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タイトル:609studio No.781 ◇現代時評《もんじゅ失敗に懲りない政府》:井上脩身  2016/10/18


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【609 Studio】メール・マガジン 2016・10・18 No.781
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   フォト・ジャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身
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◇現代時評《もんじゅ失敗に懲りない政府》:井上脩身             ──────────────────────────────────────
 政府は高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉する方針を決めた。12月末に最終決定
するという。この一方で、核燃料サイクル政策は引き続き推進し、高速炉の実証
炉や実用炉を目指す、としている。原型炉であるもんじゅが失敗であることが明
らかになり、政府ですら「廃炉やむなし」を認めざるを得なくなったというのに、
原型炉より高位の実証炉、実用炉を造ろうというのだ。もんじゅはたびたび事故
を起こし、「危険な夢の炉」といわれてきた。より高位の高速増殖炉はより危険
な炉にほかならない。福島第1原発の事故によってもなお危険認識を欠く安部政
権に、どうすればその恐ろしさをわからせえることができるのだろうか。

 高速増殖炉は高速の中性子を使用することで核燃料のプルトニウムが増殖する
原子炉。冷却材として金属ナトリウムを使うが、ナトリウムは酸素と激しく化合
する性質があり、高温のナトリウムが空気に触れると、激しく燃焼する。また水
と接触すると水素が発生し、その水素が空気中の酸素と反応して爆発する危険性
がある。このため、研究者らは高速増殖炉の運転は極めて難しい、と指摘してい
る。

 しかし、国はこうした警告には耳をかさず、1983年、敦賀市にもんじゅの
設置することを許可し、91年に運転を開始。95年8月に送電を始めたが、同
12月、2次冷却系の配管からナトリウムが漏出、床ライナ(漏えいしたナトリ
ウムがコンクリートに接触することを防止するための炭素鋼製の板)を損傷させ
た。コンクリートに触れると、ナトリウム・コンクリート反応によって大量の水
素が発生して爆発する恐れがあり、もんじゅの運転は停止された。

 2010年5月、14年5カ月ぶりに運転が再開されたが、同8月、運転停止
中に燃料交換装置が原子炉内に落下する事故が起き、運転は凍結された。12年
11月には約1万点に及ぶ機器点検漏れが発覚している。

 こうした事故や管理上の欠陥などが重なって、運転したのはわずか250日だ
けだ。それにもかかわらす、国は1兆円以上の国費を投入。仮に再稼働すると、
政府の試算では耐震補強工事などで約5800億円の追加費用が必要という。政
府は「これ以上の巨額の投入は困難」と判断し、廃炉に踏み切る方針を固めた。

 問題なのは、もんじゅの失敗を反省することなく、核燃料サイクル政策を進め
る政府の姿勢だ。核燃料サイクルを維持させるために、政府は通常の原発でプル
トニウムとウランを混ぜたMOX燃料を使って発電するプルサーマル計画を立て
ている。だが現在、この発電をしているのは伊方原発3号機の1基だけ。建設中
の大間原発でフルMOX発電が計画されているが、函館市長が「フルMOXは危
険極まりない」と設置許可の取り消しを求めて行政訴訟を起こしており、プルサ
ーマル計画は暗礁にのりかかっているのが実態だ。

 そこで政府が目につけたのはフランスが30年ごろに運転を計画している新型
高速炉「ASTRID(アスリッド)」。共同研究に名乗りを上げる考えだ。こ
れを踏み台に、新たな高速増殖炉の建設する、というのが、政府が描くストーリ
ーである。

 核燃料サイクルが原発政策の根幹であり続けるのは、電力業界にとって、プル
トニウムの増殖以上にカネが増殖するからであろう。本来、原型炉が頓挫したの
だから、少なくとも実験段階に戻って、安全性(安全であるはずはないが)の研
究をし直すのが筋だ。ところが、逆に実証炉や実用炉の建設に向かうというのは、
論理的に逆立ちしている。この論理的矛盾そのものが、陰に利権がうごめいてい
ることを示しているといえるだろう。

 プルトニウムは冥王星(プルト)から命名された。しかし「人類が遭遇した物
質のなかで最高に毒性がある」といわれ、アメリカは1977年に核拡散の懸念
から原型炉の開発を無期限に延期したうえ、中止を決めた。ドイツは91年に原
型炉の建設を中止。イギリスも94年に原型炉を閉鎖した。冥王星が惑星から外
されたように、高速増殖炉も発電から外されるべき存在なのだ。

 もんじゅという原型炉の廃炉に追い込まれながら新たな高速炉を目指す日本。
その旗振りをする安部晋三首相については、「怖いもの知らず」という以外に言
葉はみつからない。
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◆「スプートニク」 >>> 引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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http://koujinnotomo.com/
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◆《News Digest》:609studio編集部
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◇◇ニュースな一口メモ 【ギャラクシーノート7】
 機内では充電も含めご使用いただけませんので、電源をお切りください。また、
機内にお持ち込みいただけますが、手荷物として貨物室にはお預かりできません。

