609studio　No.704 ◆現代時評《首相の危険な「我が軍」発言》：井上脩身 2015/04/14

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タイトル：609studio　No.704 ◆現代時評《首相の危険な「我が軍」発言》：井上脩身 2015/04/14

────────────────────────────────────── 【609 Studio】メール・マガジン　２０１５・４・１４　No.７０４ ────────────────────────────────────── フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載！ ────────────────────────────────────── 609studioWeb site 《モノクロームの時代》韓国・ソロク島編連載中！！ http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-13.html ────────────────────────────────────── 　　　　　info＠lapiz 　　　　　　　　　　　　　　　　Lapiz2014春号（￥300+税）好評発売中！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　詳しくは　　　　　　　　　　　　　　　↓　↓　↓ 　　　　　　　　　　http://lapiz-international.com/ 　　　　　　　　 ────────────────────────────────────── 　　　　　　　　　　　　　　　　　新刊紹介　　　　　　　　　　　　　　　　石川郁子著　　　　　　　　　　　『済州島と大阪在日になった道』　大阪には済州島をルーツにもつ「在日」が多く、それは１９２３年前後から直航便でつながっていたからである。その時間の流れを写真で表現しながら、今日まで「在日」が大阪の地で感じてきたであろう心の道のりを小さな町の日常で描いた。　戦後７０年。その歴史に思いを致すできごとは無数に、そこかしこにある。　それらは時空を超えて、人の血によって受け継がれる。　　　　　　　　　　　　　　定価￥2000+税　　　　　　　　　　　　　　　発行　弦書房　　　　　　　　　　　　　books@genshobo.com 　　　　　　　　　　　　　http://genshobo.com/ ────────────────────────────────────── 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　「日教組！」と稚拙にして愚劣なやじを飛ばした安倍晋三首相の口から、今度は「我が軍」と、自衛隊を我が物とする発言が飛び出した。「自衛隊は軍隊でない」という政府の公式見解も知らないとは驚きだ。それ以上に見過ごせないのは「我が」という言葉を吐いたことである。「敵軍」を想定していればこその「我が軍」である。「敵をたたくための強力軍隊をつくる」という安倍首相の危険な考えの表れであろう。仮想敵が中国であることは言うまでもない。　首相が「我が軍」発言をしたのは参院予算委員会での答弁の中でのことだ。自衛隊と他国との訓練の目的について聞かれ「我が軍の透明性を上げていくことにおいては、大きな成果を上げている」と答えた。憲法９条の軍隊不保持規定に対し、政府は「自衛権は認められる」とし、自衛隊を増強してきた。「自衛のための武力であって、軍隊とは事なる」というのだ。このため、歩兵科を普通科と呼び、少佐を三佐と呼ぶなど、苦肉の策として通常の軍隊と異なる呼称をつけてきた。　自衛隊の最高指揮監督権を持つ安倍首相は観閲式に臨み、一糸乱れぬ行進を見つめているうち、右翼政治家としての大いなる満足感にひたったのだろう。なにせ、自衛隊を国防軍に変えたい首相である。「オレの軍隊」という赤子のような思いが、国会の場で言葉として出たと思われる。首相であれば、そうした個人的な感情を抑え、政府見解に沿って発言しなければならない。その見解に反する政策を言葉にするなら、閣議を経て、国会に諮らねばならない。首相である限り、その口から出る言葉は重いのだ。そんな当然のことすらわかっていない安倍氏は、毛頭首相の器ではない。　困ったことに、安倍氏は首相なのである。赤子レベルの言葉でも、世界第３位の経済大国のトップの言葉である。その影響は計り知れない。　もし「日本軍」と述べたとしたら、どうだっただろう。自衛隊は米軍としばしば合同訓練を行っていることから、「日本軍」は「同盟国のアメリカの軍隊に対し、日本側の部隊という意味」という釈明はできるだろう。だが、「我が軍」は全く意味が異なる。「我がでない軍」、すなわち「敵軍」の存在を前提にするからである。