メルマガ:仮想力線電磁気学
タイトル:仮想力線電磁気学  2005/01/22


========================================================================
 ━┓→
 N┃→          仮想力線電磁気学
 ━┛→
========================================================================
------------------------------------------------------------------------

●第84回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その14)

------------------------------------------------------------------------

当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

さて、今回も遠隔作用と関連のある話です。
具体的には、前回の続きで、エネルギー配分が不平等になる話についてです。

なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

****************************************
56.僅かな差で大きな差
****************************************

ここで、再び、第77回以来、取り上げ続けてきた問題を思い出して下さい。

[図1]
        B
        ○
   ○
   A                 ○
                     C

これは、物体Aが、物体Bと物体Cとに、動的な電磁気現象による作用を及ぼす
問題でした。
そして、第80回では、物体Bと物体Cとが、物体Aからそれぞれ受け取るエネ
ルギーの量が、大きく異なる(物体B≫物体C)ことを指摘しました。
距離の差から単純にイメージされる差よりも、もっと大きな差が出るのです。

このことから言えるのは、動的な電磁気現象、すなわち、誘導によって生じる電
磁気作用では、条件のわずかな差で、配分されるエネルギーに大きな差が出てし
まうということです。
このため、たとえば上の図1の問題では、物体Bが(物体Aからの)エネルギー
の多くを奪い取ってしまい、物体Cは僅かなエネルギーしか受け取れないことに
なるわけです。

さて、条件の差となるのは、距離の差だけではありません。

第一章で指摘したように、まず、『作用を受けるもの』の質量の差というのがあ
ります。

[図1’]
        B’
        o
   ○
   A’   ○
        C’

たとえば、上の図1’は、物体B’が物体C’よりも質量が小さい場合です。
受ける作用の強さが同じでも、質量が小さい(大きい)方が、仕事をされやすく
(づらく)、故に、エネルギーを受け取りやすく(にくく)なります。
このため、物体B’がエネルギーを沢山受け取り、その分、物体C’が受け取る
エネルギーは少なくなってしまうのです。

また、この他に、『作用を受けるもの』に働く拘束力の差というのがあります。
たとえば、下の図1”は、物体B”には拘束力がなく、物体C”には拘束力があ
る(を受けている)場合です。

[図1”]
        B”
        ○
   ○    ┬
   A”  ├○┤
        ┴
        C”

拘束力があると、物体Aから作用を受けても、仕事をされづらくなり、それ故、
エネルギーを受け取りにくくなります。
このため、物体B”がエネルギーを沢山受け取り、その分、物体C”が受け取る
エネルギーは少なくなってしまうのです。

いずれにせよ、条件の僅かな差により、受け取るエネルギーに大きな差が出てし
まうのです。

****************************************
57.エネルギーの集中
****************************************

さて、そのことが理解できたところで、今度は、作用を受けるもの、すなわち、
エネルギーを受け取るものの数がもっと多い場合を考えてみましょう。
下図を見て下さい。

[図4]                    
              ○C

              ○D
   ○    ○
   A    B     ○E

              ○F

これは、作用を受ける物体が五つ(B、C、D、E、F)の例です。
物体Bだけが、他にくらべて物体Aの近くにありますね。
このことから、物体Bがエネルギーを沢山受け取り、他の四つの物体は少しのエ
ネルギーしか受け取れないことがわかるでしょう。

ならば、これが、下図のように、距離の差がさらにひどくなったら、どうでしょ
うか?

[図4’]                    
                          ○C

                          ○D
   ○ ○
   A B                     ○E

                          ○F

物体Bだけが極端に近い位置にありますね。
このため、物体Bがエネルギーのほとんど全部を受け取り、他の四つの物体が受
け取るエネルギーはほとんどゼロになってしまうでしょう。

すると、これは、まさに、物体Bだけがエネルギーを受け取った現象のように見
えるでしょう。
そして、それはまた、物体Bだけが作用を受けた現象のように見えるでしょう。
それは、まるで、何か『粒子』のようなものが衝突したかのようです。

