メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.700 ◆現代時評 《首相の「日教組!」やじ》:井上脩身  2015/03/10


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【609 Studio】メール・マガジン 2015・3・10 No.700
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏の現
代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアやサハリン
 の話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評 《首相の「日教組!」やじ》:井上脩身
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 安倍晋三首相が2月19日の衆院予算委員会で、「日教組!」とやじを飛ばし、
「首相として品位を欠く」と批判された。委員の質問中に首相がやじを飛ばしてよ
いはずはない。それにも増して問題なのはやじの中身だ。自民党のなかでも最右翼
の政治家は、日の丸、君が代の強制に反対する日本教職員組合(日教組)を「アカ
教師集団」と非難し、「日教組悪玉論」を展開してきた。だが、中・高校生による
凶悪犯罪や陰湿ないじめなどが続発し、教育のありようが問われる中、組織率が3
0%に満たない日教組を悪玉にして済む問題でないことは明らかだ。にもかかわら
ず、なお「日教組悪玉論」にくみする安倍首相。「日教組!」やじは、「戦争がで
きる国の教育」に変えようと目論む「最右翼首相」の本性の現れである。

 日教組は1947年に結成された。朝鮮戦争が起こると51年、「教え子を再び
戦場に送るな」を合言葉に、再軍備反対闘争や勤務評定反対闘争などを展開。こう
した日教組の「憲法9条を守ろう」との平和教育路線に対し、60年安保を契機に、
自民党タカ派が「左翼偏向教育」と攻撃を始めた。日米安保条約という軍事同盟と
本質的に相いれない憲法9条。その擁護を活動方針の基本に据える日教組は自民党
政府にとって具合の悪い存在なのだ。政府・自民党の圧力で、60年には80%を
超えていた日教組の組織率が67年には60%を割るまでに低下した。

 96年、文部省は日の丸掲揚と君が代を斉唱するよう通達。日教組が「憲法が保
障する思想、良心の自由に反する」と反対すると、「国を愛さない日教組は教育荒
廃の元凶」との強硬な声が出始めた。2004年、日教組の組織率は29・9%と
初めて30%を割り、07年には組合員が29万人(組織率28・3%)と、30
万人を割り込んだ。

 このように、往時の勢力を失っていた日教組だが、右派政治家の「日教組悪玉論」
はなお脈打っていた。08年、中山成彬国土交通相(当時)は「日教組の活動が盛
んな所の子どもの学力は低い」と発言した。日教組は毎年教研集会を開き、子ども
の学力や非行などについて議論・研究を重ねている。だが、右派政治家は「日本の
教育を悪くしたのは日教組」とボルテージを上げることで、子どもの学力や非行に
悩む人々の支持を取り付けた。

 様々な教育問題の克服のためには、現場教師の努力が求められるのはいうまでも
ない。だが、教育環境やそのための予算化、教科書の内容など、一教師の手に負え
ない課題が山積しており、政治家として行うべきことは、こうした点への取り組み
である。だが、中山発言は、右派政治家に「日教組悪玉論」がなお根深いことをう
かがわせた。

 こうしたなかでの安倍首相のやじである。19日の委員会で、民主党の玉木雄一
郎委員が質問の中で西川公也農相(辞任)の献金問題を取り上げたさなか、首相は
「日教組はやっている」と閣僚席からやじを飛ばした。大島理森予算委員長が「静
かに」と制止しても「日教組どうするのか」とやじを重ねた。

 20日の同委で「日教組が国から補助金をもらい、教育会館から献金をもらって
いる民主党議員がいる」と述べ、民主党が「補助金をもらってない」と反論。23
日、首相は「私の記憶違い」と発言を撤回、陳謝した。

 これで一件落着した形だが、「日教組!」やじの事実は残る。なぜ愚劣なやじを
飛ばしたのか。首相は「日教組悪玉論」に芯まで染みついているから、と考えるべ
きだろう。それは、日の丸、君が代を通して、「愛国心教育」を教育現場に押しつ
けてきた右派政治家の教育観を表している、といえだろう。

