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タイトル:609studio No.720 ◆現代時評《「責任」乱発首相の責任》 : 井上脩身  2015/08/04


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【609 Studio】メール・マガジン 2015・8・4 No.720
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアや
サハリン の話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評《「責任」乱発首相の責任》 :   井上脩身
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 安倍晋三首相は国会の答弁などで「責任」という重い言葉を乱発している。な
かでも珍妙なのは、大半の憲法学者が集団的自衛権を「憲法違反」と判断してい
る点について、「国民の命や国を守る責任は(政治家である)私たちにある」と
述べたことだ。「政治家のみに責任がある」との思い上がり発言は、憲法の基本
理念である国民主権とは相いれない独裁体質の持ち主であることを如実に示して
いる。では、集団的自衛権の行使によって、例えば米軍基地が密集している沖縄
がミサイル攻撃されれば、どう責任をとるのか。安倍首相はひと言も語らない。
野党からもその追及はなく、このままでは責任の所在があいまいなまま、独裁宰
相の愚劣政策によって国民が多大な犠牲を強いられた暗黒時代の再現になろう。

 首相の「責任発言」についてはノンフィクション作家の柳田邦男氏が、「政策
の結果についどんな責任をとるのかを明白にしてもらう必要がある」(7月25
日付毎日新聞)と、マスコミ上で取り上げた。この中で柳田氏は1)7月3日の衆
院平和安全法制特別委員会で「憲法9条変更の議論は熟していないが、議論が熟
すのをただ待つのは政治家としての責任放棄」2)同月10日、自民党インター
ネット放送で、「憲法学者と政治家は役割や責任が全く違う。憲法学者が反対し
ているから自分も反対だという政治家は、自分の責任を憲法学者に丸投げしてい
る」――などの発言を挙げた。

 柳田氏は「(集団的自衛権行使について)全国の憲法学者の90%以上が『違
憲』だと批判しても、『政治家の責任は全く違う』として、閣議決定で憲法解釈
を自由にできるような政策の進め方をすることが、責任論ですまされるのか」と、
首相の“責任”を理由にした暴走を非難する。

 首相には行政府の長としての責任があることは言うまでもない。その責任は、
国民が健康で文化的な暮らしができる政策を立案し、国会で成立したものを誠実
に実行することが第一義である。だがこれにもまして重要なのは、結果に対する
責任である。法案上程に際して、政策の誤りのために国民が辛酸をなめるはめに
なった場合の責任のとり方を明らかにすることが、責任あるリーダーとしての当
然の義務といえよう。

 例えば株式会社の経営者が新規事業を展開したところ、予測に反して営業不振
に陥り赤字を出した場合、会社や株主に対する責任を免れることはできない。場
合によっては商法上の責任や社会的責任もとらざるを得なくなる。ましてや、一
国の首相の責任の大きさは、東芝や東電の社長の責任とは比べものにならない。

 しかし、安倍首相はせいぜい第一義的な責任を語ったに過ぎない。集団的自衛
権によって防衛上の抑止力が高まり、平和が保たれる、と首相が考えたとしても、
アメリカの戦争に加担した結果、自衛隊員だけでなく国民も戦火に巻き込まれる
結果になった場合、首相としての責任は重大である。こうした結果責任について
の自覚や覚悟もないまま憲法違反の集団的自衛権を行使するというなら、「無責
任戦争政策」と断じるほかない。

 「責任」について憲法は「両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は評決
について、院外で責任を問はれない」と定めているにすぎない。国家賠償法では
「国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、
故意又は過失によって違法に損害を与えたときは、国又は公共団体が、これを賠
償する責に任じる」と規定している。この条項では、安倍首相個人は直接責任を
問われない。
 
