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────────────────────────────────────── 【609 Studio】メール・マガジン 2015・5・1912 No.709 ────────────────────────────────────── フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏 の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアや サハリン の話題編集長のコラムなど多彩な話題満載! ────────────────────────────────────── Lapizが見た戦後70年 6月1日発行! 詳しくは http://lapiz-international.com/ ────────────────────────────────────── 609studioWeb site 《モノクロームの時代》スペイン編 連載中!! http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-13.html ────────────────────────────────────── ◆現代時評《風評被害》:片山通夫 ────────────────────────────────────── 風評被害という言葉が、頻繁にマスコミなどででてきたのはかなり前のことだ。 記憶をたどると、1993年、我が国が記録的な冷夏に見舞われて米不足に陥っ た。そこで緊急輸入したタイ米について「臭くてまずい」「ネズミの屍骸が発見 」などの偏向報道もみられた。これは結果として官民あげての風評被害であり国 際問題となった。タイでは米の価格が跳ね上がり餓死者も出たという。 また近いところでは東日本大震災で原発が大きな被害を受け、周辺の町に住め なくなった。ところが放射能被害を過小評価し、はなはだしい場合は隠ぺいする ケースも官民の両方で散見している。ここに風評被害が発生する隙がある。 昨今では箱根の騒動だ。我が国でも屈指の観光地である箱根周辺は、御嶽山で 大きな被害が出た記憶も新しい中で風評被害との戦いで必死だ。例えば、箱根町 のホームページを見てみると、次のようにある。 今回の措置は、大涌谷の噴煙地に近いごく一部への立ち入りを規制するもので、 箱根の他地域まで規制が及ぶものではありません。したがって噴煙地以外の各地 域の施設や交通機関は、平常通り営業(運行)しており、住民もいつもどおりの 生活をしております。 観光客の皆様におかれましては、町や関係機関からの関連情報に十分留意して いただきながら、つつじ、新緑の箱根観光を満喫していただきたいと思います。 ※ 火口周辺警報(レベル2)とは、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生、ある いは発生すると予想される場合で、火口周辺(半径300m)以外は通常の生活 が出来ます。 箱根町企画観光部観光課 http://www.hakone.or.jp/2276 そして観光で生きている業者なども風評被害に敏感になっている。 はたして《風評被害》だと片づけていいものなのか、それとも君子危うきに近 寄らずで危険の可能性がすこしでもあるところへは近づかないのが良いのか、悩 ましい問題だ。 例えばあの福島の原発事故では時の官房長官がテレビカメラの前で盛んに「た だちに影響はない」と連呼していた。「では5年後にはどんな影響があるのか」 と知りたいものだが、誰も答えてくれない。おまけにアエラと言う雑誌が震災後 すぐに出した号で、防毒マスクの写真を掲載し、「放射能がくる」というコピー を掲載した。これに対して風評被害を助長するという批判が殺到したとか。 しかし結果はこのコピーが正しかった。批判した側は「何が風評被害」なのか 明確にできないまま批判だけを繰り返したようだった。 冗談じゃないと思う。カイワレ事件や箱根の観光地などの風評被害は、携わる 業者などの死活問題なのだから、まだそれを払しょくすることは理解できる。 しかし、相手が東京電力という巨大な企業であり、国である場合、まして放射 能がかかわっているのだ。風評が蔓延して被害がでないように、すべきなのは政 府であり東京電力なのだ。 つまり、持っている情報をすべて国民の前に、世界に公表して、その判断は外 部の人間に解説してもらい、国民自身がすべきなのだ。 知らさないで風評被害もないもんだ。あの「アンダーコントロール」というセ リフ一つとってみても、嘘であることは昨今の状況を聞けば明白だ。