メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No. 727 ◆現代時評《ロシアと日本の温度差ー血であがなった南クリル》: 片山通夫  2015/10/06


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【609 Studio】メール・マガジン 2015・10・6 No.727
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
の現代時評、ロシアやサハリン の話題、編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評《ロシアと日本の温度差ー血であがなった南クリル》:  片山通夫
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 筆者はこの9月2日、ロシア・サハリン州の州都、ユジノサハリンスクにいた。
2日と言うのはロシアにとっての対日戦勝記念日だ。おりしも今年は戦後70年。
サハリン州にとっては《血であがなった南クリル》を再認識するのには絶好の機
会でもあった。

 こう書けば、日本政府やその関係者または北方領土関係者は不快な思いをする
かもしれない。しかし現実を見据えなければならない時期が来ているのではない
だろうか。ロシアの軍事評論家であるV・カーシン氏は9月22日のsputnikのウ
エブサイトで次のように述べた。「憤慨や驚きには値しないとし、その理由とし
て南クリル諸島では法に違反したことも、非常事態や扇動も行われていない」

 またラヴロフ外相は「係争領土は日本との対話の題材ではない」と断言した。
 これらの発言は何を意味するのか。我が国ももう一度頭を冷やして考える必要
がある。筆者が9月2日にユジノサハリンスクでの対日戦勝記念日の式典を取材
した印象から言うと、これら軍事評論家や外相の発言は単なる「ロシア国民をな
だめるため」のリップサービスではないということだ。ロシア人は「血であがな
った領土」を手放す気は全くないと断言したい。ロシアは最近になって南クリル
(北方領土)に対するインフラの整備など様々なアプローチを行っている。また
軍備も拡大している。日本が「憲法の解釈を内閣一存で変えて」まで集団的自衛
権の発動を可能にしたことへの対応であろう。余談になるが、過剰な防衛設備は
対する外国も同様の装備の充実などハードは無論ソフト面でも拡充を図っている。

 ラヴロフ外相は岸田外相との会談での後、「領土問題はテーマではないし、そ
の話題もなかった」と述べた。注意しなければならないことが一点ある。ロシア
は(おそらく中国も北朝鮮も)日本の背後にはアメリカが控えているということ
に注目していることだ。これはロシアやその周辺の東アジアの国々は、直接的に
は相手が日本だろうと考えていても、決して日本単独とはみなしていないという
ことである。そしてアメリカは「世界中のどこへでも自国・アメリカが不利益に
なると手を突っ込んでくる」ということをよく知っている。

 集団的自衛権を可能にした安倍政権は、領土問題を抱えるロシアや中国とアメ
リカの手先になって戦うことを決意したということが言える。最後にラヴロフ外
相のインタビューの一部をsputnikから転載したい。

 Q: ロシアは南クリルの兵員を増強することで、世界に向かって、この島々
は法的にも、第2次世界大戦の結果としても自国に属するものと捉えるというシ
グナルを送り、この領域をそう受け入れ、クリルの強奪など考えるなという呼び
かけを行っているのだろうか?

「そうだ。だが日本側は、私の判断では強奪など考えてもいないと思う。このた
め南クリルにおけるロシア軍の兵員増強は極めて実現性の低いカタストロフィー
的状況のシナリオが起きた場合に保険をかける手段といえる。しかもこの保険は
日本人に向けたものというよりは米国に向けたものだ。米国人は時に思いもかけ
ない行動に出て、ロシアのこうした場所や他の弱い場所を噛み付こうとするから
だ。一言でいえば係争地域はしかるべく守られていなければならないということ
だ」

 南クリル(北方領土)は今、ロシアの手中にある。そしてロシアは日本に返還
する予定など全くないということだ。日本政府、特に外務省は「アメリカ一辺倒
の属国主義的な盲従」をやめるべきだ。アメリカの対ロシア、対中国、そして対
中東諸国の政策に振り回されないような独自の政策を北方領土に関してもとるべ
きだ。
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◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄 《京都府立総合資料館》
                         :みなみうら・くにひと                                                
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 比叡山は見る方角によって、ずいぶん姿がかわります。すきなのは、北山通り
に面する府立総合資料館や、その西の植物園、賀茂川べりあたりから望む比叡の
雄姿。ぱっきりしないというか、よくその姿が見えない、近江、琵琶湖側からの
形は、何とも頼りない。
 先日、久しぶりに総合資料館に行きました。ふつうの図書館と違って、本を貸
し出してくれない。自主学習に通う学生と、調べものをする大人がほとんどなの
で、だいたい至って閑散としており、静かでいい雰囲気です。
 また京都関係の資料がよく揃っている。歴史、地誌、美術工芸、行政資料など
など。文書も多い。これまでいろいろ助けてもらった。
 ところで本館の中庭をこれまで意識することがなかったのですが、今回はじめ
て2階の踊り場の看板に気づいた。「天橋立」を見立てた設計とのこと。なるほ
ど、じっと見ると、松林、水の浅深を砂利の色で表現した海、味わいのある庭で
ある。
 さてこの「京都から」ブログ、ですが、だれにもPRしていません。さっぱり知
られていません。訪問者数・閲覧者数というのがパソコン画面に表示されるので
すが、毎日3人とか7人とか、ほそぼそ一桁が続いています。しかし本当に、わず
かでも数人がご覧になっていればうれしいのですが、コンピュータ検索ロボット
が出入りしているとも聞きます。閲覧者はロボットだけ?
<2007年9月30日>
「ふろむ京都山麓」 http://blog.goo.ne.jp/0000cdw
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◆「スプートニク」 >>> 引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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◆一口メモ 【国境なき医師団】             
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  国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres=MSF)は、 中立・独立・公平な
立場で医療・人道援助活動を行う民間・非営利の国際団体。
 その憲章は次の通り。
国境なき医師団は苦境にある人びと、天災、人災、武力紛争の被災者に対し人種、
宗教、信条、政治的な関わりを超えて差別することなく援助を提供する。

国境なき医師団は普遍的な「医の倫理」と人道援助の名のもとに、中立性と不偏
性を遵守し完全かつ妨げられることのない自由をもって任務を遂行する。

国境なき医師団のボランティアはその職業倫理を尊び、すべての政治的、経済的、
宗教的権力から完全な独立性を保つ。

国境なき医師団のボランティアはその任務の危険を認識し国境なき医師団が提供
できる以外には自らに対していかなる補償も求めない。

 そして1999年ノーベル平和賞を受賞。
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/peace/laureates/1999/press.html
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◆編集長から: 片山通夫
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 アメリカ軍がアフガンで活動する「国境なき医師団」の外傷医療手当て施設を
空爆(誤爆)し、共同通信によると19人が死亡したという。
 またバングラディッシュで日本人が射殺された。「イスラム国」関連の組織が
インタ−ネットで犯行声明を出した。事実関係は不明。

 アメリカ主導の、いやアメリカ独善の世界各地での戦争に、我が国は参加する
ことになる。「アメリカの要求」はとどまる所を知らないようだ。

参考・アミテージレポート関連サイト
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/56226
http://nonukes.exblog.jp/21686263
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-7665.html
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  発行     2015年10月6日  No.727
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