609studio　No.686 ◆現代時評　「原発の危険を許す地元知事」：井上脩身 2014/12/02

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タイトル：609studio　No.686 ◆現代時評　「原発の危険を許す地元知事」：井上脩身 2014/12/02

────────────────────────────────────── 【609 Studio】メール・マガジン　２０１４・１２・２　No.６８６ ────────────────────────────────────── フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載！ ────────────────────────────────────── 　　　　　info＠lapiz 　　　　　　　　　　　　　　　　Lapiz2014冬号（￥300-）好評発売中！　　　　　　　　　　　　　　　詳しくは　　　　　　　　　　　　　　　↓　↓　↓ 　　　　　　　　　　http://lapiz-international.com/ 　　　　　　　　 ────────────────────────────────────── 　書籍紹介　　　　　　　　　　　　　「欲望の砂糖史」　　　　　　　　　　　　ー甘い砂糖の苦い歴史ー　　　　　　　　　　　　　　　原井一郎　著　　　　　　　　　　　　　　　詳しくはこちらへ　　　http://lapiz-international.com/files/haraibook/haraisyohyo.pdf ────────────────────────────────────── 　　　　　　　　　　　　　書籍紹介　　　　　　　　　　　　　被爆６０年《ふるさとはポイズンの島ビキニ被ばくとロンゲラップの人びと》渡辺幸重 (著), 島田興生 (写真) 価格：￥ 1,575- 発行　旬報社 http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/808 ────────────────────────────────────── ◆現代時評　「原発の危険を許す地元知事」：井上脩身 ────────────────────────────────────── 　鹿児島県の伊藤祐一郎知事は、同県薩摩川内市の九州電力川内原発について、「再稼働はやむを得ない」と、運転再開にＧＯサインを出した。しかし、原子力規制委員会の審査はまだ終わっておらず、立地自治体が率先して見切り同意をしたことには唖然とするほかない。本欄で原発は「許された危険」なのか「許されざる危険」なのかを問いかけたが、伊藤知事はまだ許されてもいない段階で許してしまったのだ。「危険を許した原発」は年明け以降に再稼働される見通しだ。　同原発は１号機が１９８４年、２号機が８５年に運転を開始。いずれも出力は８９万㌔㍗。２０１０年には１号機のタービン建屋でアース取り付け作業中にショートし、１人が死亡、２人が重傷を負う事故が起きている。　福島第１原発事故後の１１年５月に１号機が、９月に２号機が定期検査入りして運転を停止。今年３月、原子力規制委の優先審査の対象になり、９月１０日、同規制が川内原発の審査書を決定。１１月３日、経済産業相が伊藤知事に再稼働に向けて協力を要請した。　報道によると、伊藤知事は１１月７日、同県議会が再稼働を求める陳情を採択したのを受けて記者会見をした。知事は「福島の事故で安全神話が崩れたことは確か」と述べ、危険性を認識していることを表明。そのうえで「資源が限られた日本で国民生活のレベルを守り、産業生活の活性化を図るためには、原発の稼働はしばらくはやむを得ない判断だろう」と述べた。　ここまでは「許された危険」の法理に従った判断だ。原発稼働に向けて、採算ベースや経済合理性に適合した安全対策を講じれば足る、とするのが許された危険の考えなのだ。「国民生活のために」は原発推進派の常套句である。　しかし、驚いたことに伊藤知事は国の新たな規制基準と九電の対策を高く評価し「もし福島みたいなことが起きても、もう命の問題は発生しない」と明言。「事故が起きても原発から５・５Kmの放射線量は毎時５マイクロシーベルト。避難の必要がなく、普通の生活をしてもいい」と述べた。（１１月８日付毎日新聞）　「安全神話は崩れた」と言った同じ舌で新たな安全神話を作り出した形だ。だがこれまでの安全神話が「事故は起きない」だったのに対し、伊藤知時は「事故が起きても大丈夫」との「事故安全論」を採った。同原発については、避難計画の実効性や火山対策に疑問視されており、伊藤知時事自身「拙速ではないかとの批判は当然あると思う」と認める。そもそも規制委の審査はまだ終わってはおらず、まだ知事が同意する段階ではないのだ。拙速ではなく先走りであろう。　知事は県民の生活を守り少しでもよくするのが仕事のはずだ。その立場から国や九電に対し、川内原発については「許されざる危険」レベルの極めて厳しい安全対策を求めるのが本務である。