|
────────────────────────────────────── 【609 Studio】メール・マガジン 2016・7・12 No.767 ────────────────────────────────────── フォト・ジャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身 氏の現代時評、ロシアやサハリンの話題、編集長のコラムなど多彩な話題満載! ────────────────────────────────────── お知らせ Lapiz2016年夏号は好評発売中です。 お買い求めは https://www.amazon.co.jp/dp/B01GBEMJQ6 ────────────────────────────────────── 【著書案内】 「追跡!あるサハリン残留朝鮮人の生涯」 片山通夫 著 日本の植民地統治が生んだ一家離散「二重徴用」「急速転換」「樺太 への逆密航」を語る貴重な証言!! 凱風社 刊 http://www.gaifu.co.jp/index.html 定価 1900円+税 ────────────────────────────────────── ◇現代時評《英国国民投票の教訓》:井上脩身 ────────────────────────────────────── 欧州連合(EU)からの離脱を問う英国の国民投票で、予想に反して離脱派が 勝利したことについて、いわゆる識者の多くは、「EUが嫌」との感情によって 投票した結果、とテレビの報道番組などで解説している。イギリス人は軽薄者ば かりと言わんばかりの寸評もネット上にまかり通っている。実際、離脱派勝利の ニュースで、世界が同時株安になるなど、政治・経済界に衝撃を与え、キャメロ ン英国首相は辞任を表明した。では、離脱に投票した人が間違っていたのだろう か。それが間違いであるならば、国民投票をする必要はなかったはずだ。国のあ りようを問う国民投票が二者択一の単純過半数方式でよいのか。これを機に考え 直すべきだろう 。 国民投票に向けて、離脱派は、EU域内から移民が押し寄せて職が奪われ、医 療や教育などの公共サービスが圧迫されていると主張。「EUから政策権限を取 り戻そう」と呼び掛けた。一方残留派はEUの単一市場から外れれば経済が深刻 な打撃を受ける」と訴えた。(6月25日付「毎日新聞」) 国民投票の結果は、「離脱」が1741万742票(51・89%)、「残留 」が1614万1241票(48・11%)と、わずかな差でEUからの離脱に 決まった。 英国は73年、EUの前身である「欧州共同体」(EC)に加盟した。 75年、ECから離脱するかの国民投票が行われ、残留に決定。93年に欧州 を単一市場とするEUが発足後も加盟国であり続けた。現在、EUには28カ国 が加盟、人口5億円、域内総生産は13兆9205ユーロ(2014年)と、全 世界の2割を占める。ギリシャ危機でも分裂を避けてきたEUだが、「大英帝国 」という過去の栄光へのプライドに足をすくわれた形だ。 だが、いかにプライドが高かろうと、またヨーロッパ各国とは海峡で隔てられ ているという地理的要因があろうと、政治的、経済的、軍事的に欧州の最も有力 な国である事実はまぎれもない。今後も、欧州とのかかわりの中で国づくりを進 めざるを得ない。その意味では、EUから離脱するかどうかは、今後の国の在り 方を、ひいては国民の暮らしぶりをも左右する極めて重要な分岐点である。この ような重大事を安易に国民投票で決めてもよいのか、国民投票をするならどのよ うな方式がふさわしいかをまず熟慮すべきだった。 投票結果が出た後、ネット上で「EUとは何か」を検索する人が多いと、よく 考えずに投票した人をやゆする報道がなされた。だが、国民のほとんどはEUの 研究家では毛頭なく、EUについての本を1冊でも読んだ人はわずかだろう。多 くの庶民の目に映るのはEUの国から渡って来た移民なのだ。その結果、離脱す べきかどうかは、EUという抽象的な問題でなく、移民という現実の問題として 判断することになる。それ自体、何ら不思議でない。 離脱派は「移民によって職が失われる」と訴えた。もし、移民の人に救助や手 助けをしてもらったことがあればどうだろう。あるいは自分たちの祖先のなかに、 移民としてアメリカに渡ったとの歴史を知っていたらどうだろう。移民の人たち とのコミュニティーができている町になっていればどうだろう。判断は変わるに 違いない。 多くの場合、民意はあやふやで、かつ揺れ動きやすいものだ。今回の国民投票 のなかに、「離脱か留任か、しばらく様子を見る」という設問が入っていれば、 かなりの人はこの様子見設問にマルをつけただろう。離脱が50%を超えること は絶対になかった。 国民投票自体は決して間違いではない。独裁者や一党独裁議会の住民抑圧政策 にノーを突きつける有力な武器であり得るからだ。だが、今回のような、国のあ りようを決める問題にイエス、ノーの二者択一は、国を二分してしまっただけだ。 このまま離脱しても、ほとんど半数の留任派は納得せず、両者に深い溝ができる だけだ。先述のように設問を三択以上にするか、3分の2以上の賛成を要する、 としておけば内部分裂を避けることができた。 我が国では憲法改正手続きとして、国民投票における過半数の賛成、を要件と している(第96条)。その設問方式についての規定はない。変えることに「賛 成」「反対」に加えて、「時期尚早」を入れたうえで、過半数を求めるべきだろ う。少なくとも憲法の大原則である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義に関 する改変には「3択方式」をとることが絶対に必要だ。 