首相が掲げる「積極的平和主義」や、その具体化としての集団的自衛権の行使、後方支援のための安保法制の整備や変更、そして憲法改変などは、「敵」を想定した軍事政策であることを、「我が軍」の一言がいみじくも証明している。　政権復帰後の首相は「地球儀を俯瞰する外交関係を構築する」として、世界各国を歴訪、中国包囲網外交を進めてきた。このことからも明らかなように、中国を首相は仮想敵とし、「我が軍」の標的としているのだ。確かに、経済面だけでなく軍事面でも飛躍的に台頭してきた中国は、日本にとって注意すべき隣国である。尖閣問題などの国の境界線をめぐる火種を抱えているからこそ、さまざまな角度から熟慮したうえでの慎重で丁寧な外交関係の形成が求められる。　安倍首相は「台頭する中国はたたく」と短慮し、右傾化した国民の喝采を求める。だが、相手を「敵」にしてしまうと、まとまる協議もまとまらない。どうかすると交渉の席にもつけないような一触即発状態にもなりかねない。「我が軍」発言は、火種から炎が噴き出させる危険な油なのだ。　火種の火を消すのが首相に求められる政治力だ。逆に大火事にして、「我が軍」を出動させようとしているのが安倍政治である。 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「人間とロボットの共生」　賢くなったロボットや人工知能AIと、人間とがどう折り合いをつけ、人にとって幸福な共存生活をどうやって営んでいくかを、真剣に考え始めるべき時期に来ている。ロボットの採用は、人手不足の業種や危険作業などからはじまっている。しかし人工知能の進化とあいまって、どんどん人間から仕事を奪ってしまうようにもなりつつある。松原仁氏（はこだて未来大学教授）はそのように述べておられる。　工場の産業用ロボットは有名だが、人間が近づけない原子炉内を調べるロボの完成も近いようだ。農業用もかなり開発されつつある。介護や医療ロボも活躍している。チェスや将棋のプロもコンピュータロボAIに完敗している。　アマゾンの倉庫ではロボットが走り回ってピックアップ作業で活躍している。すでに複数の巨大な物流センターで合計500台以上の集品ロボが活躍している。　ドローン（無人飛行機）は雑誌ディアゴスティーニで組み立てられるほどに普及しはじめた。宅配便にかわる輸送手段として注目されている。軽量の荷物専用だが、自宅まで運ぶ実験が進みだした。またインフラの老朽化調査や警備などにドローンの力は欠かせない。セコムのドローンは深夜、工場や倉庫で不法侵入者を見張っている。ドローンは2020年の東京オリンピックでも上空からの監視と情報収集や、事故や犯罪の防止に活躍する予定であるという。五輪のこの年だけ、警備会社は社員を増やすことは不可能である。各社ともロボットの活用をいま真剣に模索している。　運転手のいない無人自動車はすでに実用化されている。普通乗用車は一般公道で無人運転の試験中だが、オーストラリアでは巨大な無人ダンプトラックが走り回っている。タイヤ直径だけで4メートル近い。一度に300トンの鉄鉱石を運ぶというからすごい。ドライバーは運転席には不在である。建機・鉱山機械メーカーのコマツ製だ。　東短リサーチ㈱の加藤出氏は次のように語っている。豪では、中国需要の高まりによる数年前までの鉄鉱石ブームの際に、採掘場でダンプカー運転手の不足が深刻になり、彼らの年収が2000万円以上に一時跳ね上がったことがあった。しかし、そうなると、経営者はコスト削減と運転手不足のリスクを最小化するために、アルゴリズムで自動運転するダンプカーを大規模に導入した。これは運転者の賃金を下落させる方向に働く。今後、技術的課題をいくつか乗り越えれば、自立運転の車の普及が広範囲に進み、運転手に対する求人は全般的に減少していく。　米国のボストン・コンサルティング・グループ（BCG）によると、産業用ロボットの利用を拡大することで、日本企業は人件費を25年には14年に比べて25％削減できる見込みという。「安価な人件費を求めて、生産拠点を海外に移す動きは終わる」とBCGは断言している。　人工知能の例だが、アメリカではまったく新しい会計ソフトが出現し、会計士が数万人も失業した。この会計ソフトは、単に金額を整理するだけではなく、税金を減らすこともできるそうだ。テクノロジー失業という新語が生まれたという。　人工音声を使ったコミュニケーション技術も急速に進んでいる。カタログ通販に電話して、オペレーターと話しているつもりが、相手は実は機械だったという時代がもうすぐ来るだろう。　労働人口の減少、人手不足から自動化・ロボット化の飛躍的拡大導入がはじまっている。しかしこの動きがエスカレートすると、コストの安いロボットが人間の仕事を奪ってしまう。　たとえば自動車の製造工場で、溶接や塗装で産業用ロボットがずいぶん前から活躍している。わたしもトヨタのプリウス工場へ見学に行ったことがあるが、将来は組み立て作業や完成車検査、走行試験、さらには設計など、現在は人間が行っている作業までロボットがこなす可能性がないとはいえない。　