メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.672  ◆現代時評「靖国参拝と天皇制」:井上脩身  2014/08/26


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【609 Studio】メール・マガジン 2014・8・26 No.672
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏の現
代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアやサハリン
 の話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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                    breath of CITY
                原発を考える
                         日和見ぶらり旅
                  サハリン逍遙
                 宿場町を行く 枚方宿
                   旅するカメラ

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 ◆現代時評「靖国参拝と天皇制」:井上脩身
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 終戦記念日の8月15日、安倍晋三首相は靖国神社参拝を見送り、萩生田光一総
裁特別補佐を代理人として、同神社に「自民党総裁」名で記帳、玉串料を私費で払
った。この際、首相は同特別補佐に「国のために犠牲となられたご英霊のみたまに
哀悼の誠をささげてほしい」と依頼しており、「人は国のために犠牲を払うべきも
の」との国家主義に立っていることを改めて示した。アジア・太平洋戦争を「天皇
の下での聖戦」と首相が信じている限り、中国、韓国だけでなく、アメリカ政府か
らも「ストロング・ナショナリスト(強硬な国家主義者)」と、不信の念をもたれ、
外交上の障害となることは必至である。

 安倍首相は昨年12月26日、電撃的に靖国参拝を強行。「国のために戦い、尊
い命を犠牲にされた英霊に対して哀悼の誠をささげた」と述べた。これに対し、米
政府は駐日大使館を通じて「失望した」と表明。米ウォール・ストリート・ジャー
ナルは「日本の軍国主義復活という幻影を自国の軍事力拡張の口実に使ってきた中
国指導部への贈り物」と痛烈に批判した(内田雅敏『靖国参拝の何が問題か』平凡
社新書)。

 安倍首相にとって、アメリカ側の反発は予想外だったのだろう。今年8月15日
の参拝は見送ったものの、「国のための命」を強調することを忘れなかった。
 昨年10月、韓国人遺族ら27人が靖国神社の無断合祀の取り消しや遺骨の収容
などを国に求めて「ノー!ハプサ(NO!合祀)第2次訴訟」を起こした。第1次
訴訟で原告側は「植民地支配時代に強制的に動員されて『皇民』とされた韓国人の
軍人・軍属が、遺族に通知すらせず一方的に靖国神社に合祀された」と訴えたが、
2011年、東京地裁は請求を棄却、原告敗訴となった。そこで第2次訴訟では遺
骨の収集などを訴えに加えたが、この裁判の本質は「アジアにとって靖国とは何か
」を明らかにすることだ。

 この訴訟を受けた形で今夏、「靖国・地霊・天皇」(大浦信行監督、国立工房製
作・配給)と題する映画が各地で上映された。同訴訟の原告側の弁護人、大口昭彦
弁護士と右派陣営の徳永信一弁護士がそれぞれの見解を述べる形で展開される異色
の硬派映画だ。大口弁護士は「靖国問題には国内の問題だけでなくアジアの問題だ
」と述べて、日本の支配下にあった韓国や台湾の人たちへの視点が欠落している点
を指摘。徳永弁護士は「憲法で天皇が残ったということは戦前からの国体が護持さ
れたということ」と語った。

 両弁護士の主張を合わせてみると、天皇の名で行われた“聖戦”で、植民地下の
人々も“皇民”として軍人や軍属の形で戦地にやられ、戦死すると遺族の同意もな
いまま靖国神社にまつられたことが、この訴訟のポイントであることがわかる。大
口氏によれば、靖国はアジア侵略戦争を正当化する手段。一方、徳永氏からみれば
天皇制を支える精神的シンボルである。

 では、現人神であることをやめて象徴天皇となった戦後の憲法下で、徳永氏がい
うように国体は護持されたのだろうか。明治憲法下では我が国は天皇主権国家であ
った。それが軍部の暴走につながってアジア・太平洋を戦争の惨禍に巻きこんだ反
省から、人権を尊重する国民主権の国に変わった。GHQが占領政策をスムーズに
進めるために天皇制を残したが、それをもって国体護持とは言えない。同じ理由か
ら、戦争で亡くなった人を軍神にまつり上げることには問題がある。

 だが国体護持論は根強い。実際、A級戦犯合祀が明らかになる1975年までは、
天皇は靖国神社に参拝しており、靖国と天皇は不可分の関係だった。今も石原慎太
郎氏ら保守層は天皇参拝の復活を切望しており、安倍首相が言う「国のため」は「
天皇のため」と言い換えることができる。

 安倍首相は集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。「集団的自衛」を口実に、
アジア地域を戦争に巻き込もうというのだろうか。 アジアの人々にとって靖国は
何なのかを理解しようとする一片の努力も首相にない現状では、「日本の軍国主義
復活」(米ウォール・ストリート・ジャーナル)が現実味を帯び始める。
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
           引用元 http://japanese.ruvr.ru
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◆日本関連
http://japanese.ruvr.ru/russia_japan/

◇放射線と突然変異
福島第一原子力発電所の事故は、植物や動物の遺伝的変異を引き起こした。オック
スフォード大学出版局の雑誌「Journal of Heredity」で発表された。専門家たち
は、放射能に汚染された地域の昆虫、鳥、植物、動物を調査した。学者たちは、複
数の種の個体数の減少のみならず、低線量の電離放射線が常に作用することで、遺
伝子の損傷が起こり、細胞突然変異の回数が増大している指摘した。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_08_20/276164141/

◇太平洋艦隊、日本の潜水艦の諜報活動を阻止
ロシア太平洋艦隊の対潜水艦部隊は日本の潜水艦オヤシオの宗谷海峡北部(日本と
の国境線が走る)における諜報活動を阻止した。ロシア国防相の情報を「コメルサ
ント」紙が報じた。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_21/276190324/

