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タイトル:609studio No.715 ◆現代時評《「安部談話」と「安部首相の独り言」》:片山通夫  2015/06/30


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【609 Studio】メール・マガジン 2015・6・30 No.715
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアや
サハリン の話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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               特集 Lapizが見た戦後70年

               Lapiz2015Summer 

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◆現代時評《「安部談話」と「安部首相の独り言」》:片山通夫
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 なんでも安倍首相は「安倍談話」なるものを出さないということにしたようだ。
本来、「談話」は閣議で決定して政府の公式見解となる。安倍首相は敢えてその
公式見解(閣議決定)を捨てた形だ。

 ならばと言うことで「首相の談話」なる珍妙な「談話」を出すという。この「
の」が間に入るだけでその持つ意味は格段に下がる。朝日新聞6月24日付朝刊
によると、安倍首相は第一次安倍内閣を放り出した後の2009年、雑誌「正論
」の対談で「村山談話以降、政権が変わるたびにその継承を迫られる。まさに踏
み絵である」と語っていた。だからこそ、今回、戦後70年という節目に「安倍
談話」を出したかったのだろう。それをあえて、閣議決定しないという背景には、
国会の会期の大幅な延長がある。会期中に「安倍談話」を出すということになる。
下手に「閣議決定した談話」を国会会期中に出すと懸案の安全保障関連の国会審
議に悪影響を及ぼす危険があるということだ。
 ・・・ということは、出すつもりだった「安倍談話」は中韓はおろか、開会中
の国会からも、問題視される代物だったということだ。そうでないと念願の「
安倍談話」を引っ込めるはずがない。

 安倍首相の当初の勢いは霧散した。村山、小泉談話を「全体として引き継ぐ」
という安倍首相の意味不明の見解は少なくとも政府の公式見解ではなくなったわ
けだ。
 それでも「安倍首相の談話」を出すというから、何ともみっともない事になっ
てきた。勿論彼の本来の目的である「安保関連法案」を成立させるという大目的
のための小事だということなのだろうが、逆に考えると、その「安保関連法案」
の成立も怪しくなってきたということなのだろう。潮目が変わったのは、国会の
憲法審査会で“自民オウンゴール”をしてからだ。三人の憲法学者に「違憲」だ
と突きつけられた政府は慌てふためいた。菅官房長官などは記者会見で「合憲だ
という憲法学者はたくさんいる」と見栄を張ったあげく、たった三人しか名前を
上げられなかった。そのうちの二人からは「徴兵制は合憲だ」と言われて、従来
政府は「徴兵制は違憲だからあり得ない」と言う見解との整合性を問われている。
なんだか「はしご外し」の連続を見る様である。

 またここにきて内閣支持率はどんどんと低下してきた。「安保関連法案」の反
対も、賛成を大きく上回っている。そんなときに「安倍談話を閣議決定」すれば、
その内容によっては法案審議も吹っ飛びかねない。
だから「安倍の独り言」で落ち着かせたと言うのが事実に近いと思われる。

 我が国の首相だと思うとなんだか悲しくなってきた。
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     「追跡!あるサハリン残留朝鮮人の生涯」 片山通夫 著

  日本の植民地統治が生んだ一家離散「二重徴用」「急速転換」「樺太
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◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄《コンビニコーヒース》:みなみうら・くにひと
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 イオンのPB商品についてメーカー名表示のない不思議を書こうと思っていまし
た。しかし近ごろ、意欲低下というべきか、こんなことをいつまでも続けて何の
意味があるのかとか、疑問はてなの日々です。

 日経新聞がコンビニコーヒーを報じました。前回でも紹介しましたが、今年ナ
ンバーワン商品の記事を転載してお茶を濁します。

 「コンビニコーヒー7億杯 今年度販売量 100円台で女性・シニアも支持 」日
経新聞12月23日朝刊

 コンビニエンスストアの「いれたてコーヒー」の市場が広がっている。セブン
―イレブン・ジャパンなど大手5社の2013年度の合計販売量は7億杯を超える見
通し。1杯100円台の手ごろな価格が受け、「コーヒーをコンビニで買う」消費者
が急増。13年の国内コーヒー消費量も過去最高を更新する勢いだ。

