メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.706 ◆現代時評《安倍首相の「素人憲法」発言》:井上脩身  2015/04/28


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【609 Studio】メール・マガジン 2015・4・28 No.706
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏
の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアや
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◆現代時評《安倍首相の「素人憲法」発言》:井上脩身
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 今月16日に国会内で開かれた衆院憲法審査会の幹事懇談会で、現憲法の制定
過程を問題視する安倍晋三首相の姿勢が問題になった。戦争ができるように憲法
を改変しようともくろむ安倍首相。5月3日に67回目の憲法記念日を迎えるの
を前に、その「押しつけ憲法論」の誤りを指摘しておきたい。

 同懇談会で問題になったのは、2013年に安倍首相が産経新聞のインタビュ
ーに答えた発言。現憲法について「自分たちでつくったというのは幻想だ。連合
国総司令部(GHQ)の素人が8日間で作り上げた代物だ」と述べた。3月の衆
院予算委員会でもこの発言が取り上げられ、首相は「(憲法制定の際の)事実を
述べた」と語っている。首相は「素人拙速憲法論」を理由にして憲法9条を変え
る腹積もりのようだ。

 実際はどうであったか。終戦後まず動いたのは入江俊郎・内閣法制局第一部長
だ。1945年9月18日、入江は同局長官に「終戦ト憲法」と題するメモを提
出した。大日本帝国憲法(明治憲法)改正の基本点をまとめたもので、「軍ノ制
度ノ廃止ニ伴ヒ改正ヲ要セズト認メル」ものとして、統帥大権、外交大権(宣戦
布告や講和)、戒厳大権、兵役の義務などを挙げた。入江は新しい憲法では軍制
度を廃止するので、軍にかかわる規定は不要になる、と考えたのだ

 マッカーサー連合国最高司令官が国務大臣の近衛文麿に「自由主義的要素を取
り入れた憲法への改正を要する」と述べたのは10月4日である。内閣法制局部
長という法律のプロ中のプロが、マッカーサーの指示の前に軍隊なき憲法をつく
とうと考えたのである。これが大日本帝国憲法から現憲法への移行過程での第一
歩であったことは極めて重要だ。

 10月25日、政府は国務大臣、松本烝治を委員長とする憲法問題調査委員会
の設置を発表。同委員会案は天皇の統帥権総攬の原則など、明治憲法の天皇絶対
主義的性格を温存したままだったため、マッカーサーは「ポツダム宣言に合致し
ていない」と判断。総司令部で憲法改正案を作成する方針を打ち出し、46年2
月3日、ホイットニー民政局長に3点の改正項目を書いたメモを渡した

「マッカーサーノート」と呼ばれるもので、国権の発動たる戦争廃止項目では「
日本は、紛争解決のための手段としての戦争だけでなく、自己に安全を保持する
ための手段としての戦争をも放棄する。日本が陸海空軍をもつ機能は将来も与え
られることはなく、交戦権が日本に与えられることもない」と記されていた。

 総司令部の起草作業はスピィーディーに行われ、2月13日、吉田茂外相らに
マッカーサー草案が手渡された。幣原喜重郎首相が草案受諾の回答をしたのは2
1日である。(伊藤満『日本国憲法三十年』朝日新聞社)

 以上がざっとした経過だ。マッカーサー草案は25人の日本通弁護士や学者ら
によって10日足らずで作られたもので、憲法の専門家はいなかった。安倍首相
はこの点だけをとらえて「素人拙速憲法」と非難する。だが、大事なことは、マ
ッカーサー草案の作成者たちは、憲法のプロでないとしても、理想の憲法づくり
をしようと努めた点である。「素人だから平和憲法になった」のではなく「理想
に燃えていたから平和憲法になった」のである。

  安倍首相の「素人憲法」発言。内閣法制局第一部長の「軍隊なき憲法メモ」を
知ってか知らずか無視し、「素人」と難癖をつけて「平和憲法」を葬り去ろうと
の魂胆は見え見えだ。戦後70年の節目の年の憲法記念日を機に、「憲法を壊す
安倍首相退陣」を訴えていかねばならない。
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◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄《貸本という文化インフラ(1)幕末のリテラシー》
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 電子雑誌「Lapiz」ラピス12月号が発売になりました。知名度はまだ低いよ
うですが、内容はかなりのハイレベルだと思います。MAGASTOREマガストアの扱
いで300円。今号では図書館特集も読み応えがありそうです。「椋鳩十と島尾敏
夫」、「武雄市図書館」、「貸本という文化インフラ」。
 実は「貸本という文化インフラ」をわたしが執筆担当しました。編集長の了解
を得て、連続5回にわたって転載します。これを機会にぜひ季刊e誌「Lapiz」を
ご購読ください。

