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タイトル:609studio No.728 ◆現代時評《辺野古と集団的自衛権》: 井上脩身  2015/10/13


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【609 Studio】メール・マガジン 2015・10・13 No.728
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
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◆現代時評《辺野古と集団的自衛権》: 井上脩身
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 安全保障関連法案の国会審議がヤマ場に差し掛かった9月12日、防衛省は沖
縄県名護市の辺野古移設作業を再開した。同月19日未明の参議院本会議で安保
法を強行成立させた安倍晋三首相は、辺野古基地建設についても強行する構えだ。
辺野古基地を集団的自衛権行使のための基地にする魂胆だからに違いない。辺野
古建設を阻止することは、憲法違反の安保関連法を葬り去ることでもある。

 本欄でも取り上げてきたことだが、1947年の憲法施行と1951年の日米
安保条約の調印によって、憲法体系と安保体系という相矛盾する二つの流れがわ
が国の戦後を形作ってきた。9条を根本規範に置く憲法体系は「武器、軍隊を持
たず戦争をしない」ことであり、安保条約を基本に据えている安保体系は、「米
軍が日本を基地にして戦争ができるようにする」ことである。自衛隊は、憲法体
系内の自衛力を建て前としつつ、安保体系の中で米軍の補完軍事力と位置付けら
れた。

 こうした戦争と平和という絶対的矛盾を取り繕うため、日本政府は沖縄に集中
的に配備されている米軍の基地や軍事施設を支えてきた。日本の国土面積の0・
6%に過ぎない沖縄県に米軍施設の74%が集中している現状を見れば、沖縄は
日米安保のための戦争ができる島といって過言ではない。

 安倍首相が成立させた安保関連法は、日本を攻撃するのではないある国に対し
て米軍が戦争を仕掛ける際に、自衛隊が参戦することができる、という法律だ。
さらに言うならば、軍事費を抑えたいアメリカの意向をくんで、削減されるであ
ろう米軍の分まで自衛隊が代わって戦場に赴こう、というものだ。これまでの安
保体系をも超える事実上の「集団的攻撃法」である。

 米軍の戦争に参加するためには、米軍と一体化できる軍隊であることが求めら
れるだろう。そのためには、「集団的自衛隊」ともいうべき特別訓練を受けた自
衛隊が米軍と常に共同行動できる基地がなければならない。安倍首相にとってネ
ックは安保関連法に多くの憲法学者が「憲法違反」と指摘していることだ。とな
ると、焦点になるのが「安保のための島」である沖縄である。歴代政府は一貫し
て沖縄を差別してきた。安倍政権もその姿勢は変わらない。ベトナム戦争で嘉手
納基地から米軍の戦闘機が出撃した例もあり、沖縄を「集団的自衛権行使の島」
にしようと考えるだろう。

 沖縄の米軍基地は、「銃剣とブルドーザ」という言葉に象徴されるように、戦
時中の旧日本軍の飛行場を拡張させたか、新たに農地を強制的に徴用して築かれ
た。要するに、施政権を持つ米軍は沖縄の人たちの土地を強奪して基地の島に仕
立て上げたのだ。沖縄復帰前はもちろん、復帰後も日本政府が口を挟もうとはし
なかった。

 こうした中で、唯一、日米が協議して造られるのが辺野古基地である。96年、
日米両政府が県内移設を条件に普天間飛行場の全面返還に合意したことから辺野
古が新基地として浮上。辺野古沖合に基地の島を造り、1800米と1600米
の2本の滑走路を設ける計画だ。

 建て前は普天間移設先としての米軍専用基地米軍だが、それならば滑走路は2
本も要らないはずだ。日本が積極的に建設を進めているだけに、その1本が自衛
隊用滑走路となる公算が大きい。辺野古基地は集団的自衛権行使のために築かれ
る、とみるべきだ。

 沖縄県の翁長雄志知事と菅義偉官房長官が辺野古問題で対談した際、翁長知事
が「銃剣とブルドーザが沖縄県民の原点」と述べたのに対し、菅官房長官が「9
6年の日米合意が原点」と語ったことは、辺野古の本質をよく表している。「憲
法が保障する平和の島にしたい」という沖縄の人たちの強い思いには見向きもせ
ず、安倍政権は集団的自衛権行使島にする姿勢を暗に示したのだ。