ロボットは一時も休むことなく、１台が２４時間働き続けることができる８時間労働の人間３人分の仕事を延々と疲れることなく続けることができるのだ。ロボットばかりが働く無人工場の映像をみたことがあるが、照明は消され空調もほとんで効いていない。そのような工場で、ロボットが黙々と働いている。　ロボットの大量採用は人口減の社会では必要であろう。しかしロボットと人間の良好な関係性、どのように共存するかが問われようとしている。またロボットが生産した成果の富を、いかに非生産者である人間に分配するのか。問題は山積している。　一段と期待されるロボットとAIについて、これからも注目して行こうと思っている。＜2015年3月28日＞ ────────────────────────────────────── ◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版：２０１５年４月１０日号 ────────────────────────────────────── ４月７日、哀悼の日　さる４月２日午前８時頃、カムチャッカ半島近辺オホーツク海で大型冷凍漁船「ダルニヴォストク」の沈没事故があった。漁船にはロシア国籍８０人の他、ウクライナ、ミャンマー、バヌアト国籍の総１３２人が乗っていた。６３人は救助されたが、５６人が死亡、１３人は行方不明だ。死亡者の中にサハリン住民１６人が含まれており、１７人の生存は確認された。事故現場で救助船３０隻とヘリコプターが救助作業を行った。沈没船はサハリン州ネベリスクの「マケラン社」所属。事故原因を祖業規定違反と推定されており調査は続いている。安全運送規則違反で当社の副社長は既に逮捕されており、社長は起訴されて手配中だが、韓国に居るとの噂だ。７日、生存者６０人と５６人の遺体がコルサコフ港へ運ばれた。州政府はこの日を哀悼の日にし、政府と一般市民が被害者や遺族らに哀悼の気持ちを伝えるようにしている。サハリン州政府は生存者に２０万ルーブルの、死亡者遺族らに１００万ルーブルの慰労金を支給すると発表した。また、遺族らには連邦政府からも１００万ルーブルの慰労金が支給されるとのこと。サハ共和国代表農業視察に来島　さる６日、サハ共和国代表団が農場視察のためにサハリンを訪ねた。代表団は視察前にサハリン州農業食品相と挨拶を交わした後、サハリン州農業現況についての紹介を受けた。その後、ユジノサハリンスク市とアニワ、ドリンスク区域の養鶏場とビニルハウス農場などを視察した。サハリン州副知事兼行政室長にロシア総理補佐官赴任　４月２日にサハリン州副知事兼行政室長にアレンサンドル・ゼルのヴォイ現ロシア総理補佐官が赴任した。１９７０年生まれ、モスクワ軍事幹部学校と連邦大統領所属ロシア公務員アカデミーを卒業した。１０年間軍将校として勤務後２００８年から総理補佐官として働いた。ネベリスク韓人会長選挙　さる７日、約６０人が集まった中でネベリスク新任会長選挙が行われた。今年１月末、元会長が心臓麻痺で急死した。新会長にキム・ヒチョル氏が選ばれた。韓人文化センター所属児童歌手のサンクトペテルブルク大会で２等　４月２～６日間、サンクトペテルブルクで開催された国際音楽コンクールでサハリン韓人文化センター所属ボーカルグループのメンバであるリャブツク-ポリナ嬢（９歳）が７～１０歳ソロー部門で２等。「ロシアの声」で最優秀賞サンクトペテルブルクで第３回オープン全国ボーカルコンクール「ロシアの声」で、初めて参加したサハリン代表現代民俗杏さん「ルスキテレム」と「サハリン合唱団」が最優勝賞を取った。全国４８カ地域と外国から３００チームが参加して総参加者数６４８人の大規模なコンクールだった。学生ボランティア養成センター開設　４月３日、サハリン国立大学傘下ボランティア養成センターが開設した。第１回目の養成プログラムに１２０人の大学生、専門学校生徒、中学生らが参加した。参加者らは二日間にわたって親睦相互協力と非常事態対応法などについての特別訓練を受けた。過程を終了した参加者らには修了証が渡される。今後様々な行事にこのような教育を受けた若者がボランティアとして参加する。汽車無料乗車券　「サハリン乗客コンパニー」が戦争老兵と障害者を対象に汽車無料乗車券をプレゼントする。乗車期間は５月３～１２日まで。申し込みは４月１日から受け付ける。希望者は駅の切符売場へ行って証明書を提出すればいい。 ────────────────────────────────────── LapizNovels 　　　　　　　　はない　みほ　著「未来へ」好評発売中　　　　　　詳しくは　 http://lapiz-international.com/ ────────────────────────────────────── ◆「ロシアの声」改め　「スプートニク」　>>> 　　　　　　　　　引用元　http://jp.sputniknews.com/ ────────────────────────────────────── ◆情報通信・ラジオ「スプートニク」（HOME) 　http://jp.sputniknews.com/ ◆日本関連　http://jp.sputniknews.com/japan/ ◆国際─────────────── 　http://jp.sputniknews.com/world/ ◆ロシア国内─────────────── 　http://jp.sputniknews.com/russia/ ────────────────────────────────────── ◆[編集長から]　　　　　　　　　　　　　　片山通夫 ────────────────────────────────────── ▲菅官房長官が沖縄へ赴き、ようやく河野元衆院議長、翁長知事と訪中へ　要人との会談と会った。しかし、いや当然会談は物別れと言うか平行線をたどった。ただ政府の「上から目線」のもの言いは改めるようだ。《粛々と》という言葉の持つ印象は全くよくない。　ところで、《河野元衆院議長、翁長知事と訪中へ　要人との会談」というニュースが流れた。その訪中団に翁長知事が加わるという話だ。安倍政権と言うか、官邸は翁長知事と云う人物を見誤ったようだ。考えてみれば《違憲状態》の選挙で、それも得票数ではわずかな自民党が勝利するという奇怪な政権と、県民の絶大な支持を得て当選した知事との立ち位置が全く違うのに、《一地方県の知事》という上から目線でものを考えるから見誤るのだ。　その訪中団に翁長知事が参加して、中国とどのような会話をするのか、興味を持って見つめることが肝要だ。アメリカ一辺倒の官邸や外務省はあわてていることだろう。観光立県を目指す沖縄だ。中国人観光客の誘致も視野に入っていることだろう。基地経済に頼らない沖縄を目指して翁長知事は行く・・・。 ▲パレスチナが４月からＩＣＣ（国際刑事裁判所）に正式加盟した。ＩＣＣは集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪などの《重大犯罪》を犯した個人を、国際法に基づいて訴追・処罰するための国際刑事裁判機関（本拠地オランダ・ハーグ）だ。ＩＣＣ設立条約（ローマ規程）を批准した国々の領域内で行われた重大犯罪について管轄権を持つ。だからパレスチナ域内での上にあげた犯罪行為は当然ながら国際法に基づいて訴追されることとなる。昨年夏のイスラエルによるガザ攻撃も当然その範疇にはいる。つまり命令を下したネタニヤフ首相に対する逮捕状の発給もあり得るというわけだ。日本も含むＩＣＣ設立条約の批准国は、ネタニヤフ首相の逮捕を目指さなければならない。ネタニヤフ首相と最近富みに仲のいい安倍首相はどうするのだろう。ここでも官邸と外務省の読みの甘さが目立つ。 ▲さてコロンブスの時代（いや、持って以前からかもしれないが）から我々人間は《略奪と殺戮》の負の歴史を歩んできた。その負の歴史を真摯に受け止め、向かい合わなければならないのは自明の理だ。ところが昨日だったか、我が国の教科書にとんでもない事が記載されている事が発覚した。《狩猟採集中心のアイヌの人々の土地を取り上げて、農業を営むようにすすめました》日本文教出版（東京、大阪）の歴史教科書は従来、１８９９年施行の北海道旧土人保護法についてこう表記していたが、次のように修正された。《狩猟や漁労中心のアイヌの人々に土地をあたえて、農業中心の生活に変えようとしました》。もともとアイヌの土地だった北海道の土地を「アイヌの人々に土地をあたえて》とはどのような感覚なのだろう。まして狩猟民族だった彼らを農耕民族に変えようとしたのだ。　沖縄の問題にしても、アイヌの問題にしても、完全に「舐めてかかっている」としか考えられない。先住民族をもう少し知ることだ。　このような理屈がいつまでもまかり通るわけがない。　このような事態を考えるにつけ、この国は病んでいるとしか思えない。 ────────────────────────────────────── 発行　　　　　２０１５年４月１４日　　No.７０４発行　　　　　毎週火曜日　　購読料無料 FB　　https://www.facebook.com/michio.katayama.5 　配信まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 contact us http://www.609studio.com/html/mailform.html website http://www.609studio.com/ 投稿　　 http://www3.ezbbs.net/06/609studio/ 購読解除　http://archive.mag2.com/0000052236/index.html 　　　　　　　　　　　◇禁・無断転載◇ ────────────────────────────────────────────────

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