 大手ではサークルKサンクスが12年8月までに全6300店にコーヒーマシンを導
入。セブンイレブンが13年1月から、1杯100円の「セブンカフェ」を本格展開し、
コンビニ利用が多い男性に加え、女性やシニアにも浸透した。
 セブンは5月に年間販売目標を4億5千万杯と当初計画から36%上方修正。年
間3億杯とされる日本マクドナルドを上回る日本で最もコーヒーを売るチェーン
に躍り出た。ローソン、ファミリーマート、ミニストップを加えた5社のいれた
てコーヒー導入店は14年2月末で4万3千店と1年前の3倍に増える。

 国内の喫茶店はピークだった1981年の約15万店から半減。「カフェのない街で
はコンビニが代わりに利用されている」(ローソンの玉塚元一最高執行責任者)。
ローソンは15年春までにカツサンドなどを店内でつくる「まちかど厨房」を5千
店に拡大。ファミマなども飲食コーナーの設置店を増やしている。

 全日本コーヒー協会(東京・中央)によると、1〜9月の国内消費量は前年同
期比4%増の33万4500トン。「コンビニコーヒーの貢献は大きい」(西野豊秀専
務理事)。この伸びが続けば、年間では07年の43万8300トンを上回り、過去最高
となる可能性が高い。……

<2013年11月23日>
「ふろむ京都山麓」 http://blog.goo.ne.jp/0000cdw

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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版: > 2015年6月26日号
 本紙(韓国語・ロシア語)は下記へ!
http://www.609studio.com/html/sekoryo/index.html
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サハリンと京機道との交流拡大

 来週から韓国京機道代表団2組が来島。幼少年サッカーチーム、太券道チーム
、経済界代表チームなど現地とのスポーツ交流するほか、経済人らは美容、アウ
トドア、インテリア、厨房など関連商品の説明会を行う。

青年の日、オーリンピック記念日

 6月27日はロシア青年の日、またロシアオーリンピック記念の日である。今
年は終戦70周年も重なる故に盛大な行事が待っている。午前11時に州庁舎前
で開幕式を行い、オーリンピック2冠王であるアンナ・ボガリイさんと一緒に体
操するプログラムの他、多様なスポーツゲームが用意されている。

鮭マス漁始まる

 7月1日からサハリン西北部で鮭マス漁を始める。北クリルでは既に始まって
いる。今年、サハリンとクリル沿岸で釣れる量は18万7千トン。

原住民児童スポーツ大会

 6月30日〜7月5日まで北方少数民族児童100人余りが参加する原住民児
童スポーツ大会がトイモフスクで開催される。オハ、ノグリキ、アレクサンドロ
フスクーサハリンスキー、スミルヌイフ、ポロナイスクから代表選手らは競技の
ほか、博物館見学、民族アンサンブル公演観覧など多様なプログラムに参加でき
る。

新任アシアナ航空サハリン支店長

 アシアナサハリン支店の支店長が変わる。4年間務めた金テワンさん(45歳
)が6月27日帰国し、ホン-チョンワンさん(44歳)が赴任した。

サハリン横断オートバイ・ラリー

 サハリン州国際モータースポーツ社と日本のBIG TANK MAGAZINが共同で主催す
るサハリン横断オートバイラリーが7月2日〜8日まで行われる。日本から男女
60人が参加する予定。サハリンでの参加申し込みは7月1日まで。

