609studio　No.714　◆現代時評《反憲法の“アーミテージ法”》：井上脩身 2015/06/23

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タイトル：609studio　No.714　◆現代時評《反憲法の“アーミテージ法”》：井上脩身 2015/06/23

────────────────────────────────────── 【609 Studio】メール・マガジン　２０１５・６・２３　No.７１４ ────────────────────────────────────── フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載！ ────────────────────────────────────── 　　　　　　　　　特集　Lapizが見た戦後７０年　　　　　　　　　　　　　　　Lapiz2015Summer　　　　　　　　　　　　　　　６月１日同時発行！　　　　　　　　　詳しくは　http://lapiz-international.com/ ────────────────────────────────────── 609studioWeb site 　《モノクロームの時代》中国編連載中！！ http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-13.html ────────────────────────────────────── ◆現代時評《反憲法の“アーミテージ法”》：井上脩身 ────────────────────────────────────── 　衆院憲法審査会で、与党推薦者を含む３人の憲法学者がこぞって安全保障関連法案を「憲法違反」と指摘したのに対し、政府は９日、「憲法上容認される」と反論した。憲法学者の意見には一切耳を傾けず、今国会での法案成立に邁進する構えだ。安倍晋三首相はアーミテージ元米国務副長官の走狗ではないかと、私（筆者）はかねてから疑っていた。安保法案を憲法の上位に置くという逆立ちした政府与党の頑な姿勢を見ると、憲法を否定するアーミテージ氏の提言通りに動いていることは明白だ。日本はタカ派元米軍人の言うがままの軍事国家になろうとしている。　以前、本現代時評でも触れたが、ここでアーミテージレポートをおさらいしておこう。　アーミテージ氏は米海軍兵学校を出て、ベトナム戦争に従軍した軍人出身の政治家。ブッシュ政権時代に国務副長官に就任し、外交指針を取りまとめた。ブッシュ氏が大統領になる前年の２０００年にまとめたのが第１次アーミテージレポートである。この中で、日本に対して有事法制を策定するよう提言。０１年に成立した第１次小泉内閣の官房副長官として、安倍晋三氏は同レポートに少なからず影響を受けたとみられている。　アーミテージ氏は０７年、「２０２０年を見据えた課題」と題する第２次レポートを発表。「日本への助言」として、①情報の機密性の保障②憲法よる行動の制限に関する議論③自衛隊の海外派遣に関する議論――などを提言。第１次安倍政権での首相であった安倍氏がこの助言を丸のみして採り入れようと考えたことは想像に難くない。第２次安倍内閣で特定秘密保護法を成立させ、憲法を１８０度も解釈変更して集団的自衛権行容認の閣議決定をしたのはその証左である。　アーミテージ氏はさらに追い打ちをかける形で１２年、第３次レポートを作成。日本に対し、「国家の防衛には攻撃的責務があり、集団的自衛権禁止の解除による政策の変更」を求めたうえで、１）地域の緊急事態に対する日本の責任範囲の拡大２）ペルシャ湾での掃海作業と南シナ海での（米国などとの）共同監視―― などを担うよう要請した。さらに「軍事的により積極的な日本になるよう、憲法を改正すべきだ」とまで踏み込んだ。　安倍政権が作成した「武力攻撃事態法案」「重要影響事態法案」といった意味不明な法案の土台が同レポートであることは、もはや疑う余地はない。政府は我が国の存立に重大な影響を及ぼす事態として、ホルムズ海峡の閉鎖や南シナ海におけるシーレーンの緊張を挙げるが、これも第３次レポートに記載されている。　要するに、現今の安保関連法案は“アーミテージ法”なのである。　安保関連法が成立した場合、アーミテージレポートの提言で残るのは「憲法改正」のみとなる。　