メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.699 ◆現代時評 《テロの悪夢》:片山通夫  2015/03/03


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【609 Studio】メール・マガジン 2015・3・3 No.699
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏の現
代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアやサハリン
 の話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評 《テロの悪夢》:片山通夫
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 日本卓球協会は2月5日、ワールドツアーのクウェート・オープン(同月11日
開幕)、カタール・オープン(同月17日開幕)への選手派遣を中止したことを発
表した。
 なんでもテロからの邦人保護が目的だとか・・・。

 大変な時代になった。安倍首相の中東訪問からの変化だ。二人の人質が殺されて
安倍政権はますます高圧的になった。国会という場でも民主党の質問中に「日教組
」と的外れな野次で世界中のひんしゅくを買っても「蛙の面に何とやら」の体であ
る。野中氏や古賀氏、それに中曽根元首相なども《安倍首相の危険性》を口にしだ
した。それに元自民党総裁の河野氏も安倍首相を「保守ではなくウヨク」だと断じ
た。

 卓球協会が「テロの危険」を理由に中東での試合放棄につながったニュースを見
て、ふと思ったことがある。わが国内の「テロ対策」は万全なんだろうかと。
 安倍首相は「テロとの戦い」を口にはするが、具体策を示すということはない。
例えば原発のテロ対策は「フェンスを設けて容易に立ち入ることが出来ないように
する」などと幼児相手のような「テロ対策」をしている・・・。

 昨今、ドローンという小型無人飛行機がもてはやされている。なんでも数万円か
ら買うことができるようだ。ちょっとしたおもちゃである。参考にアマゾンのペー
ジを検索した。検索結果 835件と出た。ある一つのドローンは約10万円。決して
安いおもちゃではない。と思っていたらこんな注意書きがあった。「マルチコプタ
ーはおもちゃではありません。マルチコプターの運用には正しい知識と各種法律・
条例の遵守、安全への配慮が必要です。エアクラフトでは万一の事故に備えた対人
・対物損害保険への加入をおすすめします(ラジコン保険ではマルチコプターの事
故については補償されません)」

 「パリ上空に不審な無人機 連続テロ後の警戒態勢続く中」という記事が朝日新
聞(2015年2月25日電子版)に載った。同紙によると「24日未明に米国大
使館やエッフェル塔などの周辺で目撃されている」ということらしい。この無人機
がどのようなものかは確定していないようだ。ただたとえ小型の無人機であっても、
脅威となりうる。ただこの事件?は、毎日新聞によると、26日になって中東の衛
星テレビ局アルジャジーラの記者ら3人が拘束されたようだ。2月27日現在、記
者らの目的ははっきりしていない。
 
 小型の無人ヘリコプター「ドローン」を使って荷物を離島に運ぶ実証実験が2月
18日、高松市であり、高松東港と男木(おぎ)島間約8キロの運搬に成功した。
不便な島の生活を豊かにしたいと、高松市の男性がネットで出資者を募って実験し
た。離島に緊急物資や医療用の薬品などを手軽に運べるのは喜ばしい事だ。是非人
命救助の面からも実現してもらいたいものだ。男木島へ飛んだドローンは8キロの
距離を20分かけて飛び、医薬品など1キロの重さの荷物を運んだという。

 原発のフェンスを数機のドローンが軽々と越えてゆく悪夢は見たくない。爆弾を
抱えたドローンなんて・・・。
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◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄《イスラム国はアイシル?》:みなみうら・くにひと
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 自民党は1月26日、邦人人質事件をめぐり、過激派「イスラム国」を「ISIL(
アイシル)」と呼ぶと決定した。「国」という表現は、独立国家として承認してい
る印象を与える可能性があるためという。政府は早速、表現を「アイシル」に統一
したようだが、マスコミ報道はずっとイスラム国のままである。いまの時点ではISIL
でもISISでもいいと思うのだが、日本国民が誇れるすばらしいジャーナリスト、後
藤健二さんの元気で無事な帰国を願うのみ。
 田中宇さんのメルマガですが、一般向け無料版で「安倍イスラエル訪問とISI
S人質事件」が参考になりました。不可思議なイスラム国を理解するための一助に、
ダイジェストで転載します。全文は下記まで。 

http://tanakanews.com/150123ISIS.htm 2015年1月23日 田中宇

 安倍のイスラエル訪問は、3月に予定されているイスラエルの総選挙で、負けそう
なネタニヤフを応援する効果ももたらした。3月17日に予定されている総選挙では、
国際制裁を無視して違法入植地を広げたり和平交渉を潰したりイスラエル国内のアラ
ブ系住民の市民権を剥奪したがる右派を率いるネタニヤフ首相が、和平交渉の必要性
を訴える中道派に破れそうになっている。 
 イスラエル右派の米政治団体(AIPACなど)に牛耳られる傾向が強い米議会は、
ネタニヤフの挽回を助けようと、2月11日にネタニヤフを米議会に招待して反イラ
ンの演説をしてもらうことに決めた。イランはイスラエルの仇敵だが、オバマ大統領
はイランと和解しようとしている。ネタニヤフを呼んで演説させ、オバマを非難する
のが米議会の狙いだ。オバマは「3月の選挙に近すぎる日程での訪米であり、選挙に
影響を与えたくないので会わない」という口実でネタニヤフとの会談を断った。

