メルマガ:芝崎義夫の健康通信
タイトル:芝崎義夫の健康通信  2003/12/10


とうとう今年も終わりの月になりました。冷夏だったり寒くなるのが遅かったり、変
な年でしたね。不景気が少し上向いたのはよかったですけどね。ボーナスが数年ぶり
に増えたなんて人もいるようで。さて、忘年会シーズンでもありますが、たまに変な
食べ方をしている人を見かけます。話を聞くと歯が欠けていたり、歯を抜いた後その
ままにしていたり、年を取ってから歯の大事さに気が付くのです。今回は歯などと身
体との関係についていつもより少し詳しく芝崎先生に話をききました。

抜歯の後そのままにしたことが身体に悪影響を!?

T・Sさんは事務を勤める45才。今年11月から週に一度来院されています。仕事は一日
中パソコンもよく使うデスクワーク。スポーツは現在ほとんどしていないそうです。
歩く距離も少ないとのこと。

来院された時は、ここ2週間くらい特に左側頭部の偏頭痛がひどく、眠れない日もあっ
たとか。病院で薬をもらい、症状を抑えている状態。
触診の結果、肩・首の筋肉が張っていて、頭蓋骨・首の骨がかなり歪んでいました。
また、奥歯が一本足りなく、聞いてみると虫歯の治療で抜歯して、そのまま歯を入れ
なかったとのこと。それが原因か、左右の顎関節にアンバランスが生じており左顎関
節に負担がかかっていました。
また、5年前に車の追突事故に会い、首がむち打ちに。牽引治療によりかなり楽には
なったとのこと。また、ご本人に自覚はないようでしたが、骨盤にも歪みが大きく見
られました。以上の様々な要素がミックスされ現在の頭痛として現れたと思われまし
た。

施術内容は、頭部と首の骨を中心に矯正をし、特に顎のバランスに関しては念入りに
行い、結果1回目でほぼ頭痛はなくなりました。しかし、まだ骨の位置の安定はして
いなく週1回のペースで通っていただいています。この先、頭蓋骨・顎・首が安定す
れば、歯科で歯を入れてもらうことを勧めています。ご本人は現在頭痛・肩こりの症
状を感じることは滅多にないが、安定させることを説明し、納得されて通われていて
います。

なぜ噛み合わせが悪くなるのか

過去、多くの症例を見てきた私の経験から言って、体調不良を訴える人、つまり体内
の循環機能がうまく作用していない患者さんは、決まって顎の状態がおかしくなって
います。また、頭蓋骨や骨盤が歪んでいる人も結果的に顎の方に負担がかかってきて
いるようです。
これらのことは、諸々含めて噛み合わせと密接にリンクしているわけですが、噛み合
わせが悪くなる原因をもう少し突き詰めていくと、以下に述べる5点に集約できます。

1.片側だけで噛む癖
私が知るかぎり、ほとんどの人が右か左のどちらかで噛む癖があり、両方で噛むとい
う人は極めてまれです。片側で噛む癖がつくと、よく使う方の歯が擦り減り、下顎骨
が次第に噛み癖のある側に偏ってきます。その結果、よく使う側の噛み合わせの高さ
は、使わない側に比べて低くなる傾向があります。
噛み合わせの位置が低くなると、筋肉(咬筋)が下顎骨を引っ張り、緊張して硬くなっ
てしまいます。よく噛む方の筋肉は張りがあり、噛まない方はゆるんでくるのが特徴
ですが、よく使う方の下顎骨も異常に発達して、レントゲンで見ても太くなっている
のがわかります。
片側噛みは、左右の噛み合わせの位置や顎の筋肉・骨をアンバランスにし、顔の表情
にも大きな影響を与えます。

