メルマガ:風のひとり言――マスコミの裏を読む
タイトル:「風のひとり言――マスコミの裏を読む」第45号  2005/02/10


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         「風のひとり言――マスコミの裏を読む」vol.45
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□■□ 「風のひとり言」その45□■□-----------------------------------
「三井元部長実刑判決の感慨」
三井元公安部長は
本当に有罪なのか?

 もう先週のことになってしまうのですが、かつて社会部記者としての活動が
長かった私としては、触れざると得ない話題です。大阪地裁は2月1日、捜査
情報の見返りに元暴力団員から接待を受けたとして、収賄や詐欺罪などに問わ
れた元大阪高検公安部長・三井環被告(60)に、懲役1年8月、追徴金約2
2万円の判決を言い渡しました(収賄の一部は無罪)。

 この事件そのものもまだ記憶に新しい人も多いと思います。全国の検察庁で
調査活動費(チョーカツ)と称する公費の乱費が問題になっていた折、このお
金の私的流用を自ら認めようとした三井被告が、東京のテレビ局のキャスター
(鳥越俊太郎さん)に会うまさにその日に、検察当局に逮捕されたというもの
でした。事件の不当性は、当時から誰の目にも明らか。検察があらゆる権力を
動員して、自らの立場を守ろうとした策謀であることは、どうみても明らかで
しょう。当時はそうした論調も、週刊誌を中心に主流だったのですが、やはり
検察が怖いのかどうか、新聞では際立った検察批判は聞かれなくなりました。

 そして、この結果です。予想された(事前に民主党の河村たかし議員の元に
は、判決内容に近い結果を予測した文書が届いていたとのこと)とはいえ、ど
うにも釈然としないものが残るのです。何よりも、事実確認をきちんとすれば、
マンションを買って虚偽登記したなどといっても犯罪性が薄いことは明白なハ
ズで、どうにも身内の司法制度を危うくさせないための判決としか思えません。
こうなると、国家的な体制擁護といったところでしょう。

報道の自由は絶対に
守らるべきもの

 私はこの三井氏が書いた告白本も読んでいます。当事者が書いたものですか
ら、多少割り引いて考えなければならないこともありますが、自分と暴力団と
の付き合い(と言えるのかは判断による)やマンション購入の件なども正直に
告白しています。しかも、調活費の告発は元上司に対する“私怨”によるもの
だとさえ、ハッキリ言っているのです。検察側の無理な逮捕劇との考量で、三
井氏の方に分があることは明らかでしょう。

 問題はこの事件に象徴的に現れているとおり、日本の社会的枠組みの中では
検察は政治よりも高い位置にあり、まともな自浄機能を持ち得ないことではな
いでしょうか。世の中の期待としては“正義の味方”であり、もちろん総体的
には社会正義の執行に燃えていることは間違いないものの、こうしたマイナス
の体質をチェックする機能が全くないことが問題なのだと思います。

 本来ならばマスコミのハズ。しかし、無理ですねぇ〜。特に東京地検の特捜
部は“出禁(出入り禁止)”を連発するので、情報の出所である検察幹部のご
機嫌を伺う余り、本当に理のあることを物申す気概が、各社から全く失せてい
ます。ごく最近、東京地検の井内顕策特捜部長がマスコミをあからさまにバカ
にし批判する文書を、きちんと自分の名前入りでばら撒いたことを、週刊誌な
どで知る人も多いのでは。これも、もっともっと大きな問題になっていいハズ
なのですが、なぜかそうはならないのです。

 それは、マスコミ自身が自制しているからです。

 前回も書いたように、NHKと朝日が水掛け論でお互いを非難するような状
況は、全くこの国の報道のあり方をゆがめるものです。行き過ぎがあったなら
ば、それを改めるのはもちろんですが、問題になることを恐れて足がすくむの
では、社会には真の情報が何ももたらされないということになってしまう。

 私は国民も冷静になって欲しいと思うのです。NHKに言うべきことを言う。
朝日に対してもそう。それは構わない。しかし、検察や自民党に対しても同様
にすべきでしょう。権力や権威だけで口封じができてしまうようになれば「こ
の世は闇」ですよ。自由な社会のあり方で、最もその存在意義を問われるのは
マスメディアのはず。報道の自由は、何よりも大事な自由権であることを、こ
の際、もう一度確認したい。そして、私も声を挙げて申し上げたいのです。原
点にかえった私のひとり言ですが……。
□■□ 後書きのつぶやき□■□----------------------------------------
「私の講演でスイマセン」

 また手前味噌の記事になってしまい大変に恐縮ですが、再来週にまた講演を
行います。とは言っても外部講師ではなく、私自身のもの。今回は人からたの
まれた講演で、ごく内輪の勉強会なのですが、もし良ければご参加くださいと
の小さな案内状です。

 一般企業の広告やプレス対応などをなさっている人たちに向けて、マスコミ
関係者との懇談をしようというもののようです。私も肩の凝らないものにしよ
うと思っていますので、自分が健康ジャーナリストになった経緯と、ブームに
なっている健康について「真の健康とは何か?」を主題にして話をしたいと思
っています。

 元来、体も意識も不健康な人間なのですが、一方で最近の「健康でありさえ
すれば幸福になれる。長寿も幸福に直結する」との考えにはちょっと異論があ
ります。その辺を中心に話すつもり。興味のある方は、私あてか主催者の方に
直接連絡をもらえれば、案内のメールをお送りするようにします。

記(マスコミ夜話会)

日時:2月24日(木)午後7時より
場所:新宿プリンスホテル地下レストラン「トリアノン」(03−3205−
1111)
演題:「健康ジャーナリストになって思うこと〜真の健康とは何なのか?〜」
会費:5500円(講演のあと懇親会があり、その費用を含みます)
連絡先:マスコミ夜話会(事務局スーパーピーアール=03−3226−47
12、FAX03−3226−4714)
メール:yawakai@s-pr.com


  ベルギーは山なき国やチューリップ(虚子)

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