 オバマとイスラエルの不仲は昨秋から露呈している。米政界は、イスラエル右派に
牛耳られ続ける米議会と、イスラエル支配を脱却しようとするオバマとの政争が激化
し、一枚岩でなくなっている。日本(権力を握る官僚機構)の国是は対米従属であり、
官僚を無力化しようとした民主党政権の反動で官僚の傀儡として成立した安倍政権は
特にその傾向が強い。米国の上層部が分裂する中で安倍は、オバマでなく議会を牛耳
る軍産イスラエル複合体を従属の対象とみなしているようだ。EUやオバマがネタニ
ヤフを嫌う中で、安倍がイスラエルを訪問したことから、それがうかがえる。 

 偶然だろうが、安倍と同時期にマケイン上院議員ら米議会のタカ派議員たちがイス
ラエルを訪問しており、安倍はイスラエルでマケインらと会って懇談した。マケイン
は以前、シリアを訪問して反アサド武装勢力と面談して鼓舞し、その中にのちにIS
ISの幹部になる人々が含まれていたことで知られる「隠れISIS支援派」だ。

 イスラエルの選挙で中道派が勝つと、パレスチナ和平を再開し、欧州と再和解して
国際制裁を避ける策を採りそうだ(右派が全力で妨害するだろうが)。ネタニヤフが
勝つと、和平推進を拒否し、国際法廷(ICC)で有罪になったり経済制裁されるの
も無視して、西岸やガザを併合した上でゲットー化する「アパルトヘイト方式の解決
」を突き進みそうだ。他国の指導者が選挙でネタニヤフを勝たせようとすることは、
中東和平を妨害し、戦争や弾圧を広げる動きだ。安倍首相は中東歴訪で中東和平の推
進を呼びかけ続けたが、実際の効果としては和平を潰したいネタニヤフを応援してし
まっている。 
 安倍がその点を自覚してこの時期にイスラエルを訪問したのかどうかわからない。
たぶん、イスラエル右派とつながっている米国のタカ派議員から圧力をかけられ、対
米従属の観点から言いなりになってイスラエルを訪問したのだろう。
 
 石油輸入国である日本は1970年代の石油危機以来、親アラブを貫いてきた。
 今回の安倍の中東歴訪は、日本が親アラブから親イスラエルに転じる転換点になる
かもしれない。サウジアラビアなど湾岸産油国は、米国シェール産業を潰す原油安を
加速するため、アジア諸国などに原油をどんどん売りたい。日本が親イスラエルに転
じても、サウジは日本に原油を売ってくれる。
 
 日本が米タカ派から圧力を受けて親イスラエルの傾向を強め、その反動としてIS
ISが誘拐した日本人を殺すぞと脅しても、米タカ派やイスラエルが本当にISIS
やアルカイダの敵であるなら、米イスラエルと協力してISISと戦う安定した構図
が存在しうる。しかし実際は、米タカ派やイスラエルが本当にISISやアルカイダ
の敵であるかどうか大きな疑問がある。アルカイダや、それがバージョンアップした
ISISは、米タカ派やイスラエルが中東支配に好都合な「敵を演じてくれる勢力」
として育て、こっそり支援し続けている疑いが濃い。
 
 正月早々、米軍機がシリアで反ISISの武装勢力に支援する武器を空中から投下
したところ「間違って」ISISの駐屯地に武器を投下してしまう事件が起きた。イ
ラクやイランの軍幹部は、米軍が意図してISISに武器を支援したと考えている。
 ISISと最も効果的に戦っているのは米国でなく、イランと、イランに支援され
ているシリアやイラクの軍隊だ。米国では、オバマがISISと真剣に戦う気がある
ようだが、国防総省はISISと戦う気がなく、それに気づいたオバマが現場の司令
官に直接攻撃を指揮する傾向を強め、国防総省がオバマを煙たがっている。この対立
の余波で昨年、ヘーゲル前国防長官が辞任した。
 NYタイムスの07年の記事によると、国防総省はISISの指導者バグダディが
存在しない架空の人物であると知っており、アルカイダがイラクに入り込むために架
空の指導者をでっち上げて過激組織(のちのISIS)を作っていると報じている。
米当局は、架空の人物とわかっているのに今もバグダディをISISの最高指導者と
して発表し続けている。
 