ところが伊藤知事は県民に背を向けて、「危険を許した」のである。　福井県の高浜原発など１３原発が規制委の審査中だ。地元首長が「危険を許す」態度をとれば、電力会社の安全対策は限りなく甘いものとなるだろう。「事故が起きても大丈夫」と被害を受ける側からお墨付きをもらえるならば、電力会社はルンルン気分で原発を運転できるというものだ。　原子力ムラの面々のおごり高ぶる様が目に浮かぶ。 ────────────────────────────────────── 　　【著書案内】　　　　「追跡！あるサハリン残留朝鮮人の生涯」片山通夫　著　日本の植民地統治が生んだ一家離散「二重徴用」「急速転換」「樺太　への逆密航」を語る貴重な証言！！　　凱風社　刊　http://www.gaifu.co.jp/index.html 　　　　　　　　　　　定価　１９００円＋税 ────────────────────────────────────── ◆「ふろむ京都山麓」抜粋抄《伊藤若冲の生涯　（１）》：みなみうら・くにひと ────────────────────────────────────── 　伊藤若冲は晩年、四半世紀を伏見深草の石峰寺のために捧げました。いくらか小規模になっていますが、いまも残る石像五百羅漢たちは若冲下画によります。かつては百華あふれる天井画の観音堂、千体をこえる石造物群……。この地に若冲がつくり上げた世界は、佛教パノラマのテーマパークでした。　命日である9月10日には若冲墓のある石峰寺で、毎年「若冲忌」がとり行なわれています。また昨年からは「石峰寺伊藤若冲顕彰会」も発足しました。詳しくは石峰寺ホームページをご覧いただきたいのですが、会誌に連載中の伊藤若冲年譜を分割して再録いたします。若冲ファンの入会をおすすめします。　http://www.sekihoji.com/ 一七一六年　正徳六年　丙申　一歳 ○二月八日　若冲生まれる（一七一六～一八〇〇）。幼名は不明。京都錦小路高倉東南角の青物商「枡屋」、通称「枡源」の伊藤家長男。父は枡屋主人の三代伊藤源左衛門（一六九七～一七三八）。母の法名明誉清寿（一七〇〇～一七七九）は近江の武藤氏の娘。父十九歳、母は十六歳だった。枡屋は錦市場の中魚屋町南側。後の画名は汝鈞、字は景和。枡屋は錦高倉市場を代表する京有数の青物の大店であった。 ○五月二二日　正徳は享保に改元。一七一九年　享保四年　己亥　四歳 ○五月九日　後に若冲の親友になる大典（一七一九～一八〇一）、幼名大次郎が生まれる。字は梅荘、諱（いみな）は顕常。号は大典、蕉中、北禅、東湖など。父は儒者医家の今堀東安。近江国神崎郡伊庭郷（滋賀県能登川町伊庭）一七二六年　享保一三年　丙午　十一歳 ○八歳の今堀大次郎は父とともに京都に移った。黄檗山萬福寺華蔵院に預けられる。兄たちはすでに萬福寺で黄檗僧になっていた。一七二八年　享保一一年　戊申　十三歳 ○大典十歳。相国寺塔頭の慈雲庵に移る。父東安と旧知の学僧、独峯慈秀和尚に学び、翌年に得度し名を大次郎から顕常に改めた。しかし将来を嘱望されていた大典だが三十年近い後、四十一歳のときに寺を退隠し、十三年間も自由気ままな文人生活を送る。そして度々の帰山勧告を受け、ついに本山相国寺に戻った後は京を代表する学僧として、相国寺百十三代住持すなわち住職をつとめる。一七三一年　享保一六年　辛亥　十六歳 ○売茶翁（一六七五～一七六三）は黄檗の寺、肥前龍津寺住持を法弟の大潮元昭に譲り、この年に京へ移り住む。五十七歳。姓は柴山、号は月海、諱は元昭。七十歳からは高を姓とし、号を遊外とした。当代有数の学僧で文人書家として知られた彼は僧籍を離れ、四年後の還暦の享保二十年から、ささやかな煎茶の店、清風「通仙亭」を東山に開く。売茶翁の呼称はこのときから。その二年後の元文二年ころからは天秤棒をかつぎ荷茶屋、移動式茶店を京の各地で営む。「茶を売りて飢を助く。凡そ春は花によしあり、秋は紅葉にをかしき所を求めて、自ら茶具を荷ひて至り、席を設けて客を待つ」「随所に茶店を開く、一杯一銭」。翁は佛法について「こころに欲心なければ、身は酒屋・魚屋、はたまた遊郭・芝居にあろうが、そこがそのひとの寺院である。自分はそのように、寺院というものを考えている」。清貧を旨とし仙人のごとき毎日を送る市井の文人宗教家は、後に若冲にも大きな影響を与える。一七三三年　享保一八年　癸丑　十八歳 ○五月一日　円山応挙（一七三三～一七九五）が丹波穴太村（京都府亀岡市）に生まれる。応挙と名乗るのは明和二年。園城寺円満院門跡の祐常法親王の庇護を受けたときである。後に有名人を一覧した『平安人物誌』の画家の部で、若冲と応挙は常に京を代表する双璧と評価されている。ふたりが在世中に人物誌は三度刊行されているが、明和と安永そして天明年間。＜2013年9月29日＞ふろむ京都山麓　http://blog.goo.ne.jp/0000cdw ────────────────────────────────────── ◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版：　２０１４年１１月２８日号 ────────────────────────────────────── 　届いておりません。