メルマガ:『テーマパークは私の学校』
タイトル:【テーマパークが私の学校】No.030 2003/4/10  2003/04/10


■ ■ ◇                       テーマパークが私の学校
■ ■ ■             「そうか!! 教育って、そういう事だったんだ」
■ ■ ■                       . . .2003.4.7  No,030
----------------------------------------------------- http://www.shuu.co.jp/
 
==[▼ご挨拶]================================================================
 
 お待たせしました、みなさん、こんにちは!!
 【テーマパークが私の学校】の香取です。発行が遅れてしまい本当に申し訳あり
 ませんでした。また、新しく登録してくださった皆さんありがとうございます!!

 そして、新入社員や新入生のみなさんにとっては毎日がめまぐるしく変わる日々
 をお過ごしのことでしょうが、今回は私がデビューする時に教えてもらったお話
 を、ちょうどこの春からデビューした皆さんにお伝えします。

 それでは早速、第30話行ってみよう!!

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第30話:「一生の思い出……」
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今回のお話は、私がお城のアトラクションでトレーニング中に、私をトレーニングし
てくれた生重さんが話してくれたお話しです。

お城のアトラクションは約20分かけて、ガイドの私達が城内を案内するアトラクシ
ョンです。お城の中には、映画でお馴染みの悪いキャラクターが出てきて、私達に挑
戦を仕掛けます。

本当にヒーローが成し遂げたように「善は必ず悪に勝てる」というのなら、それを証
明して見せろ!!と言うわけで、私達ガイドとゲストが一丸となって悪者をやっつける
アトラクションです。

当然、悪者とのやりとりや他のガイドとの掛け合いもあるので、台詞を覚えるのに一
苦労……。以前のメルマガ(第7話)でも紹介したとおりですが……(汗)

そしてそのトレーニングは一日7時間の5日間で行われます。基本的にはトレーナー
が付いて、全部を行うわけですが、当時の生重さんはパレードの責任者も兼務してい
ましたので、パレードの方も見なくてはいけません。

時期的にも、春休み前でパレードでも新人スタッフが採用させるのですが出来の悪い
この私をトレーニングするためには、俺がやらなきゃってってことで強引なトレーニ
ングスケジュールを組んでくれました。

そしてトレーニング2日目。むちゃくちゃなガイドデビューをした勤務終了まじかの
ことでした。

「実はなぁ、明日からは足崎さんがトレーニングしてくれることになったんだよ」
「えっ!! なんで生重さんじゃなくなったんですか?」
「まぁ、俺がお前に教えなきゃなんなかったことは今日のでやったから、明日からパ
 レードの方へいかないといけないからさぁ」

「そうですかぁ……」
「まぁ気にすんな!! 足崎さんはとっても頭のいい人だし、俺も尊敬するトレーナー
 の一人だからさ!!よーく言う事聴くんだぞ!! 特に香取お前はな!!」
「はっはい……」

「本当はトレーニングの最終日にお前たちに見せようと思ってたもんがあるんだけど
 、とりあえず今日みせてやるから俺にちょっとついて来い」

生重さんはそう言うと、バックステージの事務所に私と新沢さんを案内しました。

「よし、入っていいぞ!!」
「はぁ……」
「実はここには、俺たちスタッフが大切にしなきゃなんないもんがあるんだよ!!」
「大切?」

すると生重さんは本棚の中から、ファイルを3冊取り出しました。

「このファイルには、今までゲストからもらったり、問合せのあった苦情や提案、そ
 して励ましや賞賛のお手紙がファイルしてあるんだ!!
 こっちが、苦情や提案で、こっちは励ましや賞賛だな」

「へぇ〜。苦情の方が多いじゃないっすか?
 結構みんなわがままだからなぁ……」

「バカ、何にもわかってねぇーな本当にお前は……。
 あのなあ、俺たちはこの苦情や提案をもらって手順やシステムを改善してきたの!!
 これがなかったら、マニュアルなんて進化しねぇんだぞ!!」

