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タイトル:609studio No.755 ◆現代時評《「核兵器禁止せず」の閣議決定》:井上脩身  2016/04/19


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【609 Studio】メール・マガジン 2016・4・19 No.755
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
の現代時評、ロシアやサハリンの話題、編集長のコラムなど多彩な話題満載! 
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◆現代時評《「核兵器禁止せず」の閣議決定》:井上脩身
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 政府は1日の閣議で、「憲法9条は核兵器の保有、使用を禁止していない」と
の答弁書を決定した。安倍晋三首相の防衛・外交政策がアーミテージレポートを
下敷きにしていることは、本稿で再三にわたって指摘してきたが、同レポートに
従って核保有についても積極的な姿勢であることが明らかになった。ところがこ
の閣議決定をマスコミは無視、または軽視した。安倍首相の底意が見抜けなかっ
たのであろうか。「温室ジャーナリズム」というほかない。

 私(筆者)は3日のTBSの「サンデーモーニング」で閣議決定を知った。1
面級ニュース、と思った。しかし、そのような新聞記事を見た覚えはなかった。
2日付毎日新聞を繰ってみると、中面に「法理論上、核保有禁止されていない」
の見出しでわずか8行の雑報扱い。同日付朝日新聞は中面に「9条は核兵器禁止
せず」の2段見出し。読売新聞と産経新聞は掲載すらしていない。

 朝日の記事によると、民進党の逢坂誠二氏と無所属の鈴木貴子氏の質問主意書
に答えた。答弁書では、憲法9条の解釈として「自衛のための必要最小限度の実
力を保持することは禁止されておらず、核兵器であっても、仮にそのような限度
にとどまるものがあるとすれば、必ずしも憲法の禁止するところではない」とし
たうえで「憲法9条は一切の核兵器の保有および使用を禁止しているわけではな
い」と結論付けた。併せて「非核三原則により、政策上の方針として一切の核兵
器を保有しないという原則を堅持している」との見解も示した。

 核兵器の保有問題については1978年、福田赳夫首相が国会答弁で「憲法9
条の解釈として必要最小限の自衛のためなら持ち得るが、非核三原則を国是とし
ている」と述べている。毎日が閣議決定を軽視、読売と産経が無視したのは、「
従来通りの方針を示したに過ぎない」と判断したからであろう。
 はたして「従来通り」なのだろうか。
以前、本稿で取り上げたが、2000年にアーミテージ元米国務副長官は「米国
と日本 成熟したパートナーシップに向けての前進」と題するレポートで、「集
団的自衛権の行使禁止の撤回」を日本に求めた。その中で、日米同盟について「
米英間の特別な関係がモデル」として、米英間のような関係になるよう要望した。
米英関係というのは、イギリスがアメリカから提供された核ミサイルで核戦略を
立てていることを指す。

 さらに12年のレポートでは、これを具体化させる形で軍事面の技術協力と共
同研究開発を提言した。ここでは核兵器という言葉は使われていないが、核大国
のアメリカとの共同研究である以上、核兵器も視野に入れての要望、とみるのが
自然だろう。
 安倍首相はこれまで同レポートの提言を受けて、武器輸出三原則の緩和、特定
秘密保護法の制定、原発再稼働、集団的自衛権行使のための法制整備などを進め、
憲法改定についても今夏の参院選で大勝すれば実行に移す構えだ。残るのは核開
発研究に向けての非核三原則の骨抜きである。
 私は誰か(恐らく麻生副総理)に失言の形で「核の保有も必要」と言わせ、慌
てて「非核三原則は変えない」と安倍首相が火消しをする形をとるだろうと思っ
た。しかし私の見通しは全く甘かった。いきなり閣議で「憲法は核保有を禁止さ
れていない」としたのである。狙いが「中国、北朝鮮に対抗するために核武装が
必要」との雰囲気づくりであることは言うまでもない。

 安倍首相はまず「核開発研究は非核三原則に該当しない」として、いずれかの
時期にアメリカとの共同核開発研究に踏み出したうえで、核の持ち込み禁止の要
件緩和など、非核三原則の骨抜き化を図る、と私は予想している。
 時あたかも集団的自衛権を行使し得る安保法が施行されたばかりである。今回
の閣議決定は従来通りでは決してないのだ。安倍政権の戦争への暴走を食い止め
るのがジャーナリズムに課せられた最大の責務であろう。その根本精神を失って
いるのではないか。背筋が寒くなる。
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◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄《ミャンマー 維新(4)》:みなみうら・くにひと                                                
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  3月末 現大統領のテインセインの任期が終わり、新政権が新しい大統領のも
とで正式に発足する。
 当面の最大課題が正副大統領の選出である(注記:その後3月15日、ティンチ
ョーに決定しました)。上院と下院の各民選議員と、上下院の25%を占める軍人
議員、それぞれがひとりずつの大統領候補を計3名選び、全議員の決選投票で大統
領と、ふたりの副大統領を決定する。新与党のNLDは軍人議席を含む全議席の過半
数を制している。NLD内から大統領が選ばれることは確定している。

