609studio　No.759　◆現代時評《死の灰隠しの罪を問う》：井上脩身 2016/05/17

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タイトル：609studio　No.759　◆現代時評《死の灰隠しの罪を問う》：井上脩身 2016/05/17

────────────────────────────────────── 【609 Studio】メール・マガジン　２０１６・５・１７　No.７５９ ────────────────────────────────────── フォト・ジャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏の現代時評、ロシアやサハリンの話題、編集長のコラムなど多彩な話題満載！　 ────────────────────────────────────── お願い！　河童（かっぱ）を見かけられた方、もしくはその情報、また、河童にまつわる話など河童に関するあらゆる情報をお寄せください。次号のLapiz夏号に掲載します。採用分は片山通夫撮影のキューバ・ポストカードを進呈。　情報はこちらへ。http://609studio.com/contact-to-us 　ポストカードの詳細はこちらへ。 http://609studio.com/archives/1645 ────────────────────────────────────── お知らせ　　　　　　　Lapiz２０１６年夏号は６月１日発売です。　　　　　　　　　　http://lapiz-international.com/ ────────────────────────────────────── 　　　【著書案内】　　　　「追跡！あるサハリン残留朝鮮人の生涯」片山通夫　著　日本の植民地統治が生んだ一家離散「二重徴用」「急速転換」「樺太　への逆密航」を語る貴重な証言！！　　凱風社　刊　http：//www.gaifu.co.jp/index.html 　　　　　　　　　　　定価　１９００円＋税 ────────────────────────────────────── ◆現代時評《死の灰隠しの罪を問う》：井上脩身 ────────────────────────────────────── 　１９５４年にアメリカがビキニ環礁で行った水爆実験で被ばくした元漁船員やその遺族が９日、６５００万円の支払いを求める国家賠償請求訴訟を高知地裁に起こした。５５年１月、第五福竜丸船員の被ばくについて日米間で政治決着して以降、国は他の船の被ばく検査結果を隠してきた。この訴訟は公表しなかった国の不作為責任を問うものだが、見落としてはならないのは、５５年１月、米下院議員が日本に原発をつくる決議を下院議会に求めていたことだ。５５年１月はビキニ被ばくを過去のものとし、原発推進の起点となった時といえるのだ。その陰で第五福竜丸以外の被ばく漁船員たちは切り捨てられたのである。問われるべきなのは、船員の健康よりもアメリカに顔を向けた日本政府の核政策である。　問題の水爆実験は太平洋のビキニ環礁で３月から５月にかけて６回にわたって行われた。このうち３月１日の「ブラボー実験」で、静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員２３人が被ばくした。５５年１月、日本政府はアメリカの法的責任を問うことなく、「見舞金」として２００万ドル（約７億２０００万円＝当時）を受け取ることで米国側と合意し、政治決着した。　実験当時、周辺海域には延べ１０００隻以上の日本船が航行していたとみられ、政府はビキニ環礁付近から帰港した船を対象に乗組員や魚の放射線量を検査した。しかし、国は国会で「調査資料が見つからない」と答弁、第五福竜丸以外の被ばく実態を明らかにしなかった。高知県の市民団体が開示を請求し続け、実験から６０年後の２０１４年、国はようやく資料の公開に応じた。開示された資料によると、調査対象の船は延べ５５６隻にのぼり、１２隻の船員に一定量以上の被ばくが見られた。（１０日付毎日新聞）　今回の訴訟は６０年間に及ぶ国の不作為を追及する形で行われた。元船員２３人、遺族２０人、支援者２人の計４５人が原告となり、「政治決着は政府の裁量権を超えて違法」と主張。「政治決着によって補償の請求行為を放棄したうえ、第五福竜丸以外の被ばくに関する検査記録を故意に開示しなかったため、被ばくの解明が遅れ、米国への賠償請求などの救済機会を失った」として、元船員１人当たり２００万円の慰謝料などの支払いを国に求めた。裁判である以上、法廷では国が賠償をすべきかどうかが争われる。だが、ここで注視しなければならないのは、なぜ５５年１月、日米政府が大急ぎで決着に持ち込んだか、である。実は５５年１月、シドニー・イェーツ下院議員が下院議会に一つの決議案を提出したのだ。その要点は①米政府は日本政府と協力し、日本で発電用原子炉の建設に着手する②広島に原子力平和利用の中心とすることに、米政府は助力する――というものだ。（有馬哲夫『原発と原爆』文春新書）原子力の平和利用については、５３年１２月、アイゼンハワー大統領が国連演説の中で提唱したことが知られているが、イェーツ氏はさらに日本向けに具体的に提案したのだ。驚いたことに同氏は「ヒロシマ原発」まで言及している。ビキニ被ばくの半年後、無線長の久保山愛吉さん（当時４０歳）が死亡。全国に原水爆実験反対運動が広がるなか、先述したように国は５５年１月、米政府と政治決着をした。イェーツ提案とリンクした動きとみるべきだろう。実際、米政府は同じ１月に、日本政府に対し、平和利用に関する協力協定を結ぶならば、濃縮ウラン１００㌔㌘を提供する、と申し出ている。このころ、後に初代原子力委員長になって「毒をもって毒を制す」と、原発政策の中心になる正力松太郎氏が衆院選に初出馬し、選挙運動をしていた。第五福竜丸から原発へ、は保守勢力の政治的底流となっていたのだ。　第五福竜丸の乗組員だった大石又七さんが９１年、手記『死の灰を背負って』（新潮社）を上梓した。