メルマガ:運ちゃんのひとりごと
タイトル:運ちゃんのひとりごと 9月5日号  2004/09/05


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                     運ちゃんのひとりごと

         2004/SEP/5TH  総購読者数 773名
    melma169回、magmag69回、melten94回、e-mag72回

         今日現在までの走行距離63,430km
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 皆さんこんにちは、あさやんです。
 アテネオリンピックも終わりましたね。
 金メダルが今までの大会で最も多かったそうです。
 私は特別忙しかったわけではありませんが、ほとんど見ることができません
でした。

 だけど、卓球の福原愛ちゃんには期待していました。
 私が期待したがために、決勝には進出できませんでした。
 昔からそうなのですが、私が応援するとその人は必ず負けるんですよ。
 昔話になりますが、私はプロ野球では大洋ホエールズ(今の横浜ベイスタ
ーズ)のファンでした。

 それでテレビを観戦して、応援しているとその試合は必ずといっていいほ
ど負けるんです。
 その都度、悔しがっていた記憶があります。
 その後、横浜ベイスターズが優勝した年がありましたが、そのときは私は
まったく応援していなかったのです。

 今回のオリンピックは、女性選手が大活躍しました。
 オリンピックも女性の時代なんでしょうか。
 今後、ますます女性主導で世の中が動いていくことになりましょう。
 日本の女性、万歳!
 
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【購読者からのメールから】

 さる7月18日に、NHKスペシャル「トラック・列島3万キロ 時間を追う男

ち」が放送されましたが、それについては購読者の方々からいろいろと私宛
にメールをいただいておりました。

福島の瀬戸さんからは、

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トラック3万キロを見ました。
あさやんさんも大型トラックなんですか。
厳しい環境のようですが、がんばってください。
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宮城のヒデタン男爵さんからは、

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ヒデタン男爵です。 ご無沙汰しています。

このたびの豪雨で福井県も大変だったようですが大丈夫だったのですか? 
お見舞い申し上げます。

メルマガはずっと拝見しております。
業界のことはもちろんですが、あさやんの博学さにいつも感服しております。

昨日(18日)、多分ご存知のことと思いますが、NHKスペッシャル「トラック
列島3万キロ」という番組がありました。

メルマガで ある程度長距離便のイメージは理解していたつもりですが、
荷主と運送業界の立場の格差、延着と制限スピードとの矛盾、ドライバー
のストレスなど改めて、長距離物流の大変さが分かりました。
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 などなど、他にもいろいろいただきました。
 荷物の積込場や荷おろし場でも、現場の人から聞かされたりもしました。
 今だから書きますが、私はそのNHKのディレクターさんから取材の要請を
受けまして、いろいろとこの業界のことについてはお話しすることができる
機会を設けていただきました。

 番組内で出ていたあの長崎県の運送会社、『T運送』という会社は、この
番組のおかげでかなり有名になりましたね。
 私もあの番組終了後、そこの会社のトラックを見つけたりして、運ちゃんに
サインでももらいにいこうかなどと馬鹿なことを考えたりもしました。

 私が感じた番組の感想としては、いままでこの会社では速度制限というも
のを社内では設定してなく、出せるだけ出して走っていた。
 それを今回のスピードリミッター装着規制により、90km/hに設定した。
 このことをとても強調しているように思えたが、以前からそれ以下の速度で
走るように命じられてきた私にしてみれば、なんだ今頃という感が強い。

 個人的な意見としてこの90km/hという速度は、常日頃速度というものを意
識して走行している運ちゃんであれば、それほど遅い速度ではないのだ。
 そりゃ、120km/hオーバーであたり前で走っていた運ちゃんにしてみれば、
止まっているようにも感じられるのかもしれないが、いままでが普通じゃなかっ
たんだということをぜひ感じてもらいたいのだ。

 番組内ではこの90km/hを80km/hにさらに落とすことも検討中だと言って
いたようだが、これはどういうことかというと、最近の物流業界の過当競争によ
り、荷主は安全で事故を起こさず、そのうえ迅速に荷物を運んでもらえるよう
な運送会社にシフトしようという動きがあるからなのだ。
 誰だって、頼んだ荷物を傷ものにして欲しくはないからだ。

 であるので、運送会社としてもうちは安心できる会社であるということをアピー
ルしなければならない。
 その筆頭となるのが、この速度の問題である。
 速度超過はやはり事故に直結するものなので、どこの運送会社もまずはこれ
を抑えていこうということで取り組んでいる。

 この『T運送』ではGPSによるデジタコを装着して、完全なる管理をしていた。
 まさに空から監視しているといった状態だ。
 私のトラックについているものは、それに比べればまだ記録機能しかないの
で、あとで事務所から呼び出しを食らって、