2.衝突・転倒などによる頭の打撲。外傷
頭の歪みは出産時に産道にひっかかったり、身体各部位の歪みの影響を受けて生じる
ことが多いのですが、他にも衝突事故や転倒・転落・殴打などによる打撲や外傷が原
因となることがあります。
何らかの直撃を受けて歪んだ頭は、後頭骨から頭頂骨→前頭骨(ひたい)へと向かっ
て動く本来の正常な動きを失い、頭蓋骨の中で一定に保たれている脳脊髄液の圧力
(脳圧)を狂わせることになります。つまり、脳圧が上昇して脳が常に圧迫を受ける
状態になるのです。脳圧が高まっている頭を上から触ってみると、頭頂骨から前頭骨
にかけてパンパンに張って硬くなっているのがわかります。
このような状態の時の脳は、ちょうど飛行機が離陸するときや、超高層ビルのエレベ
ーターで上階に向かうときに感じる不快な状態にいつもさらされているようなもので
す。正常に働こうにも脳自体が圧迫され疲弊しきってうまく働かないばかりか、物理
的な歪みで神経の方も圧迫されていますから、脳からの指令・伝達は著しく阻害され、
顎がきちんと動かず噛み合わせにも影響が出るというわけです。
脳が正常に働かないということは、噛み合わせに限らず、身体のすべての機能に障害
をもたらすことを意味します。

3.精神的ストレスによる奥歯の噛みしめ
日本は何かとストレスが溜まりやすい社会です。職場や学校・家庭内は言うに及ばず、
一歩外に出ても、車や工事中の騒音、大気汚染、道行く人のマナーの悪さなどに、知
らぬ間にストレスを蓄積してしまいがちです。こうしたストレスをうまく発散できれ
ばいいのですが、人間というのはなかなかそれができず、ギュッと奥歯を噛みしめて
こらえる傾向があるようです。「私はストレスなんて感じない」というような顔をし
ている人でも、実は無意識のうちに噛みしめていることが多く、特に本人が自覚して
いない睡眠中に、いわゆる歯ぎしりという形でストレスを発散します。このとき顎に
かかる負担は横綱・曙一人分。毎夜毎夜この状態が長く続くと、頭蓋骨や顎の関節を
歪めるだけでなく、首や肩の筋肉の過緊張、時には精神面にも異常を来すことがあり
ます。
よく、噛みしめと咀嚼を混同する人がいますが、咀嚼は噛んで離す瞬間的な行為で、
食べている時だけ筋肉を伸縮させ、むしろ筋肉を鍛えるうえで効果的です。
噛みしめや食いしばりは、噛み合わせを悪くする原因であるとはいえ、その一方で、
食いしばれないことには力が出ないことも確かです。全身の筋力アップのためにも噛
み合わせは大切です。ストレスを感じやすいと自覚している人は、噛み合わせが悪く
なっていないかどうか、一度診てもらう必要があるでしょう。

4.歯の治療や矯正の後遺症
世の中には、生まれながらにしてうらやましいくらい歯並びのきれいな人がいます。
また、歯列矯正によって素晴らしい歯並びを手に入れている人もいます。しかし、歯
並びがよいからといっても必ずしも噛み合わせがよいとは限りません。私の患者さん
の中にも、きれいな歯並びをしていながら顎が痛い、口が開かないと顎関節症の症状
を訴える人がたくさんいます
よい歯並びとは、正面から見たときに横の並びがデコボコしておらず、高さがまっす
ぐ一直線に揃っている状態を言います。これに対して噛み合わせは、上の歯と下の歯
の接触状態が重要になります。つまり、前者はヨコの関係、後者はタテの関係。両方
のバランスがとれてこそ、真に機能的で美しい歯と言えるのです。
最近は、永久歯の形成期である小・中学生の頃に歯列矯正をするケースが増えていま
す。ただ、その後の歯の使い方や食生活に注意しなければ、早期の矯正も無駄になっ
てしまいます。歯列矯正では、レベリングといって、針金でしっかり押さえたり、さ
らに進んで顎間ゴムで前後をズレないように縛り付けたりすることがあります。しか
し、これが首の骨(頸椎)を狂わせる原因になり、そこから一気に体調不良へと進展
する例が少なくありません。歯列矯正後、首が痛い、顎が痛い、目が疲れる、夜眠れ
ないなどと悩む人が最近はかなり多いように思います。
虫歯などの治療でも、歯の削り過ぎやクラウン(かぶせもの)の高さによって噛み合
わせに狂いが生じることが多々あります。患者の回転率ばかり気にしてスピーディー
さを売り物にしている歯科医院や元々腕の悪い歯科医の手にかかると、歯の治療がか
えってあだになり、のちのち大きなつけが回ってきます。
噛み合わせの治療に行ったのにちっともよくならないといった人の声が多いのは、噛
み合わせの悪さの原因を歯や顎にだけ求め、頭や首などの骨格の歪みにまで思いを巡
らさない歯科医が多いからです。噛み合わせは骨格と歯の両面から治療して初めてパ
ーフェクトに近づきます。「木を見て森を見ず」といったことわざがあるように、全
体の状況を把握せずに細部の治療にのみ神経を尖らせるのは非常に危険だということ
です。
また、これは本人の問題ですが、歯を抜いた後長い間そのまま放っておく人がけっこ
う見られます。「奥歯が2、3本ないんです」などと大口を開けて笑っている人もい
ますが、ない歯では噛めませんから、結果として片側噛みにならざるを得ません。顎
や首・頭などの歪みにつなげないためにも早急の治療が必要です。歯なしでは話にな
らないことを肝に銘じましょう。

