまでいじめが問題にならなかったのは、日本の社会に「地域」や「
大人」という安全弁が働いていたからだと思います。人間は追い込まれても、
誰かが優しさや愛情を注いでくれれば何となく納得し、立ち上がっていくもの
です。それが、今は教師まで子どもの目線に立ってしまって「一緒にイジメて
いた」というのだから、シャレにもならない。こんな仕組みを作った、文科省
や日教組にだって責任の一端はあるのではないですか。

 そう、私が言いたいのは社会そのものに人を助ける“安全弁”が無くなって
しまったこと。それに、本当の意味のリーダー(頭のいい大人は、いじめを最
大化しない術を知っている)を育ててこなかったことが遠因だと思います。変
な平等意識が、そこには働いているのです。

 日本人は農耕民族であり、定住生活を常態としていたので掟破りには厳しい
のです。そして、異質なものを基本的に排斥します。芸能人(本当の意味)は
別なのですが、普通の生活をしている地域・集団ほど突出や異形を嫌うので、
大人社会でも陰湿ないじめが存在してしまうのだと思います。

 日本人は助け合うという美徳を失った一方で、この昔ながらの“排斥の論理”
だけを温存し続けているのではないか。大きな声では言えませんが、子どもの
自殺は大人社会の縮図です。社会的な意味合いでイジメられ、自ら命を絶った
教育関係者の何と多いことか。

 日本人はもっと成熟した“大人”になるべきでしょう。そんなことを考えて
いると、高校生のときからお世話になった米国の幼児向け語学教育番組「セサ
ミ・ストリート」の登場人物を思い出します。

 もともとがプエルトリコ、メキシコ人などの貧しさなどから語学教育を受け
られない移民向けに作られたという、この番組。登場人物の階層が実に多彩で、
民族も同様。さらに、聾唖(ろうあ)者の人も本当に自然に番組に登場して子
どもたちと触れ合っていた。シッカリと差別感を持ち得ない子らを作る、教育
番組になっているのです。

 感心しますね。大物の映画俳優(ジャック・ニコルソンも出ていましたな)や
スティービー・ワンダーのような大物歌手も無報酬で出るという、この種の番
組は日本では真似ができないのではないか思います。寂しいことです。


□■□ 後書きのつぶやき□■□----------------------------------------
「生きることと情感と…」

 最近、妙に自然や街の風景といったものをいとおしく思うようになりました。
つまり、絶景に感動したり、人の住む町の歴史などを思って感慨を覚えること
がシバシバなのです。歳を取ったゆえでしょうな。

 これは、いま自分が生きている現実の風景に対してだけではなく、過去の歴
史についての思いを自分なりにまとめる際にも起こる現象です。

 つい先日も、ある大学の先生とお酒を飲んでいるとき、ふと太平洋に浮かぶ
硫黄島の話になりました。この先生は墓参団にまぎれて、この南の島に訪れた
ことがあるというのです。戦争の話もよく知っていましたね。

 私もつい最近、『硫黄島からの手紙』(文藝春秋、半藤一利編)という本を
読んだばかり。日本の高級将校にもここまで立派な人がいたのだ、といたく感
動しました。しかも、今の私たちには失われてしまった“品格”というものを
示してくれる、やはり珍しい存在なのでしょう。関連して、この本を映画化し
た「硫黄島からの手紙」(クリント・イーストウッド監督)もぜひ、観たいと
思っています。

 先述の先生は、「やはりあの島は全体に空気が違った。まだ浮かばれない霊
魂のようなものが満ちているのだと思う」と話していました。空気の重さのよ
うなものを、確実に感じるのだそうです。私もつい1月ほど前にグアム島に旧
友と再会するために訪れたばかりで、その際に大戦の日本軍犠牲者を祀ったメ
モリアルパークに初めて訪れ、感慨を新たにしました。そのときも、友人たち
が「まだ日本兵の幽霊は出てきますよ」と真面目に話していましたなぁ。

 霊の話の真偽はともかくとして、こうした話をしているときも、どうしても
目頭が熱くなってきてしまう自分がいます。「自分たちの今の生活は、やはり
日本のために命を捨てたこうした犠牲者の礎の下にある」ことを信じて、疑っ
ていないからです。

 自然を愛でる情感とともに、家族や愛する人のために私たちの国を守ってく
れた先人の足跡に、常に思いを致すことの大切さをシッカリと胸に焼き付けた
いと思っています。

  晩年の妻直角に秋刀魚切る(加倉井秋を)


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