 首相は施政方針演説のなかで、「戦後以来の大改革を行う」、と述べた。その本
質は憲法を変えて戦争ができる国にすることであることは論を待たない。首相の「
日教組!」やじは「教え子を再び戦場に出す」ことを意味するのである。
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◆ 609studio メールマガジン700号に想う :片山通夫
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▲弊誌はこの号で700号となった。単純に計算すると52週で一年だから、ざっ
と13年。途中で休刊などがあったから計算は合わない。
 2000年11月21日にサハリンの韓国語新聞セコリョの翻訳を掲載してから
筆者のメールマガジンが始まった。創刊号はこの日。創刊号はここ。
http://archive.mag2.com/0000052236/00000000000000000.html
 
 まあ、御蔭でよく続いたと我ながら感心する。

▲当時はまだサハリンでもメールでデータのやり取りはそんなに盛んでも手軽でも
なかった。セコリョ新聞の印刷も、決して近代的じゃなかった。写真記者のカメラ
もデジタルではなくフィルムだった。
 今はもちろんデジタルカメラだ。編集もコンピュータを使っている。

▲長くなるが創刊号に掲載された記事をひとつ紹介したい。

[匿名の手紙―州離散家族会の会長に聞く]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
注:「州離散家族会」とは朝鮮半島から太平洋戦争末期に日本によって強制連行さ
れて戦後もそのまま帰国できずにサハリンで暮らして韓人たちの肉親再開や帰国事
業を行う組織であり000年2月から「永住帰国]が始まり500世帯がソウル郊外安山市
のアパートに入居
                     609studio編集部  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 最近、本社に読者からの手紙が多く寄せられている。その中には匿名の手紙も入
っている。その殆どが州離散家族会の事業問題についての投稿である。それで本社
の李・ボクスン記者はサハリン州離散家族会の会長金・ミョンリョルさんに会って
話を聞いてみた。

―会長、20ー30年一緒に暮らしているロシア人の奥さんを連れて母国訪問できな
いのはどうしてですか。
―母国訪問の歴史を見ますと、最初は母国に親戚のいる高齢一世だけが対象となっ
ていました。それも1927年以前生まれの方に限って。ですからご夫婦であっても、
招待状のない方は行けませんでした。今は招待状が無くても60歳以上の方は子供も
一人同伴して母国に行けるようになりました。事業が段階的に進められたのです。
長く連れ添ったロシア人奥さんも母国訪問の対象となるべきだと私も思っています。
これについて数次韓国赤十字社に申出しましたら、そのような人がどのくらいいる
のか調べるようにと回答が来ました。恐らく50世帯も無いと思います。実際現在赤
十字社が行っている事業は「親戚訪問」ではなく「母国訪問」です。ロシア人奥さ
んにとって韓国は母国ではないですね、厳密に言って。だから問題がややこしくな
るのだと思います。これからは2―30年間連れ添ったご夫婦であれば一緒に母国訪問
できるようにしようと努力しています。しかし、この問題が片付くと次はこのよう
な問題も生じると思います。今多数の韓人家庭がロシア人嫁と婿さんを持っていま
す。このようなカップルまで対象に入れると又様様な問題が出てきます。だから、
20年以上一緒に暮らしている家庭に限って訪問を許可するようにすべきです。私も
チョウ・ハンテさんが新聞に投稿したように40年間も仲良くロシア人の奥さんと暮
らしている彼の気持ちは良く理解出来ます。だからこれからはこのような同胞立ち
のために最善を尽くします。
―手紙によると「米ドルを渡すと誰もが永住帰国できる」と噂されているようです
が・・・。
―永住帰国に際しては永住帰国審査委員会というのがあって、老人会、韓人会の他
団体の会長らが一緒に書類審査を行って決めています。だからお金を貰って、私一
人が行かせたいからと言って行かせるわけには行きません。根拠の無い噂です。そ
れは全くの嘘です。安山アパートに永住帰国した方々の中には北朝鮮から派遣でサ
ハリンへ来た人も確かに入っています。一つの例をあげると、終戦前、親と一緒に
サハリンへ渡った38年生まれのお婆さんのご主人が28年生まれて派遣でサハリンへ
来られた方です。派遣で来たからと言ってお婆さんだけ永住帰国を許可するわけに
は行きません。お二人一緒に永住帰国できるようにしました。
―派遣で来られた方は永住帰国の対象から外れるようですが、その理由は何ですか。
―規則では1945年8月15日以前サハリンに渡った人だけが永住帰国の対象となりま
す。1945年以後派遣で来た同胞は対象になれないです。そのため、シネゴルスク部
落で一人暮らしをしている李・ボクスンさんのような方が永住帰国できずいるので
す。彼女は1948年にサハリンに来られたからです。この問題はいつ解決できるかわ
かりません。もしも私たちに決定権があるのならもう既に高齢のお婆さんを永住帰
国させたはずです。
― 一時母国訪問にもこのような問題がありますか。
―母国訪問においてはこのような制限はありません。北朝鮮や大陸からサハリンへ
渡った人であっても、サハリンに居住しているのなら問題はありません。ただし、
パスポートの民族という欄に韓人と書かれていない方は例外です。混血児であって
も、ロシアの姓名を名乗っていても問題無いですが、必ず民族は韓人と記入されて
いないと対象になれません。
―同胞たちは今もチャーター便で母国訪問していると思っているのですが・・・。
―アジアナ航空がサハリンに飛んでいない時はそうでしたが、今は週一便運行して
おりますので、そこに合流しています。
―来る11月15日の訪韓で今年の母国訪問事業は幕を閉じるのですが、今回訪問団を
引率して韓国を訪ねた際、赤十字社との会談ではどういった問題で話あうのですか。
―いつものように来年母国訪問事業についてです。そして、ロシア人奥さんたちの
母国訪問についても今回言及するつもりです。
―ありがとうございました。