届き次第お届けします。 ────────────────────────────────────── LapizNovels 　　　　　　　　はない　みほ　著「未来へ」好評発売中　　　　　　詳しくは　 http://lapiz-international.com/ ────────────────────────────────────── ◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>> 　　　　　　　　　引用元 http://japanese.ruvr.ru/ ────────────────────────────────────── ◆日本関連 http://japanese.ruvr.ru/russia_japan/ ◇福島原発事故、米国を脅かす主要な海流日本の福島第１原発の技術災害の結果はロシア極東の沿岸部には危険をもたらしてはいない。ロシア国防省とロシア地理学協会が太平洋クリロ・カムチャツキー地区で合同で行った調査はこうした帰結に達した。続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_11_29/280661951/ ◇福島第１原発、使用済み燃料の入ったプール冷却装置が停止続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_27/280588288/ ◇鯨肉はイスラム教徒の観光客のため？日本は、約１年間の捕鯨モラトリアムのあと、「研究」プログラムの枠内における南極海での新たな捕鯨計画を発表した。今年３月、国際司法裁判所（ＩＣＪ）は、南極海での捕鯨中止を命じる判決を下した。続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_11_27/280580840/ ◇阿蘇山噴火　九州で空の便に乱れ日本の九州地方では、阿蘇山の噴火による影響で、空の便に影響が出ている。続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_27/280564998/ ◇日本で鳥インフルウイルス検出日本の環境省は、鳥取県鳥取市で18日に採取されたカモ類のふんから、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N8)が検出されたことを受け、周辺の10キロ圏内を圏内を野鳥の監視を重視する地域に指定した。NHKが伝えた。続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_28/280587278/ ◆国際─────────────── http://japanese.ruvr.ru/world/ ◇吸血鬼の死因はコレラだったポーランド北西部ドラフスコ村の墓地で「吸血鬼」として地元民に体の上に鎌と石を置いた形で埋葬されていた遺体はコレラによる死者であることがわかった。続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_29/280659852/ ◇ＣＮＮ：金正恩第１書記の叔母である金敬姫は夫の張成沢氏の処刑後に心臓まひで死亡した続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_29/280658306/ ◇ＮＡＴＯはロシアとの新たな冷戦を望んではいない―ＮＡＴＯ事務総長続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_29/280652376/ ◇ル・ペン仏欧州議員、大統領に当選したら仏はＥＵを離脱する続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_29/280645702/ ◇ポロシェンコ大統領、ドンバスをウクライナから排除ウクライナのポロシェンコ大統領はウクライナの連邦化というアイデアを否定した。ウクライナ最高議会の最初の会議で木曜、大統領は、ウクライナを単一国家とする願いは全てのウクライナ国民に共有されている、と述べた。続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_11_28/280624486/ ◇ロシアの人道支援車列　ドンバスへガラスや食料品を届ける続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_28/280625177/ ◇キエフ当局、ドンバスの炭鉱閉鎖ウクライナのエネルギー省は、ドンバスにおけるいわゆる「対テロ作戦」ゾーンで、１１月２８日から炭鉱の作業を停止するよう指示した。