 辺野古をつぶすことは安保関連法を事実上つぶすことにつながる。反辺野古の
闘いを国民的反対運動に広げられるか。この国の憲法と平和を守るために、待っ
たなしである。
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「Lapiz」本誌で全文が読めますが、このブログでは5回連載でお送りします。


 <鬼無鬼島>

 堀田善衛の小説『鬼無鬼島』は「キブキジマ」と読むのだが、題名からしてケ
ッタイである。昭和31年11月刊の「群像」に発表され、翌年に新潮社から単行本
『鬼無鬼島』が刊行された。鬼無鬼島という島に鬼は住んではいない。しかしそ
れでも鬼の島であるという。猟奇的なこの小説は、横溝正史が描く閉鎖的な僻地
の因習や土着宗教の秘儀を思わせる。堀田善衛らしからぬ作品であろう。

 鹿児島県の離島、甑島(こしきじま)片野浦のある小さな集落に、いまも隠れ
キリシタンがひっそりと暮らしているという。数十戸の集落だが、住民全員がカ
クレキリシタンである。というか、正確には数百年前まではキリシタンであった
が、過酷な弾圧をおそれ、彼らはキリスト教を密封してしまった。十字架も聖画
も聖書も讃美歌もカトリックの儀式も、すべてを消してしまった。そして残った
のは形骸化し誰もその意味を理解できなくなってしまった儀式と若干の役職のみ
である。彼らの信仰は「クロ宗」(くろしゅう)という。

 集落の住人は村外者を完全に拒む。取材にも一切応じない。「クロ宗」信者に
は集落内での出来事や仕来りを一切口外してはならないという鉄の掟がある。同
じ島に住む他村民はこう語っている。「クロの宗徒から、一連の話を聞き出すこ
とは、絶対に不可能だ。クロにしゃべれと言うたって、それは連中にとって死を
かけることと同じだ」
 かつてクロ宗の秘密を探ろうとした男がいた。岡谷公二著『島』によると、ク
ロ宗の秘密を探求するために地区の分校に三年間勤務したが、何もわからなかっ
た。また何度も住人から、理由のない迫害すら受けたという。
 婚姻についても村外者との結婚を認めなかった。近親者同士ばかりの通婚を繰
り返してきたが、さすがに現在ではよそ者との結婚を認めている。ただし条件が
付く。絶対に村の秘密を配偶者にも話さないこと、そしてもうひとつの条件が、
どこか他所に居を構えなければならない。クロ宗の集落での夫婦の生活は認めら
れない。

 キリシタン遺物の一切ない同集落だが、例外としてただひとつだけ大切な物が
ある。この島に四百年ほど昔に、秘密の宗教をもたらした人物の聖なる墓とされ
る。地元では「天上墓」と呼ぶ。秘密の宗教は、「クロ宗」あるいは「クロ教」
という。十字のクロスが語源とされる。
 墓の主には二説ある。ひとりは薩摩出身のヤジロウ。フランシスコ・ザビエル
を鹿児島に案内した人物である。名の漢字表記は確定しないが、これまでの調査
では弥次郎が正しいようだ。

 もう一説では、「島原・天草の乱」の残党ではないかとする。また異説として、
ヤジロウが島原の乱後、甑島に逃れたという説もある。しかしヤジロウがザビエ
ルとともに明のジャンクで鹿児島に着いたのは天文18年8月15日(1549)だった。
聖母マリア被昇天の祝日にイエズス会(耶蘇会)のザビエル一行が、ジャンクで
同伴の信者で通訳のヤジロウの郷土である鹿児島に着いた。日本へのカトリック
の伝道はこの日に始まる。
 しかし島原・天草の農民とキリシタンの乱は、寛永14年(1637)から翌年の足
かけ二年である。ヤジロウがザビエルとともに伝道をはじめたのは、そのおおよ
そ九十年も前である。ヤジロウは島原の反乱には当然だがかかわってはいない。

 島のキリシタンの教祖と考えられるヤジロウであるが、彼は薩摩の武士だった
ようだ。しかしある事件を起こし、鹿児島湾坊ノ津からポルトガル船でマラッカ
へ、そしてインドのゴアに逃亡した。同地でキリスト教に帰依し、イエズス会の
学校も卒業した。イエズス会士のフランシスコ・ザビエルに、日本へのキリスト
教布教の必要性と意義を説く。