▲2000年当時からもう14年が経った。現代時評も書き手が変わったが続いて
いる。今はLapizの井上編集長と筆者が隔週で受け持っている。その時々のニュー
スが主なテーマだ。井上編集長ほどの「切れ」はないが、なんとか続けてゆけるの
も読んでくださる読者の皆様が居られるからだと感謝したい。

 今後とももっと「切れのいい現代時評」を目指したい。
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◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄《イスラム国の蛮行》:みなみうら・くにひと
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 ISIS軍の非道な行為は許せない。理解が困難なイスラム国、あるいはISIS、ISIL
やダーイシュとかイスラム国組織。一向に定まらないさまざまの呼称が、彼らに対
する世界の混乱を象徴しているかのようです。
 この不可解な組織を少しでも理解していくために、わたしが出会った関連の良記
事をこのブログで紹介していきたいと思っています。

 第1回目は、豊島逸夫さんの「原油大幅高、2つのサプライズが共振現象」。
 日本経済新聞電子版1月31日付です。

 30日の原油先物価格(WTI)は大幅高。3月物は前日比3.71ドル高の48.24ドル
で引けた。8%近い急上昇で今回の原油安トレンドが始まって以来、初の本格的反
騰となった。
 キッカケは中東の過激派「イスラム国」によるイラク国内クルド人地域の主要油
田地帯に向けた奇襲攻撃。そして米国のリグ(石油掘削設備)の稼働数急減が発表
されたこと。この二つのサプライズ要因が共振現象を引き起こし、月末でもあり先
物市場で空売りの買い戻し手じまいが殺到した。ショート・スクイーズを恐れた一
部の投機家がパニック的に買いに走ったようだ。

 まず、イスラム国が奇襲を試みた油田地帯はキルクーク。クルド人が支配するイ
ラク北部では最大の原油産出量を持つ。イラクはイラク戦争後、原油生産設備が回
復して産出量も日量300万バレルを超え、市場では新たな供給増要因となっていた。
後発組ゆえマーケットシェア確保のため、サウジアラビアより1バレルあたり1ド
ル以上ディスカウントしていたとされる。イラクの生産障害を連想させる出来事に
市場は敏感に反応する。

