メルマガ:仮想力線電磁気学
タイトル:仮想力線電磁気学  2004/11/14


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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第74回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その4)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

今回から、遠隔作用の特徴について解説します。
第1章と重複するところがありますが、重要な部分ですので、復習を兼ねてお読
み下さい。

なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

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14.相手は無数
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近接作用では、接しているものとしか作用を及ぼし合いません。
ですから、接しているものだけを考察の対象にすればよいのです。

これに対し、遠隔作用では、接していないものとも作用を及ぼし合います。
おまけに、電磁気作用が及ぶ到達範囲は、無限大です。
それ故、厳密には、全空間の全物質を考察の対象にしなければなりません。

こうしたことから、遠隔作用では、(見た目は)単純な二体問題でも、実際には
複雑な多体問題になってしまうのです。
つまり、一方の物体が関係をもつ相手は、もう一方の物体だけではないのです。
これは言い換えれば、一つの物体が関係をもつ相手の数は無数である、というこ
とになります。

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15.イメージの限界
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以上のような特徴から、遠隔作用では、そのもとのイメージからは想像できない
ような現象が起こります。
たとえば、疑似近接作用がそうです。
これなどは、遠隔作用のイメージとはまるっきり逆のイメージの現象です。
残念ながら、遠隔作用を、感覚的に、単純なイメージでとらえようとすると、こ
うしたことが全く見えてきません。

このように、物事を、感覚的に、単純なイメージでとらえようとすると、正しい
理解や判断ができなくなります。

そういえば、第70回(〜第72回)で問題点を指摘した『氷摩擦説』が盲信されて
きたのも、雷(の発生)というものを、感覚的に、単純なイメージでとらえよう
とする風潮があるからだろうと思われます。
困ったことに、多くのマスメディアは、そうした風潮を煽り立てている傾向があ
ります。

遠隔作用に限らず、物事を正しく理解するためには、そうした風潮から脱却しな
ければなりません。

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16.誤った単純化
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さて、すでに述べたように、遠隔作用では、関係をもつ相手の数は無数となりま
す。
ところが、主流科学では、こうしたことが大いに嫌われます。
「関係をもつ相手の数は、一つでなければなければならない!」
これが、主流科学の流儀なのです。

確かに、この世に物体(を構成する素粒子)が二つしかないのなら、それでよい
でしょう。
しかし、現実には無数の物体が存在するわけですから、こんな流儀は到底受け入
れられません。

もちろん、自分が注目している二つの物体以外の物体の関与が、無視できるほど
小さいのなら、こうした流儀は近似的には正しいと言えます。
しかしながら、無視できるほど小さくない場合は、この流儀では、事実と矛盾す
る理論的結論を導くことになるだけです。(そして、それを克服するために、奇
妙な仮説がでっち上げられるわけです。)

相手の数が無数であるよりも、一つである方が、単純であることは事実です。
また、単純化は、科学においてよく行われることです。
しかし、だからといって、誤った単純化は科学とは言えません。

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17.一対一思想
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それでは、なぜ、主流科学では、相手の数を一つとしたがるのでしょうか?

相手の数を一つとするということは、注目する対象を二者に限定するということ
です。
つまり、注目する二者以外のものは、全て無視する、ということです。
当メルマガでは、こうしたやり方を尊ぶ思想を、『一対一思想』と呼ぶことにし
ます。

実を言うと、この『一対一思想』というものは、西洋はもちろん、日本でもお馴
染みの思想なのです。
と言いますか、あまりにも馴染み深いものなので、今更、改めて『思想』などと
言うほどのことではない(だから言わない)、というのが実情なのです。

『一対一思想』の実例を挙げると、たとえば、

  1.神と悪魔
  2.神と選ばれし人間(聖書などではお馴染みのパターン)
  3.アーリア人とユダヤ人(ドイツを躓かせたヒトラーの効果的な演説)
  4.彼氏と彼女(いわゆる恋愛モノの世界)
  5.球技などのスポーツ(『巨人vs阪神』戦とか…)
  6.決闘(西洋の伝統!?)
  7.二大政党制(英、米、など)
  8.デュエット(他者は伴奏にすぎない)
  9.ケータイ電話(周りの人のことは考えず…)
  ………