 『おい! 最近ちょっと出ているんじゃないのか?』

 とお咎めを食らうくらいなのである。
 こんなことは社内での問題であるからどうにでもなるのだが、問題は荷主と
運送会社との関係。
 仕事をとる時点で、うちの会社は社命速度80km/hを守りますと宣誓。
 この速度云々ということが、契約のなかに盛り込まれているということなのだ。

 だから速度違反をして運行しているということは、つまりは契約違反というこ
とになるのだ。
 これも番組内で採りあげていた。
 荷物の積み上がりが遅く、速度は厳しく制限され、しかも翌日の指定された
時間までに到着しなければならない。

 これはまさに、四面楚歌状態。
 眠ることが許されないのだ。
 むかしならば、これくらいの条件ならば運賃に色をつけて結構良い仕事で
あったのであろうが、今は違う。
 他に回しても良いのだが、できるのであればやってくださいと。

 でもこれは考え方を変えてみると、荷主側の勝手なエゴのようにも思える。
 こんな荷主があとを絶たないから、いつまでたってもかっとび運ちゃんが減
らないのだし、事故も減らないのである。
 みんな好きで飛ばしているわけでもないのであるから。
 誰だって昼寝もしたいし、悠々と食事をしたいのであるから。

 トラック事故撲滅は、荷主の協力も必要なのである。
 前日から出荷状況を把握しておけばいいのであるのだが、こう考えると今
度は荷主は取引先からのオーダーが遅いからだという。
 ぎりぎりまでオーダーを受け付けて、それで出荷作業をするところが最近は
非常に多い。

 出荷担当も時間に追われているのだが、こうなることでいちばんシワ寄せを
食らっているのが、我々運ちゃんなのである。
 一昔前ならば、運送中に破損した商品についてはお買い上げをすればよ
かったのが、いまではそれが許されずに徹底的に吊し上げられる。
 金で解決ができなくなっているのである。

 それもすべては、企業が余剰在庫を抱えないようにしようとして、きまった量
の商品しか買い入れなくなってきているからだ。
 在庫のタブつき=損 だからだ。
 どこの企業も厳しい経営を強いられているので、やむをえないのだろうか。
 効率化を図らなければ、競争に負けてしまうのである。

 締め付けが年々厳しくなり、報酬が年々下がっていく。
 これが運送業界の現状なのである。
 物流(運送)の自由化って、運ちゃんを苦しめるためのものであったのだろう
か。

 運賃が安くなる。
 それでも、運送会社がその運賃で運ぼうとする。
 こんな運賃でもできるのだと、荷主は更に運送会社に値下げを挑む。
 運送会社は断りきれずに、渋々その要求を呑む。
 こんな感じで荷主のペース。

 運送会社も値下げ要求を断ればどういうことになるのかわかっているから、
慎重に対応する。
 運送会社の設立が認可制から許可制に移行し、いまでは星の数ほどの運
送会社が存在している。

 トラックのキャビン横に書かれている運送会社名にも、聞いたこともないよう
な名前で書かれていたりして、いまのトラック業界の現状を肌で感じている。
 荷物を運んでいる者としてみれば、最近は風変わりな仕事をすることも多く
なった。

 なんでこんな安い仕事を請け負ったんだよと言いたくもなるようなものもあっ
たりして、それでもやらないよりはマシかという会社の判断なのか。
 運賃が安くても手のかからないような荷物であればそれはそれでいいので
あるが、問題はそこ。
 楽な仕事がいまどき、そうは転がってはいない。

 どこの運送会社もさじを投げるような仕事しか、簡単にとることはできないの
である。
 まともな仕事というのは、なにかしら火花を散らさなければとってこれない。
 どこの世界にも縄張りというものがある。
 元請けになれないのであれば、その元請けにぶら下がるしかない。

 これが庸車というものの考え方。
 楽ではあるが元請けに運賃ははねられるし、割り引かれた運賃の相当分だ
け責任もなくなるのかといえばそうでもない。
 実は案外、リスクの多い仕事なのかもしれないのだ。
 こんな感じで、けっしていまの運送会社の現状は甘くはない。

 この業界なくしてはいまの日本の繁栄はありえないのであるが、どうも最近
軽視されているように思えて仕方がない。
 運賃も需要と供給の関係で成り立つのだとすれば、いい加減運ちゃんが
我慢できるところまできているような気がするのだがどうなのだろうか。

 運ちゃんがいなくなってしまったり、ストライキでもおこされれば少しは考え
てくれるのかもしれないと考えたのは、いまはむかしなのである。
 やりにくくなりましたねぇ。

 それではまた、次回ということに。

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 【発行者】

 あさやん owner@asayan47.com

 サイト http://www.asayan47.com/unchan.html

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