 この奇襲はクルド人部隊と有志連合による空爆でイスラム国の財政も疲弊しつつ
あるなかで、捨て身の反撃と市場では見られている。これまでクルド人地区内のキ
ルクークまで狙うことはまれであった。その背景としては日本人として気になる展
開もある。これまでイスラム国に占拠されていた、シリアとトルコの国境にあるコ
バニというクルド人の中心都市を、シリア援軍・クルド人部隊が奪還したことだ。
これがイスラム国への象徴的勝利として宣伝されている。
 
 次に米国原油生産減少の兆しについて。
  ベーカー・ヒューズという米大手資源調査会社が毎週発表する米国内の稼働リグ
数が、1223と前週比94も急減した。ピーク時からは386と24%減ったことになる。更
にカナダでもリグが11減少した。
 最近になり原油価格もやや落ち着きを取り戻しつつあったところに、このサプライ
ズが起こったので、高コストのシェール生産者の減産予測が急速に現実味を帯びてき
たわけだ。
 30日の急反騰は月末要因も働いており、すぐに底打ちと見る向きはまだ少ない。た
だ、さすがに40ドル台では、先物市場の原油空売りを牛耳ってきた投機家たちも神経
質かつ慎重になることは確認されたといえよう。<2015年2月1日>

◆「ふろむ京都山麓」
http://blog.goo.ne.jp/0000cdw
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2015年3月6日号
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州知事逮捕

 3月4日午前5時頃、事務所に居たサハリン州知事が現場で逮捕された。検察は
副知事など側近の事務所をも調査しており、自宅から巨額のお金を押収したと発表。
州知事逮捕の前日、知事の参事官アンドレイ・イクラモフ氏(サハリンサッカーク
ラブ会長)がユジノサハリンスク発電所工事問題で逮捕されたが、知事の逮捕はこ
れと関連があると噂されている。逮捕された州知事は彼の補佐官、秘書室長と一緒
に4日、モスクワへと送られた。モスクワ裁判所は560万ドルの賄賂を貰ったと
の理由で4月27日、州知事の令状を承認した。
4日、政府緊急会議が開かれたが、広報室によると平常通り職務を行っているとの
こと。

国際婦人ディーを迎え

 3月8日、国際婦人ディーを記念する多様な行事が企画されているが、3月6〜
8日まで鉄道文化センターで「スミレー春の舞踏会」という展示会が開かれる。約
300種類のスミレが紹介される。

名誉住民授賞式

 さる4日、戦争勝利70周年を記念して名誉住民称号授与式が行われた。第1副
知事が直接、メダルと証書を渡したが、受賞者の中にはニブフ民族作家ウラジミル
・サンギ氏、アニワ前市長ニコライ・ペトロフ氏、クリスタル体育館ボクジン師範
サムヴェル・アブラミャン氏が含まれていた。

ウラジミル・サンギ氏、パリで80歳を迎える

 ニブフの文字創設者であり、ニブフ民族作家でありながら民族の文化維持保護に
努めているウラジミル・サンギ氏が80歳の誕生日をパリで迎えることになった。
3月18日、ユネスコ本部で開かれる「サハリンニブフ族の文化言語遺産の維持と
普及」という座談会に参加している作家はロシアや日本、フランス、オランダなど
海外各地から集まった研究者は政府関係者と共に誕生日を祝う。サハリンから作家
を含め28人の座談会に代表団が参加している。

ボランティア2千人募集

 サハリン州政府は戦争勝利70周年を記念する各種イベントを手伝うボランティ
アを募集している。14歳以上の男女誰もが参加できる。また、15人以上のグル
プを組んで申請することもできるが、既に250人が申請済。サハリンとクリル島
では2千人、ロシア全国で2万人の参加を予測している。

同胞2世対象に調査

 さる28日、離散家族会の2014年決算総会が韓人文化センターで開かれた。
そこで同会は2世を対象とした調査事業を行うと発表した。調査内容、方法などは
専門家らとの協議を経て今後具体的に決めるとのこと。

