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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ――― THE BEST LOGISTICS MAIL MAGAZINE <Vol.69 2004/02/18> ―― ■■■ ……………………………………………………………… ■■■ ■■■■ ロジスティクス思考的経営話(物流話)0069 ■■■■ ■■■ …………………………………………………… ■■■ 発行者:株式会社イー・ロジット http://www.e-logit.com/?69 監 修:CEO 角 井 亮 一 magazine@e-logit.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 読者の皆様、こんにちは!九州では春一番、北海道では流氷の接岸 がニュースとなっている今日この頃、いかがお過ごしでしょうか? 先日駅貼りポスターに、スキー場の積雪情報と、梅の花開花情報が 並んでいました。終わりゆく冬と迫りくる春、季節の変わり目は、 体調を崩しやすいので、皆様お気をつけ下さい。 それでは69号のはじまりです。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓・・・・・・・・・・・ ┃新入社員に!『よくわかるIT物流』┃ 日本実業出版社 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ≪税別1,500円≫ 物流初心者からエキスパートまで、必携の物流入門書! 多くの企業で研修テキストとして使用されています。新人研修にどうぞ。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534032269/elogitwebsite-22 ・・・・・・・・・・・・ http://www.e-logit.com/itlogistics/?69 ━━ [ INDEX ] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ □ □1.今週の物流ヘッドラインNEWS □ □ □ □2.今回の物流話 「業界の物流に学ぶ【4】」 □ □ 〜生鮮品の流通[問題発生編]〜 /大塚 真太郎 □ □ □ □3.編集後記 □ □ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┌─────────────────────────────── │ □■1.今週の物流ヘッドラインNEWS └─────────────────────────────── ◇= ニュースの詳細 =◇ └→ http://www.e-logit.com/logichro/?69 ◇= 今週の注目物流NEWS =◇ ●川商倉庫の営業倉庫譲渡/川鉄商事 ●医療の物流拠点建設へ/クラヤ三星堂/埼玉に2万7千m2 ●物流センター大阪に完成へ/アズワン ●ベリングポイント/企業のIT基盤構築/日本BEAと協業 ●倉庫管理で新機能追加/オラクル ●基幹システム停止/防止の体制確立/バイク急便 ●トランクルーム4月から開始/東急不動産 └→ http://www.e-logit.com/logichro/?69 ≪記事提供:物流経済新聞社「ロジクロ」≫ http://www.e-logit.com/logichro/logichro.htm?69 お問い合わせはコチラ→ info@logi.jp ┌─────────────────────────────── │ □■2.今回の物流話 │ 業界の物流に学ぶ【4】 │ 〜生鮮品の流通[問題発生編]〜/大塚 真太郎 └─────────────────────────────── 私はコンサルティングを担当していますが、食品の流通に携わる方々と お話をする機会が多くあります。今回は生鮮食品の流通について述べた いと思います。 ◆前段 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「発注した商品と現物が異なる」「数量が足りない」「商品は合ってい るが、サイズや色が違う」 これは対面販売ではない取引においては、一般的に起こりうることです。 当然ながらクレームの対象です。ところが自然環境で収穫される生鮮食 品の場合では、それは天候条件等によるので仕方がない場合も多々あり ます。 しかしクレームが無い(少ない)代わりに、その裏では面倒な手間がたく さんかかっています。 ◆流通形態の多様化 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 近年、野菜・果物など青果の流通では卸売市場を通さない「市場外流通」 での取引が増えています。 例えば、スーパーなど小売店では、農家と直接契約して仕入れた「生産 者の顔が見える」青果が文字通り生産者の顔写真付きで並んでいます。 「有機栽培」「無農薬」といったフレーズも目にすることでしょう。 また、地方の特産物を産地直送で販売する(購入する)ケースも増えて います。広告、カタログ、チラシなどではおいしそうな写真が目に飛び 込んできます。自分で購入して消費するだけでなく、ギフトとして贈る ということも普通になっています。 これらの食品は卸売市場を通さず、生産地から小売業へ、あるいは個人 宅へ直接送られています。 ◆物流面・商流面での変化 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− さて今回のお話は、このような流通形態の多様化による物流面・商流面 での変化とその対応です。 【物流面】小口配送化と流通加工の川上シフト |卸売市場を通す場合、産地からの出荷は比較的大きなロットで、かつ |出荷先も単一か少数です。しかし、市場外流通では、契約先の小売店 |舗や物流センターへの配送、また個人宅への直送など、ロットは大幅 |に小口化し、配送先も多数になります。それだけ配送業務の手間は増 |加します。 | |増加するのは配送だけではありません。形やサイズの異なる品物を選 |別し、小分けし、袋に入れ、箱に入れ、シールを貼って、などの流通 |加工作業が増加します。しかも生鮮食品ですので、短時間で迅速に、 |傷まないように、かつ衛生基準を守り、といった制約があり通常商品 |の流通加工よりずっと大変な作業となります。 | |上記のような流通加工は、市場経由の流通では仲卸業者や加工業者、 |あるいは小売店舗など川下で行われてきました。これが市場外流通で |は産地や一次流通業者など、より川上にシフトしてきます。また物流 |業者も、単に品物を運ぶだけでなく、選別や小分けなどの流通加工機 |能を請け負うようになってきています。 【商流面】産地出荷段階での「商品」化 |商流も複雑化します。卸売市場を介した取引では、生産者(出荷団体) |と仲卸業者・売買参加者との間に「発注」「納品」といった概念はあ |りません。収穫された生産物は、産地から出荷される時点では販売価 |格も販売数量も未定であり、まだ売買対象の「商品」ではありません。 | |これが、市場を経由しない契約売買や産直になると、生産者からみれ |ば「受注」「出荷」「売掛計上」「請求」などの項目が発生し、購買 |側からも「発注」「入荷」「検品」「買掛計上」「支払」などが発生 |します。 | |つまり通常の工業製品等のように「商品」として取り扱われることに |なります。生産者と流通業者との間で、あるいは生産者と消費者との |間で新たな「商流」が生まれます。 ◆産出量や品質をコントロールできないジレンマ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− さて、ここで生鮮品が商品として取り扱われることによる問題点が出て きます。 工業製品であれば、生産計画を立て、必要な原材料を調達し、歩留も考 慮して生産ラインに投入し、計画した数量を、基準を満たした品質で生 産します。つまり産出数量はコントロールできて当然です。 ところが生鮮品は、ハウス栽培などは別ですが、通常は自然環境の中で 収穫されるので、気候条件により産出量が変動します。「産出量をコン トロールできない」ことが特徴です。気候条件には、昨年の冷夏のよう な年間ベースでの気象変化と、台風などによるピンポイントでの天候変 化の双方があります。事前に予測できれば影響を軽減する対策は採れま すが、いずれにせよその発生を防ぐことはできません。 例えば市場外流通ではこんなケースがあるでしょう。 「ある流通業者が、りんご農家に品種Aのりんご、Lサイズを500個、 10月中旬納入として発注(契約)した。ところが天候不順だったために、 農家では数量が400個しか獲れず、しかもそのうち100個は品種Aの代わ りに品種Bで出荷することにした。サイズもLではなくMしか獲れず、 また収穫時期がずれて納入は2週間遅れた。」 そして購買側ではこんな作業が発生します。 「足りない数量については注文をキャンセルした。代わりの品種Bに対 しては別の単価で事後発注した。サイズが小さくなったので、品種Aの 仕入単価を値引きした。発行済みの伝票類には訂正処理した。納期が遅 れたので倉庫への入荷予定や作業指示も変更した。小売への納入時期も 変更の手配をとった。」 ◆商品流通の観点で言い換えると −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− これを一般的に商品流通で使う言葉で言い換えるとこうなります。 1.発注数と実際の入荷数の差異 2.商品の品質・規格の差異(劣化) 3.別の商品での代納 4.納期の遅延 そしてこんな処理が発生しました。 1.発注キャンセル 2.事後発注 3.値引き対応 4.伝票訂正処理 5.作業指示変更 また決済関連では、 6.(事前入金があれば)返金処理 などもあるでしょう。 これらは全て「予定外に発生した差異の修正・調整」作業です。これを 品目別、品種別、発注ロット別、生産者(生産団体)別などでそれぞれ 処理する必要が出てきます。大変ですね。いわゆる「フルフィルメント」 の部分に大きな作業負担がかかってきます。工業製品の流通では、あま り起こらないであろうことも、自然を相手にした生鮮商品の流通では日 常茶飯になります。 ◆ではどのような対応が必要か・・・ 少々長くなりましたので、[問題発生編]はここまで。 続きは次回の[問題解決編]でお届け致します。 よくわかる★物流専門用語集を作りました/リンクフリー ─┬────────────────────────── └─→ http://www.e-logit.com/words/?69 ┌─────────────────────────────── │ □■3.編集後記 └─────────────────────────────── ◆ 巷を騒がせているBSE(狂牛病)や、鳥インフルエンザ問題。 最近、食の安全性について考え始めると、いったい何を口にすれば 良いのか、わからなくなってしまいます。 今回取り上げた「市場外流通」へのシフトも、こんな時代が反映さ れての影響では無いでしょうか。 次回問題解決編は、2月の最終週に配信予定です。皆様お楽しみに。 ◇ さて、67号で終了した「外国語なんて怖くない!一言レッスン」。 今号より新しい企画をお送りする予定でしたが、もう少し時間がか かりそうです。今まで楽しみだったのに・・・と、残念メールを下 さった皆様申し訳ありません。4月に向けてリニューアルを考えて おりますので、もう少しお待ち下さい。 これからも「物流話」よろしくお願い致します。 ●「ロジスティクス思考的経営話」メルマガ配信希望はこちらから● ─┬───────────────────────────── └─→ http://www.e-logit.com/mailmagazine/?69 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 発行者e-LogiTのWEBサイトは! 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