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タイトル:609studio No.729 ◆現代時評《ガラパゴス化した政権とマスコミ》:片山通夫  2015/10/20


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【609 Studio】メール・マガジン 2015・10・20 No.729
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
の現代時評、ロシアやサハリン の話題、編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評《ガラパゴス化した政権とマスコミ》:片山通夫
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 ウイキペディアで調べてみた。
 ガラパゴス化(ガラパゴスか、Galapagosization)とは日本で生まれたビジネ
ス用語のひとつで、孤立した環境(日本市場)で「最適化」が著しく進行すると、
エリア外との互換性を失い孤立して取り残されるだけでなく、外部(外国)から
適応性(汎用性)と生存能力(低価格)の高い種(製品・技術)が導入されると
最終的に淘汰される危険に陥るという、進化論におけるガラパゴス諸島の生態系
になぞらえた警句である。ガラパゴス現象(Galapagos Syndrome)とも言う。

 毎年秋9月の第3週目の火曜日になるとニューヨークでは国連総会が開かれる。
今年も開催された。安倍首相は総会後の記者会見で、国内でのそれと同じように、
シナリオ通りに会見を進めようと目論んだ。つまり、国内の記者クラブでやるよ
うなシナリオを作り、NHKだの大手新聞社の「鮨仲間、てんぷら仲間のお友達
記者」にシナリオを読ませ、それに得々と答えたわけだ。そして日本のお友達記
者たちは「国連の安保理常任理事国入りに言及したこと」などを華々しく伝えた。

 しかしそのような「出来レース」は国際舞台では通用しなかった。その会見に
同席したロイター通信の記者が「あなたはシリアの難民問題で支援を表明したが、
なぜ難民を受け入れないのか?」と質問すると、通訳を通して質問を理解した安
倍首相の表情が強張った。実は、その質問に慌てたのは安倍首相だけではなかっ
た。会見場にいた日本人記者全員が「予定外」の質問にざわめきたったのだ。
(この項iAsia)

 またiAsiaは「質問事項をあらかじめ提出しろということですから驚きました。
そんなことは、アメリカでは記者倫理に違反する行為です。ところが、それは日
本の政府と記者との間では常に行われていることだというではありませんか。本
気かよ?と思ったのは私だけじゃありませんよ」と初めて日本の首相の会見に臨
んだアメリカの雑誌記者の言葉を伝えている。

 前述のロイターの記者の質問に安倍首相は「今回の難民に対する対応の問題で
あります」と切り出し、「人口問題として申し上げれば、我々はいわば移民を受
け入れるよりも前にやるべきことがあり、それは女性の活躍であり、あるいは高
齢者の活躍であり、そして出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手があると
いうことでもあります」と言ってのけた。

 意味不明としか言いようがない回答だというのが大方の理解だ。「女性の活躍
」も「高齢者の活躍」も「出生率を上げる」ことも人口問題としては重要なテー
マだ。しかし、今そこにいるシリアの難民に関する質問の回答にはなっていない。
 
 ここで安倍首相の馬鹿さ加減、能力不足をあげつらうことはしない。しかし、
日本を代表する大手マスコミが「出来レース」的会見しかニューヨークで出来な
いのなら、アメリカまで行く必要はない。そんな会見にぞろぞろ金魚の糞のごと
く首相についてゆく費用がもったいない。あらかじめプリントしたインタビュー
メモを外務省なのか内閣府なのかは知らないが、もらっておけば事足りるわけだ。
 
 こんなことを書いているとき、こんなニュースが流れてきた。
「英紙『Times』がNHK内部文書を暴露。安倍政権がNHKに南京大虐殺や慰
安婦問題への言及を禁止」とある。
 Timesが暴露した文章によると、NHKは安倍政権から南京大虐殺や慰安婦問題な
どへの言及を禁止されていた。安倍政権側はNHKに強く日本の保守的な民族主義と
政府の立場を反映するように命令し、NHKもそれに従っていたという話。
 http://www.thetimes.co.uk/tto/news/world/asia/article4239769.ece

 何をかいわんやだ。
 
 さて話は変わって、1976年というからだいぶ昔の話だ。
 読売新聞大阪本社社会部部長に黒田清という方がいた。この社会部チームの記
者は在京のメディアから「新しい新聞記者集団」として「黒田軍団」と名付けら
れ注目を集めた。読売新聞大阪社会部として、1984年には「警官汚職」で日
本ノンフィクション賞、1985年に「戦争」で菊池寛賞をそれぞれ獲得したと
いう。

 ところが読売新聞の当時の論説委員長は渡邉恒雄氏(ナベツネ)だった。黒田
軍団の反権力、反差別、革新・左派色の強いスタンスとは全くかみ合わなくなり、
最後には黒田氏は退社し、フリーの1987年1月10日に大阪読売を退社。そ
の後は「黒田ジャーナル」を主宰するフリージャーナリストとして、ミニコミ紙
「窓友新聞」発行の他、テレビ、ラジオのコメンテーター業、日刊スポーツ・大
阪本社版に連載「黒田清のぶっちゃけ・ジャーナル」を、しんぶん赤旗日曜版に
連載「半共ジャーナル」等のコラムを執筆した。(この項ウイキペディア)
 
 この黒田氏と安倍首相に金魚の糞のごとくに連なっている現在の大手マスコミ
(単に政権に取り入っている記者クラブの連中)の連中の思考回路を比べてもら
いたい。いずれがジャーナリストとしての矜持を保っているか。