 江戸時代末期、やっと開国した日本にはたくさんの欧米人が訪れました。秘境
であった極東の異文化に接した彼らは、驚異の眼で日本人の特異性を記しました。
なかでも識字率の高さに愕然としたひとが数多い。
 トロイ遺跡の発掘、『古代への情熱』で有名なシュリーマンは、慶応元年(18
65)に日本を訪れました。彼は江戸や八王子でみた寺子屋の盛況ぶりに驚いてい
ます。そして次のように記しました。「日本の教育は、ヨーロッパの最も文明化
された国民と同じくらいよく普及している」。さらには「自国語を読み書きでき
ない男女はいない」
 正教会のニコライは文久元年(1861)に函館にやって来ました。そしてロシア
領事館付司祭として明治2年まで8年間滞在しました。彼は次のように記してい
ます。少し長いですが引用します。
  
 街角に娘が二人立ちどまって、一冊の本の中の絵を見ている。一人が、いま買
ったばかりのものを仲良しの友だちに自慢して見せているのだ。その本というの
が、ある歴史小説なのだ。もっとも、この国では本をわざわざ買い求めるまでも
ない。実に多くの貸本屋があって、信じ難い程の安い料金で本は借りて読めるの
である。しかも、こちらからその貸本屋へ足を運ぶ必要がない。なぜなら、本は
毎日、どんな横町、どんな狭い小路奥までも、配達されるからである! 試みに
そうした貸本屋を覗いてみるがよい。そこに諸君が見るのは、ほとんど歴史的戦
記小説ばかりである。(それが長きにわたった内乱肛争の時代によって養われた、
民衆の嗜好なのである。)しかも、手垢に汚れぬまっさらの本などは見当たらな
い。それどころか、本はどれも手摺れしてぼろぼろになっており、ページによっ
ては何が書いてあるのか読みとれないほどなのだ。日本の民衆が如何に本を読む
かの明白なる証拠である。

 読み書きができて本を読む人間の数においては、日本はヨーロッパ西部諸国の
どの国にも退けを取らない。(ロシアについては言うも愚かだ!)日本の本は、
最も幼稚な本でさえ、半分は漢字で書かれているのに、それでなおかつそうなの
である。漢字の読み方を一通り覚えるだけでも、三、四年はたちまち経ってしま
うというのに! それなのに日本人は、文字を習うに真に熱心である。この国を
愚鈍と言うことができるだろうか? <中村健之介訳『ニコライの見た幕末日本
』講談社学術文庫>

 幕末の日本では、各地でたくさんの庶民が読み書きをこなしていたことは明ら
かです。寺子屋や貸本屋がリテラシーを高めたといえます。このような文化的に
成熟した高度な社会は、18世紀末ころから全国で形成され出したと歴史学者は考
察しています。
 <2013年12月1日 続く>
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2015年4月24日号
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韓国・大田市とMOU締結

  さる20日、サハリン州保健省と韓国・大田市保健福祉女性局が「保健医療協
力に関する業務協力約定」を結んだ。今後、両者は医療関係者の研修、専門家交
流、共同学術会開催など医療技術発展やサービス向上のための多様な分野で協力
する方針だ。大田市代表ら3人は州内病院や医療センターなど訪ね、サハリンの
医療実態調査を行った。

続く人事移動

 さる21日、建設分野担当の副首相が辞退した後、建設相に任命されたばかり
のアレクサンドル・ジトコフ氏が副首相に赴任した。ジトコフ氏は1955年生
まれでサハリンに赴任するまでアムール州副首相だった。この1ヵ月間、5人の
副知事、副首相が辞退するなど人事移動が続いている。

ゲオルギー・リボン配る

 4月22日からロシア全地域でゲオルギー・リボンを配り始めた。ユジノサハ
リンスク市でも市内広場、公園、ショッピングセンター、集合住宅団地内などで
ボランティアたちがリボンを配った。22〜24日まで、また、5月1〜9日ま
で10万個を配るとのこと。

アルメニア人大虐殺事件犠牲者追悼式

 1915年4月24日、トルコ政府の命令で200人余りのアルメニア人知識
人(詩人、作家、音楽家、弁護士、医師、政治家など)がコンスタンチノポリで
逮捕され、流刑虐殺される事件があった。アルメニア人歴史の中で最も悲劇的な
日として記録されている。全世界に散らばって住んでいるアルメニア人らがこの
日を追悼してきた。事件から100年を迎えた今、サハリン州アルメニア人協会
は4月24日、ユジノサハリンスク市で追悼式を開く。

ネベリスク市、「文学の日」を開催

 「文学の年」を迎え、ネベリスク市では4月23〜26日までロシア作家同盟
作家らを招待して市民や児童らとの懇談会を開く。作家らは小さい町の図書館分
館なども回りながら文学の生まれた背景、本の内容の紹介、今後の創作計画など
について語る。

