メルマガ:ちょっとだけHなお話し
タイトル:ちょっとだけHなお話し1  2003/03/20


あたしの家には鬼が住んでる。
ってゆーか、あたしの部屋に住んでる。
ってゆーかってゆーか、あたしにとり憑いてる。

あたしがニノミヤ(鬼の名前ね)の存在に気づいたのは去年の今頃
だった。
学校から帰ってきたら、部屋の真ん中のベッドの上に、えらそうに座ってた。
そんでびっくりしてるあたしに向かって
「よぉっ」
って言って片手を上げた。
頭に角が生えてる。確かに鬼だ。ボサボサのピアノ線みたいな長髪をベッドの上に散
らかして、見たことないような着物を着てた。
ちなみに、左前。

どーもニノミヤの話しによると、ヤツは昔っからこの土地に住んでたみたい。あたし
らからは想像つかないくらい、すっごい昔から。
何十年も前からしばらくここの土地には家が建ってなかったんだけど、あたしん家が
5年前に建ったんで、また家にとり憑いたらしい。
その5年前からこのニノミヤはいつもあたしの部屋にいて、あたしを見てたそーだ。
あたしが見えてなかっただけで、ニノミヤはずっと、ずーっと、ずーーーっと、あた
しを見てた。
それ聞いた時あたしは一人でいる時とか気ぃ抜いて、鼻ほじったりおならしたり、滝
沢くんの生写真にキスしたりしてるとこも見られてたのかとか脳裏に浮かんでちょっ
とヤツに殺意が浮かんだ。
「俺はもうこれ以上死なねーよ」
って言って、ニノミヤはニヤニヤ笑った。ニノミヤはあたしの心を読むらしい。

因みにニノミヤって名前はあたしがつけた。ほんとの名前は他にあるらしーんだけど、
人間には教えちゃいけないそうだ。
名前ないと呼ぶ時困るし、ヤツの顔がニノくんにちょっと似てたんで、ニノミヤって
呼ぶことにした。

ニノミヤはいつも
「ハラへった〜」
って言ってる。そのわりには何んにも食べない。食べる物が特殊らしい。
鬼だから人でも食べるのかと思ってたけど、そうでもないみたい。
いったい何を食べるのか気になって、何度か聞いてみたけど
「お前にはまだ早い」
って言って、教えてくんない。なんじゃそら?

家には他に、おとんと、おかんと、あと弟がいるけど、あたし以外誰もニノミヤが見
えないみたい。

あたしがニノミヤを見えるようになったのは、去年。その頃あたしは十三才。そん時
なにか変わったことがあったかなあ?って考えてみると、まあいくつかあった。
ひとつは生理が初めて来たこと(遅くて悪かったな)。
もうひとつは好きな先輩ができたこと、もちろん男ね。
「うん、まあ…そんなとこかな」
と、ニノミヤはニヤニヤしながら言った。

ニノミヤはちょっとエッチだ。あたしが着替えてる時は見てないふりしてしっかり横
目で見てるし、もっと短いスカート履けだのもっと太って乳でかくしろだのうるさい。
あたしがいない時は、部屋の中で携帯テレビを見てる。そんであたしが家に帰るとど
の女がいい女だとか、髪の色だとか服のデザインだとか化粧の仕方とか眉毛の形をい
ちいち報告してあたしにそれをさせようとする。なんでじゃ?
でもまあ、ニノミヤの言うとおりのカッコにすると友達とかのウケがいいんであたし
は素直に聞いてやる。

そんな風だからニノミヤはあたしにエッチなことでもするつもりなのかと、ちょっと
恐くなったけど、どうもそーゆう気配もない。
「俺はガキには興味ねーの!」
ってまた、ヤツはあたしの心を読んで、ケラケラ笑った。
ちっとプライド傷ついたけど、じゃあ、まあいいか。って最近は思う。もともと見ら
れてたんだし、あたしに何もする気がないってゆうんなら。あたしはニノミヤを同居
人とゆーことにしておいた。
ニノミヤがあたしに興味ないってゆうのは、あたしに魅力がないからじゃない。だっ
て実際、あたしはモテる。
まあ、これはニノミヤがあたしにいろいろアドバイスしてくれたおかげなんだけどさ、
なんか知らない間に、あたしは学校でもかなり目立つ存在になってた。
変なの、顔は変わってないのにね。

ある日、あたしは好きな先輩に声をかけられた。あたしがいっつも聴いてるCDを借
りたいって、先輩は言った。
今日は持ってきてませんって言ったら、先輩があたしん家にCD取りに来ることにな
った。
スッゲーラッキー!
あたしと先輩はその日一緒に下校した。あたしは平気な顔してたけど、ほんとは心臓
バクバクだった。
あたしの隣に先輩。夢の中にでもいるような気分だった。
でも夢だってこんなにうまくはいかないよね!