韓人青少年歴史キャンプ

 サハリン州韓人老人会は光復70周年を記念して、サハリン韓人青少年を対象
に歴史キャンプを開く。8月2日〜5日まで歴史と伝統文化についての講義を聞
くほか、韓人歴史関連地域を回る。参加資格は12歳〜15歳まで。
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◆みほの独り言  《知らなさすぎる戦後の負》     はないみほ
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 福島菊次郎さんを知っているだろうか?
 私は偶々YouTubeでアーサービナードさんのBS11の番組を見つけて知った。
 福島菊次郎さんは、96歳。
フォトジャーナリストだ。
 戦時中は軍国青年だった。
  徴兵制で軍隊に取られ、馬にけられ負傷し、入院するはめになりその間に自分
が所属していた軍隊は危険地域に派遣され、全滅した。その後復帰し軍隊に戻っ
た福島さんは、自らが爆弾になって敵に突っ込む部隊に入れられる。それは自爆
テロのようだ。そんな軍隊が出来ていて、死ぬ事が誉れと教育がされていた。

 結局イスラム原理主義と自爆テロという言葉でイスラムと言う国が危ないと言
う印象を強くマスコミは伝えているが、70年前の日本も同じように自爆部隊を
つくり養成していたのだから、恐ろしいのは宗教の問題ではなく、戦争をやり始
める権力がそういう教育をし、育てたにすぎない。

 福島さんたちはヒロシマで自爆部隊の練習等をしていたが、原爆投下される前
の5日前に九州に送られていた。
そして8月6日、ヒロシマに原爆は投下され、その3日後に長崎に投下され、戦
争は終わった。
 死ぬ事を覚悟して軍隊にいた福島さんは、二度の偶然に命を救われた。それか
ら彼は、被曝者の中村さんと言う方を撮り始め、戦後の権力のウソを追求しつづ
ける。その生き様は凄まじくい。

 福島さんのカメラのレンズは真っ向から権力に向き合った。
 福島さんの写真集を見てみた。
すると1974年の東京で憲法改正の集会の様子の写真。
 今まさに憲法改正にむけて、自民党がいろんな団体に声をかけて日の丸あげて
唸っている。この空気は今はじまったものだと私は思っていた。がしかし、その
空気は戦後ずっとあったのだ。
 愕然とした。
 きな臭い空気はずっと戦後もたゆまなく続き蠢いていた。
 私は3年前、731部隊という存在を知った。戦時中の権力の多いなる負。
 それは、医者と言う存在を真っ向から否定した。命を守る医者が命を奪う凶器
になる。その恐ろしき部隊は壊れずに日本中に分散し、医療権力を作り、戦後の
様々な公害問題(放射能、水俣、イタイイタイ病、森永ヒ素ミルク、エイズ、喘
息、ワクチン・・・)を助長する役割を担っている。

 知らなすぎる戦後の権力の実体。

 60年安保反対闘争、70年安保反対闘争、三里塚闘争、あらゆる原発反対闘
争、沖縄基地問題、・・・戦後日本本土にはアメリカ軍基地が点在した。日本軍
の基地がアメリカ軍の基地になった。
 その基地では、アメリカ軍の飛行機がとてつもない騒音で頭上を飛び回り、墜
落事故もあった。アメリ軍の民間人への暴行もあったという。
 その様々基地問題に日本中の基地近隣の住民は頭を悩ましていた。
 今の沖縄のように・・・
 それぞれで運動があった。
 結局、1974年の沖縄返還と同時に沖縄にほとんどの危ない戦闘機は集中し、
日本本土の基地は縮小し、そのかわり沖縄は三分のニをアメリカ軍に基地として
奪われた。

 重い戦後の歴史がずっと続いている。
 私たちがそれを知らないのは、戦後の経済復興、経済成長と言う言葉とお金と
物で自分たちの前に暖簾(のれん)がいくつも連なってその奥の負が見えなくな
ってしまっていた。そしてあえて権力は、その暖簾をジャラジャラとぶら下げて、
負を消しゴムで消す作業に余念ない。
 96歳の目は今も追っている。
 福島県の原発事故を・・・
 暖簾の先を見通すと、そこには悲しい現状がある。
 暗く恐ろしい現実である。
 思わず、暖簾をくぐるのは辞めておこうとする心理が働く。けれど、私たちの
これからの未来は暖簾の手前で待ち受けている訳ではなく、暖簾の先に本当の未
来がある。そろそろ暖簾を取り除き、真っ向から現実を直視し、戦中、戦後の過
ちを修正する時だ。

