メルマガ:仮想力線電磁気学
タイトル:仮想力線電磁気学  2004/07/04


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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第55回 第3章・力線の理論(その23)

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引き続き、ローレンツ力に関連する話として、惑星の地磁気と自転に関する話を
します。
絵文字の図があるので、等幅フォントで御覧下さい。

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63.比較的大型の惑星の場合
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今回と次回は、外惑星に多い比較的大型の惑星の場合について説明します。

前回まで取り上げた比較的小型の惑星は、岩石主体の惑星です。
このため、ローレンツ力(電磁気作用)の影響が本格的に現れ始めるのは、惑星
が形成されてから、となります。

これに対して、比較的大型の惑星は、ガス主体の惑星です。
ガスには、プラズマが含まれます。
このため、惑星が形成されている最中から、ローレンツ力(電磁気作用)の影響
が現れることになります。

このような違いから、地磁気や自転が生じる課程にも異なる部分があるのです。

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64.自転の影響
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そこで、まず考えなければならないのが、自転の影響です。

小型の惑星であれ、大型の惑星であれ、自転していない状態で太陽の周りを(反
時計方向に)公転すれば、太陽磁場を横切ることによって、ローレンツ力が生じ
ます。

  \ │ /
   \│/ ↑     ☆ 太陽
  ──☆──o     o 惑星
   /│\
  / │ \      <天の北極側から見た図>

このローレンツ力により、惑星内の電子は、下図のように流れます。

     北

    / ̄\
 西←│ → │ 東    <太陽側から見た図>
    \_/

     南

これにより、惑星は反時計方向に自転し、北がS極、南はN極の地磁気が生じま
す。

それでは、惑星が(自転していない状態で)太陽磁場に対して静止している場合
は、どうなるでしょうか?

     北

    / ̄\
 西 │   │ 東    ◎または×(磁力線の向き)
    \_/

     南

惑星は、(太陽磁場の)磁力線を横切らないので、ローレンツ力は生じません。
それ故、地磁気も自転も生じません。

それでは、この状態で、惑星が反時計回りに自転すると、どうなるでしょうか?

上図において、惑星上にいる人は、惑星の自転によって、西から東へ移動するこ
とになります。

     北

    / ̄\
 西 │ ⇒ │ 東    ◎または×(磁力線の向き)
    \_/

     南

したがって、惑星上の人から見れば、磁力線は東から西へ運動しているように見
えることになります。
このことは、惑星自身にとっても同じことですから、磁力線の運動方向と同じ方
向にローレンツ力が働くことになります。

     北

    / ̄\
 西 │ ← │ 東
    \_/

     南

これは、反時計方向に公転することによって生じるローレンツ力と、向きが逆で
す。
そして、もし、この方向にローレンツ力が生じれば、惑星内の電子は時計方向に
流れることになります。
その結果、北がN極、南がS極の地磁気が発生することになるでしょう。
また、こうした電子の流れは、惑星を時計方向に自転させようとするでしょう。

このように、同じ方向(上の実例では反時計方向)への回転運動でも、公転と自
転とでは、惑星側から見た磁力線の運動方向が逆になるため、生じるローレンツ
力の向きは逆になるのです。

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65.平衡
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ここで、惑星上(昼側)から見た(太陽磁場の)磁力線の相対運動の方向を整理
してみましょう。
同じ反時計回りの場合、公転では『西から東』、自転では『東から西』になりま
す。

したがって、惑星が自転を始めると、初めは公転によって『西から東』に運動し
ていた磁力線の相対速度は遅くなってきます。
そして、自転の角速度が上がれば上がるほど、磁力線の相対速度は遅くなってい
き、ついにはゼロになります。

一方、公転によって生じるローレンツ力の大きさは、磁力線の相対速度に依存し
ます。
磁力線の相対速度がゼロになれば、ローレンツ力も生じなくなります。
このため、自転を加速する作用はなくなり、一定となるわけです。
(ただし、抵抗などによるエネルギーの損失があるため、ローレンツ力はゼロ
  にはなりません。もう少し正確に言うと、磁力線の相対速度がゼロになる前
 に、自転の加速は止まります。このため、電子が流れ続け、地磁気が存在す
 ることになります。)

こうしたことは、第52回に述べた『誘導型モーター』のことを考えるとわかり
やすいと思います。
ローターは、回転磁界を追いかけるように回転しますが、決して回転磁界よりも
速く回転するまでに加速することはありません。

同じ第52回の『57.誘導型モーター』の原理の説明で示した『磁石と銅板の実
験』で言えば、磁石を動かすと、銅板は磁石を追いかけるように運動しますが、
磁石を追い越すほどには加速しないのです。

惑星の自転もこれらと同じで、ある角速度まで加速すると『平衡状態』となり、
それ以上は加速しないことになるのです。

比較的小型の惑星の場合、ローレンツ力の影響が本格的に現れ始めるのは、惑星
が形成されてからなので、こうした平衡状態で落ち着きます。
このため、前回までに説明したように、自転は反時計方向、地磁気は北がS極、
南がN極となります。

ところが、比較的大型の惑星の場合は、惑星が形成される途中の段階でローレン
ツ力の作用が現れ始めるので、こうした平衡状態には落ち着きません。
『自転による影響』が強まり、磁力線の運動方向が逆転します。(東から西)
このため、地磁気の極性が逆転します。

次回は、このことについて、より詳しく説明します。

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 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp
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