その中で、「原子力の利用がどんどん進んでいるが、事故はどんなに気をつけていても起こる」と、被ばく体験者としての不安感を綴っている。本の刊行から２０年後に不安が的中、福島第１原発が事故を起こした。ビキニ環礁で被ばくした船員たちに政府がきちんと向き合い、彼らの死の灰への不安に耳を傾けていたら、原発についての「安全神話路線」をまい進することにはならなかったに違いない。この訴訟は、国に賠償責任があるかどうかを争うだけの裁判にとどまらず、死の灰隠しの罪を問う裁判なのである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ────────────────────────────────────── ◆「スプートニク」　>>>　引用元　http：//jp.sputniknews.com/ ────────────────────────────────────── ◆情報通信・ラジオ「スプートニク」（HOME) 　http：//jp.sputniknews.com/ ◆日本関連　http：//jp.sputniknews.com/japan/ ◆国際─────────────── 　http：//jp.sputniknews.com/world/ ◆ロシア国内─────────────── 　http：//jp.sputniknews.com/russia/ ────────────────────────────────────── ◆一口メモ　【パナマ文書】 ────────────────────────────────────── パナマ文書（パナマぶんしょ、英語: Panama Papers）は、パナマの法律事務所、モサック・フォンセカ (Mossack Fonseca) によって作成された一連の機密文書である。文書は1970年代から作成されたもので、総数は1150万件に上る。文書にはオフショア金融センターを利用する21万4000社の企業の、株主や取締役などの情報を含む詳細な情報が書かれている。これらの企業の関係者には多くの著名な政治家や富裕層の人々がおり、公的組織も存在する。合計2.6テラバイト (TB) に及ぶ文書は匿名で2015年にドイツの新聞社『南ドイツ新聞』に漏らされ、その後、ワシントンD.C.にある国際調査報道ジャーナリスト連合 (ICIJ) にも送られた。 80か国107社の報道機関に所属する約400名のジャーナリストが文書の分析に加わった。2016年4月3日、この文書についての報道は149件の文書とともに発表された。関連企業・個人リストの一部追加で20万社超の法人情報は同年5月10日日本時間では3:00に公開されオフショアリークスの検索システム（ICIJ Offshore Leaks Database）に統合された、完成版は随時発表される予定である。（ウイキペディア）また共同通信は５月１０日、次のように報じた。　先週、国際調査報道ジャーナリスト連合（ICIJ）は、タックスヘイブン（租税回避地）に設立された21万社以上の法人と、関連する約36万の企業や個人名、住所のリストをホームページで公表した。分析作業を進めるため、市民らからの情報に期待している。　パナマ文書は、租税回避地での法人設立を請け負うパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」が、英領バージン諸島など21の回避地で設立した法人に関する資料。リストは、約1150万通にも上る膨大な資料から、ICIJが作成した。　アドレスはhttps://offshoreleaks.icij.org ──────────────────────────────────── ◆編集長から：　片山通夫 ──────────────────────────────────── タックス・ヘイブン(租税回避地)を使った「オフショア取引」の実態を詳細に記録したデータ「パナマ文書」が法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した。我が国でも大騒ぎになるだろうと注意深く見ているが、あまり話題にもならないようだ。　現在我が国は借金まみれで赤字国債を垂れ流しながら、毎年の国家予算を創生している。そして大多数の国民はパナマ文書などに無関係に《税を納めて》生活をしている。そしてその上に胡坐をかく一部の企業や個人は《合法的に》もしくは《適切に》タックス・ヘイブンを利用して国に税金を納めていないという。　ソウルで以前こんな話を聞いたことがある。裕福な韓国人の子弟は欧米に留学させ、就職もその地で。将来、彼らはその地に両親を呼び寄せて・・・。　むろん、裕福でなければこんなことはできない。　国民はもっと怒らなければならない。　「経済で結果を出す」という安倍政権に。 https://www.jimin.jp/news/activities/130772.html 　国が亡ぶ前兆だと感じるのは筆者だけか。 ──────────────────────────────────── 発行　　　　　２０１６年５月１７日　No.７５９発行　　　　　毎週火曜日　　購読料無料 FB　　https：//www.facebook.com/michio.katayama.5 　配信まぐまぐ配信システム ID：0000052236 MailuX配信システム ID：MM3E1B97842E020 contact us http：//www.609studio.com/html/mailform.html website http：//www.609studio.com/ 投稿　　 http：//www3.ezbbs.net/06/609studio/ 購読解除　http：//archive.mag2.com/0000052236/index.html 　　　　　　　　　　　◇禁・無断転載◇ ────────────────────────────────────

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