****************************************
58.光の粒子性と波動性の正体
****************************************

そう言われると、何かを思い出すでしょう。
そう、光の粒子です。
実は、これが、従来、『光の粒子性』を示すものとされてきた現象の正体なので
す。
『光の粒子性』とは、エネルギーの偏在、すなわち、不平等極まるエネルギーの
配分のことだったのです。
別の言葉で言えば、「寡占」、「独占」といったところでしょうか。
また、一つだけが飛び抜けて大きなエネルギーを得ることから、エネルギーの分
布が不連続になることでもあります。

ならば、『光の波動性』とは何でしょうか?
それは、もうおわかりのように、エネルギーが集中・偏在するのではなく、広く
拡散するように配分される場合です。
この場合、エネルギーの分布は連続的なものになります。

以上をまとめると、次のようになります。
エネルギーが一カ所に集中して配分される(偏在する)現象が、『光の粒子性』
とされてきた現象の正体です。
そして、エネルギーが広い範囲に拡散し連続的な分布で配分される現象が、『光
の波動性』とされてきた現象の正体です。

このように、動的な電磁気現象、すなわち誘導によって生じる電磁気作用では、
条件次第で、エネルギーが一カ所に集中(偏在)したり、広い範囲に拡散したり
するのです。
しかも、そうした違いが、とても敏感に、極端に現れるのです。
このおかげで、『光の波動性』だけでなく、『光の粒子性』も説明できてしまう
のです。
つまり、『光(電磁波)』は、実は『波』でも『粒子』でもなかったのです。

一方、動的な電磁気現象を正しく説明できるのは、既に何度も述べたように、遠
隔作用だけです。
遠隔作用の理論である仮想力線電磁気学が、なぜ、光量子という概念を必要とし
ないか、これでおわかりいただけたと思います。

****************************************
59.不平等こそ自然の摂理
****************************************

ここで、どうしても認識を改めなければならないことがあります。
それは、『不平等(になること)こそ、自然の摂理である』ということです。
残酷なようですが、これが自然界、物質の世界の現実なのです。

お金だって、そうですよね。
放っておくと、どんどん貧富の差がひどくなっていきます。

ちなみに、カール・ハインリッヒ・マルクス(1818〜83)は、そうして生じる資
本の偏在により、資本主義(自由主義)経済はいずれ破綻するだろうという問題
提起をしました。
そして、それを防ぐために、私有財産を禁止し、平等な資本配分を行うべきだと
いう解決方法を説きました。
これが、いわゆる「マルクス主義」の超初歩的(?)概念です。

もっとも、彼の解決方法は、残念ながら現実世界ではうまいかないことが歴史に
より証明されてしまいました。
しかし、問題提起の方は、今でも十分意義があると思います。

いずれにせよ、ここで理解しなければならないのは、

 1.不平等になるのが、自然の摂理

 2.平等になる(不平等が解消・軽減される)のは、人為のおかげ

ということです。
遠隔作用を理解する上で、これは極めて重要なことなのです。

****************************************
60.思考を邪魔する犯人は?
****************************************

しかし、こんなことを言うと、こう反論する人が現れることでしょう。

「それは、エントロピーの法則に反している。エントロピーが増大するように、
つまり、乱雑さが増すように、一様(→平等)になるように、エネルギーは配分
されるものなのだ。」と。

残念ながら、こういう主張は、エントロピーの法則の誤用の産物です。
上で述べたことは、エントロピーの法則に、何ら反しないのです。

と言われると、「ええっ?、どうして?」と疑問に思われる方も少なくないかも
しれません。
実は、ここに極めて重要な問題が隠されているのです。
つまり、正しい思考の邪魔をしているものが、皆さんの頭の中に居座っていると
いうことです。
では、それは一体、何でしょうか?

それは、本来、集中・偏在するはずのエネルギーを、広い範囲に拡散させてしま
うものです。
それはまた、第81回で指摘した、マックスウェル電磁気学で、重ね合わせを可
能にする根拠となるものです。(☆お待たせしました☆)

次回は、いよいよ、その正体が明らかになります。
どうぞ、お楽しみに。

========================================================================

 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp
 配信  : MailuX http://www.mailux.com/

 バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。
  http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm
 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。

========================================================================

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。