冒頭で述べたように、３人の憲法学者が憲法違反との断を下したのを受けて、マスコミには「集団的自衛権行使ができるようにするならば憲法を改正するのが先決」との論調が見られるようになった。確かに憲法を変えれば憲法違反にはならない。だがそこには、平和憲法を捨てることが真に国際平和を求める道なのか、という根本的論議が抜け落ちている。それこそアーミテージレポートの罠といえるだろう。同レポートはひと言も「憲法を先に変えろ」とはいっていないのだ。　安倍首相は自分の在任中での憲法改変を目論むはずである。その船頭役として第４次アーミテージレポートが発表されるのは大いにあり得る。その場合、「攻撃的自衛」の具体的中身が盛り込まれることになるであろう。 ────────────────────────────────────── 　　　【著書案内】　　　　「追跡！あるサハリン残留朝鮮人の生涯」片山通夫　著　日本の植民地統治が生んだ一家離散「二重徴用」「急速転換」「樺太　への逆密航」を語る貴重な証言！！　　凱風社　刊　http://www.gaifu.co.jp/index.html 　　　　　　　　　　　定価　１９００円＋税 ────────────────────────────────────── ◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄《富士山とブラックバス》：みなみうら・くにひと ────────────────────────────────────── 　新幹線で東京に向かう車中、いちばんの楽しみが富士山。今日は見えるかしら、といつも思いながら居眠りしてしまう。それでも近づくと目が覚め、見落とすことはありません。不思議ですが、理由は簡単です。車内がざわざわするからです。　「わあっ！」とか「きれい！」とかという声とともに、ケータイがパシャパシャと音をたてます。海側の席の乗客は山側のドア窓に移動もする。ですから寝ていても、見える日には必ず優姿に出会えます。　世界文化遺産に選ばれたことは素直に喜びますが、富士五湖の西湖・河口湖と山中湖には納得がいきません。６月２９日付けの新聞が報じましたが、この三湖では毎年、ブラックバスが放流されているのです。山梨県の公認です。　２００５年施行の外来生物法はブラックバスの放流を禁止しています。しかし山梨県の三湖と神奈川県の芦ノ湖のみは、法施行以前から漁協が漁業権をもち、例外的にブラックバスの放流が認められています。三湖では釣り人から遊漁料を徴収している。そして１０年に１度、放流の可否が見直しされるのだが、世界遺産登録が決まった直後、またもやバス放流が１０年延長されることになりました。　　地元漁協では「業者の生活がかかっている」と主張しています。確かに百軒以上が釣用貸しボートで生計をたてている。三湖の遊漁料合計は年一億円近くにのぼるそうです。　しかしどうも納得がいきません。また西湖には貴重種のクニマスが棲息しています。サカナ研究家でタレントの「さかなクン」が発見しましたが、秋田県田沢湖の固有種が公害汚染水のために絶滅する前、戦前に西湖に卵がいくらか移されていた。それが奇跡的に生きのび、西湖での棲息が確認されたのが２０１０年。　ブラックバスとクニマスが共存できたのは、湖での棲息域に違いがあるためだそうですが、クニマスの稚魚はきっと外来種の餌食になっていることでしょう。　世界に誇る文化遺産の富士山一帯です。レッドリストに野生絶滅種と記載されている貴重なクニマスを放流して、三湖を名所にしてみてはいかがでしょう。この遺産魚がどんどん増えれば食用にもできます。塩焼きでもフライでもおいしいらしい。そのためにはまずブラックバス退治を先行しなければなりません。ブラックバス・バスターズでしょうね。　クニマスの故郷である田沢湖では「クニマス里帰りプロジェクト」を継続中です。しかし七十年以上も前の汚染水の影響はいまだに残り、酸度の高い田沢湖でのクニマス復活はむずかしい。片や里帰りをこころから望み、一方では遊びの漁で収入を得ようとする。　わたしは富士三湖がクニマスで溢れることを望みます。田沢湖の水質改善も同様です。＜2013年7月1日山開き＞「ふろむ京都山麓」　http://blog.goo.ne.jp/0000cdw ────────────────────────────────────── ◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版：２０１５年６月１９日号本紙（韓国語・ロシア語）は下記へ！ http://www.609studio.com/html/sekoryo/index.html ────────────────────────────────────── ２０１５年６月１９日号州知事選挙の日程発表　さる１６日、サハリン州選挙管理委員会は９月１３日に州知事選挙を行い、翌日の１７日から選挙活動が可能だと発表。８月７日まで候補登録を終えるべき。１０年ぶりに復活した州知事選挙であるため、広報活動や若者の投票率を高めるために、様々な工夫がなされるとのこと。知事代理、ネベリスク市を好評　実態把握のために地方を回っている州知事代理が１６日、ネベリスク市を訪問。２００７年の地震以後復興事業を続けてきたが、市政府に対する住民の信頼や評価が高く、３時間にわたる住民との懇談会で知事代理もこの点に気付き、追加支援金の支給を約束。米国とのパートナーシップ会議開催　今年１０月７～８日、第２０回露米太平洋パートナーシップ会議がユジノサハリンスクで開催される。さる１７日、事前準備会議を行った両側代表は「現在、両国の間には意見の差があるが、今まで築いてきた信頼関係を元に交流は拡大されていくであろう」と期待を表した。韓国訪問を自粛するように　サハリン州政府は韓国への訪問を自粛するように呼びかけている。また、訪問の際はマスクの使用と大勢の人が集まるところを避けるように勧告している。強制徴用犠牲者を追悼する　さる１６日午後２時、ユジノサハリンスク市ガガーリンホテルで、釜山「わが民族助け合い運動・サハリン韓人歴史記念事業会」が主催する追悼式「日本帝国強制占領期サハリン韓人強制徴用犠牲者を追悼する」が行われた。同会は多くの１世が眠っているユジノサハリンスク第１共同墓地に来る８月１１日、追悼碑を建てる。医療勤労者の日　６月２１日は医療勤労者の日。１８日、ユジノサハリンスク市立病院で記念行事が行われた。式典では州政府関係者から１０人の医師や看護師に表彰状が送られたが、その中には市立病院で専門医として働いている同胞医師カン・ボンスンさんもいた。追悼行事―展示会「夜明けに」　チェホーフ博物館が６月２２日午前４時から７時まで「夜明けに．．．」という展示会を開催する。７４年前の１９４１年６月２２日、第２次世界大戦がはじまった。この悲劇な瞬間を記憶し、祖国のために戦った英雄たちを追悼するためである。東京世界子供美術展に入賞　サハリン州児童美術学校や児童芸術学校の学生９人の作品が東京世界美術コンクールで大賞、金賞、銀賞３、銅賞４の賞を受けた。過去２０年間も作品を出してきたはこんなうれしいニュースは初めて。 ────────────────────────────────────── ◆「スプートニク」　>>>　引用元　http://jp.sputniknews.com/ ────────────────────────────────────── ◆情報通信・ラジオ「スプートニク」（HOME) 　http://jp.sputniknews.com/ ◆日本関連　http://jp.sputniknews.com/japan/ ◆国際─────────────── 　http://jp.sputniknews.com/world/ ◆ロシア国内─────────────── 　http://jp.sputniknews.com/russia/ ────────────────────────────────────── ◆一口メモ　【ＯＰＥＣ・オペック】　　　　　　　　　　　　　 ────────────────────────────────────── 　石油輸出国機構（ＯＰＥＣ）は１９６０年、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの５か国によって設立された。７つの主要な多国籍企業（ブリティッシュ・オイル、エクソン、ガルフオイル、モービル、ロイヤル・ダッチ・シェル、シェブロン、テキサコ）からなるカルテル「セブンシスターズ」による世界の石油市場の独占に対抗しての動き。現在ＯＰＥＣには１２の国が参加している。カタール、リビア、アラブ首長国連邦、アルジェリア、ナイジェリア、エクアドル、アンゴラが、それぞれ別々の時期に加盟した。加盟国で世界の石油埋蔵量の３分の２を占め、生産量の４割を占め、輸出量の半分を占める。