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タイトル:609studio No.757 ◆現代時評《ハンセン病裁判と菊池事件》: 井上脩身  2016/05/03


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【609 Studio】メール・マガジン 2016・5・3 No.757
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
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◆現代時評《ハンセン病裁判と菊池事件》: 井上脩身
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 ハンセン病患者の裁判が裁判所外の隔離施設などに設置された「特別法廷」で
開かれたことについて、最高裁は25日、「差別的な取り扱いで違法」とする調
査報告書を公表し、「偏見、差別を助長し、人格と尊厳を傷つけたことを深く反
省し、おわび申し上げる」と謝罪した。だが、患者側が主張する「憲法違反」に
ついては、口頭で「法の下の平等に違反した疑いがある」と述べたにとどまった。
それにも増して問題なのは、1960年以降の特別法廷に区切ったことである。
59年以前の特別法廷で差別扱いされた人はおわびの対象ではないのだ。「ぬれ
ぎぬ」と無実を訴え続けて絞首台に消えた菊池事件の藤本松夫さんの無念を思う
と、心がこもっていない言葉だけの謝罪に、私は憤りを覚えた。

 報道によると、1948年の裁判官会議で、ハンセン病患者の特別法廷指定は
事務総局で処理することに決定。同総局は患者の病状や科学的知見を検討せず、
ハンセン病にかかっていれば特別法廷の必要性を認めた。患者の特別法廷許可率
が99%に上っていたことから、同報告書は「ハンセン病にのみ差別的な取り扱
いが行われていたことが強く疑われる」と分析。60年ごろには治療薬の普及で
確実に治る病気になっていたことなどから、「遅くとも60年以降は、裁判所法
に違反する」と結論づけた。しかし、正門などに開廷を知らせる告示がされてい
た、として憲法違反でないとした。

 ハンセン病患者の裁判問題を考えるうえで欠かすことができないのは熊本県で
起きた菊池事件だ。最高裁の公表を受けて、元患者は「(同事件の特別法廷は)
背丈を超えるくじら幕で覆われ、中で何をしているのかわからんかった。裁判が
公開されていたとは思えない」と証言した。(26日付毎日新聞)

 菊池事件は藤本事件とも呼ばれている。日弁連が1977年に編集した『再審
』(日本評論社)によると、51年8月、熊本県菊池市の役場職員Fさん方にダ
イナマイトが投げ込まれ、Fさんと4歳の次男が軽傷を負った。この地区に住む
藤本松夫さん(当時29歳)が犯人とされた。

 藤本さんは「身に覚えはない」と犯行を一貫して否認したが、52年、熊本地
裁の出張裁判で「被害者が県衛生課に、藤本さんをハンセン病患者と報告したの
を恨んで凶行に及んだ」として、懲役10年の判決が言い渡された。藤本さんは
福岡高裁に控訴したが、その裁判中に国立らい療養所菊池恵楓園内の熊本刑務所
代用留置所から抜け出し、指名手配された。

 その3週間後、Fさんが惨殺死体で見つかった。さらに6日後、藤本さんが小
屋に潜んでいるところを発見され、警察官らに包囲された。小屋から飛び出した
ところ、拳銃で撃たれ殺人容疑で逮捕された。銃弾が貫通した腕が痛むなか、取
り調べが行われた。

 熊本地裁で行われた第1審裁判は、ハンセン病患者だけが収容されていた熊本
刑務所菊池支所の特設法廷で開かれた。同地裁は53年、逮捕直後の供述などを
証拠に藤本さんに死刑を言い渡し、57年、最高裁で死刑が確定した。

 第1審の特設法廷について、「裁判公開の原則に値しない劣悪な状況下で行わ
れたもので、らいに対する予断と偏見による公判」として、全国国立療養所ハン
セン病患者協議会(全患協)が救援活動を展開。弁護団も、藤本さんの叔父、叔
母の(藤本さんに)不利な供述は警察の威圧と虚構によるもの、として57年に
第1回の、61年に第2回、さらに62年に第3回の再審請求をした。ところが、
62年8月、法務大臣が死刑執行指揮書に押印し、2日後、熊本地裁は再審請求
の棄却を決定。即日、藤本さんは福岡刑務所で処刑された。

 同事件では12年、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療養協)など3団
体が熊本地検に再審請求をするよう要請した。再審弁護団長の徳田靖之弁護士は
「60年以降に限定したのは菊池事件の再審に影響することを恐れたのではない
か」とみる。(26日前掲紙記事)

 憲法で保障されている人権が60年で区切られる理由は全くない。百歩譲って
も60年当時、藤本さんは再審請求中だった。
 藤本さんの再審が認められない限り、「人格と尊厳を傷つけたことを深く反省
しおわび」したことにはならない。
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◆「スプートニク」 >>> 引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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◆一口メモ 【不謹慎自警団】
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  不謹慎自警団とは、先の東日本大震災でも出没したが、今回の熊本地震でも出
没している輩を指す。具体的には、いかにも善意の第三者のごとく「こんな時に
不謹慎だ」とか、ブログやツイッターなどで、タレントなどが自身の被災状況を
書いたりすることに「不謹慎だ」と中傷する輩のことを指す。
 最も顕著な例を見つけたので、紹介する。
(引用)熊本在住のタレントで今回の地震における被災者でもある井上晴美さん
は、被災地の情報を知ってもらおうと情報発信していた。彼女自身、家を失い、
夫や二人の子どもと避難生活を強いられる中、現場の情報を発信しようと必死だ
ったのだ。ところが、そんな彼女に追い打ちをかけるように批判を浴びせる人物
も少なくなかったようだ。傷付く彼女はブログを通じた情報発信をやめると宣言
した。http://toyokeizai.net/articles/-/115734  (最近再開されたようだ)

 当然匿名の書き込みであり、無責任極まりないのだが、本人は真面目なつもり
なのがいただけない。まるで戦前の「非国民」呼ばわりを思わせる。
 悪質なデマを飛ばす輩も含めて自戒すべきではないかと思う。
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◆編集長から: 片山通夫
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 4月29日の沖縄タイムス電子版に「「琉球王国」認めない 日本政府との歴
史認識に深い溝」という記事が掲載されている。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=166050&f=i

 簡単に言うと、日本政府は沖縄に過去に存在した琉球王国を認めず、国連人種
差別撤廃委員会などが沖縄県民を「先住民」と認定したことに対して撤回を要求す
るというものである。故に沖縄の民族は「先住民ではない」とし、我が国におけ
る先住民はアイヌ民族だけだということにしたい模様だ。

 しかし過去に琉球王国(正しくは琉球國)が1429年から1879年の45
0年間存在したことは、れっきとした史実である。この1879年に琉球は明治
政府の「処分」により解体された。まず「藩」に(1872)、次いで一県とさ
れ、ここに琉球王国は消滅したわけである。

 詳しくはこちら。  http://goo.gl/xZaffT

 では国連はいつこの勧告を出したのか調べてみたら、2008年の自由権規約
委員会の最終見解で琉球、沖縄の人々を「先住民族として明確に認め(中略)彼
らの土地の権利を認めるべきだ」と勧告した。(沖縄タイムス)ずいぶん以前の
ことだ。

 我が国は過去にこうと決めたら、のちに改めるということをしない。
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  発行     2016年5月3日 No.757
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