家についたら先輩は一度、CDを聴きたいって言った。それってあたしの部屋に入る
ってことだよね?
あたしの脳裏には一瞬、ニノミヤの顔が浮かんだ。あんな派手な角の生えた変な男が
あたしの部屋にいるのを知ったら、先輩はどう思うだろーか?
でもまあ、ニノミヤはあたしにしか見えないみたいだし…。
ってちょっと迷ってたら先輩は強引にあたしの体を押して、さっさとあたしの部屋に
入ってきた。
ニノミヤは相変わらずあたしの部屋にいたけど、やっぱり先輩には見えないみたいだ
った。ひとまず、ほっ。
「よぉっ」
と言っていっつもするみたいに片手をあげた後、先輩を見てニヤニヤしてた。
先輩が聴きたいって言ったCDを取り出そうとしてたら、急に後ろから抱きしめられ
た。
そんで、そんなのもういいから、って言った。
もういいから?なにそれ?こいつCD聴きに来たんじゃないの?
そういやこの先輩、かなり遊んでるって噂があったんだ。
あたしは噂をまるっきり信じなかったわけじゃないけど、先輩を信じたい気持ちもあ
った。あと好奇心もちょっとあった。
先輩のことは好きだったし、嫌われたくなかったし、これで先輩の彼女になれるんな
らそれでもいいかなって気持ちもちょっとあった。
でもあんまりにも手が早すぎるよな。
先輩はあたしの胸を服の上から触った。なんかイヤだった。鳥肌が立った。
ちらっとベッドの方を見ると、ニノミヤがニヤニヤしながら見てる。ヤツはあたしを
助ける気はないらしい。
あたしがベッドを見たのをOKのサインって思ったのか、先輩はあたしをそこに押し
倒した。
ニノミヤはすかさず浮き上がってよける。
そうそう、言い忘れてたけどヤツ、空飛べるらしい。天井にはりついた。見学する気

先輩はさっさとあたしのスカートの中に手を入れてきて、パンティーを脱がした。
なにこれ?順番ちがくない?いきなりそれか?こんなんで初体験すんの、あたし?
あたしはすっごーくイヤになってキャーって叫ぼうとしたら、パンティーを口につめ
こまれた。
そんで先輩はズボンをちょっとずらしてアレを出した。
なんだそれ?
ギャー!
ヤダー!
ヤダー!
ヤダー!
ニノミヤ助けてー!
あたしは心の中で叫んだ。
「なんだよ、まだ途中じゃねぇか。…まっ、いいか。お前にはまだ早いし」
ちょっとガッカリしたような顔をした後、ニノミヤはすっげー大きく口を開けて、ガ
ーッと息を吸い込んだ。
その途端に先輩の頭の部分から、なんかピンクがかった透明なブヨブヨしたものがい
っぱいでてきて、ニノミヤの口に全部入っていった。
先輩はギャーッと叫んで気絶してしまった。
それからニノミヤは先輩を指でつまみあげて(なんちゅー怪力だ)家の外にポイって
捨てた。
窓からそーっと様子を窺ってたら家の前でアレを出したまま気を失ってた先輩は、し
ばらくしてから目を覚ましてキョロキョロとまわりを見てたけど、そのうちに恥ずか
しそうに走って逃げてった。
「ありゃもうここに来たこと覚えてねぇよ。お前、次からはもっとまともなヤツ選べ
よ。ま、食いモンとしちゃ上等だったけどな」
って、口をおさえながらニノミヤは言った。
「うーっ、食いすぎた。久しぶりだったからな…もう当分いいや」
そう言いながらニノミヤは消えた。
呼んでみたけど返事はなかった。

その後なんだけど、先輩はあたしの家であったことをほんとに覚えてなかった。
でも、まあいっか。別人のよーにおとなしくなっちゃった先輩に、あたしはもうキョ
ーミがない。前の先輩に戻ったとしても、もうこいつはゴメンだい。

消えたニノミヤが、あの後どうなったかって言うと…

実はまだあたしの部屋にいる。
「そりゃそうだ。俺はお前にとり憑いてんだからな」
って、あたしの心を読みながら言った。そんでまたしょっちゅう、
「ハラへった〜」
って言ってるのだった。
あたしにまた好きな人ができれば、ニノミヤには食事をするチャンスができるらしい。
でもまあ、それは当分ムリ。だってあたしが次に好きになったのは、人じゃなくって
鬼だもんね。
あたしの心を読むニノミヤには当然バレてるハズだ。
なのにニノミヤはそのことについてなんにも言わない。あたしがニノミヤを好きにな
っちゃったってことには。

相変わらずニノミヤはあたしの服とか髪型とかにうるさい。

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