 しかし現行憲法は外国人の家族をもつ者の大統領資格を認めないと規定してい
る(59条F)。英国籍のふたりの息子をもつスーチーは大統領になれない。NLDは
「スーチー氏のいうことを何でも聞く人物を暫定的な大統領にかつぎ、憲法改正
を図ってスーチー大統領の誕生を目指す」考えだといわれている。
 スーチーは「自分がすべてを決定する」「私は大統領を上回る存在になる」「
国際会議には私が行く。大統領は私の隣に座ることができる」と語っており、国
内のみならず外交も主導する構えだ。4月以降、まずSEAN加盟諸国を訪問し、その
後に中国と日本を同時に訪れる考えだそうだ。
 NLD女性新人、キンサンライン下院議員は「われわれの大統領はスーチー氏しか
いない」。各国外交筋は「国民はスーチーがすべてを決めることを望んでNLDに投
票している」
 憲法の改正には国会議員の4分の3を超す賛成が必要である。しかし上下両院定
数の4分の1を占める軍人議員の同意が、すなわち国軍トップの賛同が不可欠であ
る。スーチーは国軍の最長老のタンシュエ元上級大将と、ミンアウンフライン国
軍総司令官との対話を進めている。

 おそらく当面はスーチー側近がつなぎの暫定大統領をつとめ、年内に憲法改正
を目指して、そこでスーチーに大統領を譲るのではないかとみられている。ティ
ンウー党最高顧問は「年内のスーチー氏の大統領就任を目指す」と語っている。
彼が最有力の大統領候補だが年齢は88歳である。ティンウーは社会主義政権の19
70年代に国防相をつとめた元国軍幹部であるが、民主化運動を政府が弾圧したの
に反発してNLDに合流した。軍政時代には政治犯として収監されていた。

 暫定大統領候補としては、ティンミョーウィンの名もあがっている。彼は長年
にわたってスーチーを支えた主治医であり、政治犯とみなされ3年間服役した民
主活動の同志でもある。
 大統領候補者としてほかに、弁護士のニャンウィンやウィンテイン、そしてシ
ュエマンの名もある。シュエマンはUSDP幹部で、かつては軍政ナンバースリーだ
ったが、スーチーに同調したことで総選挙直前に党首を解任されていた。みな高
齢である。

 憲法規定59条Fを停止する法案の提出も取りざたされたようだ。新法案は一般法
のため、NLDは議席の上では可決が可能である。だが国軍がそのような例外的立法
を認めるであろうか。ひとつでも例外を認めれば、軍がつくった憲法は一般法によ
って骨抜きになってしまうことが危惧されるであろう。軍機関紙も2月1日付の論
説で「59条Fの改正は永久に認められない」としている。軍人議員の反対を押し切
ってまでの強行採決は、国軍によるクーデターを招きかねず、NLDは法案提出を見
送るのではないか。ある同党幹部は最近の意向として「新大統領を儀礼的役職と
位置づけ、与党党首(スーチー)が政権を統制することを議論している」

 ところが解決のための盲点がひとつある。スーチーのふたりの息子がイギリス
人だから憲法59条Fに抵触している。それなら子どもたちふたりがミャンマー国籍
を取得すればどうなのか? 昨年の9月、NLDのニャンウィン報道官は「スーチーの
息子たちがミャンマー籍に戻れば可能性はある」と述べている。ただ長男との不仲
説がうわさされるスーチーは以前から「成人した息子を説得するつもりはない」
と話し、報道官も「状況はきびしい」と首を振った。国民の英雄で、スーパーレデ
ィと呼ばれているアウンサンスーチーだが、家庭内は意外と複雑のようだ。

 3月下旬に選出される新政権の大統領はなかなか決まりそうにないが、スーチー
周辺の幹部は内閣の構成について「新人議員の多いNLDは人材に乏しい。野党や民
間人や少数民族から広く人材を集め、挙国一致内閣になる見通しだ」。ミャンマ
ーの維新の成功を祈る

<2016年3月20日>
「ふろむ京都山麓」 http://blog.goo.ne.jp/0000cdw
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◆「スプートニク」 >>> 引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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◆一口メモ 【中央構造線】
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 関東から九州へ、西南日本を縦断する大断層系で、1885年(明治18年)にハイ
ンリッヒ・エドムント・ナウマンにより命名される。中央構造線を境に北側を西
南日本内帯、南側を西南日本外帯と呼んで区別している。一部は活断層である 。

 詳細は http://bit.ly/1W5NfRN
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◆編集長から: 片山通夫
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 強烈な大地震が九州で起きている。被害は甚大だ。まずは被害にあわれた方に
お見舞いを申し上げたい。

 この稿を書いている16日土曜日の午後にも、頻繁に地震の報が届く。九州の
知り合いは幸いにして無事なようだが、油断はできない。
 明日から雨が降るようだ。緩んだ地盤が心配である。

 そんな中、「井戸に毒」というようなデマを流している輩がいる。最悪だ。こ
んなデマに惑わされないよう落ち着いて行動したい。
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  発行     2016年4月19日  No.755
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