◇対露制裁、露日関係拡大にブレーキ
露日関係はウクライナ危機を背景とした対露制裁から冷却化にあえいでいる。ロシ
ア人専門家らは一様に、日本政府としては対露関係悪化を望んではいないものの、
制裁は米国の圧力に屈して発動せざるをえなかったとの見方を示している。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_08_19/276124675/

◇Datsun、モスクワの自動車ショーに初参加
日本のDatsunブランドが初めてモスクワの自動車ショーに参加する。目玉はロシア
向けの第2モデルだ。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_19/276126419/

◇「対ロ制裁」ゲームの中で自己喪失の日本
日本はウクライナ情勢の改善が遅々として進まないことの責任をロシアに求め、対ロ
シア制裁を拡大する意向だ。米国はこれを高く評価している。しかしこれによって日
本が何か得するだろうか?
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_07_29/275255670/

◆国際───────────────
http://japanese.ruvr.ru/world/

◇ウズベキスタン、独立記念日にむけ首都の野犬駆除、子どもの目の前でさえ
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_21/276169560/

◇米国務省はなぜ、ドンバス義勇軍が避難民を射撃というニュースに鈍い反応を見せ
たのか
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_08_20/276157776/

◇ハッカーが3月に行方不明になったマレーシア機の調査情報を盗む
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_20/276153050/

◇スペインの農家 ロシアとの関係正常化を求めて欧州旗を燃やす
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_20/276151167/

◇朝鮮日報:北朝鮮 中国との国境地帯に軍を集結
北朝鮮は、中国との国境地帯で軍の配備を強化した。朝鮮日報が伝えた。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_20/276150984/

◆ロシア国内───────────────
http://japanese.ruvr.ru/russia/

◇ロシアのジャーナリズム、ウクライナで失踪したステニン記者の救出に全
力を尽くすよう呼びかける
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_22/276254835/

◇ロシアのウィルス学者、ギニアに渡る
WHOのデータを見る限り、エボラ出血熱の蔓延状況は予断を許さない。感染は
震源地のギニアのほか、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリアに及び、死
者数は増大する一方。ロシアを含め、世界のあらゆる医療機関・研究機関が
現地に最高のスペシャリストを派遣しなければ、今後膨大な死者が出かねな
い。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_22/276251701/

◇ウクライナの弾薬でロストフ州のガスパイプライン損傷
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_22/276256269/

◇ロシア、西側へ追加制裁の報復も視野に
西側が非建設的な制裁政策を続行する場合、ロシアは追加策を講じる。19日、
ペスコフ露大統領報道官は声明を表した。リアノーボスチ通信が伝えた。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_19/276126146/

◇米俳優ヴィン・ディーゼル氏、冷水浴びキャンペーンでプーチン大統領にバトン
タッチ
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_19/276125233/

◇ロシア、航空管制官のマレー機への交信内容公表をキエフ当局に要求
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_19/276119997/
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◆[編集長から]              片山通夫
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 「イスラム国」とやらに、一人の日本人が捕まったという。何でもその人物は
「民間戦争請負人」だそうだ。あの田母神俊雄氏とのツーショットも彼のfacebook
に掲載されているという。しかしご本人はツイッターで次のように弁明しているの
で全文を紹介しておく。   
 「シリアでイスラム過激派に拘束された湯浅春菜氏がフェイスブックで田母神と
のツーショットを載せているということで、本日は私にマスコミなどから20回
以上湯浅氏との交友関係について問い合わせがあった。彼との写真は私が何千人
かと撮った写真の一枚です。いつ彼に会ったのかも覚えておりません。」

 実際の所はわからないが「ご本人が否定している以上、それは事実だろう」と
しておく。もし、万一、後で何らかの関連を疑われるようなことが判明すれば、
田母神俊雄氏という男は全く卑怯で信頼できないと言うことになる。

 ところでここでとても不思議だと思える事象が、今のマスコミや政府に起って
いる。2004年に日本の若者三名がイラク反政府組織に捕まった時、一斉に「
自己責任論」が政府やメディアから沸き起こった。ところが今回はそんな気配が
今のところないようである。(2014年8月20日現在)

 これはどうしたことか?10年前のケースはまだ記憶にあるだろうが、自己責
任論がマスコミや政府内部においてさえ出てきていたのだ。ましてこのケースは
「人道支援」だったように記憶している。今回のケースのような「戦争支援」で
はなかったはずである。10年の歳月を経て我が国は変わったのか?

 ところで政府の動きだが、報道を見る限り、外務省などは「情報収集」に終始
しているようだ。しかし「シリアにおける治安情勢の悪化に鑑み、現地時間3月
21日をもって、在シリア日本国大使館を一時閉館しました」と在シリア日本大
使館のホームページにあった。何のことはない、もう現地には居ないのだ。(隣
国のヨルダンで業務しているとか)
 
 首相官邸のホームページを見て居て気がついた。安部首相は16日から夏休み
なのだ。そういえば、ゴルフに明け暮れていたようだ。
 そして「外務省は17日、シリア北部アレッポで日本人男性が、イラクやシリ
アで活動する過激派「イスラム国」に拘束されたとの情報があり、確認を急いで
いると明らかにした」と複数のマスコミが伝えだした。
 その時首相はゴルフ三昧のようだ。17日=ゴルフ場「富士桜カントリー倶
楽部」19日=「富士桜カントリー倶楽部」

 まあ、首相のゴルフはともかく、10年前のようなバッシングが起らないのが
不可思議である。まさか「サヨク」でないから?「戦争請負人」だから?
 もしそうだったら、怖い国になってきたぞ、我が国は・・・。(8月20日記)
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  発行     2014年8月26日 No.672
  発行     毎週火曜日  購読料無料
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  配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236
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