メルマガ:仮想力線電磁気学
タイトル:仮想力線電磁気学  2005/07/15


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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第109回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その39)

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さて、今回からは、再び量子力学の話に戻り、遠隔作用へのステップとなる話と
して、『存在確率』と『場の理論』との関係について説明いたします。
今回は、その導入の話です。

なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

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180.不連続の壁
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近接作用という考え方は、連続であることを絶対の前提とする理論です。
つまり、不連続を認めないのです。

ですが、これはあまりにも現実を無視した教義です。
なぜなら、現実の世界では、不連続が当たり前だからです。
事実、物体と物体との間には、(場合によっては広大な)隙間、すなわち、空間
的な不連続があります。
ですから、物体だけを議論の対象にしたのでは、たちまち行き詰まってしまいま
す。

そこで、近接作用では、時空を議論の対象に加えるのです。
そして、しまいには、時空こそが議論における主役になってしまうのです。

そこで、今回は、その過程を、これまでの話の復習をも兼ねて、見ていくことに
しましょう。

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181.場と時空
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電磁気作用や重力は、物体間が隔たっていても働きます。
この場合、(物体間に)空間的な不連続があるわけですから、このままでは近接
作用という考え方は成り立ちません。
作用やエネルギーの伝わり方が、空間的に不連続になってしまうからです。

そこで、作用やエネルギーが、空間を伝わっていくことにするわけです。
こうすれば、伝わり方が連続になるでしょう。
そして、そのことを可能にするために、空間に物質のような特性があることにす
るのです。
その際、でっち上げられるのが、『場』という概念です。
これにより、空間は、作用やエネルギーを伝える媒体となりすますわけです。

さて、そこで思い出してほしいのが、前回の話です。
時空をいじると、場が捏造できるのでしたね。
このことから、時空と場とが深い関係にあることがわかるでしょう。
と同時に、近接作用にとって、時空(操作)が極めて重要なものであることもわ
かると思います。
このように、『場の理論』は、『時空トリック』の出発点だったのです。

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182.関心を時空に移す
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次に問題になる不連続は、遠隔作用的な現象、すなわち、離れたところに瞬時に
影響が現れる現象です。
作用やエネルギーが空間を伝わっていくことにすると、時間がかかってしまいま
す。
ですから、時間をゼロにするためには、途中の空間を飛び越えて伝わったことに
しなければなりません。
しかし、これでは(またしても)、伝わり方が空間的に不連続になってしまいま
す。

そこで用いられるのが、第106〜8回で説明した『時空トリック』です。
都合のいいようにいじくられた別の時空を用意し、本物の時空と結び付けること
で、遠隔作用的な現象を説明する…というものです。
複数の時空を巧みに組み合わせ、すり替えて、人を惑わすのですね。

それにしても、なぜ、時空をいじくると、離れたところに瞬時に影響を及ぼすこ
とができるのでしょうか?
それは、時空というものが、どこまでものびているものだからです。
だからこそ、時空をいじると、全世界を一瞬にして変えてしまうことが可能なの
です。
それも、現在についてだけでなく、過去や未来についても、です。
時空は、まさに、「魔法の杖」のようなものです。

時空は、(少なくとも)相手方の位置まで、のびて(つながって)います。
ですから、離れていても連続になるわけです。
となれば、物体よりも時空を議論の対象にした方が、近接作用にとっては都合が
いいでしょう。

幸い、『時空トリック』を行うと、人々の関心は、物体から時空に移ります。
複数の時空を用い、しかも時空がいじられるわけですから、その議論の複雑さゆ
えに、嫌でも関心が時空の方に移ってしまうのです。
こういう心理を巧みに利用するわけです。

もっとも、時空が複数あると不連続のイメージが強まるのでは?と思われるかも
しれませんが、それらは数式によって結び付けられるので、結局、連続のイメー
ジの方が強まるのです。

こうして、本当は空間的に不連続な現象が、時空という道具によって、不連続で
はない現象として印象づけられてしまうのです。
まことに見事なトリックです。

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183.時空を主役にする
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ここで、もう一つ、時空を議論の主役にしなければならない決定的な問題点を指
摘することにしましょう。
それは、エネルギーの問題です。

もし、この世に、物体が一つしか存在しなかったら、運動というものを定義する
ことはできないでしょう。
そのため、(運動)エネルギーを定義することもできません。
これは、エネルギーが存在しないことを意味します。
ですから、エネルギーが存在するためには、少なくとも物体が二つ存在しなけれ
ばならないのです。

それでは、物体が二つ存在しさえすれば、エネルギーが存在することになるかと
いうと、そうではありません。
二つの物体間の距離が、時間とともに変化しなければなりません。
つまり、相対運動する必要があるわけです。

ところが、そのためには、二つの物体は離れていなければなりません。
離れていない(接している)状態のままでは、物体は一緒になったままで、相対
運動はあり得ないからです。
ですから、エネルギーが存在するためには、物体どうしが離れていなければなら
ないのです。

これは、近接作用にとっては、非常に都合の悪いことです。
なぜなら、議論の上で関連することになる二つの物体の間に、空間的な不連続が
存在することになるからです。

このように、近接作用では、物体を主役にすると、致命的な矛盾が生じてしまう
のです。
それで、時空を主役にするのです。
時空は、連続的に、どこまでものびているもの。
故に、離れたところにある物体どうしを結ぶものとなります。
ですから、時空を主役にしておく限り、不連続はない(故に、矛盾はない)…と
言い張れるわけです。

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184.エネルギーはどこに?
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以上の説明で、近接作用ではどうして時空が議論の主役になるのか、十分おわか
りいただけたと思います。

そこで、関心をもっていただきたい二つのことがあるのです。

一つ目は、「物体のエネルギーはどこにあるのか?」という問題です。
主役が時空になった以上、物体は脇役でしかありません。
となると、エネルギーは、物体内部にではなく時空に存在する…とした方が都合
がいいことに気付くでしょう。
実際、(量子化された)場の理論では、物体のエネルギーは、物体の内部に存在
するのではなく、空間に拡がった形で存在することになっているのです。
つまり、「物体が、空間に拡がって存在するエネルギーをまとっている」とか、
「物体が、空間に拡がっているエネルギー分布ための核のような存在になってい
る」といったイメージなのです。

次に、二つ目ですが、それは、量子力学で出てくる『存在確率』という概念が、
『時空トリック』の産物であることです。
これについては、前回説明いたしました。
つまり、確率的な広がりをもって存在するという考え方もまた、時空を主役にし
た考え方なのです。

以上、これら二つのことに大いに関心をもっていただきたいのです。
そうすれば、『存在確率』と『場の理論』とが、(少なくとも)エネルギーの分
布に関して、非常に深い関係にある…ということに気付くことができると思いま
す。
次回は、この関係について詳しく説明したいと思います。
これにより、遠隔作用への道筋が(今度こそ)見えてくると思います。
それでは、次回をお楽しみに。

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 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp
 配信  : MailuX http://www.mailux.com/

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