それが証拠 に最近安倍首相は「アンダーコントロール」と言っていないようだ。 逆の意味で彼の言葉は《風評被害》を助長するのではないか。 ────────────────────────────────────── 【著書案内】 「追跡!あるサハリン残留朝鮮人の生涯」 片山通夫 著 日本の植民地統治が生んだ一家離散「二重徴用」「急速転換」「樺太 への逆密航」を語る貴重な証言!! 凱風社 刊 http://www.gaifu.co.jp/index.html 定価 1900円+税 ────────────────────────────────────── ◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄《貸本という文化インフラ(4) 本は買うものであった》:みなみうら・くにひと ────────────────────────────────────── 電子雑誌「Lapiz」12月号が発売になりました。知名度はまだ低いようですが、 内容はかなりのハイレベルだと思います。MAGASTOREマガストアの扱いで300円。 今号では図書館特集も読み応えがありそうです。「椋鳩十と島尾敏雄」、「武雄 市図書館」、「貸本という文化インフラ」… 実は「貸本という文化インフラ」をわたしが執筆担当しました。編集長の了解 を得て、連続5回にわたって転載します。今回は4回目。これを機会にぜひ季刊e誌 「Lapiz」をご購読ください。 ベビーブーマーが大学生になるころ、日本は経済的豊かさを実感できるほどに なっていました。電車車内でマンガ雑誌を読む大学生が多く、年配者からひんし ゅくも買いました。サンデーとマガジンは、若者の読書に多大なる影響を与えて いたのです。一方、学生運動も盛んで、反戦や革命を真剣に議論する学生も多か った。そして「教養」が死語ではなく生きた言葉であり、いくらかの古典や思想 書や先端を行く雑誌などを、読んで理解していないと恥ずかしい時代でした 。 しかしこの時代、図書館は少なく、また読みたい本がほとんで所蔵されてい ませんでした。本は買うものであり、自室の書棚があまりに小さく蔵書が少ない と、友人知人に見せるのが恥ずかしいと思う若者が多かった。大学生協は定価の 一割引き。よく利用しました。 そして卒業後、わたしは書店に就職し毎日四六時中、本に囲まれた日々を過ご すことになりました。社員割引もありましたが、やはり本は買うものだったので す。 20年前のことですが、本をはじめて出版しました。『ロバのパン物語』(か もがわ出版)というノンフィクションです。調べて書く作業をしますので、たく さんの資料が必要です。数十万円の本を購入しました。その後、共著でノンフィ クション本をペンネームで出しました。この時は公共図書館を活用しました。前 著の反省で、本をいっぱい買っても、書き終えるとほとんどがゴミ同然になって しまう。息子三人の教育費も圧迫するし、夜遊びの小遣いもショートしてしまう。 そのような切実な問題もありましたが、買う本と図書館で借りる本の見極めが、 いくらかできるようになったようです。 またそのころには、図書館がかなり進化していました。まず検索がカードから 機械にかわりました。徒歩圏内の分館の端末機で全館の探書が可能になりました。 画期的なイノベーションだと感動したのを、いまでも鮮明に覚えています。さら には自宅のパソコンやスマートフォンで検索し、予約するとどの館の図書であろ うが数日で近所の分館に届く。メールで到着案内まで知らせてくださる。 このサービスをはじめて利用したとき、本屋のわたしは恐怖心を抱きました。 「書店は図書館に負ける! 何より敵は無料である……」。滅びの予感でしたが、 いま現実のものになりつつあります。 <2013年12月22日> 「ふろむ京都山麓」 http://blog.goo.ne.jp/0000cdw ────────────────────────────────────── ◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版: 2015年5月8日号・5月15日号 本紙(韓国語・ロシア語)は下記へ! http://www.609studio.com/html/sekoryo/index.html ────────────────────────────────────── 2015年5月8日号 勝利70周年記念カーレース 5月6日午前10時、ユジノサハリンスク市栄誉広場で、参戦者と政治家、一 般市民が集まった中で、第2次大戦勝利70周年を記念して行われるカーレース があった。広場には戦中と戦後のソ連自動車を展示しており、旧型自動車のレー スが行われた。 