 戦争は偶然の産物ではなく、軍需産業を支え応援する人たちが作り出す一計画
である。
 その計画の中の市民の命の存在は無いに等しい。
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◆「スプートニク」 >>> 引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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◆一口メモ 【サケ・マスの母川国主義】             
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 現在、200カイリ外の公海上でも沖取りするサケマス漁業が規制されるのは、
サケ・マスなど遡河性魚類(河で生まれ、河に戻る魚)に対して、国連海洋法で
「母川国主義」がとられている。200カイリ外の水域でも母川国の管理権がお
よぶため、日本は漁業協定とは別にソビエト(現ロシア)と協議して、サケマス
の漁獲量を決めなければならないということである。
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◆[編集長から]: 片山通夫
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 自民党若手国会議員らの会合で報道機関に圧力をかけて言論を封じようとする
議論が出た問題で、出席していた自民党の長尾敬衆院議員(比例近畿)は27日、
会合での発言の一部を自身のものと認めた。認めたのは「沖縄の特殊なメディア
構造をつくってしまったのは戦後保守の堕落だった。左翼勢力に完全に乗っ取ら
れている」との発言。(沖縄タイムス6月27日電子版)

 ことの起こりは昨日開かれた安倍晋三首相に近い自民党議員による勉強会「文
化芸術懇話会」(代表=木原稔・党青年局長)で、参加議員や講師として招かれ
た作家の百田尚樹氏から沖縄をおとしめたり、報道機関を威圧したりするような
発言が出たことだ。

 先に述べた自民党の長尾敬衆院議員が「沖縄の特殊なメディア」という表現を
していたが、良い得て妙だ。いや、決してほめているわけでもない、まして賛成
しているわけでもないが確かに沖縄タイムスと琉球新報は「特殊なメディア」だ
と言える。どの点が「特殊」かと言えば本土のマスコミにはない反骨精神が旺盛
だからだ。この2紙からは次のような抗議の声明が出た。

 「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」という発言について「政権の意
に沿わない報道は許さないという“言論弾圧”の発想そのもの」と批判。米軍普
天間飛行場(沖縄県宜野湾市)と周辺住民にかかわる見解には「沖縄の基地問題
をめぐる最たる誤解が自民党内で振りまかれた」として訂正を求める考えを示し
た。さらに「批判的だからつぶすべきだ―という短絡的な発想は極めて危険であ
り、いずれ全国のマスコミに向けられる恐れのある危険きわまりないものだ」と
指摘し、「今後も言論の自由、表現の自由を弾圧するかのような動きには断固と
して反対する」というものだ。(朝日新聞電子版から)

 安倍首相率いる内閣は昨年の集団的自衛権の行使を解釈変更で可能とする閣議
決定をした。これに対して、世間は「立憲主義を無視した」と非難ごうごうの今
がある。安倍首相率いる自民党も昨日の勉強会「文化芸術懇話会」での発言にあ
ったように、憲法解釈どころか完全にないがしろにした発言が相次ぎ、実によく
出来た安倍子分連中だといえる。

 我々国民はのほほんとこれらを看過するわけにはゆかない。内地のマスコミは
この事実を伝えるだけで、抗議の姿勢は今のところ・27日15時現在、見せて
いない。ただ日本新聞労働組合連合(新聞労連)や日本民間放送労働組合連合会
(民放労連)は26日、抗議声明を相次いで出した。

 マスコミは新聞労連や民放労連にゆだねていないで、自身の首を絞めるような
安倍自民党に対する確固たる抗議を早急に行うべきだ。つまり会社としてこの機
に毅然とした抗議をすべきなのだ。そうでないと沖縄の2紙の言うように「いず
れ全国のマスコミに向けられる恐れのある危険きわまりないもの」になる危険が
ある。

 まさかもう寿司屋で反骨と言う骨を抜かれてしまったのか。
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  発行     2015年6月30日  No.715
  発行     毎週火曜日  購読料無料
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