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タイトル:609studio No.726 ◆現代時評《9・19憲法が死んだ日》:井上脩身  2015/09/29


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【609 Studio】メール・マガジン 2015・9・29 No.726
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
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◆現代時評《9・19憲法が死んだ日》:井上脩身
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 集団的自衛権行使のための安全保障関連法が19日未明、参院本会議で可決、成
立した。大半の憲法学者が「憲法違反」と指摘したが、安倍晋三首相は一顧だにせ
ず、採決を強行した。1946年に憲法が公布された5年後の51年に日米安保条
約が調印されて以来、日本は憲法体系と安保体系の相克、矛盾のなかにおかれてき
た。自民党政府はアメリカの軍事戦略に応じながらも、辛うじて憲法の枠組みを維
持してきた。だが、安倍首相は安保体系を憲法体系の上位に置き、憲法を無視した。
9・19は憲法が死んだ日である。

 集団的自衛権は同盟国への攻撃に対し、共同して反撃、防衛に当たることだ。今
回の安保関連法の成立で、アメリカが他国に起こす「防衛」名目の戦争に、自衛隊
が参画することになる。それは「日本国の施政の下にある領域における、いずれか
一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、
自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動すること
を宣言する」(日米安保条約第5条)との安保体系の基本を変更するものだ。安倍
首相は、憲法を変えなかっただけでなく、安保条約改定手続きもとらず、専守防衛
から他国防衛へと180度も舵を切り替えた。

 自民党、公明党の国会議員の誰からも「国会が憲法違反を行っていいのか」との
異論がでなかった。それは安倍独裁体制が与党の隅々にまで行きわたったことを示
すものだが、国民は黙ってなかった。連日、国会周辺に大勢の人たちが集まり「戦
争法案廃案」を訴えた。その大衆的抗議行動は、60年安保以来、といわれた。逆
に言えば、60年安保後の歴史が、安保関連法成立後の自民党政策の方向を見抜く
参考になる、ということだ。

 60年6月23日、改定された安保条約が批准された後、岸信介首相は退陣。後
を襲った池田勇人首相は「所得倍増政策」を掲げて高度経済成長路線をまい進。4
年後の64年、国民はアジアで初めて開催された東京オリンピックにうかれた。
 その翌年(65年)、ベトナム戦争が拡大し、グアム島から飛び立った米軍機が
ハノイ西北を爆撃。やがて沖縄の嘉手納基地から米軍の戦闘機が出撃したが、日本
に返還される前でもあり、「ベトナム戦争反対」を訴えた多くの人々でさえ、沖縄
が同戦争に事実上巻き込まれていることを知らなかった。
今後の自民党政策である。

 まず、「アベノミクス道半ば」を前面に押し出して、経済政策を強く進め、国民
にさも景気が上昇し、生活が良くなったかのような喧伝をする。5年後の東京オリ
ンピックでは、北京五輪を上回る「アジア最大の夢舞台」を演出し、国民を酔わせ
る。
 岸元首相の孫である安倍首相は、祖父と違って首相の座に居座る構えだ。すでに
「これからは経済を重視する」と述べており、安保関連法に向かった国民の目を経
済面に向き替えさせようとしている。来年の参院選では、国民は「集団的自衛権の
ことは忘れている」との読みからであろう。実際、60年安保後の同年11月に行
われた衆院選で自民党は296議席を獲得、前回(58年)より9議席増やした。
安倍首相は柳の下のドジョウを狙う構えのようだ。

 問題は2020年東京オリンピック後だ。中東や西アジアでアメリカが戦争をし
かけることがあれば、当然、集団的自衛権による参戦要請が米軍から自衛隊になさ
れるだろう。政府は「わが国の存立が危機に瀕する事態」として、自衛隊機を出撃
させるはずである。アスリートがオリンピックゴールドメダリストの夢にかけるよ
うに、安倍首相は、日の丸がついた戦闘機が他国の戦場で爆撃し、多くの犠牲者を
出すことを夢みているに違いない。

 来年の参院選で自民党が勝利すれば、安倍首相が描く筋書き通りの「戦争の国」
になる。参院選で自民党と公明党の候補者を落選させ、安倍政権を敗北に追い込む
ことができるか。「憲法が生きる国」に踏みとどまれるかどうかの瀬戸際である。
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◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄 《資源大国 日本 (2)電力》
                         :みなみうら・くにひと                                                
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 アメリカでは原発の廃炉が相次いでいます。シェールガス・オイル革命で、エ
ネルギー資源価格、特にガスの価格が大幅に下落した。そしてガス火力発電のコ
ストが、安価とされる原子力発電のそれを下回ってしまったためです。