英国国民投票は安易な憲法改変国民投票をしてはならない、と教えている。 ────────────────────────────────────── ◆「スプートニク」 >>> 引用元 http://jp.sputniknews.com/ ────────────────────────────────────── ◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME) http://jp.sputniknews.com/ ◆日本関連 http://jp.sputniknews.com/japan/ ◆国際─────────────── http://jp.sputniknews.com/world/ ◆ロシア国内─────────────── http://jp.sputniknews.com/russia/ ────────────────────────────────────── 新刊ガイド《なぜヨーロッパで資本主義が生まれたか》 西洋と日本の歴史を問いなおす 関曠野 著 聞き手 三室勇 発売日:2016.05.30 定価:2,592円 サイズ:四六判 ISBNコード:978-4-7571-4346-3 http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002384 ────────────── 新刊ガイド《「大大阪」時代を築いた男 評伝・関一(第7代目大阪市長)》 大山勝男 著 定価(本体2,600円+税) 2016年2月10日発行 http://koujinnotomo.com/ ────────────────────────────────────── ◆《News Digest》:609studio編集部 ────────────────────────────────────── 《気になるニュースをひとまとめ》にして、過去一週間分をピックアップして お届けします。当編集部の独断と偏見でコメント付きで。芸能や経済などは、わ からないので極力避けておりますというか、全くスルーしますのでご理解くださ い。なお、記事を掲載したサイトがその記事を削除されている場合があります。 私どもでは責任を負いかねますので併せてご了解ください。 ◆◆ニュースな一口メモ 【バングラディッシュ】 バングラデシュ人民共和国(People's Republic of Bangladesh ベンガル語、 通称バングラデシュは、南アジアにあるイスラム教徒主体の国。イギリス連邦加 盟国、通貨はタカ、人口1億5,250万人、首都はダッカ。バングラデシュはベンガ ル語で「ベンガル人の国」を意味する。(ウイキペディア) ⇒主要産業は衣料品・縫製品産業、農業等。人件費が比較的安価なので、外国企 業の進出が多い。わが国とは経済協力関係を中心に友好関係が発展。極めて親日 的な国民性。 ◆◆News Digest ⇔国内⇔ ◇自由は土佐の山間より http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016060802000131.html ◇凍土壁、セメント追加注入を検討 一部温度下がらず、東電 http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/science/science/1-0290748.html ◇小泉氏のイラク戦争支持「妥当」 安倍政権、英と一線画す http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0290698-s.html ◇北電、免震棟撤回を検討 耐震施設に 泊再稼働を促進 http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/science/science/1-0290880-s.html ◇宇都宮氏が都知事選出馬へ 元日弁連会長、11日に表明 http://www.47news.jp/news/2016/07/post_20160708095359.html ◇<社説>軍属の対象縮小 しっぽ切りでは収まらない http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-311199.html ◇ダッカ事件「私は日本人だ」の訴えを無にするな http://www.newsweekjapan.jp/kawakami/2016/07/post-18.php ◇巨大機関投資家GPIFは「危機的状況」にある http://toyokeizai.net/articles/-/125741 ◇軍艦島、建物群の設計図発見 アパート・学校…24施設 http://www.asahi.com/articles/ASJ755FXCJ75TOLB00T.html ⇔国際⇔ ◇英EU離脱、女性首相が主導へ 男性候補が党首選で脱落 http://www.cnn.co.jp/world/35085556.html?tag=top;mainStory ⇒まだ見込みだが、アメリカの次期大統領はヒラリー・クリントン氏、そしてイ ギリスは・・・。そういえばドイツの首相も韓国の大統領も女性だ。わが国は? ◇黒人女性レポーター、取材中に白人女性から差別的な罵倒を受ける。 しかし...(動画) http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/05/reporter_n_10809532.html ◇プーチン氏、雲隠れ?