メルマガ:ロジスティクス思考的経営話(物流話)
タイトル:■ロジスティクス思考的経営話(物流話)0070■生鮮品の流通[問題解決編]/最新物流NEW  2004/02/25


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――― THE BEST LOGISTICS MAIL MAGAZINE <Vol.70 2004/02/25> ――
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■■■■ ロジスティクス思考的経営話(物流話)0070 ■■■■
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   発行者:株式会社イー・ロジット http://www.e-logit.com/?70
     監 修:CEO 角 井 亮 一 magazine@e-logit.com
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 読者の皆様こんにちは!前回の「〜生鮮品の流通[問題発生編]〜」
 ではたくさんのご感想をいただき、どうもありがとうございました。
 今回の物流話は、[問題解決編]をお届け致します。
 予定外の作業が連続する生鮮品の流通−−果たしてどのような解決
 策があるのでしょうか?それでは70号のはじまりです。

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 □                            □
 □1.今週の物流ヘッドラインNEWS           □
 □                            □
 □2.今回の物流話 「業界の物流に学ぶ【4】」      □
 □   〜生鮮品の流通[問題解決編]〜 /大塚 真太郎  □
 □                            □
 □3.編集後記                      □
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│ □■1.今週の物流ヘッドラインNEWS
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◇= ニュースの詳細 =◇
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◇= 今週の注目物流NEWS =◇
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●首都圏店舗対象に物流体制を刷新
   /6月から指定納品代行制度導入へ 三越
●酒類・食品卸5社と共同出資会社
   /物流・情報インフラ共同化へ 三菱商事
●取引高首位企業の企業に対する売り上げ依存度
   /7割以上が10%超 公取委
●2010年メドに全自社車両を低公害車化 松下ロジ
●関東〜九州間をモーダルシフト化 来年2月まで実証実験
   /ブリヂストン
●良品計画専用物流施設 プロロジス
●トラック運送景況感 2期連続で改善 全ト協
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        ≪記事提供:物流経済新聞社「ロジクロ」≫
         http://www.e-logit.com/logichro/logichro.htm?70
          お問い合わせはコチラ→ info@logi.jp

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│ □■2.今回の物流話
│      業界の物流に学ぶ【4】
│       〜生鮮品の流通[問題解決編]〜/大塚 真太郎
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◆前回

前回のお話は以下のような内容でした。

1.生鮮食品の市場外流通が増加している
2.それにより物流面では小口配送化と流通加工の川上シフトが起こる
3.商流面では産地出荷段階で作物が「商品」化する
4.但し、産出量や品質をコントロールできないジレンマがあるため、
  予定外に発生する差異の修正・調整作業が大変である

◆解決策:地道な活動とルール決め

今回のタイトルが問題解決編となっているので恐縮なのですが、実は特
別な解決策は用意していません。食品に限定されることではありません
が、<検品精度の向上>という「地道な活動」の「正確な遂行」が最も
重要であると思います。それに加えて、これも特別なことではありませ
んが、<調整ルールの確立><情報の共有><生産者側の意識変革>が
必要と考えます。

【1】検品精度の向上

まず「どんな差異が発生したか正確に把握すること」が必須でありスタ
ート地点です。天候条件に起因する数量不足など、生産者側で元々わか
っている差異もあれば、産地では受注通り良品を出荷したはずだが、荷
受側では箱を開けたら一部の品質が劣化していた、といった購買者側で
初めて判明する差異もあるでしょう。

生産者側では、出荷検品の正確な実施と報告、購買者側も入荷検品の正
確な実施と報告がキーになります。数量が多いと、細かく把握すること
は大変なのでドンブリ勘定になりがちですが、そこを我慢して発注情報
と入荷実績(生産者側では受注情報と出荷実績)とをきちんと照合し、
差異があったらそれを正確に記録することが重要です。

そもそも食品ですから当然なのですが、検品作業は人手や手間がかかっ
てもきっちり行うべき作業です。

【2】調整ルールの確立

把握されるさまざまな差異に対して、生産者側と購買者側との調整ルー
ルが確立されていることが不可欠です。

例えば、以下のようなものがあります。
1.数量不足については、キャンセルとするのか、納期遅れや代品出荷
  を認めるのか
2.品質・規格の基準をどこにおくか、品質劣化や規格違いはどの範囲
  まで許容するか
3.取引価格はどのように修正するか
4.輸送中や流通加工時の品質劣化など流通過程での差異発生について
  は責任範囲をどう分担するか

項目によっては簡単には合意されないものもあると推測されますが、こ
れを明確化しておかないと種々の問題が解決されず、先に進みません。

実はこれら差異の調整こそ、市場経由の取引ではまさに「市場の機能」
として、自然に決められていたことでした。市場を通さない取引になる
と、このような当該関係者間での調整ルールがその代替機能を果たすこ
とになります。

