メルマガ:THE WATCHER 女性が作る環境・行政監視新聞
タイトル:「樹木保全法」ザ・ウォッチャー第1号  2003/03/12


みなさま;
 各国からの情報を皆様と共有するために、時々こうしてウオッチャーニュースを流
します。

1.ごみ問題
 最近ある人と話して、世間ではまだまだ「焼却が一番安全」という誤解がはび
こっていることにショックを受けました。これをひっくり返すには、相当PRが必要で
す。
 「反焼却」をとにかくいろんなところでアピールしましょう。ホームページや封
筒、チラシやパンフに必ず「ごみ発電は環境汚染技術」、「焼却処理は地球温暖化を
招く」などの言葉を入れるとか。今、そのネタ本を作成中ですが、とにかく今年は
ターニングポイント年にする勢いで。他にいいアイデアがあれば教えて下さい。

2.次はちょっと毛色の変わったニュース。
 いつものMLに「公園の木が百本も伐られることになったの」という投稿がありまし
た。

 アーバリータムという名のイギリス初の公園に、東屋?を建てるという計画を市議
会がOKしたとのこと。代替案なぞまったくなし。議会の救いようのなさは洋の東西を
問わないようで。
 …ところがこの投稿にただちに 答えた人たちがいます。インドの環境保護(ごみ
問題)のメンバー。「木にとっては公園とは花を咲かせる一番安全なところのはずな
のに…とても心配です」で始まる答えは次のようなものでした。

         ==========

「そんな時、私たちがどう行動するかお知らせしましょう。私たち(インドで)は、
伐採のマークをつけられた木に、毎日毎日24時間、寝ずの番をつけるのです。近くに
住む人は日々の仕事を木の下で行い、ボランティアが順番で木に登り、そこで休みま
す。ある時は三人の母親が木に登り、担当者がとうとう伐採中止を決めるまで、三時
間も木の上にいました。
 私たちは裁判所に訴え、伐採中止の命令を求めました。一本の木は三分の二まで切
られた時、中止命令が届いたので、それ以上の伐採は止まりました。この木は道路の
真中にあって交通の邪魔になるというのが行政の言い分でしたが、その後、この強い
刈り込みのせいか、とても元気に育っています。

 私たちは樹木の伐採に反対し、立法を求めてロビー活動をしました。5年間の活動
ののち、1975年に成立したのが、マハラシュートラ樹木保全法です。この法律は
裁判所に救済を求める私たちの役に立っています。みなさんもがんばって下さい」

翌日、イギリスからインドへの返事
「いろいろ教えてくれてありがとう。私たちは昨日、夜までそこにいて伐採が急に行
われないよう注意してたわ。行政はこの公園の木々は死にかけているし、繁りすぎだ
というの。手入れが不十分だからそんな木もあるかもしれないけれど。でも、たくさ
んの人たちと話したけれど、木の代わりに大きな東屋が欲しいという人は一人もいな
かった。月曜には何人かが木に登ることにする! 署名も集めるし、月曜にはここで
写真展も開くことにしたわ!」

これに対してインドから実に冷静な返事
「樹木が死にかけているとか、取り除かなければいけないということは誰が決めるの
ですか? 伐採しようとする人たちではないでしょう? そういうことを決定するの
が行政職員だとしたら、だれも彼らを信じません。独立した専門家に頼んで、樹木に
どのような処置をほどこせばいいかを指示してもらうようにすることを強く勧めま
す」
        ========

 旧植民地から宗主国の住民に対するこのアドバイスは、「先進工業国」の以外な弱
さを示しているようで、学ぶところが多いと思いました。

山本節子

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