メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.722 ◆現代時評《非核三原則抜きの首相挨拶》:井上脩身  2015/08/18


──────────────────────────────────────
【609 Studio】メール・マガジン 2015・8・18 No.722
──────────────────────────────────────
   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアや
サハリン の話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
──────────────────────────────────────
              日米かけはし物語

                緒方馨 著

                    特集 Lapizが見た戦後70年

               Lapiz2015Summer 

               6月1日同時発行!

         詳しくは http://lapiz-international.com/
──────────────────────────────────────
◆現代時評《非核三原則抜きの首相挨拶》:井上脩身 
──────────────────────────────────────
 安倍晋三首相は8月6日に行われた広島市の平和記念式典での挨拶で非核三原
則には触れなかった。首相は「非核三原則堅持は当然のことだから言わなかった
」と釈明したが、原爆投下70年という節目の年に敢えて非核三原則に触れなか
ったのは、特別な政治的意図があるからに相違ない。安倍首相がアーミテージレ
ポートの言いなりであることは本欄で再三にわたって指摘した。同レポートに従
って非核三原則を骨抜きにしようとの首相の真意の表れとみるべきだろう。

 記念式典で安倍首相は「唯一の被爆国として核兵器のない世界を実現する使命
がある」と述べるなど、挨拶の中で3回も「核兵器のない世界の実現」という言
葉を織り込んだ。「核兵器のない世界の実現」に向けてリーダーシップを執るの
は日本の首相の当然の務めである。その日本の意思の表示として、これまで、歴
代首相は平和記念式典で「非核三原則を堅持する」と世界に誓った。

 非核三原則は1967年に当時の佐藤栄作首相が衆議院予算委員会の答弁で「
核は持たず、作らず、持ちこませない」と述べたのが始まりだ。78年、衆議院
で非核三原則を国是とすることが採択され、以降、各内閣は「非核三原則順守」
を表明してきた。この基本原則が揺るぎ出したのは2000年にアーミテージ元
米国務副長官が「米国と日本 成熟したパートナーシップに向けての前進」と題
するレポートの中で「集団的自衛権の行使禁止の撤回」を日本に求めたうえで、
日米同盟について「米英間の特別な関係がモデル」と、米英間のような関係にな
るよう要望した。米英関係というのは、イギリスがアメリカから提供された核ミ
サイルで核戦略を立てていることを指す。

 はたして02年、福田康夫内閣官房長官がオフレコながら「非核三原則は国際
情勢の変化で変わることがあるかもしれない」と語った。当時内閣官房副長官だ
った安倍氏が同レポートに強く影響されたことは、首相になって以降の安倍政治
をみれば歴然としている。

 「平時から緊張、危機、戦争状態まであらゆる事態において、米軍と自衛隊が
全面協力できるための法制化を日本側の権限と責任で行う」との同レポートの提
言にそった「切れ目のない」(安倍首相)安保関連法案を今国会に上程。既に衆
院を通過しており、首相は9月成立を目指している。やはり同レポートが求めて
いる原発の推進についても、今月11日に九州電力川内原発1号機を再稼働させ
て、“宿題”を果たしている。

 こうした「集団的自衛と原発の夏」のなかでの「非核三原則無視」である。「
日本は核武装できるだけの核がある」との声があり、「核武装すべきだ」との強
硬論を吐く保守政治家は少なくない。非核の誓いをすべき平和祈念式典で非核三
原則に触れない挨拶をすることは、「アメリカの戦争の協力、核開発、原発は一
体のもの」とのメッセージと受けとめられてもやむを得まい。実際、それが首相
の狙いなのであろう。

 9日に長崎市で行われた平和祈念式典の挨拶では「非核三原則の堅持」を表明
し、「非核三原則に触れなかった」との批判をかわした。恐らくこれも織り込み
済みだったであろう。安倍首相は「非核三原則」という鎧の下に「非核三原則骨
抜き化」の衣を着こんでいるのである。安保法制が成立すると、安倍首相はいよ
いよ「非・非核三原則」に取り組むであろう。「積極的平和主義」の本質は「核
による戦争抑止」だからである。
──────────────────────────────────────
                         【著書案内】

     「追跡!あるサハリン残留朝鮮人の生涯」 片山通夫 著

  日本の植民地統治が生んだ一家離散「二重徴用」「急速転換」「樺太
    への逆密航」を語る貴重な証言!!