【3】情報の共有

差異の報告のみでなく、作物の生育状況や収穫予定などの情報を生産者
側と購買者側とで常に共有できる仕組みを構築します。収穫の変動は避
けられませんが、変動に対して柔軟に調整するためには、なるべく事前
に状況把握しておくことが有効です。

逆に購買者側からは、消費者の細かなニーズを集約して開示するなどの
情報提供によって、生産者側のメリットにつなげます。お互い有益な情
報を共有し、双方で利益を享受できることが新たな流通の仕組みを活性
化するための早道になると思います。

【4】生産者側の意識変革

従来とは異なる考え方を最も求められるのは生産者側ではないかと思い
ます。品質管理や出荷検品作業の精度をより高めていくことも必要です
が、土壌や農薬散布状況を細かく管理して開示する、といった要求も高
まっています。上記の情報共有とも重複しますが、さまざまな差異の発
生は購買者側に能動的に報告する、といったこともその後の調整負担の
軽減につながります。

どんな作物であれ、生産者の日々の努力の結晶であることに代わりはあ
りませんが、消費者ニーズを念頭において「商品」を販売していく、と
いう意識が従来以上に求められていて、そのちょっとした意識の変化が
新たな付加価値の提供、需要の喚起などにも寄与するのではないかと考
えます。

◆誰が主導するか

さて、上記のような作業精度向上やルール決め、情報共有は、主に商社
や卸・小売など流通側が主導で行うケースが多いでしょう。もちろん生
産者・生産団体が主導しても良いですし、これまで輸送に特化していた
物流業者が行うことも可能です。特に物流業者は、生産者と購買者の双
方と接点があり、また実際に現物を手にしているわけですから、新たな
付加価値を発揮できる余地がここにあると思います。

◆重要な点:コストの問題

但し、まだ重要な点が残っています。留意すべきは上記のような対応を
行うことはコスト増加要因となることです。

情報の共有には情報システムへの投資も必要でしょう。今後バーコード
やICタグ導入の進展も望まれるとはいえ、食品という商品の特性上、流
通加工や検品作業は労働集約的な部分が残ります。人件費も大きくは減
らないか、精度を高めようとすればむしろ増加する可能性もあります。

このコストを誰が負担するかが頭の痛い問題です。商品価格に転嫁でき
れば問題ありませんがそれもなるべく回避したいですし、何よりコスト
の増加自体を抑制することが皆の願いです。

これまで述べてきました通り、生鮮品の市場外流通の仕組み構築は容易
なことではありませんが、それが到達点ではなく、新鮮、安全、安心、
短納期、必要な量だけ、といった消費者にとってのプラス要素以上にコ
ストというマイナス要素が加わらないようにすることが、本当の知恵の
絞りどころだと思います。

◆そして感想

食品の流通にはたくさんの手間がかかっています。衛生管理、鮮度管理
(温度管理)、賞味期限管理などは食品に特徴的なことですし、他の工業
製品と比較しても相当に厳密な管理が必要ですが、食品流通に携わる企
業は当然のようにこなしています。最近は生産履歴管理のニーズ(トレ
ーサビリティの仕組み構築のニーズ)が高まっていて、更に新たなハー
ドルが加わっています。

そして生鮮品となると、予測できない変動に対する柔軟な対応がまた更
に必要となりますが、その流通に携わる方々の底力は他業界にはマネで
きないものがある、というのが私の率直な感想です。なにしろコントロ
ール不可能な自然を相手にし、また一方で厳しい目を持った(最近特に
厳しくなりつつある)日本の消費者を相手にしているわけですから。


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│ □■3.編集後記
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◆ 2週にわたってお送りした「生鮮品の流通」、いかがでしたでしょ
  うか?以前田舎暮らしをしていた際に、家庭菜園を楽しんでいたこ
  とがあります。趣味の範囲での作物作りですが、農薬もいっさい使
  用せず丹精を込めて作ったものは、どれをとっても太陽の味がしま
  した。ただし、それこそ予想外の連続です。形は不揃い、色が悪い、
  雪が降れば全滅です。

◇ 形が不揃いと言えば、スーパーの店頭にはほとんど不揃いな野菜は
  並びません。これは日本人が見た目を非常に気にするため、売れに
  くいという理由もありますが、思いのほか物流費がかかってしまう
  といった理由もあります。きれいな形ならば箱に収まりますが、不
  揃いな場合はそれだけ容積が増え、物流費もかさみます。
  購入者が求める、安全・安心・安価−−−。永遠のテーマですね。
  それでは次号もお楽しみに。
  

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