メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.883 ◆現代時評plus《功を焦る安倍首相》片山通夫  2018/11/27


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【609 Studio】email newsletter 2018年11月27日 No.883
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◆現代時評plus《功を焦る安倍首相》片山通夫
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現代時評plus《功を焦る安倍首相》片山通夫

 唐突なプーチン大統領の「年内に平和条約締結」という提案に、そのままでは
ないが、安倍首相は形の上では「その話、載った」と言わんばかりの逆提案を行
った。つまり、「二島返還」で手を打つということらしい。

 重要なことなので「二島返還」という意味をここでおさらいしておきたい。

 (以下ウイキペディアから)
 日本とロシアの間の領土問題となっている北方領土問題について歯舞群島と色
丹島の二島を日本に返還あるいは譲渡する案。日本の政治家やマスメディア、政
治団体などは主に返還として北方領土問題に言及することが多いが、ロシアの政
治家やマスメディアは首尾一貫して返還(ロシア語: реставрация)
ではなく「譲渡」(ロシア語: передача)という立場を取っていること
に留意したい。

 戦後期のサンフランシスコ平和条約締結後の二島返還論(二島譲渡論)と鈴木
宗男らの段階的返還論、ロシアの提示する二島「譲渡」論の3種類がある。
 日本は、1951年9月8日に署名したサンフランシスコ平和条約第二章第二条(c)に
おいて、千島列島におけるすべての権利、権原及び請求権を放棄した。ここでい
う千島列島には、南千島である択捉島と国後島も含まれ、北海道の付属島である
歯舞群島と色丹島は含まれないとするのが当時の日本政府の公式見解である。当
時の日本政府はこうした考えのもと、二島返還を条件にソ連と平和条約締結交渉
を開始した。これに対し、ソ連側は二島「譲渡」として受け入れ、一時は平和条
約締結がまとまりかけた。しかし、平和交渉の第一次ロンドン交渉の途中で日本
側は突如それまでの主張を転換、択捉島と国後島は我が国固有の領土でありサン
フランシスコ講和条約で放棄した千島列島には含まれないという根拠付けのもと、
択捉島と国後島を要求し平和条約交渉は難航した。その後、日ソ双方は平和条約
締結を諦め、それに代わる日ソ共同宣言を出し、領土問題を先送りにすることで
国交を回復した。

 1956年の日ソ共同宣言では、お互いが「譲渡」に合意していた色丹島、歯
舞群島を平和条約締結後に日本に「譲渡」するとしている。この日ソ共同宣言に
対するロシア政府の公式見解としては歯舞、色丹のみを日本に「譲渡」し、国後
島、択捉島についてはロシア領土として返還も「譲渡」もしないことを意味する。
日本政府の公式見解としては日ソ共同宣言に明記した色丹島や歯舞群島はもちろ
んだが、それに加え、日本固有の領土である択捉島と国後島も当然合わせて返還
すべきだというものである。

 鈴木宗男の段階的返還論は、色丹島と歯舞群島の二島のみが日本領土であると
するロシア側の主張やかつての日本政府の主張とは異なり、四島とも日本固有の
領土であるが、まずは二島を返してもらおうというものである。

 またロシア側における二島「譲渡」論(二島返還論ではないことに注意)とは、
主に歯舞・色丹の「譲渡」のみでこの問題を幕引きさせようとする案のことであ
り、現在のロシア政府の公式見解である。いずれにせよ、ソビエト時代を含め、
ロシア側は首尾一貫して返還ではなく「譲渡」であるとする立場を崩していない。
これは、ロシア側が、日ソ中立条約の破棄を条約違反ではなく「正当な解消」で
あるとする立場を貫いているためであり、そこには「北方領土の占領と編入は第
二次世界大戦の成果として当然、認められるべきだ」とする含みがある。一見荒
唐無稽とも取れるロシアの主張だが、ヤルタ会談における極東密約(ヤルタ協定)
により、アメリカの大統領とイギリスの首相が日ソ中立条約の破棄および北方領
土の領有に対して正当性を担保しているので、ソ連の対日参戦が不法な宣戦布告
であると簡単には一蹴できない点に留意されたい。  (ウイキペディアから)