    凱風社 刊 http://www.gaifu.co.jp/index.html

           定価 1900円+税
──────────────────────────────────────
◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄 《ネットフリックスがまもなく日本上陸》
                                                 :みなみうら・くにひと                                                
──────────────────────────────────────
 佐々木俊尚さんの会員制メルマガ「未来地図レポート」8月10日号を部分転載し
ます。「全文でなければ転載可」が佐々木さんの方針。

 これまでアメリカの映像配信会社、ネットフリックスのことは何度か聞いたり
読んだりしていました。しかしそのサービス内容について、正直なところまった
く理解できずにおりました。ところがついに来9月に日本上陸です。佐々木さん
の解説がずいぶんわかりよいので紹介します。


<9月に日本上陸! ネットフリックスの凄さを徹底解説する
〜〜ついにホンモノの「テレビとネットの融合」がやってくるか?>

 映像コンテンツの定額配信サービス、ネットフリックス(Netflix)が9月2日、
ついに日本でもサービスを開始します。これは相当に大きなニュースです。
 もちろん、定額配信のテレビはすでに日本にはたくさんあります。NTTドコモの
dTVやNHKオンデマンド、楽天SHOWTIME。海外勢で言えば、ハリウッドの人気ドラ
マが見られることで人気のフルー(Hulu)。これらとネットフリックスはどう違
うのでしょうか?

  最初にその回答となるポイントを2点挙げておきましょう。

(1)単なる定額配信(ストリーミング)ではなく、ビッグデータ分析を用いたお勧
め(レコメンデーション)が超優秀である。
(2)国外のコンテンツを日本に配信するだけでなく、日本国内のコンテンツを海外
展開するという両面戦略である。

 では、ネットフリックスの歴史から簡単におさらいしておきましょう。同社の
設立は古く、インターネット黎明期の1997年です。
もともとは、日本でツタヤ・ディスカスがやっているようなDVDの郵送レンタル
サービスでした。これが成功して会員数を伸ばし、そして2007年から「Watch In
stantly(すぐに観る)」というネット配信の機能を追加するようになります。

 **以下は下記へ**
http://blog.goo.ne.jp/0000cdw/e/a096e3b800e11aec67fe11fb05d82a07

 <2015年8月11日>
「ふろむ京都山麓」 http://blog.goo.ne.jp/0000cdw
──────────────────────────────────────
◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版: 2015年8月14日号
 本紙(韓国語・ロシア語)は下記へ!
http://www.609studio.com/html/sekoryo/index.html
──────────────────────────────────────
 州知事代行と韓人との懇談会

 さる7日、サハリン州知事代行が韓人センタで韓人らと懇談会を開いた。韓人
らはサハリン州では人工的な第2の少数民族であり、州社会経済文化生活の中で
大きな役割を果たしており、自民族の歴史と文化、風習を守り続けながら勤勉で
教育熱も高い民族だと高く評価した。アムール州に居た頃から韓国や北朝鮮とは
親しくしたと述べ、今後も韓国との交流に懸け橋になってほしいと期待を寄せた。
韓人会代表は残留韓人1世らのための療養院建設への協力要請と韓国へより関心
を持ってくれるようにと願っていると伝えるほか、一般韓人らは生活上の問題に
ついて話し改善を求めた。
 これに対して、知事代行は肯定的な答弁を与えた。

追悼碑建立

 さる22日午前、50人余りが集まった中で、ユジノサハリンス第1共同墓地
で日本植民地時代サハリンへ強制徴用され犠牲となった人々らのために追悼碑序
幕式と慰霊祭が行われた。主催はサハリン韓人歴史記念事業会を発足させ(社)
釜山わが民族助け合いと韓人会。追悼碑は韓国側が、敷地と基盤調整はサハリン
韓人会が担当した。来年は2階立ての追悼館を建設する予定。

エトロフ島で全国青少年フォーラム開催

 ロシア連邦青年問題管理局、ロシア社会院、サハリン州政府が共同で、エトロ
フ島で全ロシア青少年教育フォーラムを開催する。8月12〜27日まで全国か
ら参加した200人の若い研究者と愛国団体活動家が国内外政策について議論す
る。

永住帰国者らの里帰り

 さる7日から韓国へ永住帰国した1世らの里帰りがはじまった。赤十字社の支
援で毎年行われる同事業で今年も390人がサハリンの家族と再会できる。テチ
ャン養老院からも6人が里帰りするが、彼らの費用は地元の事業家らが支援して
いるとのこと。

