メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.707 ◆現代時評《まるでUSSRの時代》:片山通夫  2015/05/05


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【609 Studio】メール・マガジン 2015・5・5 No.707
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアや
サハリン の話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評《まるでUSSRの時代》:片山通夫
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  外国の報道機関と日本政府がギグシャクしている。独紙フランクフルター・ア
ルゲマイネ(FAZ)のカルステン・ゲルミス記者(56)が書いた英文の寄稿
「外国人特派員の告白」が話題になっている。寄稿が明かしたのは、外務省の抗
議が独本社の編集者にまで及んでいた点だった。記事が出た直後に、在フランク
フルト日本総領事がFAZ本社を訪れ、海外担当の編集者に1時間半にわたり抗
議したという。
 また米主要紙の東京特派員は、慰安婦問題に関する記事で引用した識者につい
て、在米日本大使館幹部から「日本の学術界ではほとんど認められていない」と、
人選を細かく批判する電子メールを受け取った。特派員は「各国で長年特派員を
しているが、その国の政府からこの人を取材すべきだとか、取材すべきでないと
か言われたのは初めて。二度と同じことをしないよう抗議した」と話す。
(以上朝日新聞電子版から)
http://digital.asahi.com/articles/ASH4P6GZ3H4PUHBI02T.html?ref=nmail

 「忖度(そんたく)」という言葉がある。簡単にいえば「他人の心情を推し量
る」という意味である。日本のマスコミは安倍政権の意向を忖度して、本当の事
や深く取材して書かない。ところが外国の報道機関は何の遠慮もなく、あったこ
とを、事実を伝える。遠慮会釈なく・・。

 朝日新聞ももっと堂々と書けばいいのに、外国他社の例を紹介するのみである。
毎日新聞によると、27日付のニューヨーク・タイムズ紙は安倍首相が報道機関
による政権批判の抑え込みを図り、一定の成功を得ていると東京発の記事で報道。
日本の主要報道機関が自己規制を行い、権力の監視が不十分だとの識者の指摘に
も触れた。同紙は20日付社説で安倍首相の歴史観を批判したが、27日は日本
外務省の反論を掲載する一方、同紙の主張を支持する投書も2本載せた。

  またイギリスのTimes紙は、NHKは安倍政権から南京大虐殺や慰安婦問
題などへの言及を禁止されていたと伝えた。安倍政権側はNHKに強く日本の保
守的な民族主義と政府の立場を反映するように命令し、NHKはそれに従ってい
たという。また同紙は「イギリスでは話題になっている情報も取り上げられない
」と述べ、安倍政権とNHKが癒着していることの問題点を指摘している。

 筆者はソ連邦の崩壊時に東欧にいた。ルーマニアなど国内で極端に情報が制限
されていた国ぐにでは、《今何が自分の国で起こっているのか》を知るためには
海外からの放送が唯一の情報源だという話をよく聞いた。だから、できるだけ高
い所へ登り、VOAやBBCをはじめとする放送を聞くことが重要だったという。

 今、安倍政権下の我が国ではほとんどそれと同じ状況になっているようだ。
毎日新聞も週刊テレビ評で「テレビに政権があられもなく介入した国の末路「バ
ック・イン・ザ・USSR!」=金平茂紀と以下のように書いている。
 http://mainichi.jp/shimen/news/20150424dde018070046000c.html

 しかしその毎日新聞も、安倍政権の前に「忖度」し「委縮」していないか?
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◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄《貸本という文化インフラ(2)上村松園の貸本屋》
                                                  :みなみうら・くにひと
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 電子雑誌「Lapiz」12月号が発売になりました。知名度はまだ低いようですが、
内容はかなりのハイレベルだと思います。MAGASTOREマガストアの扱いで300円。
今号では図書館特集も読み応えがありそうです。「椋鳩十と島尾敏夫」、「武雄
市図書館」、「貸本という文化インフラ」。実は「貸本という文化インフラ」を
わたしが執筆担当しました。編集長の了解を得て、連続5回にわたって転載しま
す。今日は2回目。季刊e誌「Lapiz」をぜひご購読ください。

 さて次に明治時代をみてみましょう。美人画で知られる上村松園は明治8年(
1875)に京都の四条奈良物町で生まれ育ちました。父を早くに亡くし、ささ
やかな葉茶屋を営む母と姉と、女ばかり三人の家族でした。ちなみに葉茶屋とは
お茶の葉を売る小売店で、芸妓や舞妓と遊興するお茶屋とは、まったく異なりま
す。
 ところで四条河原町の少し北に本屋がありました。松園が愛した書肆「菊屋」
です。幕末に中岡慎太郎が下宿し、坂本龍馬が愛したこの本屋の少年が峯吉。彼
は龍馬と慎太郎の子分格で、ふたりが河原町通の近江屋で殺害された夜も、凶行
の寸前まで峯吉は同席していました。慶応3年11月15日(1867年)、奇
しくも龍馬は満32歳の誕生日です。
 風邪をひいていた龍馬はシャモ鍋を食べたいと、峯吉を近所の鶏肉屋に向かわ
せます。『坂本龍馬関係文書第二』によると、「龍馬は峯吉を顧みて『腹が減っ
た、峯、軍鶏を買ふて来よ』といへり。慎太郎も『俺も減った一処に喰はう。』
」そして軍鶏肉を携えた峯吉が、近江屋に戻るまでのわずか半時間ほどの間の奇
襲でした。
 上村松園はその後の菊屋と、若主人の峯吉のことを記しています。松園が小学
校に入学した明治15年のころ、菊屋は貸本屋「菊安」と呼ばれていました。鹿野
峯吉は安兵衛に改名したため菊屋の安です。またまた長い引用ですが、ここに登
場する「本屋の息子」が峯吉で、当時30歳代なかばでした。表記は現代語に変更
しています。

