メルマガ:風のひとり言――マスコミの裏を読む
タイトル:「風のひとり言――マスコミの裏を読む」第34号  2003/08/08


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         「風のひとり言――マスコミの裏を読む」vol.34
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□■□ 「風のひとり言」その34□■□-----------------------------------
「田中真紀子氏不起訴へのブーイング」
田中前外相の行為は
全くの詐欺ですよ!

 世の中には理不尽なと思えることは多いもの。その度に腹を立てております
が、今週伝えられた「田中前外相不起訴へ」のニュースもその典型のようなも
のでしょう。

 一応、この判断に当たっては、(1)秘書活動の実態があった(2)「越後
交通」経由ではあったものの、支給額とほぼ同額の「秘書手当」が公設秘書に
渡っていた――などとされております。しかし、こんなものは後でとって付け
たような理由でしょう。会社経由で秘書給与を渡すなどということが許される
のなら、その間の不正な資金流用や操作はみな許されてしまうことになります。
これは、専門家も指摘するように、個人の持ち物である給与が別入路に移され
た時点で「詐欺罪」を構成するというのが、極めて妥当な判断だと思うのです。
ましてや、田中氏個人に流用の事実は認められなかったなど言われますが、こ
れだってアヤシイもの。お金持ちですから自分でそのまま遣うようなことはし
ますまいが、「お前らにそんな大金は渡す必要はない」ぐらいの意識はあった
でしょう。そういう人なんです、この人は。

 多くの人が恐らくは怒っていると思いますが、私は不遜ながら「こうなるだ
ろう」とは思っていました。それも自慢できるような予想ではなく、何となく
そう思ったのです。で、コトの本質を見失わないように、先の辻元清美前議員
の逮捕と、どこが分かれ目になったのかを考えてみましょう。

 これは私の全くの私見ですが、2人の罪状について比較衡量して考えるのは
意味がないと思います。よりハッキリ言うならば、辻元容疑者を担当した警視
庁の方(田中氏は東京地検)に、彼女をどうしてもパクリたい理由があったと
考える方が自然ではないでしょうか。

 これはいくつかの週刊誌や媒体が記事を書いたりしているので細かくは述べ
ませんが、やはり選挙を前にして辻元=社民党にギャフンと言わせたかったこ
と。今一つは、警視庁自身の不祥事のショックを和らげたい(情報漏洩で同じ
日に警視らが処分されている)との思いがあったことも、あながちハズレては
いないと思います。

 ただ、私は直感的に「これはアレが欲しいのでは」と思ったのはこんなこと
ではなく、一部に公然と語られている辻元容疑者の内縁の夫・北川明氏(第三
書館社長)のことです。警視庁はやはり公安を中心にして、この男の情報と弱
みを強く欲しがっていた。だいたいにおいて彼女らの仲の細かな点は掴んでは
いたでしょうが、元赤軍派とそのシンパに世間をかく乱されたくない、との思
いはあったのではないでしょうか。私はそう思っていましたし、事実、その後
第三書館はこの件で家宅捜索を受けていますよね。余談になりますが、辻元容
疑者は早稲田時代からこの出版社に出入りし、北川社長といい仲であったこと
は周囲の人間には公知の話だったようです。

なぜ、警察は職務を忘れ
政治的に動くのか

 話を元に戻しておきましょう。田中前外相の不起訴が納得できないというの
は、まさにその部分では確かなことで、私も異論がありません。これは、元東
京地検特捜部長の河上和雄弁護士もいうように「せめて、起訴猶予とするべき
ではないのか」というのが、本当のところと思います。

 一方で、辻元容疑者の場合は、(1)罪状をきっぱり認めていること(2)
詐取したお金は全て国庫に返還している(3)多少の食い違いはあるが、事情
聴取にも素直に応じていた――ということで、これは捜査関係者ならずとも「
逮捕? 逮捕したって不起訴になるんじゃないの」といったくらいの話なので
す。どうも、背後にある政治的な要因のようなものを感じざるを得ません。

 誤解のないように言っておきますが、私は辻元前議員のことは決して好きで
はありませんよ。むしろ「小生意気な奴だ!」と嫌っていた部分さえあります。
ですが、今回の逮捕については純粋に納得できない気持です。

 しかしねぇ、世田谷の一家四人殺し、八王子のスーパー拳銃殺人事件ほか、
凶悪極まりない事件を解決する能力を失っている警視庁には、まさに暗澹たる
思いさえあるのに、どうなっているのかな。警察がウロチョロ政治的に動くよ
うになってしまえば、世の中オシマイでしょう。凶悪事件の増加や住民の孤立
化で捜査がやりにくくなっていることは十分に理解していますが、ここできち
んと警察の本来の姿を見せておかなければ、さらに多くの国民が絶望的な気分
に陥るような気がします。本件とは別にしても、奮起を促したいところです。

 警察官との付き合いが非常に長い、私のひとり言ですが……。

□■□ 後書きのつぶやき□■□----------------------------------------
「最近見物の埼玉県知事選」

 娘の政治資金処理を巡って辞めた、土屋義彦前埼玉県知事。もともとは参議
院議長まで務めた人です。三権の長が「何を県知事なぞに」と当時も随分話題
になったものですが、やはり先見の明があるというか、この人なりの旨味とい
うものを感知していたのでしょうね。確かに「土屋王国」といわれる、一大帝
国を築いたような気がしています。