「はぁ……すみません」
「お前たちがトレーニングを無事終了した時に、これを見せようと思ってたんだ。で
 もまぁ今のままきちんとトレーニングを受けてれば大丈夫だろうから、ちょっと読
 んでみろ」

私は新沢さんと二人でそのファイルを読んでみました。
どちらのファイルにもゲストの思いのこもった手紙や写真などでした。

ひととおり目を通すと生重さんが話しはじめました。

「どうだ、結構しみるだろ!!」
「ハイ」

「それじゃぁ、これから二人が一人前のスタッフになる前に、プレゼントしようと思
 ってた話があるから、聞いてくれるか?」
「ハイ」

「実はこの話もさっき見てもらったように、ゲストから頂いたこの手紙のお話しなん
 だ!!」

生重さんはそう言うと、一通の便箋を机の上に置き話し始めました。

「この手紙はだいぶ前にお城のアトラクションに入ったというタカシ君のお母さんが
 書いてくれたんだ。

 実はそのタカシ君って言うのは、生まれつき現在の医学では直らないような難病を
 かかえているんだって、そんで、生まれた時から病院での生活の方が多っかたんだ
 って……。

 そして半年前に、お父さんとお母さんが病院の先生に呼ばれて行くと、病院の先生
 からタカシ君の命はあと半年かもしれませんって言われたらしいんだ。それで、お
 父さんやお母さんはタカシ君が望むものだったらなんでもしてあげようと思ったん
 だ。

 その話を聴いてから、お父さんとお母さんはタカシ君に食べたいものはないか?欲
 しいものはないか?って聴いてみたんだけど、タカシ君は何にもねだらなかったん
 だって。

 でもある日、病室でタカシ君がテレビを見ていると、たまたまそこにこのパークの
 CMが流れたんだって、そしたら今までおねだりなんかしたことがなかったタカシ
 君が、「僕ここに行きたい」って言ったんだ。

 すぐにお父さんとお母さんは病院の先生のところに行ってお願いをしたんだ。「何
 とかタカシと一緒に遊びに行けないか」って……。
 でもやっぱり先生はもしものことがあるからって許可してくれなかった。

 当たり前と言えば当たり前だよな。でも、お父さんとお母さんは「初めてタカシが
 自分でやりたいと言ったことだから、タカシがやりたいと思うことをさせてあげた
 い」って先生に何度もお願いに行ったんだ。

 先生も困ったみたいだけど、先生と看護婦さんも一緒だったら許可を出しましょう
 って言ってくれたんだよ。でも、もしかしたらこれが最後の家族旅行になるかも知
 れないからって、タカシが自分で選んだことだからって言ってそれを断ったんだ。

 そんで、やっと先生も乗り物や時間の制限はあるものの許可をくれて、このパーク
 に遊びに来たんだって!!」

「……」

「タカシ君は見た目にはそんなに深刻な病気だとは全くわからないだよ。だから当然
 働いている俺たちにもわからなかったんだ。初めて家族だけで外に出て遊べるって
 どんなんだろうなぁ……。

 その日は久しぶりにタカシ君の嬉しそうな顔を見れて、お父さんもお母さんも凄く
 楽しく嬉しかったって……。そんでたまたま、お城のアトラクションならお父さん
 が抱きかかえて入れるからって入ったんだ。
 
 悪者が出てくるたびにタカシ君はお父さんにしがみついて……。でも最後まで泣か
 ないでがんばってたんだ。そしてクライマックス、悪の大王を倒すときになって、
 ガイドがだれか一緒に悪者をやっつけてくれる人って探したら、タカシ君が恐る恐
 る手を上げたらしいんだよ。

 ガイドはそのタカシ君を選んで、悪の大王を一緒にやっつけた。タカシ君のその勇
 気と善意と純粋な心に敬意を表して、サーの称号と記念のメダルをあげるわけだ。
 そしたらタカシ君は嬉しそうに、そのメダルを首から下げて、パークを出ても絶対
 に外さなかったらしいんだ。