ＰＰＥＣの主な目的は、世界市場における石油価格の安定と公正を実現するために、加盟国の石油政策を協調し、統一することにある。 ────────────────────────────────────── ◆[編集長から]：　片山通夫 ────────────────────────────────────── 今日６月２３日は沖縄・慰霊の日。１９４５年６月２３日に沖縄戦の組織的戦闘が終結した。これを祈念してこの日が慰霊の日と定められた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　合掌 ───────────── 　国際通貨基金(ＩＭＦ)が１５日、所得上位２０％層より下位２０％階層の富が増加する方が経済成長に及ぼす効果がはるかに大きいとして、トリクルダウン理論に正面から反駁する報告書を出した。トリクルダウンとは、富裕層の所得が多くなれば富裕層が投資や消費を増やし低所得層の暮らしもよくなり成長率も高くなるという概念だ。　https://www.imf.org/external/pubs/ft/sdn/2015/sdn1513.pdf 　アベノミクスのブレーンである浜田宏一教授も「アベノミクスの第１期については、トリクルダウンであるのは事実なんですね。まず輸出産業が良くなって、その後、株価が上がって、最初に利益を受けたのは外国人とか金持ちの投資家だった。それがスタートで、次に時間外賃金の上昇といった形でパート・アルバイトの労働市場に波及している。でも、まだ実質賃金が上がらず、みんなが喜ぶような状態にはなっていない」と述べる。　最近、安倍首相はトリクルダウンについて「我々が行っている政策とは違う」と強調しているがアベノミクスはお金をあるところからないところへ流すトリクルダウンの特徴を活用した政策でしかない。我が国では「金持ち金使わず」といわれ、「金持ちほど無駄遣いをせず、ケチである」と言うのが通説である。　ＩＭＦの報告書のほうが納得できるのは筆者だけか。　いやいや、それよりも高齢化社会や年金の減額など「先行き不安」の世知辛い世の中、金持でなくともお金は使わずに貯めるのではないか。 ───────────── 　２０１４年８月、文部科学省から全国の国立大学へ、「教員養成系、人文社会科学系学部の廃止や転換」が「通達」された。１３年６月に閣議決定された「国立大学改革プラン」を受けたものだ。　安倍政権はここでも全く将来を見据えた政策を考えていない。いや、考えられないのだろう。とにかくすぐにお金になる可能性しか価値を求められないようだ。　大阪で文楽や児童文学館を廃止したりしたあの愚策に通じる。そのうちビデオカメラで大学の研究室を監視する危険がありそうだ。　ロダンの「考える人」のような教授の思索姿を撮って、働いていない・・なんて言いだしそうな・・・。 ───────────── 　韓国水力原子力(韓水原)が韓国初の商業運転原子力発電所である釜山・機張（キジャン）郡の古里（コリ）１号機の２次寿命延長を原子力安全委員会に申請しないことを決めた。廃炉に至った経緯はともかく、韓国は廃炉技術を培って今後廃炉が予想されるための技術の売り込みも視野に入れるという。　我が国も早急に《廃炉技術》を培うべきだ。 ──────────────────────────────────── 発行　　　　　２０１５年６月２３日　　No.７１４発行　　　　　毎週火曜日　　購読料無料 FB　　https://www.facebook.com/michio.katayama.5 　配信まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 contact us http://www.609studio.com/html/mailform.html website http://www.609studio.com/ 投稿　　 http://www3.ezbbs.net/06/609studio/ 購読解除　http://archive.mag2.com/0000052236/index.html 　　　　　　　　　　　◇禁・無断転載◇ ────────────────────────────────────────────────

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