=出張中止、健康不安説も−ロシア http://www.jiji.com/jc/article?k=2016070700490&g=int ◇レバノン:レバノン政府軍がバアルベックの難民キャンプを攻撃、103人のシリ ア人を逮捕 al-Quds al-Arabi紙 2016-06-28 翻訳者:阿部光太郎 http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=40769 ◇ロシアがISIS対策でシリアに空母を派遣 http://parstoday.com/ja/news/world-i11893 ◇稚内とサハリン結ぶ定期フェリー再開へ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160704/k10010582801000.html ◇台湾、香港の抵抗運動に手を焼く中国 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7184 ◇テロ実行犯「外国人と異教徒を殺しにきた」 日本人残るよう指示 http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201607/CK2016070402000106.html ◇中国、南シナ海問題での意外な思考原理と日本への本音 http://diamond.jp/articles/-/94699 ◇中国は戦前の日本と同じ過ちを犯し自滅に向かっている http://diamond.jp/articles/-/94064 ◇見捨てられる?英領ジブラルタル=EU離脱でスペイン国境封鎖か http://www.jiji.com/jc/article?k=2016070400468&g=int ◇サハリン南部が自由港に http://jp.rbth.com/news/2016/07/02/608179 ◇木を抱いた男性のミイラ、ロシアで発見 http://jp.sputniknews.com/incidents/20160706/2432014.html ◇EU、ロボットに税金支払いを義務付ける http://jp.sputniknews.com/europe/20160706/2429374.html ◇国連:日本には移民が緊要 http://jp.sputniknews.com/japan/20160707/2436888.html ──────────────────────────────────── ◆編集長から: 片山通夫 ──────────────────────────────────── 暑中お見舞い申し上げます。この号が出る頃には、参議院選の結果が・・・。 マスコミの予想が外れることを祈りながら書いています。 とうとう、テロリストのターゲットに「日本人」が含まれてしまったようだ。 インドネシアやフィリピン、インド、それにマレーシアなどには日本人若しくは 日本企業が多く進出している。簡単にターゲットになりそうで恐ろしい。 我が国の政府はどのような安全対策を考えて、とっているのか? 万全を期してもらいたいものだ。 バングラディッシュの事件ではいわゆる裕福層、インテリ層が犯人だったとい う。今までは「貧困層が社会に不満を持って・・・」というステレオタイプな思 考で来ていたが、どうもそうではない・・なんて新聞などでは取りざたされてい る。しかし筆者に言わせれば「何を今更」だ。オサマ・ビン・ラディンは、サウ ジアラビアの財閥の息子だ。 詳しくは https://goo.gl/gFz2Te 経済的な理由だけでは理解しにくい面があることを肝に銘じなければ。 ひとつ提案だが、イスラムの若者に対する教育に日本はお金を出すというのは どうだろう。勿論時間もかかるし、困難な仕事だと思う。しかしイスラムの若者 の心を掴み、テロに走らせないための「遠大な計画」を我が国はすべきだと思う。 「テロとの戦い」に莫大な金を出す愚挙を改めて…。 間違ってはいけないのは、その教育制度はあくまでイスラムの人たちに任せて の話だ。そして継続することが重要だ。 土佐の高知に高知市立自由民権記念館というものがあるそうだ。 自由民権運動の板垣退助は土佐藩士だった。また自由闊達な男、坂本龍馬も土 佐出身だ。東京新聞の論説に「自由は土佐の山間より」と題した一編(井上能行 )がある。 その冒頭に次のような一文があった。 《高知市を訪ねた。高知城を歩いていると、よさこい節が聞こえてきた。近づく と、上町よさこい連の子どもたちが踊っている。ほぼ全員が女の子。「坊さん、 かんざし買うを見た」という歌詞は向かないなあと思ったら「粋な自由の風が吹 く」という歌声が聞こえた。上町は坂本龍馬が生まれ育った町。さすがに替え歌 も違うと感心した。》とあった。 一読をお勧めしたい。 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016060802000131.html ──────────────────────────────────── 発行 2016年7月12日 No.767 発行 毎週火曜日 購読料無料 FB https://www.facebook.com/michio.katayama.5 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 contact us http://www.609studio.com/html/mailform.html website http://www.609studio.com/ 投稿 http://www3.ezbbs.net/06/609studio/ 購読 解除 http://archive.mag2.com/0000052236/index.html ◇禁・無断転載◇ ──────────────────────────────────── |