 一国の首相の外交・防衛政策の誤りが、何ら法的責任を問われることがない現
状では、東京裁判のようにまたも戦勝国による裁定を待つことになろう。日本の
首相や大臣の戦争犯罪は日本人が裁かねばならない。首相の独裁体質が露わにな
ったいま、首相や閣僚の戦争責任を規定する「戦争犯罪法」の制定に向けた国民
運動が求められる。
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◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄《オリンピック・スポーツの力》
                                             :みなみうら・くにひと                                                
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9月9日の早朝から、日本国民の気分は一転したようです。7年後のオリンピック
・パラリンピックの東京開催の決定です。わたしのまわりでは先週から「東京に
決まればどこの会社の株が上がるか?」。もっぱら話題は金儲けが主でした。一
夜明けると確かに、建設や不動産、そしてスポーツ関連会社の株などが暴騰です。
マスコミをみても「経済効果は3兆円。いや150兆円かも」とか、札束勘定に傾き
がちですね。
  しかしオリンピックの最大の効果は、世界平和の実現であろうと思います。
ブエノスアイレスでは「オリンピック・ムーブメント」という言葉がたびたび使
われましたが、意味するのは「世界の人々が互いに手をつなぎ、世界平和を目指
す運動」。あと7年、東京そして日本が舞台となって、世界の平和のためにわたし
たちが力を尽くす。目標は経済効果より、世界平和効果かもしれません。7年もあ
れば、いろんなことができそうです。

 レスリングがかろうじて当選しましたが、国際レスリング連盟の迅速な対応が
すばらしかったからだそうです。なかでも驚いたのがイランの行動です。イラン
はレスリングが国技のような国ですが、犬猿の仲で国交のないアメリカに共闘を
提案しました。いわば北朝鮮がアメリカと組むようなものです。
  今年の5月、ニューヨークでイラン・アメリカ両国の選手が親善試合を開きま
した。関係者はレスリングには「政治的な障害を超える力があります。それこそ
がスポーツのすばらしさです」

  先週6日、北朝鮮は12日から平壌で開催される国際ウエイトリフティング大会
で、韓国の国旗と国歌の演奏をはじめて認めると発表しました。5年前のサッカー
・ワールドカップアジア予選では、北朝鮮は韓国の国旗掲揚を拒否しました。そ
のため会場は平壌ではなく中国国内に変更された。
  12日からのウエイトリフティング大会で韓国選手が金メダルを獲得すれば、歴
史上はじめて北朝鮮で韓国の国旗掲揚と国歌演奏が実現するわけです。

  日本オリンピック委員会会長は、9日にブエノスアイレスで韓国オリンピック
委員会会長と会談した。2018年に韓国平昌で開催される冬季五輪、そして2020年
の東京五輪。両国は互いの成功に向けて、全面的に協力することで合意した。選
手の交流も積極的に促進する。
 竹田恒和会長は「両国の関係がしっくりいってないときでも、スポーツは互い
の理解を深めることに貢献できる」。韓国の金正幸会長は「われわれの交流と相
互協力は現在の両国の関係を好転させることができると確信する」
 アジア・オリンピック評議会のアハマド会長は「冬季五輪と夏季五輪が続いて
開催されることが決まり、アジアの平和構築にとって絶好の機会が訪れた」

 あと7年。期日設定された目標に向かって行動するのは楽しいものです。中学
生アスリートたちも2020東京五輪出場を目指して、すでにスタートを切りました。
 <2013年9月11日>
「ふろむ京都山麓」 http://blog.goo.ne.jp/0000cdw
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版: >  2015年7月31日号
 本紙(韓国語・ロシア語)は下記へ!
http://www.609studio.com/html/sekoryo/index.html
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2時間に及ぶ記者会見

 さる25日、サハリン州知事代理は地域言論代表らも招待した中で2時間に及
び自由な記者会見を行った。誰もが如何なる質問でもできる会見だった故に多様
な質問が出された。例えば、石油ガス開発事業から得る収入を連邦政府が独占し
ようとするのではないかという質問に対して、知事代理は再配分の可能性はある
と指摘しながら、現に多額の非常安全基金を地域社会開発資金に活用するなどの
方法を模索中であると答えた。

知事選挙候補登録5人

 7月29日はサハリン州知事選挙候補登録の締め切りの日。現在の知事代理を
含め5人が登録を行った。選挙委員会は審査を行い、8月7日に候補を発表する。

ネベリスクでテゴンド研修

 7月26日〜8月16日までネベリスクで全サハリンテゴンド選手研修会が行
われる。ネベリスクのスポーツセンターを最新の施設と訓練所をもっているため、
数年前から各地の選手らの研修場に利用されている。70人が参加する今回の研
修のために韓国から2人の教育専門家が派遣された。