韓人墓地調査継続

 今年も韓人墓地調査は続く。8月13日に韓国国土情報公社代表8人が来島し、
1カ月半かけてウゴレゴルスク区域とアニワ区域で調査を行う。

「サハリンとクリル列島の過去と現在」出版

 さる7日、サハリン郷土博物館で「サハリンとクリル列島の過去と現在」の紹
介式があった。「ロシア連邦民族の遺産」シリーズものとして出版に至った第1
冊には古代文化と原住民をテーマとしている。今後も歴史や文化などをテーマに
第2,3が発行されるとのこと。

若い世代の永住帰国を養成

 安山サハリン同胞永住帰国者アパートの梁・ユンヒ老親会長は地域新聞とのイ
ンタビューで「光復70周年を迎える今、サハリン同胞は日々忘れられかけてい
る。強制動員被害者の子孫らにまで永住帰国事業が拡大されるべきであり、10
年も国会で眠っているサハリン同胞支援特別法案を通過させ、離散家族の哀しみ
を解消してほしい」と話した。

華城市ゼアム里にて強制動員被害者への謝罪補償要求

 さる12日、京機道華城市文化院主管で、ゼアム里事件遺跡地で光復70周年
行事を行った。新たに発掘した独立運動関連資料により独立有貢者末裔と指定さ
れた人々と日本政府により17歳の時、サハリンへ強制動員された高・チョンハ
クさんを含め強制動員された被害者9人など80人余りが参加した。強制動員被
害者らは日本政府に対して謝罪と補償を強く訴えた。
──────────────────────────────────────
◆「スプートニク」 >>> 引用元    http://jp.sputniknews.com/
──────────────────────────────────────
◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
──────────────────────────────────────
◆一口メモ 【専守防衛】             
──────────────────────────────────────
 日本の防衛戦略の基本的姿勢を指す。その内容は「相手から武力攻撃を受けた
とき初めて防衛力を行使し,その防衛力行使の態様も,自衛のための必要最低限
度にとどめ,また保持する防衛力も自衛のための必要最低限度のものに限られる
」とされている (1989年版『防衛白書』) 。

 ところが安倍政権になって「集団的自衛権」の問題が浮上している。この「集
団的自衛権」は「専守防衛」とは相反する考え方だ。しかし安倍政権下で現在参
議院において論議されているが、安倍政権側の主張のほとんどが「個別的自衛権
」で解決するものばかりだ。
──────────────────────────────────────
◆編集長から: 片山通夫
──────────────────────────────────────
  《「戦争に関わりのない世代に、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」
と強調し、謝罪に区切りをつけたい意向》を示した14日の安倍首相の談話。

 このくだりを読んで思い起こすのは《罪の有無、老幼いずれを問わず、われわ
れ全員が過去を引き受けねばなりません。だれもが過去からの帰結に関わり合っ
ており、過去に対する責任を負わされております》と説いたリヒャルト・フォン
・ヴァイツゼッカー第6代ドイツ連邦大統領である。わが国では《過去に目を閉
ざす者は、現在に対してもやはり盲目となる》という言葉で有名だ。

 安倍首相の「戦争にかかわりのない世代に、謝罪を続ける・・云々」は、普通
に考えれば「もっともらしく」読める。しかし、安倍という政治家の口から、ま
してわが国の首相と言う立場で言えることなのかと疑問に思える。

 「謝罪を続ける宿命」を背負わせるのは酷だという気持ちはわかる。しかしそ
れは「被害を受けた国や民族、人々」が言う言葉であって、加害者のわが国の首
相が言うべき言葉ではない。まして70年と言う節目にあたって、閣議決定した
公の文としては問題があるのではないか。

 首相はもう少し謙虚に事を進めるべきだ。丁寧に。
────────────────────────────────────
  発行     2015年8月18日  No.722
  発行     毎週火曜日  購読料無料
  FB  https://www.facebook.com/michio.katayama.5
 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236
  MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020
  contact us http://www.609studio.com/html/mailform.html
  website  http://www.609studio.com/
      投稿   http://www3.ezbbs.net/06/609studio/
   購読 解除 http://archive.mag2.com/0000052236/index.html

           ◇禁・無断転載◇
 ────────────────────────────────────────────────

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。