 ただ、ここで言いたいのは直接その埼玉県がどうのこうのではありません。
土屋辞任の後を受けて行われる知事選が、えらく面白そうなので興味があると
いうことだけです。

 皆さん、ご存じですか。随分と立候補するようですよ。まず、本命と言えそ
うなのが、元同県副知事で内閣府男女共同参画局長だった坂東真理子さん。自
民党の本部はある種静観の構えですが、県連の方は元総務庁事務次官の嶋津昭
氏を推薦する構えです。しかし、同県連は先に坂東さんに出馬を要請した絡み
もあり状況は複雑。つまり、坂東さんは民主党からも出馬を要請されてこれを
断った経緯があります。「出ない」というわけではなく、「本来自治体の首長
は無所属であるべきだ」との筋論でした。そこにまた、民主党所属の国会議員
である上田清司氏が絡んできて、ますます様相は複雑に。上田氏は敢然として
出馬するようですし、その前にさらに元自民党で今は参院公明党に所属してい
る浜田卓二郎氏が早々と出馬を表明して、まさに「???」というところです。

 この際、共産党のことはあまり触れずにおきましょう。ただ、簡単に説明す
ると、当初出馬を明らかにしていた大久保弁護士は体調を理由に辞退し、県議
の高原美佐子氏が無所属(共産推薦)で出馬するようですので、念のため。こ
の他にも元議員や会社社長なども出馬の構えとあって、まさに近来まれに見る
多数の候補者による知事選ということになるでしょう(東京は除く)。

 きのう、今日と新聞にはこの埼玉県知事選のことが面白おかしくも取り上げ
られていますので、詳しくは書きません。ただ、偶然というか、私が個人的に
接点があった人が3人も出ているので、ある種の感慨があることも事実です。

 坂東さんは総理府(今は内閣府)のキャリアで、私が官邸にいた時は確か、
世論調査をまとめる部署の長でした。いつも発表の時に顔を見ていたので、当
時はまだ気鋭の女性キャリアは珍しかったこともあり忘れ難い存在です。その
後順調に出世し、先述したような副知事職も経て先頭を切っています。この方
とはその後も何回か話をしたことがあるので、人柄も少し分かります。子育て
も親の面倒もきちんと診られているし、立派は人であることは論をまちません。
次は嶋津氏。この人は私が総務庁を担当していた時に、確か広報部門の一番エ
ライ人だったような思い出があります。名前はよく覚えているのです。しかし、
まさが次官にまでなられる人とは思いませんでした。

 最後は浜田氏ですね。この人のことは良く知っている人というのは、あまり
多くないかもしれません。しかし、一時埼玉で衆院選に出たりして話題になっ
た浜田まき子さんの旦那だと言った方が通りがいいのかな。私は奥さんはあま
り好きではないのですが、この浜田氏の方は買っていました。大蔵の出身で政
策通です。大きな志も持っている人だと思っていました。もちろん、浜田氏は
私を知りませんが、当時代議士だったので官邸に来た時に二言、三言話したこ
とはあるのです。

 しかし、そういう人は選挙に弱いのですね。その後落選の憂き目に遭い、確
か2度目の挑戦もダメでした。そこで何を思ったか、公明党に協力を仰いで、
何とか参議院にもぐりこんだというわけです。

 もう長くなるので、多くは言いませんが、知事はそれだけ魅力があるという
ことです。国会(国権の最高機関)の一員といっても、しょせん若い議員に力
なんてありません。最近は大分変わってはきていますが、それでも3、4回は
当選しないと発言は認めてもらえないのです。その点では知事は“お殿様”で
すからね。予算は埼玉県ぐらいになると兆単位でありますから、人の使い道と
いい、言ってみれば利権といい、応えられないかもしれません。

 そんな訳からでもないかもしれませんが、あの森田健作が、この埼玉県知事
選に大いなる色気を示したなんて話には笑ってしまいますね。今更ながら言っ
ておきたいけど、この男を議員にした有権者というのは、彼が何かできるとホ
ンキで考えているのでしょうかね。大阪のノリならば分かるけど、森田氏は東
京で選ばれているのですぞ。ゾ〜っとしますな。(最後に、選挙そのものはや
はり、坂東さんが勝つでしょう)

今週のことば……「うつ病」
 良く知られるように、気分が憂うつとなり、何もする気力が起きなくなる一
種の精神疾患。先の厚生労働省研究班の調査では、成人の15人に一人はこれ
までの人生でうつ病を経験している、との結果が出ている。そのほど普通の、
身近が病気であるということだろう。最近また増加傾向にある自殺者との関連
もかなり指摘されるところだが、先の調査によると医療機関で受診したことの
あるうつ病経験者は25%にとどまるそうだ。
 これは経験のある人ならよく分かることだが、誰でもかかる可能性のある病
気であり、仕事や家族のストレスが往々にして引き金となる。現在は良い薬が
開発されているので、迷わずに医療機関を受診して診断と投薬を受けるべきだ
ろう。一方で、周囲がきちんと理解力のある対応をしないとかえって悪化する
可能性がある。今後は、もっと話題となり、一般化する病なのではないだろう
か。

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