 ザビエルとともに鹿児島に着いたヤジロウたちは、熱心に布教につとめる。薩
摩藩主の島津貴久は当初は交易に利するキリシタン宗の伝道を認めていたが、翌
年には仏教界からの排訴を受け、キリシタン禁制と追放令を出した。ザビエルは
平戸に逃れ都を目指す。ヤジロウは薩摩に残って秘密裏に布教を行ったが、仏教
僧からの迫害を受け下甑島に逃れた。梅北道夫著『ザビエルを連れてきた男』に
は「ヤジロウは改めて伝道を続けたが、さらに厳しくなった迫害から逃れるため
に、下甑島の片野浦に移り、クロ宗と改めて密教の集落を組織した」

 島民は官憲による探索を避けるために、三方を山に囲まれほかの地区の人たち
を寄せつけない当地に、教祖ヤジロウを住まわせた。そして彼の墓がいまも現存
する「天上墓」であると言われ続けている。

  ところで昭和21年、カトリック鹿児島教区長の司祭が、GHQの米兵とともに片
野浦の集落にやって来た。そして「正統カトリックに復帰するように」と呼びか
けた。村落のサカヤの大毛(だいもう)は彼らを真宗の寺に案内し、自分たちは
浄土真宗本願寺派の門徒であると主張し、お引き取りを願った。米村竜治はこの
集落の立派な寺、片野浦説教所を「住民の秘密を守る防砦でもある」と記してい
る。
 昭和63年2月(1981)、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が来日した。その折、随
伴した法王庁の使節団から片野浦のヤジロウ墓を訪問墓参したい旨の打診があっ
た。法王庁でもヤジロウ墓のことは公然の秘密であった。だが片野浦の同村はに
べもなく断った。彼らの秘匿性は徹底している。

 <2015年9月27日>
「ふろむ京都山麓」 http://blog.goo.ne.jp/0000cdw
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◆「スプートニク」 >>> 引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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◆一口メモ 【沖縄担当相】             
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 日本の内閣府に置かれる内閣府特命担当大臣の一つである。主として沖縄政策、
および、北方領土政策を所管する国務大臣である。具体的には、沖縄県の諸問題
への対処、沖縄県の基盤整備、沖縄県の振興開発、沖縄振興開発金融公庫の業務、
沖縄県の土地の位置境界の明確化、などにかかわる政策を所管する。また、北方
地域の諸問題への対処、北方領土問題の啓発、北方地域の旧住民への援護措置、
本土と北方地域にわたる身分証明等の文書作成、本土と北方地域との間の問題の
連絡・斡旋・処置、などにかかわる政策を所管する。(ウイキペディア)
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◆編集長から: 片山通夫
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 内閣が改造された。一口メモに紹介したが、沖縄担当という大臣のポジション
がある。参議院議員 島尻あい子氏が改造内閣で沖縄担当大臣になったという。
 この人物の起用はブラックユーモア以外の何でもないとしか思えない。
 最初に紹介したいのは《島尻新沖縄担当相に佐藤優が「存在自体が日本の恥」
「吐き気をもよおす」と激怒!》したという話。詳しくは以下のサイトをじっく
りと読んでもらいたい。 http://lite-ra.com/2015/10/post-1573.html

 とにかくとんでもない人物のようだ。

親川 志奈子さんが少し古いがFBで次のように紹介している。
2013年4月22日 
島尻安伊子の話をします。島尻安伊子とは、沖縄に移住してきた日本人で、沖縄
人と結婚して子どもを育て、議員になり、最初は革新系の議員で、ゲート前でエ
イエイオーをしていたのに、いつのまにやら保守になり、沖縄選出の自民党議員
となって国会に行き、辺野古移設容認を言ったはずが、民主党が政権を取った途
端「沖縄人の声を代弁して基地は県外へ」と言い、県外移設を公約に掲げ当選し
たものの、また自民党が政権を取ったので「沖縄の取るべき道は辺野古移設」と
言った(←今ここ)人です。
詳しくは
 https://www.facebook.com/shinakosan/posts/10151614747521800

 安倍首相の脳内はどのような構造になっているのか不思議だ。
いや、数に任せて「やりたい放題」でしかない。そこには文化のかけらも見当た
らない。
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  発行     2015年10月13日  No.728
  発行     毎週火曜日  購読料無料
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 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236
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