医療品寄贈式

 さる27日、ユジノサハリンスク韓人文化センターで医療品と医療機器寄贈式
があった。韓国国会保健福祉常任委員会所属の国会委員4人が、韓国国際医療保
険財団がサハリン残留1世らのために用意した医療品と医療機器を渡すために来
島した。議員らは「サハリン残留1世らが母国で健康診断と治療を受けられるよ
うに支援してほしいとの要請があって、来年予算案に組み込んである」と伝えな
がら、今までの関心と支援が足りなかったことを謝罪しながらより努力すると約
束した。

マカロフ市で韓人フェスティバル

 さる26日、サハリン韓人会とマカロフ市が共同で「私たちは一緒にいる」と
いう民族間交流フェスティバルがマカロフ市文化会館で行われた。野外広場で行
う予定だったが、悪天で室内へと場所が変わったが、子供から80代の年寄りま
で多くの市民が訪れて大盛況。娯楽プログラム、歌と踊り、そして済州島から参
加したタルチュム(仮面踊り)公演など多様なプログラムで文化交流の場が盛り
上がった。

モスクワで韓人歴史を振り返る催し

 さる15日、モスクワのサハリン韓人連合会がサハリン韓人1世又祖国故国運
動家らを回想する勉強会を開いた。韓人歴史研究家の朴・スンイ前サハリン大学
教授とチン・ユリャ博士が招待され発表を行った。写真展示会と永住帰国したソ
ン・チョンモ前セコリョ新聞社長との映像通話など通じて多様な情報交換と討論
が行われた。連合会は若い韓人歴史研究家のチン・ユリャさんの研究内容に高い
関心を示しながら今後の協力と支援を約束した。
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◆「スプートニク」 >>> 引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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◆一口メモ 【後方支援】             
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 後方支援(英語: Combat service support)は、第一線部隊の後方において作
戦を支援するあらゆる業務を包括する概念である。直接戦闘に係わる戦闘兵科と
区別して後方兵科と呼ばれる。補給戦とも称される分野である。

 「必要なものを」「必要な時に」「必要な量を」「必要な場所に」は、ロジス
ティクスの要諦であり、兵站任務を円滑に遂行する作戦地域と兵站基地との交通
上のつながりを維持するために数理的、物性的、情報的な処理が求められる。こ
れが後方連絡線または背後連絡線(Line of communications, LOC)であり、これ
は、複数の兵站基地とそれらを相互に接続する道路、鉄道路、水路、海路、航空
路で構成される。後方連絡線の結節点となる兵站基地はその兵站機能から戦略的、
作戦的、戦術的な兵站基地に区分される。戦略的な兵站基地は生産・交通の要所
に平時から設置される戦略兵站基地であり、作戦的には方面隊が作戦区域内に設
置する兵站基地は方面兵站基地となり、状況に応じて戦術的に設置される方面前
進兵站基地と分けることができる。また、別の分類としては兵站基地は兵站地区
司令部や兵站衛生諸機関、その関連機関などが併設される兵站主地、通常は兵站
地区司令部や出張所と併設される兵站地、前線の作戦部隊に対して最寄の兵站基
地である兵站末地(terminal point of line of communications)と区分される
場合もある。

 参議院で論戦中の「戦争法案」における安倍政権の概念とは相当の開きがある。
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◆編集長から: 片山通夫
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 本誌・609メールマガジンも720号を数えた。単純に計算すると14年足
らずの間、毎週火曜日に出してきたことになる。
 発刊当時と現在の世相は大いに変化があることに気がつく。例えば、現代時評
に見ると創刊号には「[長野県企業局長とIT革命のルール] 知事の名刺を二つ折
りにした企業局長に四千数百通の非難メールが殺到したという。それに対し企業
局長はインターネットで詫び状を出した。」という記事。これは「名刺の交換」
に端を発した小さな事件である。ただもうこの頃から「ネットで炎上」と言う現
象が見られた。 
 最近は当然「安倍政権がらみ」の時評が多い。今週は井上脩身氏の《「責任」
乱発首相の責任》というもの。たった13年ほどの期間だが、その時々の「時評
」を読み返すのも興味ある。なぜなら我々の住む環境は時々刻々と変化してゆく
から、現代時評が必至について行こうとする様が見えるのも興味深いものがある。

バックナンバーはこちらから・・・。
http://archive.mag2.com/0000052236/00000000000000000.html
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  発行     2015年8月4日  No.720
  発行     毎週火曜日  購読料無料
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