ドキュメンタリー映画「クリル自然保護区」制作

 近々クリル自然保護区の美しい自然を映像でみることができる。保護区で働く職
員らが提案、昆虫生物学者が撮影を担当した30〜40分のドキュメンタリー映画
が保護区サイトを通じて公開される予定。制作費は保護区の負担。
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
           引用元 http://japanese.ruvr.ru/
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◆日本関連
http://japanese.ruvr.ru/russia_japan/

◆国際───────────────
http://japanese.ruvr.ru/world/

◆ロシア国内───────────────
http://japanese.ruvr.ru/russia/

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◆[編集長から]              片山通夫
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▲死者 15,889 人 行方不明 2,594 人(2015年1月9日現在)という未曾有
の犠牲者を出した東日本大震災からもう4年が経つ。安倍政権はしきりに「復興
」を口にしているが、現地では一向に実感がないような印象を受けるのは筆者だ
けか。東京電力福島第一原発の汚染水問題、原発の作業でたまる一方の核ゴミ、
先の見通せない廃炉。我々日本人がいや、人類が経験したことのないこの困難を
政府は甘く見すぎていないか。それとも《国民に希望を抱かせるために》調子の
いいことしか言っていないのか。
 この国の国民を甘く見てもらってはいけない。そんな《甘言》に騙されるよう
な馬鹿な国民ではない。勿論いたずらに不安を抱かせるばかりではいけない。し
かし政府はもっと真摯に現実を見据える必要がある。例えば汚染水の問題。東京
電力にまかせっきりの対策では、情報が途絶えてしまっている。換言すれば、隠
ぺいする体質の東京電力に任せるなということだ。
 一方増え続ける原発ゴミ。この処置もままならない状況の中で、どうして原発
の再稼働を口にできるのか。ここでも国民を甘く見てる政府の意識を感じる。
 事実を事実として白日のもとにさらすことだ。それが政治の正しい道だ。
 
▲どうもおかしい。今の自民党の話だ。安倍政権は好きなだけ好きなことをして
いる。過去70年の間、守り切ってきた憲法を踏みにじろうとしている。集団自
衛権の閣議決定のことだ。またこのところ、金にまつわるスキャンダルが頻発し
ている。政治と金の問題は何も日本だけで見られる現象ではないということはわ
かる。つい最近もロシア・サハリン州の知事が収賄だか何だかで捜査の対象にな
っている。
 
 以前の自民党内にはいわゆる反主流派というか、執行部に対する批判勢力とい
うものがあったと記憶する。時としてそれは国民の眼から見れば、党内の内紛と
いうように見えた。
 しかしその反主流派は現主流派の補完勢力となっていて、いつでも政権はとっ
てかわることが出来た。自民党一党で《二大政党》的な性格を帯びていたように
思える。
 過去の自民党には、タカ派と言われる人から、リベラルな人も多くいた。それ
ら多様な人々が自民党を支えていた。

 今、自民党にそのような反主流派というか、現執行部に対する批判勢力という
ものがないのではないか。ポストという餌に釣られておとなしくしすぎるのでは
ないだろうか。これは翼賛的なマスコミとも連動しているように思える。この批
判勢力がほとんどない状況は、末期的だ。マスコミは本来の存在意義をなくして
いる。おかげで国境なき記者団が先日発表した我が国の報道の自由度は61位に
転落した。一番良かった時は民主党政権時代の11位だからまさに転落…。

 このままではいけないことはみんなが分かっているはずだ。しかし行動が起き
ない。なぜなのか思案してみた。ツイッターやフェイスブックなどの投稿サイト
のせいなのかもしれないと思い始めた。つまり、これらの投稿サイトで《政権批
判》して自らのガス抜きをしているのだ。だから不満はそこで一応解決するよう
に思える。

 この、メールマガジンも筆者にとってはそうなのかもしれない・・・。反省。
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  発行     2015年3月10日  No.700
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