多様な勝利記念行事を企画 5月9日、第2次大戦勝利70周年を記念する多様な催しが計画されている。 午前10時、栄誉広場で公式集会と軍事パレード、公演が行われる後、昼からは 広場と公園、文化会館の前で「軍人のご飯」を市民に無料で配り、午後8時30 分には政府庁舎前でコンサートがあり、コンサートの終わる10時には花火が打 ち上げられる。 企業週刊 5月12〜18日までユジノサハリンスク市政府は企業週刊行事として多様な プログラムを行う。4年前から実施中の企業週刊。産業や金融、医療、自動車サ ービスなど多くの関連企業が企業説明や商品の紹介を行う。 自然人口増加 2014年の出生者数は前年度日303人も増加した6,657人、双子や三 つ子の多かったのが特徴。死亡者数は前年度日58人減少した6,382人。1 993年以来はじめて自然人口が4.3%(275人)増加した。 国際映画祭 8月21〜28日までユジノサハリンスク市で第5回サハリン国際映画祭「世 界の果て」が開催される。戦勝70周年に開かれる故、第2次世界大戦中の極東 や東南アジア地域を背景とした映画が多数紹介されるほか、ベルリン映画祭で黄 金熊賞を取ったイランのザパル・パタヒ監督の作品「タクシー」をはじめ、中国、 韓国、インド、ロシアなどで制作された約100編が紹介される。 サハリン韓人問題解決には行動が必要 さる5月7日午前10時からユジノサハリンスク市韓人文化センターで、第12 次サハリン韓人団体代表者会議が開催された。韓国赤十字社が主催する同会議に はカザフスタンとロシア(モスクワ、ロストフナドヌ、ウラジオストック、ハバ ロフスクから代表が参加し、永住帰国、一時母国訪問などサハリン韓人を対象と してきた事業に関する意見を交わした。 代表らは依然と変わらぬ要求をし、決議文を採択したが、韓国赤十字社代表らは 決議文だけではなく、自分らの要求を貫くための何らかの行動が必要だと指摘し た。 ―日本政府宛に送る決議文 1)韓日赤十字社のサハリン韓人共同事業体に韓人代表を参加させることを強く 要求する。 2)強制動員被害者の遺族が希望する際、永住帰国を実現させろ。 3)2015年以後永住帰国事業が完了しても残留1世への支援は継続しろ。 4)残留1世に毎月300米ドルの生計支援金を支給しろ。 5)親の生存しない2世も一時母国訪問団に入れろ。 6)未払賃金と郵便貯金を現在貨幣価値に換算して特別基金を作ろ。 7)1世の永住帰国及び一時母国訪問の際、同伴者の同行を要求する。 8)1世母国訪問の際、健康検診を受けるように要求する。 ────────────── 2015年5月15日号 <サハリンー1>継続的な支援表明 さる13日、サハリン州知事代理オレグ・コゼミャコ氏と「エクソン社」代表 ウエン・バルビク氏との会談が政府会議室で行われた。知事代理はサハリン地域 で進められている大型プロジェクトに満足の意を示しながら慈善事業や福祉事業 への参加に感謝していると伝えた。また、サハリンー1にロシア企業ロスネプチ が参加していることは島やロシア全体の発展において意味の深いことだと強調し た。エクソン代表は今まで通り州政府の協力を頼むと要請した。 国際家族の日を記念して 5月15日は国際家族の日。この日を記念して12日、サハリン人形劇場で記 念行事を行った。一部家族のヒストリが紹介されるほか、美しい歌と踊りで参加 者らを祝った。行事に参加した知事代理は今年前年度より20%も多い40億ル ーブルの予算が家族のために割り当てられると伝えながら、健康な家族づくりの ために努力を続けると述べた。 黒竜江省代表が訪問 さる13日、中国黒竜江省ザムス市委員会秘書がサハリンを訪ね、副知事と会 談した。両者は姉妹提携し、現在2つの中国企業がサハリンで石炭採掘を行って いる。来客はザムス市のガス化に伴ってサハリンガスに関心を示したが、副知事 はガスの配分は既に終わっており、観光や運送、木材加工、建設分野への進出す ることを提案した。 韓国留学博覧会開催 5月16日、ユジノサハリンスク市韓人文化センターで韓国留学博覧会が開催 される。韓国国立国際教育院が主催、サハリン教育院とサハリン国立大学韓国語 科が協力する。今回の博覧会には高麗大学を含め21の韓国大学が参加する。 戦勝70周年―誰も何も忘れない 5月9日―戦勝70周年、この日は全ロシアで数多くの行事があった。ユジノ サハリンスクでも当然多様な催いがあったが、最も印象的だったのは栄誉の広場 での行事。午前10時、砲兵射撃から始まった行事、数千人の市民が集まった中 で軍人の立派な列兵式が行われるほか、はじめて軍事装備が登場し、軍人らは行 進しながらロシアの愛国歌と勝利の日という歌を歌った。また、1千人の市民が 戦争に参加した家族の写真を持って行進に参加し、犠牲者らへの黙祷の後、「白 鶴」の歌が流れる中で白鶴の形をした風船を空に挙げた。