 母は読み本が好きで、河原町四条上ルの貸本屋からむかしの小説の本をかりて
は読んでおられたが、私はその本の中の絵をみるのが好きで、よく一冊の本を親
子で見あったものでした。
 馬琴の著書など多くてーー里見八犬伝とか水滸伝とか弓張月とかの本が来てい
ましたが、その中でも北斎の挿絵がすきで、同じ絵を一日中眺めていたり、それ
を模写したりしたものでーー小学校へ入って間もないころのことですから、随分
とませていた訳です。
 字体も大きく、和綴じの本で、挿絵もなかなか鮮明でしたからお手本には上々
でした。
 北斎の絵は非常に動きのある力強い絵で、子供心にも、
 『上手な絵やなあ』と思って愛好していたものです。貸本屋というのは大抵一
週間か十日ほどで次の本と取り替えてくるものですが、その貸本屋はいたっての
ん気で、一度に二三十冊持って来るのですが、一ヶ月経っても三ヶ月しても取り
に来ません。
 四ヶ月目に来たかと思うと、新しい本をもって来て、
 『この本は面白いえ』と言って置いて行き、前の本を持って帰るのを忘れると
いう気楽とんぼでした。
 廻りに来るのは、そこの本屋の息子ですが、浄瑠璃にたいへん凝って、しまい
には仕事を放り出して、そればかりうなっている始末でした。
 息子の呑気さに輪をかけたように、その貸本屋の老夫婦ものんびりとしたいい
人達でした。
 いつでも店先で、ぼんやりと外を眺めていましたが、時折り私が借りた本を返
しに行くと、
 『えらいすまんな』と、いって、色刷りの絵をくれたりしました。<上村松園
談『青眉抄』六合書院>
 <2013年12月8日>
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:届いておりません。
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 翻訳者がシベリア出張で次号でまとめてお届けします。
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◆「ロシアの声」改め 「スプートニク」 >>>
           引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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◆一口メモ 【海賊放送】             
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  海賊放送(Pirate radio)とは、正式な放送免許を持たず放送(主にラジオ)
を行うものをいう。詳しく言うと《船に送信機とアンテナを積んで出航し、どこ
の政府の規制も受けない公海上から放送を行う、という文字通りの形式が「海賊
放送」と呼ばれた歴史上最初の事例だとか。フランスなどでは、海賊局を法管理
下に置き、国内で送信するための免許も与え、合法化した。これらの局は今では
定義に当てはまらないが、昔の名残で今でも「海賊放送」と呼ばれることがある。
 
 我が国で実際に実現が考えられるのは、微弱電波によるミニFM局が合法で実
現できる。しかし現在ではインターネットを使った放送が可能であり、実際的で
ある。
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◆[編集長から]              片山通夫
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 いま、我が国ではニュースを知ろうとすれば、外国の報道を知ることが必要と
なってきた。政府が圧力を掛けまくっているようだ。そう、まるで北朝鮮や中国
などのように・・・。

▲先日も安倍首相がアメリカでオバマ大統領と会談した。そのニュースを伝える
NHKはとんでもない誤訳をした。恐らく意図的に・・・。
詳しい解説はこちらへ。
 http://blog.goo.ne.jp/koube-69/e/515413728544c06659c2ab4086b1d5ce

▲ロシアのラジオ放送はWeb版で「オバマ大統領、沖縄から海兵隊 基地撤去
の用意を確認」と書き、「会談で合意された日米防衛協力の新しい指針は、地元
住民の負担軽減のため、沖縄も含めた地域の米軍基地の移転に関する努力をさら
に強めるものだ」と指摘し、さらに「私は、海兵隊員を沖縄からグァムに移転さ
せる問題を前進させるという我々の義務をあらためて確認した」と述べたと伝え
た!
http://jp.sputniknews.com/politics/20150429/262946.html

▲現代時評にも書いたが、「忖度」し「委縮」していないか?我が国のマスコミ。
 ネット上では「マスゴミ」と揶揄されているようでは駄目だ。ラジオでもテレ
ビでも衛星放送で海外から電波を飛ばすくらいの意気込みがほしいものだ。
 海賊放送とまでは言わないが、今では海賊放送に代わるものはインターネット
放送だ。
 問題はニュースのソースだが、新聞社や週刊誌が自社で取材したニュースと解
説の専門局を持ってもらいたいものだ。
 安倍政権に《許可をもらって電波を出す》様な事はしなくても、いいと思うの
だが。それこそ過去の海賊放送の精神で・・・。
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  発行     2015年5月5日  No.707
  発行     毎週火曜日  購読料無料
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