 記者クラブのぬるま湯にのんびりと浸かっている記者諸君!職を賭してまで「
反権力、反差別、革新・左派色の強いスタンス」をあなた方は貫けるか?
 無理だろうな。

 そんな記者とも言えない記者や政治家しか持てない我々国民は不幸だ。
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◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄 《隠れキリシタンと天皇制 第2回》
                         :みなみうら・くにひと                                                
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<昭和初期のクロ宗調査報告書>

 『鹿児島県史』卷3に、甑島のクロ宗の記述がある。県史はつぎのように記して
いる。
 下甑島の片ノ浦(現・片野浦)にクロ宗と称する基督舊教に属する一種の秘密
教団を存し、同部落八十余戸がこれを奉じて居り、クロは十字架(クロス)から
転化したもので、この教団は島原一揆残党の一部が転住したに始まると伝へ、今
日部落には十字架を彫りつけた三基の墓碑が遣っているともいう。年一回の祭礼
たる基督降誕祭は深夜秘密に催すが、これは禁制時代より続いた古い習慣と思わ
れる。教徒死亡の際にはクロ宗により祭祀し、次いで喪を発して後、真宗による
葬儀を行うという。

 そして昭和11年、鹿児島県史刊行の五年ほど前に、鹿児島県立川内中学校(
旧制)が編集発行した『川内地方を中心とせる郷土史と伝説』に「甑島のクロ宗
」の記述がある。なお大毛家は代々庄屋だった家だが、「サカヤ」と呼ばれる世
襲の司祭である。サカヤカトリックのサクラメントの転嫁であり、秘蹟あるいは
秘蹟を行う者を意味する。

 サカヤには現代では「賢家」の字をあてているが、大毛家は世襲制度の賢家で
あり、万世一系によって継承されている。サカヤは村に対して、いまも強大な絶
対的支配権を握っている。川内中学の報告は以下の通りである。現代語にあらた
める。

 甑島下甑村の片ノ浦には「クロ宗」と称せられるカトリックに属する一種の密
教が現存している。
 片ノ浦海岸を隔たる十町、谷間の山間部落にして八十余戸が密集し、平和な農
村部落を形成している。部落民の結束極めて固く、すべて秘密主義をとっている
ため、このクロ宗、本体もまた判然となっていない。
 最近県当局の調査によれば、クロ宗のクロとはキリストのクロスから転化した
語とみられている。付近の古老の言によれば、今を去る約三百年前、島原の乱に
破れた信徒の一部が信仰の自由を求めて海を渡って密かにここに転住したものと
いわれ、従って現在ではクロ宗に関するよるべき確実な資料は発見されず、ただ
部落には十字架を彫り付けた三基の墓碑が残っているのみである。

 部落民の特殊な風俗について見ると、部落民は極端にクロという言葉を嫌悪し、
便所も十字を踏まぬ構造になっている。祭礼の行事は年一回深夜極秘に催される。
この深夜、祭事を行うのは、イエス・クリストの誕生日にヤソ教徒が深夜に祭り
を行うという古い習慣があるのを部落民が襲行しているものと考えられ、信徒死
亡の祭は、まずクロ宗による祭が行われて後、喪を発して真宗による祭儀を執行
するといわれている。

 同部落の素封家、大毛示氏は、クロ宗の本家と称せられ祭事を掌っているもの
といわれているが、氏は京都中学を経て中央大学出身の人格者である。同氏を中
心とする部落民の信仰生活は又めぐまれたものであろう。
 <2015年10月4日> 
「ふろむ京都山麓」 http://blog.goo.ne.jp/0000cdw
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◆「スプートニク」 >>> 引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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◆一口メモ 【記者クラブ】             
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  公的機関や業界団体などの各組織を継続取材を目的とするために大手メディア
が中心となって構成されている任意組織である。英語では「kisha club」ないし
は「kisha kurabu」と表記される。大手メディア以外の記者・ジャーナリストも
加盟できる「プレスクラブ」(日本では、社団法人である日本記者クラブや、日
本外国特派員協会などが該当)とは全く性格を異にし、日本独特のシステムと言
われ、フリーランスなどに対し排他的であるとして近年、批判を受けている。米
国のホワイトハウスや連邦政府の官庁、国連本部などに似た組織が存在している。
(この項ウイキペディア)
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◆編集長から: 片山通夫
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 「カムチャッカと日本の間のチャーター便、12月にも開始」とロシアのニュ
ースサイトSPUTNIKが伝えた。
 同サイトによると、「カムチャッカと日本を結ぶ新たなチャーター便が今年末
から開始される。カムチャッカ地方政府が明らかにした。カムチャッカを在ウラ
ジオストク日本総領事館の宮川副総領事を代表とする代表団が実務訪問で訪れた
」ということだ。
 http://jp.sputniknews.com/life/20151015/1034879.html#ixzz3ohfFSbuR

 沖縄には琉球新報と沖縄タイムスという二つの新聞がある。
琉球新報電子版のトピックス欄に 
辺野古新基地建設 米軍機事故 戦後70年 日米地位協定 慰霊の日・沖縄戦
 という項目があった。沖縄では辺野古「移設」ではなく「新基地建設」なのだ
と改めて気が付かされた。朝日新聞でも「辺野古移設」と書いている。「移設」
は「移転」であり「新基地」とはまったく意味が違うのだが…。

 ユネスコ問題でもめている。記憶遺産に「南京大虐殺」が 登録されたからだ。
日本は「ユネスコに資金提供を考える」と啖呵を切った。「気に入らないから兵
糧を断つということだ。
 一方でロシアは日本の申請している「シベリア抑留」に関して取り下げるよう
日本に迫っている。

 国際社会の受けを気にするわけではないが、中国を含めていずれの国も「政治
利用」に奔走して醜いったらありゃしない。評判落ちるよ。
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  発行     2015年10月20日  No.729
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