障害者に医療器具貸与

 さる4月17日、障害者・ベテラン委員会会議で新任州知事は障害者に必要な
医療器具を貸与するサービスを行うように指示した。「2万5千人の障害者がい
る地域で、彼らのための医療器具生産も貸与サービスも行われていないのは可笑
しい」と鋭く批判したという。

韓人文化センターでも「勝利の日」記念行事を

 さる17日、ユジノサハリンスク韓人文化センターは市内と近辺地域の戦争老
兵ら150人を招待して慰安コンサートを開いた。また、招待客の要請でエトノ
ス朝鮮舞踊チームの公演もあった。近くで公演をみて大喜びの表情。

愛と友情の「大邱の夜」

 今年で8年目を迎える「大邱の夜」。大邱市民族統一青年協議会は今年もサハ
リンを訪ね、同胞らと情を交わす場を設けた。18日、韓人文化センターに20
0人余りの韓人らを招待して、一緒に歌い、踊り、会話を交わすなどで情を深め
た。
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◆「ロシアの声」改め 「スプートニク」 >>>
           引用元    http://jp.sputniknews.com/
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◆情報通信・ラジオ「スプートニク」(HOME)
 http://jp.sputniknews.com/

◆日本関連
 http://jp.sputniknews.com/japan/

◆国際───────────────
 http://jp.sputniknews.com/world/

◆ロシア国内───────────────
 http://jp.sputniknews.com/russia/
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◆一口メモ 【国境なき記者団】             
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 国境なき記者団は、(フランス語:Reporters Sans Frontieres [RSF]、英語
:Reporters Without Borders [RWB] )は、言論の自由(または報道の自由)の
擁護を目的とした、ジャーナリストによる非政府組織。1985年、フランスの
元ラジオ局記者ロベール・メナールによってパリで設立された。
 世界中で拘禁されたジャーナリストの救出、死亡した場合は家族の支援、各国
のメディア規制の動きへの監視・警告が主な活動としている。2002年以降、『世
界報道自由ランキング』(Worldwide press freedom index) を毎年発行している。
2006年11月には「インターネットの敵 (Enemies of the Internet)」13
カ国を発表し、2014年現在には19カ国が挙げられている。
 
 日本は、2010年まで一桁台の指標が続き世界の中でもトップクラスの順位
を誇っていたが、近年の福島第一原発をはじめとした報道の不透明さや政府など
から開示される情報量の少なさ、記者クラブ制度の閉鎖性、13年には政府情報
の隠ぺいを可能にしたとも受け取れる特定秘密保護法の制定などから信頼を失墜
し、年々指標を下げ続けており、順位も11位から59位まで落としている。ま
た、日本は「問題な状態」に指定されていることが分かる。先進国の中では特に
悪い状態で、G7の中では最下位まで転落した。(以上ウイキぺディアから)
  参照 http://goo.gl/XTnmqt
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◆[編集長から]              片山通夫
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 ネパールで大変な地震が起き、甚大な被害が出ている模様。「死者1800人
超に=遠隔地、被害把握進まず−エベレストで400人孤立」と26日の時事通
信は伝えている。一日も早い救助の手を!

▲「日本の首相としては初めて米国の上下両院合同演説をする機会に恵まれたが、
1945年以来、最もこの演説にふさわしくない首相」とし、29日に予定され
ている安倍晋三首相の米国上下両院合同演説を可能にしたのは、”お金のため”
だと批判した。(フォーブスと英紙フィナンシャル・タイムズのエディタを務め
た米・東アジア問題専門コラムニストのエイモン・ピングルトン氏)

▲中国と朝鮮に対する日本の野蛮な占領、戦時慰安所で数多くの女性たちに「慰
安婦」という名前で性奴隷の役割を強要したことなど、歴史を直視しなければな
らない」。(ニューヨーク・タイムズ紙20日、「安倍晋三と日本の歴史」とい
うタイトルの社説)

▲Abe urged to uphold Japan’s apology for wartime aggression.植民地支配
・侵略・おわびの文言を消す意向(ワシントンポスト)

▲首相議会演説めぐり米下院議員ら慰安婦で謝罪要求(共同通信)

▲中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)について触れ、「悪い高
利貸からお金を借りた企業は、その場しのぎとしても未来を失ってしまう」と言
ってのけた。(安倍首相。20日BSフジの報道番組で)

▲かなり怪しい雰囲気になってきたようだ。安倍首相の動向のこと。自民党の面
々は、つまり大の大人であるはずの面々はこのような危険極まりない男を首相と
持ち上げていいのか。
 彼の言動を振り返ってみる機会もないのかと、かなり心配になる。

▲それにつけても野党のだらしなさよ。

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  発行     2015年4月28日  No.706
  発行     毎週火曜日  購読料無料
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