 そしてプーチン大統領は譲渡(返還)した二島に、米軍が基地を置くことにな
っては困るという理由で、譲渡(返還)にはおいそれとは応じない姿勢も示して
きた。これに対して安倍首相は「誤解だ」と米軍が歯舞・色丹に展開することは
ないといっているようだが、米国にまともにものを言えない安倍政権をプーチン
大統領が信じるとは思えない。日米安保条約には、米国は日本のどこにでも米軍
基地を置くことができると明記されている。この内容を安倍首相がトランプ大統
領に交渉して変更させることができると、誰も信じまい。

 そして2018年11月18日の共同通信は「もうだまされない」と、ロシアのペスコ
フ大統領報道官は次のように語ったと伝えた。
「ロシア国営テレビのトーク番組に出演し、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)
加盟諸国との間の交渉でロシアには過去『苦い教訓』があると指摘。『ゴルバチ
ョフ(元ソ連大統領)を、ドイツと米国との間の当時の交渉を、その後NATO
が少しずつ東方拡大したことを思い出そう。それは現在も続いている』と指摘し
た。
(詳細 https://this.kiji.is/437141361473684577)

 これが何を意味するかは明白だ。

 また外務省が冷戦下の73年に作成した秘密文書「日米地位協定の考え方」だ。
これを特報した琉球新報の報道によると「『返還後の北方領土には(米軍の)施
設・区域を設けない』との義務をソ連と約することは、安保条約・地位協定上問
題がある」との趣旨が記されている。

 ことほど左様に安倍首相が「二島返還」を口にできるほど簡単な話ではない。
単に首相が「功を焦っている」としか思えない。何しろ拉致被害者家族に広げて
きた大風呂敷、北朝鮮をめぐる東アジアの最近の情勢に蚊帳の外に置かれている
状況、人間味が感じられない対慰安婦対応などの国際的な対応に失敗して成果が
上がっていない現状、それに国内でもモリカケ問題におけるグレーな対応など問
題は山積である。
 
 功を焦る安倍首相の姿は滑稽でもあるが、哀れでもある。そんな首相に振り回
されて何の批判もできないマスコミも哀れでしかない。

 ひいては我々国民が悲惨だ。
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◆気になるサイト(国内の大マスコミは除く)
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」 ⇒   https://jp.sputniknews.com/

◆聯合ニュース ⇒ http://japanese.yonhapnews.co.kr/

◆THE KORIAN POLITICS  ⇒  https://www.thekoreanpolitics.com/

◆朝鮮の声放送 ⇒ http://www.vok.rep.kp/CBC/

◆フォーカス台湾⇒ http://japan.cna.com.tw/

◆愛媛新聞  ⇒ https://www.ehime-np.co.jp/

◆しんぶん赤旗⇒ https://www.jcp.or.jp/akahata/

◆長周新聞  ⇒ https://www.chosyu-journal.jp/

◆日刊ゲンダイ ⇒ https://www.nikkan-gendai.com/

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◇きな臭い話、こぼれ話
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【政治】

河野外相、国会で4島明記の東京宣言への言及避ける
https://www.asahi.com/articles/ASLCN4SFXLCNUTFK00V.html

河野外相「個人請求権は消滅していない」…「しかし解決済み」
https://web.smartnews.com/articles/f4iD2T94L2R

改憲も北方領土もアドバルーン先行 喜劇的結末になる予感
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/241821

「2島返還、日本に主権」 菅氏、ロシア側主張に見解
http://urx.red/NPk8

日本 プーチン氏の術中に 前モスクワ支局長・常盤伸
ロシアと日本がソ連時代から六十年以上続けてきた北方領土交渉が重大な岐路に
立たされている。安倍晋三首相が交渉の基盤を日ソ共同宣言に限定し、エリツィ
ン政権時に北方四島を対象にした帰属交渉を行うと合意した一九九三年の「東京
宣言」は脇に追いやられた。東京宣言の「死文化」を執拗(しつよう)に図って
きたプーチン政権の強硬な対日戦略が功を奏した格好だ。
http://urx.red/NPka

首相「従来の方針に変更ない」北方領土交渉
http://www.news24.jp/articles/2018/11/16/04409417.html

2島先行、支持と注文 衆参同日選絡め言及も 日ロ交渉めぐり
https://www.asahi.com/articles/DA3S13770674.html

【社会】

北方領土に中韓資本 露、実効支配強化へ呼び込み
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181117-00000041-san-eurp