 原発のコストは決して安くはない。福島の事故をみるまでもなく、長いスパン
では非常に高コストでリスキーなのが原発です。シェールガス革命が原発の仮面
をはがしたのかもしれません。

 中東ではエジプト、そしてシリアと動乱が続いています。そのため原油と液化
天然ガス(LNG)価格が暴騰しています。なかでもLNGは火力発電の中核です。ガ
ソリン価格の高騰はつらいですが、LNG価格の上昇と輸入量の大幅増加は、原発の
停止している現在の日本では大問題です。貿易赤字の圧倒的部分は、大量にして
高価な液化天然ガスが占めています。
 片やシェールガス革命で原発をどんどん廃炉化しているアメリカ。一方、円安
と原発停止のために貿易収支が危機的状態にある日本。日本政府がTPPを急いで
推進しているいちばんの原因は、アメリカの安価なシェールガスを輸入したいた
めであるともいいます。アメリカは、自由貿易協定を結んでいない国へのガス輸
出を、原則禁止しています。
 アメリカではガス価格は4ドル弱(単位100万BTU)。ところが日本が輸入して
いる液化ガス(LNG)は同単位で20ドル近い。アメリカは国内に張り巡らせた
パイプラインで気体のまま、わずか4ドル以下の価格で発電所なりは供給を受け
ています。しかし日本へは液化しないと運搬できません。超低温のLNGに転換し、
専用タンカーで運ばねばなりませんが、液化と運搬経費はあわせて6ドルほど。
原価の4ドルと合わせても約10ドルです。ところが日本の現状は、産ガス国か
らのING輸入価格は20ドル近い。

 石炭以外にはエネルギー資源がない、とされる日本ですが、実はエネルギー資
源大国であると近ごろ叫ばれ出しました。メタンハイドレートです。日本を取り
囲む海の底に、膨大な天然ガスが眠っています。この夏、政府の調査船が日本海
の海底を調べました。予想通り佐渡島南西沖、能登半島との間の海底で、大量の
メタンハイドレートが確認され、その後は島根県隠岐島の東でも発見されつつあ
ります。日本海に眠るガス塊だけでも、日本の総ガス需要の数百年分に相当する
という見解まで出ています。

 アメリカのシェールガス革命は、長年にわたる採掘技術の革新がもたらした成
果です。イノベーションが、高いコストゆえに不可能とされた採掘を、わずか3
ドル台の販売価格にまで引き下げたのです。
 なぜ日本では海底メタンで同様の革新が起こせないのでしょうか? 環境破壊
には十二分に注意を払いながらも、大至急の採掘と輸送技術の革新を行うべきだ
と確信します。日本に必要なのは、既得権や利権にすがることではなく、国民と
世界に向けたイノベーション、すなわち貢献のはずです。
<2013年8月31日>
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◆「スプートニク」 >>> 引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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◆一口メモ 【難民】             
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  難民(なんみん、英: refugee)は、対外戦争、民族紛争、人種差別、宗教的
迫害、思想的弾圧、政治的迫害、経済的困窮、自然災害、飢餓、伝染病などの理
由によって居住区域(自国)を逃れた、あるいは強制的に追われた人々を指す 。
その多くは自身の生命を守るため、陸路、海路、河路、空路のいずれかで国外に
脱し、他国の庇護と援助を求める。現在の国際法では、狭義の「政治難民(Polit
ical Refugee)」を一般に難民と呼び、弾圧や迫害を受けて難民化した者に対する
救済・支援が国際社会に義務付けられている。(ウイキペディア)
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◆編集長から: 片山通夫
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 世界でさまざまな事件が起こっている。最近ではシリアからの難民の問題がか
なり注目を浴びているようだ。もちろんその他にも様々なニュースが、世界のマ
スコミをにぎわせている。
 ただ一つ、わが国のマスコミは「民主主義の死」とも言える安倍政権による立
憲主義の否定にも「鮨を奢られて」か、沈黙の毎日だ。

 先日、自民党の総裁選で安倍首相が再選された。無投票だった。つまり対立候
補が立たなかった。いや実は一人立とうとしたけれど、徹底的に締め付けられて
推薦人の20人を集められなかったという。もちろん締め付けたのは、安倍本人
かその一派。これって「民主主義の死」だと思うのだが。

 ことほど左様に安倍政権は「盤石だ」というイメージが必要なのだ。
 つまり崩壊が始まっている。
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  発行     2015年9月29日  No.726
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