この際、多くの人々が 涙を組んだ。記念行事は夜の10時まで続いた。 父母の日を記念して 5月8日は韓国で父母に感謝の気持ちを表す記念日。サハリン韓人会も1世老 人たち50人を文化センターへ招待して慰安パーティーを開いた。 ────────────────────────────────────── ◆「ロシアの声」改め 「スプートニク」 >>> 引用元 http://jp.sputniknews.com/ ────────────────────────────────────── ◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME) http://jp.sputniknews.com/ ◆日本関連 http://jp.sputniknews.com/japan/ ◆国際─────────────── http://jp.sputniknews.com/world/ ◆ロシア国内─────────────── http://jp.sputniknews.com/russia/ ────────────────────────────────────── ◆ウイキペディアにみる一口メモ 【ドローン】 ────────────────────────────────────── 無人航空機(むじんこうくうき)は、人が搭乗していない航空機のこと。UAV (Unmanned Aerial Vehicle) や飛行ドローン、さらには無人機とも省略される。 昨今、我が国でも個人が小型のドローンを飛ばす風潮がある。デジタルカメラ を搭載したこれらのドローンは操縦が簡単で誰にでも飛ばすことができるようだ。 首相官邸に飛ばされたドローンは何日も誰もが気がつかないでいたとかで大騒 ぎ。しかしほとんど無音で飛ぶであろうドローンが官邸の屋上に夜飛んできたっ て、東京の騒音では気がつかないのが当たり前。以前はラジコンヘリコプターや 飛行機が幅を利かせていたが、昨今は価格が安いのもあってドローンが大流行。 ちなみに価格だが、64万円位から5千円まで様々の様。 ────────────────────────────────────── ◆[編集長から] 片山通夫 ────────────────────────────────────── 大阪市で「都構想」に大阪市民(約270万人)は「橋下政治」にノーを突き つけた。大勢が判明した夜中と言うか、未明まで筆者のメールなどにも情報が刻 々と送られてきた。市長は敗北を認め、政治家を辞めると会見で話した。 興味あるのは安倍首相と菅官房長官である。はてさてどう出るか?投票前日に は安倍首相は兵庫や和歌山などをうろうろ。勝つ見込みが経てば、維新の選挙カ ーで手を振るつもりだったのかと勘繰りたくなる。 いずれにせよ、沖縄と言い、大阪と言い、民意は示されている。 安倍内閣が14日、安全保障関連法案を承認した。この法案に対する《レッテ ル貼り》を安倍首相は非常に気にしているようだ。前の《特定秘密保護法》は、 まるで秘密を政府だけが保持して国民に知らさないような印象を受けると言うの だ。だってその通りなのだから。 社民党の福島議員が《戦争法案》と言って、物議をかもした。議事録に載せる と載せないとか。そんな「まやかし」で国民をだますことができると思っている のなら国民もばかにされたものだ。 戦後70年。考えてみれば、我が国はあの戦争を「大東亜戦争」と言い、敗退 を転進とかごまかし、無条件降伏を「終戦」と言い換え、挙句の果てには、侵略 はなかったとは! そういえば天皇家も「万世一系」であり、日本は「単一民族」だとか・・。 まるで「うそで塗り固めた」の日本ではないか・・・。 もうそろそろ眼を覚ませ! ────────────────────────────────────── 発行 2015年5月19日 No.709 発行 毎週火曜日 購読料無料 FB https://www.facebook.com/michio.katayama.5 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 contact us http://www.609studio.com/html/mailform.html website http://www.609studio.com/ 投稿 http://www3.ezbbs.net/06/609studio/ 購読 解除 http://archive.mag2.com/0000052236/index.html ◇禁・無断転載◇ ──────────────────────────────────────────────── |