続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_28/280626315/ ◆ロシア国内─────────────── http://japanese.ruvr.ru/russia/ ◇ロシア外務省　ロシア人ジャーナリストのウクライナ入国禁止を懸念続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_30/280659306/ ◇日本から沿海地方への渡航客、有害植物を持ち込み日本からロシア沿海地方に空路で到着したベトナム人男性の荷物から有害農産物が発見された。この男性の手荷物にあったのはロシア連邦に検疫上、多大な害をもたらしうる有害農産物。続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_30/280659625/ ◇アンチ・ファーストフード・コマーシャルを始めるロシア続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_11_28/280623557/ 　 ◇プーチン大統領、西側諸国は「イスラム国」と「戯れすぎた」続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_28/280622485/ ◇モスクワ証券取引所、１ドルが５０ルーブルに接近２６日、モスクワ証券取引所でドルとユーロが高値を更新している。ドルは１１月１９日以来の最高値をつけ、１ドル４７ルーブルを記録した。背景には地政学的状況、原油価格下落の危険性、ルーブルの流動性に対する需要縮小の予測があるとされる。続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_28/280617117/ ────────────────────────────────────── ◆[編集長から]　　　　　　　　　　　　　　片山通夫 ────────────────────────────────────── ▲ 何のための選挙かわからないが総選挙が今日から始まる。筆者が思うに、今のうちならまだ自民党は勝てると踏んだとしか思えない。おまけに争点は「アベノミクスの是非」だという。おそらく自公連立政権は続くだろう。つまりいみじくも安倍総理が言ったように、自公で過半数は可能だということだ。　つまり、自公で過半数という「勝利」をうたってその他の懸案である「原発再稼働」、「秘密保護法（特定秘密の保護に関する法律）」、それに「集団的自衛権の行使」などを「隠したまま」選挙に「勝利」して「国民にこれらの案件も認知されたというつもりなのだろう。冗談じゃない。安倍政権の争点隠しにつきあってはいけない。 ▲先日来、ロシアから拙宅に油友人が来ていた。ある時、彼と連れだって田舎の集落を訊ねた。彼曰く「まったく人がいないね」。ご多分にもれず過疎の集落が続いていた。美しい日本の晩秋なのに、子供の声はおろか、人が住んでいないような印象だったようだ。　何日か後、彼はポツンとこう言った。「日本に亡命したいな」と。驚いてわけを聞いてみた。プーチンのロシアが息苦しくなってきたというのだ。ロシアのインテリの間では、ある日突然、また《鉄のカーテン》が下ろされるのではないかという恐怖があるというのだ。何が彼をそう言わせたのかは定かではない。ただ「自由にものを言えない」ということのようだ。かなり強い閉そく感を感じているようだ。　自由民主党筆頭副幹事長・萩生田光一／報道局長　福井照両氏の連名で〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉が在京キー局に届いた。〈さて、ご承知の通り、衆議院は明２１日に解散され、総選挙が１２月２日、１４日投開票の予定で挙行される見通しとなっています。つきましては公平中立、公正を旨とする報道各社の皆様にこちらからあらためて申し上げるのも不遜とは存じますが、これからの期間におきましては、さらに一層の公平中立、公正な報道にご留意いただきたくお願い申し上げます。〉　そしてまた、細部に渡って《ゲストの選定や時間など、街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと》などを要望したという。　テレビ局は、電波という資産を使っている以上、時の政府の管理を受けざるを得ない。政府にとっては「自分に都合のよいように《恫喝》するのは簡単だ。　　話を元に戻す。ロシアの閉そく感と我が国の現状とそんなに変わらないという印象を受けたのは筆者だけか。おりしも来年は戦後７０年という節目の年でもある。　もう一度あの戦争から現在に至るまでを思い起し、評価する良い機会だ。 ────────────────────────────────────── 発行　　　　　２０１４年１２月２日　No.６８６発行　　　　　毎週火曜日　　購読料無料　 FB　　https://www.facebook.com/michio.katayama.5 　　配信まぐまぐ配信システム ID:0000052236 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