メルマガ:仮想力線電磁気学
タイトル:仮想力線電磁気学  2005/01/29


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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第85回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その15)

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さて、今回も遠隔作用と関連のある話です。
具体的には、前回の続きで、エネルギー配分が偏る話についてです。

なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

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61.空間という邪魔者
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集中・偏在するはずのエネルギーを、広い範囲に拡散させてしまうものは、何で
しょうか?
マックスウェル電磁気学で、重ね合わせを可能にする根拠となるものとは、何で
しょうか?
正しい思考を邪魔するものは、何でしょうか?
ヒントは、近接作用では重要な、遠隔作用では不要なものです。
とくれば、もう、おわかりでしょう。
答えは『空間』です。
つまり、『空間がエネルギーを有する(ことができる)』という、近接作用にお
ける絶対の前提が、正しい思考の邪魔をしているのです。

そこで、今回から、このことについて、第77回以来取り上げ続けてきた問題を
例にして、説明していきたいと思います。

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62.空間とエネルギー
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近接作用では、作用は空間によって伝えられます。
ですから、エネルギーもまた空間によって伝えられることになるのです。
そして、そのためには、空間はエネルギーを有することができるものである必要
があるわけです。
そういうわけで、近接作用では、このことを絶対の前提としているわけです。

さて、このことから、近接作用と遠隔作用とでは、物体間のエネルギーの授受の
仕方が大きく異なることになります。
遠隔作用では、物体間で直接的にエネルギーが授受されます。
これに対し、近接作用では、空間を介してエネルギーの授受が行われます。
というか、空間を介さないと、エネルギーの授受ができないのです。
ですから、『物体間でエネルギーがどう配分されるか?』ということは、『空間
がエネルギーをどう伝えるか?』ということによって決まるのです。

これは、言い換えれば、『エネルギーは空間をどう伝わっていくか?』というこ
とです。
そこで重要になってくるのが、御存知、『エントロピーの法則』です。

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63.エネルギーの伝わり方
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ここで、また、毎度お馴染みの図を御覧下さい。

[図1]
        B
        ○
   ○
   A                 ○
                     C

近接作用では、自分と接しているものにしかエネルギーを与えることができませ
ん。
ですから、物体Aは、周囲の空間のうち、自分に接している微小空間領域にのみ
エネルギーを与えます。
すると、もし、そのままだと、物体Aと接している微小空間領域だけが、エネル
ギーがどんどん高い状態になっていってしまいますよね。

一方、エントロピーの法則によれば、空間のエネルギー分布ができるだけ一様に
なるように、エネルギーの移動が起こることになっています。
つまり、特定の領域にエネルギーが集中・偏在しないよう、広い範囲に拡散する
ことになっているわけです。

というわけで、エントロピーの法則により、物体Aと接している微小空間領域に
与えられたエネルギーは、そこに留まり(集中・偏在し)続けることなく、より
周囲へと拡散していくことになるのです。
こうして空間に広まっていったエネルギーのうちの一部が、やがて物体Bや物体
Cにたどり着き、これらの物体に受け取られることになるわけです。

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64.空間が配分を決める
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さて、同じ現象を、今度は、『エネルギーを受け取る物体』すなわち『作用を受
ける物体』の立場から見てみましょう。
具体的には、物体Bや物体Cの立場から、です。

近接作用では、物体は、自分と接しているものからしかエネルギーを得ることが
できません。
ですから、物体Bや物体Cは、自分と接している微小空間領域からしかエネルギ
ーを受け取ることができないのです。
このため、空間を広がるように伝わってきたエネルギーのうち、たまたま自分の
方へ伝わってきたエネルギーのみを受け取るだけなのです。

このことから、各物体へのエネルギーの配分のされ方は、『空間』によって決め
られてしまうことがわかるでしょう。
物体Bや物体Cは、空間が伝えてくるエネルギーを、ただ受動的に受け取るだけ
なのです。
したがって、各物体へのエネルギーの配分のされ方は、空間におけるエネルギー
の分布の仕方によって決まることが、おわかりいただけると思います。

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65.できるだけ平等に…
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ならば、エネルギーは空間ではどのように分布するのでしょうか?
それを決める重要なもの(の一つ)となるのが、すでに述べたように、『エント
ロピーの法則』なのです。
それによると、エネルギーは、特定の領域に集中・偏在したりせず、広い範囲に
拡散するように分布することになっています。
つまり、できるだけ一様に、平等になるように分布している、ということです。
ですから、各物体へのエネルギーの配分のされ方も、できるだけ平等になるよう
な配分のされ方をすることになるわけです。
よって、物体Bにエネルギーが偏って多く配分され、物体Cにはほとんどエネル
ギーが配分されないといった、極端な不平等は起こらないことになるわけです。

ただし、いくら「平等に」とはいっても、広がっていけば、遠くへ行くほど薄ま
ってきます。
このため、物体Aから遠ざかるほど、エネルギーは弱くなります。
とはいえ、それも、距離からイメージされる程度にすぎません。
ですから、物体Bと物体Cとが受け取るエネルギーの差も、距離の差からイメー
ジされる程度のものになるわけです。

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66.物体以外にも配分
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以上で、近接作用では、エネルギーは集中・偏在せず、拡散してしまうことが、
おわかりいただけたと思います。
と同時に、奇妙なことが起こることにも気が付かれたのではないでしょうか?
それは、物体以外の領域、すなわち、物体が存在しない領域にもエネルギーが配
分されることです。
近接作用では『空間』はエネルギーを有することができるのですから、これは当
然の帰結です。

これに対し、遠隔作用では、こんなことは許されません。
エネルギーを有することができるのは、物体(あるいは物質の実体の部分)だけ
です。
物体の存在しない領域には、エネルギーは配分されず、故に、存在しません。
物体(あるいは物質の実体の部分)にのみ、エネルギーが存在するのです。
こんなところからも、遠隔作用ではエネルギーが集中・偏在することになるとい
うことが、おわかりいただけるのではないかと思います。

実は、こうした違いが、遠隔作用の特徴を理解する上で、非常に重要になってく
るのです。

いずれにせよ、今回の話で、近接作用では、エネルギーの配分のされ方が、『空
間』によって一方的に決められてしまうことであることが、御理解いただけたと
思います。
神話の世界にたとえるならば、空間は『神』であり、物体は『神』にもてあそば
れる『人間』といったところでしょうか。
そのせいか、近接作用の考え方、すなわち、『場の理論』には、かなり恣意的な
ところがあります。
それについては、今後の話の中で明らかにしていきたいと思います。

                * * *

さて、次回は、エネルギーを有することができる『空間』の、さらなる問題点に
ついて説明したいと思います。
具体的には、『作用を受けるもの』の影響に関して、です。
どうぞ、お楽しみに…。

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 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp
 配信  : MailuX http://www.mailux.com/

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