 ゴラン高原の国連監視団によると、イスラエルはシリアで負傷したISISの兵士
をゴラン高原経由で自国の病院に受け入れて治療している。米軍がヨルダンで訓練し
たシリアの「穏健派反政府兵士」たちが、イスラエル領のゴラン高原を経由してシリ
アに入り、ISISに合流している。………
 ISISに捕まった日本人を救出するため、日本政府はISISに関する情報を多
く持つ(ISISの生みの親である)イスラエルや米国防総省、米タカ派議員など「
軍産イスラエル複合体」に頼る傾向を強めざるを得ない。日本政府が、米イスラエル
とISISとの裏のつながりを察知した上で、米タカ派やイスラエルと協調するなら
まだしも、そうでなく米イスラエルとISISとのつながりを陰謀論扱いして無視し
て動いているように見えるだけに懸念がつのる。 
 <2015年1月28日>

◆「ふろむ京都山麓」
http://blog.goo.ne.jp/0000cdw
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2015年2月27日号
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 さる24日州政府会議で州知事は各市長らに経済危機を乗り越えるための組織を
作るように指示した。また、予算実行の効率化を図る中でも住宅や社会保障分野へ
の支援策は今後も変更せず計画通り進めていくと伝えた。

1千万人の合唱

 韓国市民団体が中心となって光復70周年を迎える今年8月15日、全世界各地
で1千万人が同時に「我々の望みは統一」を歌う民族大合唱コンサートを企画して
いる。独立宣言文を朗読した3月1日、発足式と記者会見を開き、正式に参加者募
集を行うとのこと。サハリン韓人の参加も呼び掛けている。

昨年州予算収入増加

 サハリン州政府会議によると、昨年州政府収入額は前年度比590億ルーブルも
増加した1,435億ルーブルに達した。計画より56億ルーブルも多く、それを
地方政府に配り予備予算資金にした。

ロシア総主教に会う

 さる20日、サハリン州知事はモスクワでキリル・ロシア総主教に会って、ユジ
ノサハリンスク市で進行中の聖堂建築工事の現況を説明したのち、工事が終わる9
月にサハリンを訪ね、献堂式を主宰してほしいとの希望を伝えた。総主教は知事の
依頼を受け入れた。

旧正月を祝う

 さる20日午後6時、サハリン韓人センターに200人が集まって旧正月を一緒
に楽しんだ。主催者イム・ヨングン韓人会会長のほか、副知事、韓国領事、タター
ル人会員など招待客からも新年を祝う暖かい言葉があった。正月料理トックを食べ
ながら若者たちが用意した歌、演劇などを観覧した後はダンスパーティ。地方でも
各地でこのような催しがあった。

パンケーキ大会

 昨年に続いて今年もサハリン国立大学がパンケーキ大会を開催した。春を迎える
料理として有名なブルニ(薄いパンケーキ)を指定時間内でどのチームが沢山積み
上げるかを戦うゲーム。優勝者は20分間18.5センチを積み上げた政治専門学
校学生チームで昨年優勝者らより1センチ高い記録。

5月、家族関連フォーラム開催

 ロシア女性連盟サハリン支部は社会団体結成20周年を迎える今年、多様な記念
事業を企画していると発表。3月8日国際婦人の日を記念するほか、4〜5月中に
女性参戦者との懇談会、多産家庭フォーラム、9月には第1回サハリン国際女性フ
ォーラムを企画しているとのこと。

麻薬組織摘発

 今年に入って麻薬取締警察チームが8つの犯罪組織を摘発した。しかし、組織を
主要メンバーが16〜18歳までの青年たちであることで周りの受けるショックは
大きい。
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
           引用元 http://japanese.ruvr.ru/
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◆日本関連
http://japanese.ruvr.ru/russia_japan/

◆国際───────────────
http://japanese.ruvr.ru/world/

◆ロシア国内───────────────
http://japanese.ruvr.ru/russia/

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◆[編集長から]              片山通夫
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▲「権力を批判しない者は悪魔に魂を売った者だ」とは、ドイツの文学者にして枢
密顧問官だったゲーテの言葉だ。今の我が国のマスコミがまさにそうだと言える。
 「政権を批判する者はテロリストの味方」なんてわけのわからない理屈がまかり
通っている。冗談じゃない。日本のマスコミよ。立ち上がれ。

▲海外メディアはNHKの籾井会長(安倍首相が指名)が、「政府が『右』と言っ
ているのに我々が『左』と言うわけにはいかない」と過去に発言したことにたいし
て、メディアが権力にすり寄る日本の現状を伝えている。

▲「現政権の施策・行動を批判することを自粛する空気が国会議員、マスメディア
から日本社会までをも支配しつつあることに、重大な危惧を覚えざるを得ない」と
は、報道自粛の動きを危惧し、表現の自由を支持するジャーナリスト、学者らを中
心に9日に発表された「翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」
に3000人近くが署名した中の一人の言。

▲安倍首相の思想は危険だという声は小さい。なぜなのか。はっきり言って国民の
政治に対する無関心がそのようにさせた。そして、きっと少数だが声の大きい人々
が安倍首相を支持しているのだ。そしてその「大きな声」が大多数の国民だけでな
くマスコミまでも委縮させているのだ。ゆゆしき問題だ。
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  発行     2015年3月3日  No.699
  発行     毎週火曜日  購読料無料
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 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236
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