租税回避地へ資金移動 ゴーン会長「自宅」購入で
http://urx.red/NPk2

【国際】

極東ロシアがますます近く!電子ビザの適用地域が拡大
https://getnews.jp/archives/2098828/gate

ゴーン会長逮捕と仏でモラハラ激増の浅からぬ関係
https://e.mag2.com/2QYtcqo

「もうだまされない」北方領土問題でロシア大統領報道官
安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領に対して、1956年の日ソ共同宣言に
沿って歯舞群島、色丹島が日本に引き渡された後でも米軍基地を島に置くことは
ないと伝えていたとの日本の一部メディアの報道はロシアでも大きく伝えられ、
ニュースサイト「ガゼータ・ルー」などでは連日、このニュースがアクセストッ
プ3に入るなどロシア市民の関心も高いが、ここに来て日本の期待に冷や水を浴
びせる発言がプーチン大統領側から出てきた。 
https://this.kiji.is/437141361473684577

元慰安婦への補償不十分 国連委、最終見解 日本政府に遺憾
【ジュネーブ=共同】国連の強制的失踪委員会は十九日、日本に対する審査の最
終見解を公表した。旧日本軍の慰安婦問題について、元慰安婦らへの補償は十分
とは言えず「最終的かつ不可逆的に解決した」との日本政府の立場に遺憾の意を
示した。最終見解に法的拘束力はない。
http://urx.red/NPks

サハリン電力輸入は可能、JBIC総裁 前田匡史氏インタビュー、カギは信頼
関係の醸成
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/181123/mca1811230500006-n1.htm

(時時刻刻)「2島先行」、高い壁 ロシア、米軍展開を警戒 首相「全くの誤
解」
https://www.asahi.com/articles/DA3S13770707.html

北方2島「米基地置かぬ」 首相、プーチン氏に 返還交渉
https://www.asahi.com/articles/DA3S13770736.html

「島を渡すのはあり得ない」 日ロ合意、色丹島民に衝撃
日ロ首脳が日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速することで合意したことで、
色丹島に住むロシア人に衝撃が広がっている。返還はないと信じていただけに、
「島は渡さない」「ここに住み続けたい」などと訴えた。
https://www.asahi.com/articles/ASLCH5GBDLCHUHBI01Y.html

なぜオリンピック招致から撤退する都市が相次いでいるのか
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46257994

北方領土に中韓資本 露、実効支配強化へ呼び込み
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181117-00000041-san-eurp

「その気があってついていった」慰安婦被害者を冒とくした元大学教授、控訴審
でも実刑
https://web.smartnews.com/articles/foPMnkZnvyD

【こぼれ話】

「ロシアには恐竜を模った紋章がある?」 ニュースの中の真実とフィクション
をあなたはどれだけ見分けられるか 【テスト】
みなさんの前に10のニュース項目をご用意しました。そのうちのいくつかはエ
イプリルフールの冗談で、その他は完全な本物。どれが真実でどれがフィクショ
ンか、スプートニクがみなさんの洞察力をテスト!
https://jp.sputniknews.com/entertainment/201811245615066/

レーニンの生活の裏面:母親の財布頼りとセックスレス 
ソ連の建国者、ウラジーミル・レーニンの個人生活は、一般人はおろか党の同志
にもほとんど知られていなかった。彼は、保養地へ行くために、母親に財布をは
たかせて最後の金をせびることがあった。女性が好きだったが、彼女らに性欲を
もつ権利があるとは考えなかった。 
https://jp.rbth.com/history/81235-renin-no-seikatsu-no-uramen

ロシア史を彩る4人の絶世の美女
ツァーリの妻、皇帝の愛人、農奴出身の女優、帝国一裕福な女性。彼女らには一
つの共通点があった。衝撃的なまでに美しかったのだ。 
https://jp.rbth.com/history/81236-roshia-shi-wo-irodoru-zessei-no-bijyo

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◆編集長から:片山通夫
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 安倍首相はある意味、話題つくりに巧みだ。そして日本人の習性というか、忘
れっぽい性格をうまく利用している。
 北朝鮮と産まずたゆまず交渉して努力している韓国の文大統領に比べても、安
倍首相は目新しい話題を国民にタイミングよく投げかける。それが拉致問題であ
り、中国との交渉であり、今回の北方領土問題だ。

 いつまで彼の悪運が続くのか、冷めた目で見られるようになってきた。
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  発行    2018年11月27日 No.883
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