5.悪い姿勢や運動不足による骨格の歪み
噛み合わせが歯だけの問題で無いことはいろいろな方面から立証されています。 例
えば、脚を組んで物を食べたり、横向きの状態で噛んだりすると、噛み合わせの接触
面積が小さくなり、歯にかかる力も半分くらいに減少するといった大学の実験結果が
あります。正面を向いて正しい姿勢で噛まないと、下顎が上顎と同じ位置まで動くこ
とができない(上顎と下顎がズレる)ために、歯の触れる面積や噛む力が弱くなるの
です。
レストランや喫茶店に入ったときに周囲をよく注意して見ると、脚を組んだり、頬杖
をついたり、マンガを見ながら丸くなって飲食をしている人などが大勢います。大体
が顎に無理をかけ、噛み合わせを悪くする姿勢になっています。逆に言えば、このよ
うな姿勢をとらざるを得なくなっていること自体、すでに骨格が歪み、体力が落ちて
いる証拠にほかならないのです。
ある実験では、歯を抜いた犬をそのまま放っておくと1週間くらいで背骨が曲がり、
義歯を入れるとすぐに元に戻るといった結果も報告されています。 
前述したように、噛み合わせの狂いは、全身の骨格や筋肉の狂いに通じます。噛み合
わせのバランスが崩れると、まず顎の筋肉に緊張が出て、それが頭・首・肩、やがて
は、背中・腰・脚に波及します。顎の位置が不安定になることで頭部の重心移動が起
こり、それを補正しようとして上から下へと歪みの連鎖反応が起きるのです。
それとまったく同じことが下から上へも起こります。ですから、椅子に座るとすぐ脚
を組むような姿勢をとる人(=骨盤に歪みがある人)は、近い将来顎や噛み合わせに
異常が出ることに注意しなければならないわけです。
姿勢が悪くなる原因は、前章で述べたことと深く関連しています。つまり、人間行動
の基本中の基本とも言える「歩く」「運動する」という機会の減少が最も大きく影響
しているということです。また、もっと細かく見ていけば、椅子に座るとすぐに脚を
組む、頬杖をつく、横座りをする、片足に重心をかけて立つ、いつも同じ方の肩にバッ
グを下げる、底の厚い靴やヒールの高い靴を履く、フカフカのベッドや枕を使って寝
るなど、数え切れないほどのたくさんの原因が思い浮かんできます。
こうした日常生活の悪しき習慣が、骨格や筋肉を弱め、姿勢を悪くする主要因である
ことは間違いありません。気がついたことをできるところから一つずつでも改善して
いくことが大切です。

以上芝崎先生のお話でした。
生活習慣に気を付けることや歯を大切にすることが身体の健康にも大きく関係してい
ることがよく分かりましたね。新年はもう少し生活に注意したいですね。
では良いお年を。

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芝崎義夫(しばさき よしお)
1962年神奈川県生まれ。26歳のとき、米国ライフカイロプラクティック大学に
おいて、カイロプラクティックを学ぶ。1991年に、芝崎プロポーションクリニック
を開設。独自のCR理論に基づく治療により、雑誌、テレビなどのマスコミで大
きな反響を生んでいる。

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