というように、当たり前のように存在しており、ちっとも珍しいものではないの
です。
ですから、思想というよりは、むしろ、文化、風俗、精神…とでも言うべきなの
かもしれません。

このように、相手を一つにしぼり、注目する対象を二者に限定し、他を無視する
やり方は、その単純さゆえに、非常に好まれるのです。
それ故、こうした思想が、科学の中にも無意識のうちに持ち込まれるわけです。

しかしながら、現実世界では『一対一』というのは、希です。
ですから、『一対一思想』に固執すれば、現実世界から乖離してしまうことにな
ってしまうのです。

そういえば、『ゲームの理論』というのがあります。
これは学問的には随分と重要視されているそうですが、いかんせん『一対一』の
対戦をモデルとした理論であるため、実際にはほとんど役に立たないのだそうで
す。
それでも、この理論に人気があるのは、やはり、その背景に『一対一思想』があ
るからだろうと思われます。

実は、相対論も、この『一対一思想』に基づいた科学理論なのです。
そのために、二つの物体について考えているうちはいいのですが、第三者が登場
すると、矛盾が露呈することがあります。
たとえば、第32回の『32.シートを凹ませているのは誰?』の最後の部分で述べ
た問題がそうです。
第三者(物体C)から見ると、二つの物体(AとB)は、それぞれ自分が生じさ
せたシートの凹みの中に埋もれてしまって、身動きがとれず、引かれ合わないこ
とになる(∴物体Aと物体Bの間には重力が存在しないことになる)のでした。
(→ http://tarkun2828.hp.infoseek.co.jp/mm/bk/32.htm )
それでも、科学者たちの『一対一思想』への執着心がある限り、こうした矛盾点
が指摘されることはないのです。

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18.誤解されるニュートン力学
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こうしてみると、『一対一思想』が科学に多大な弊害をもたらす思想であること
がおわかりいただけると思います。
それはそうと、『一対一思想』が科学者たちに好まれるのは、単純さのほかに、
ニュートン力学に対する誤解があるように思われます。

たとえば、万有引力の法則(スカラー表記)を見ると、

 F = - G・( ( M・m ) / ( r^2 ) )

というように、その対象が二物体に限定されています。
つまり、相手は一つです。
これが、数式偏愛者の科学者たちを『一対一思想』支持に走らせる要因になって
いるように思われます。

しかしながら、ニュートンの万有引力の法則は、決して「相手は一つだけ」とい
うことを示すものではありません。
あくまで、「こちらの物体は、あちらの物体から、こういう重力を受ける」とい
うことを示しているだけなのです。
ですから、『一対一思想』を支持するものではないのです。

数式の形から、おかしな思想、教義、原理等を生み出すことは、近代以降の理論
物理学者たちの十八番のようです。

とにかく、ニュートン力学を正しく理解していれば、『一対一思想』や、それに
基づく科学理論に惑わされることはないでしょう。

そもそも、『一対一思想』は、クーロンの法則により、とっくに否定されている
のです。
たとえば電気力の式(スカラー表記)を見ると、

 F = - ( qa・qb ) / ( 4・π・ε・( r^2 ) )

というように、誘電率εが入っています。
これは、qaとqb以外のものが関与している証拠です。
もし、『一対一思想』が正しいのなら、電気力の式は、

 F = - ( qa・qb ) / ( 4・π・( r^2 ) )  [誤]

となるはずです。
また、そういう式にはならないからこそ、電界Eや磁界Hという概念とは別に、
電束Dとか磁束密度Bといった(第三者の影響を打ち消した=考えない)概念が
存在することになるのです。( D = ε・E , B = μ・H )

このように、事実に目を向ければ、『一対一思想』が誤りであることがわかるの
です。
『一対一思想』を捨て、相手の数が無数であるという事実に気付けば、遠隔作用
の意外な特徴が見えてくるようになります。

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 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp
 配信  : MailuX http://www.mailux.com/

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