 日本航空のWebSiteに掲載された。サムスンのギャラクシーノート7はそれ自体
が場発・発火するというまるで時限爆弾だ。
 しかし危険なのはこの機種だけでなく、一般的にリチウムイオン電池が危ない
とされている。国民生活センター商品テスト部の担当者によると、スマホや家電
製品に使われるリチウムイオン電池の事故に関する相談は、たびたび寄せられて
いるようだ。

 詳しくは↓
https://goo.gl/Sktfgb

◆◇News Digest◇◆

◆世界の話題・日本のニュース◆

トランプ氏の「わいせつ行為」 被害証言続々、本人は全面否定
http://www.afpbb.com/articles/-/3104316?cx_part=topstory

腎臓結石はジェットコースターで排出できる? 米研究
http://www.cnn.co.jp/special/science/35089759.html?tag=top;topSp

イラン外相が、ロシア外相、及び、EU上級代表とシリア情勢について協議
http://parstoday.com/ja/news/iran-i18448

トランプにここまで粘られるアメリカはバカの連合国
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-6005.php

中国覇権の背景に歴史捏造――ワシントン・シンポでも認識共有
http://www.newsweekjapan.jp/endo/2016/10/post-5.php

2島返還で平和条約は駄目=共産・小池氏
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016101100724&g=pol

領土問題、遅かれ早かれ解決=ロ大統領報道官
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016101100728&g=pol

安倍首相、南スーダンの武力衝突は「戦闘行為ではない」 厳戒視察した稲田防
衛相は...
http://www.huffingtonpost.jp/2016/10/11/sudan-pko_n_12438978.html

ドイツ人が撮った100年前以上の横浜が話題
http://jimococo.mag2.com/kanto/kanagawa/yokohamashi/12184

ウイグル族学者に人権賞 アムネスティ、中国で服役
http://this.kiji.is/158579930447380483

プーチン大統領が訪仏を中止 「戦争犯罪」の非難受け
http://www.cnn.co.jp/m/world/35090351.html

Gメール開設から10年、ユーザーが払う「無料」の代償 - (4/4)
http://www.cnn.co.jp/m/tech/35045970-4.html

境界線近くの島に無人機が墜落、北朝鮮製か
http://www.cnn.co.jp/m/world/35045972.html?tag=next


◆ロシアからのニュース◆

「世界が危険な境界線に」
ソ連の最初かつ唯一の大統領でノーベル平和賞受賞者のミハイル・ゴルバチョフ
氏は、世界が最近、危険な境界線へと到達したことを指摘し、ロシアとアメリカ
の対話の再開を呼びかけた。両国の核軍縮の始まりとなった、1986年10月11〜12
日のレイキャビク米ソ首脳会談から30周年を迎えるにあたり、「ロシア通信」が
ゴルバチョフ氏にインタビューを行った。ロシアNOWがポイントをまとめた。
http://jp.rbth.com/politics/2016/10/12/637989

キノコへの熱き思い
「静かな狩猟(キノコ採り)」は、どのロシア人でも体に染みついていると言え
る。白いキノコ(ヤマドリタケ)、キンチャクヤマイグチ、アンズタケは、児童
向けの本だけでなく、ロシアの報道でもよく見る。マスコミは、キノコ採りシー
ズンの到来を積極的に伝えている。モスクワに暮らす、ロシアNOWのドイツ人記者
ペギー・ローゼが、ロシア人のキノコに向ける情熱、自身が受けた影響について
語る。
http://jp.rbth.com/society/2016/10/13/638333

ロシア政府、プーチン大統領が仏訪問を中止した理由を説明
https://jp.sputniknews.com/politics/201610112886432/

原発利権を守る!もんじゅ廃止でも核燃料サイクル継続とはこれ如何に?
7日、経済産業省は高速増殖炉「もんじゅ」に代わる高速炉の方向性を協議する
「高速炉開発会議」の初会合を開催した。
もんじゅの廃止は、年内にも正式決定される見込みだ。
 https://jp.sputniknews.com/opinion/201610112882127/

露大統領報道官:クリル問題の解決で我々は正しい方向で進んでいる
 https://jp.sputniknews.com/politics/201610112883300/

露外務省、日本との平和条約発展の条件を語る
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官が、南クリルは第2次世界大戦の結果ロ
シアに属するもので、南クリルに対するロシアの主権は疑問視できないとの、
ロシア政府の立場を改めて強調した。
 https://jp.sputniknews.com/russia/201610052861626/
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◆編集長から:片山通夫
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 稲田防衛相の過去の発言が国会で問題になっている。ご本人は「問題ない」と
しているようだが、無責任極まりない。
 およそ国民はその人の行動・発言で判断するものだ。ところが「時の風潮や政
権中枢に気に入られるような言動を繰り返してのし上がってきた人物」が、手の
ひら返しをするなんて、政治家として全く信用できない。
 具体的に例を挙げると、
 「TPPバスの終着駅は、日本文明の墓場なのだから」と過去に発言していた
と国会で突っ込まれていた。
 http://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/1723777.html

 そのような人物を選ぶ首相もそうだが、臆面もなく大臣の座に居座る人物の神
経が分からない。早々に政治家を辞するべきだ。

 居座ると、この人、政権のアキレス腱になってしまうかも。いやすでに?
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  発行    2016年10月18日 No.781
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