 その後病院に帰ったタカシ君はいつでもそのメダルを首から下げて、お見舞いに来
 る人や、病院の先生や看護婦さん全員に嬉しそうにメダルをみせて「僕はこの前、
 お城で悪い奴をやっつけたんだ!!だから病気だってやっつけちゃうぞ!!」って自慢
 してたんだって。

 ……。
 それから数ヶ月が経って、タカシ君は天国へ……。

 この手紙の最後には、お母さんが「タカシは短い一生でした。その中でこの前パー
 クで一緒に体験した喜びは、タカシと私達家族の一生の思い出になりました。きっ
 とタカシの中でも最高の思い出になったと覆います。本当にありがとうございまし
 た」ってかいてあるんだ……」

「これから二人は、トレーニングが終ってひとり立ちすることになると思うんだ。
 もしかしたら、二人の目の前にいるゲストの中にもタカシ君が居ないとはかぎらね
 ーよな。

 これから毎日が同じ事の繰り返しになるかもしれない。
 でも、忘れんな、俺たち次第で一生の思い出にもできるってことを!!」

「ハイ」

「本当は二人がトレーニング終了した後に伝えようと思ったんだけどなぁ……。
 うん、間違ったっていいんだよ、今目の前にいるゲストに全力でやれば!!いいか、
 頑張れよ!!」

今目の前にいるゲストに全力で……。一通の手紙から本当に大切なことを教えてもら
いました。例えば私達は一日に何度もガイドを回ります。でも繰り返しているのは自
分の方で、ゲストにとってはそれが始めてのツアーかもしれない。

生重さんから教えてもらったこの話は、私がトレーナーになってからトレーニングが
終了した時に必ずプレゼントしていました。

次回は、4月21日です。どうぞお楽しみに!!

■編集後記****************************************************************■
 
 いよいよ、4月17日で愛知県蒲郡にあるテーマパーク「ラグナシア」のなかで
 オープンから1年間上映してきた、ラグーナガールズの「Call of the wind」が
 終了してしまいます。

 思い起こせば、ラグナシアの開業前、テーマパークにはやっぱり人が人をライブ
 で楽しませることができるショーが必要だと考え、開業まで秒読みの中、必死に
 ステージが作れる場所を探し、無理やり作ったショーでした。

 生まれて初めて、私と斉藤でショーの企画を考え、とにかく感動できるものにし
 たいと思って作ったショーでした。無理やりショー作るための手ほどきをしてい
 ただいた企画部の方、そして短い期間で何とか作り上げショーをオープンさせた
 プロデューサーの方や製作をしてくれたアメリカの演出家……。

 そして、できるだけゲストに近い親善大使のお姉さんといったフレッシュで全力
 で一年間やり続けたダンサーの8人。本当に感激です。

 ステージ上では約18分のショーですが、それを完璧にするために、彼女たちが
 見せたプロ根性……。本当に感動です。ラストステージの17日必ず行きます。

 読者の皆さんの中で、愛知県蒲郡近辺にいらっしゃるかたは是非、一度見てくだ
 さい。そして17日のラストステージ一緒に見送りませんか(^o^)丿

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 筆者である私は、恥ずかしいのですが、中学・高校時代は「ヤンキー」でした。
 そんな私でも、テーマパークでアルバイトをするようになり、そこでの教育や指導
 をとおして、現在レジャーサービス業で教育や運営などのお手伝いをしている株式
 会社SHUU研究所に勤務することが出来ました。
 
 現在の自分がこうしていられるのも、その時の上司や先輩から受けた教育や指導、
 時には愛の鉄拳(笑)が私を育ててくれたからだと思います。
 
 現在お仕事などで部下を持つ上司の方や、これから部下を持つ方、また、教育のご
 担当の方やお子さんをお持ちの方などに、教育といってもたくさんのアプローチが
 あることが紹介できたらと思います。
 
 ちなみに本メルマガに登場する人物の名前はすべて仮名です。
 (似てるけど……笑)
 
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