メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.667 ◆現代時評「川内原発の新たな安全神話」:井上脩身  2014/07/30


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【609 Studio】メール・マガジン 2014・7・30 No.668
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上脩身氏の現
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◆現代時評「川内原発の新たな安全神話」:井上脩身
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 原子力規制委員会は16日、鹿児島県の九州電力川内原発1、2号機について「新
規制基準に適合している」との審査書案を了承した。福島原発事故後に設けられた新
規制基準のクリア第1号だという。安倍晋三首相は「安全という結論が出たら再稼働
する」と述べており、10月にも同原発は再稼働する見通し。問題は、首相が「安全
」と改めて神話を持ち出した点だ。原発が安全でないことを如実に示した事故から何
ら学んでないことを示すもので、いかに審査基準を厳しくしようとも、放射能の恐怖
をこの国から拭い去ることはできない。

 同原発について規制委員会は1)基準地震動を540ガルから620ガルに引き上
げた2)津波の遡上波の高さを4米から6米に変更した3)最大風速で秒速100米
の竜巻を想定した4)半径160キロ圏内の39火山を評価し、五つのカルデラの火
山活動の定期的モニタリング方針を明示――などを挙げて、九電の対応策を了承した。

 規制委の田中俊一委員長は「(審査をクリアしても)安全だとは私は言わない。で
きるだけリスクを下げるための審査をしたということ」と述べ、「稼働させるかは、
電力会社と住民、政府で判断される」と、ボールを政府や行政当局、九電に投げ返
した。
  一方、菅義偉官房長官は「規制委が責任をもって安全かどうかをチェックする。
その判断に委ねる」と語り、安倍首相も「安全という結論が出れば立地自治体の理解
をいただきながら再稼働を進めたい」と、再稼働に強い姿勢を示した。
「審査をしただけ。安全かどうかは担当外」と開き直った形の規制委と、「規制委が
合格証を出したのだから安全な原発」という政府の間に、明らかに安全についての考
えの違いがある。
 安全の反対は危険である。車や列車、航空機、あるいは猟銃などは危険なものとの
前提に立っている。危険なものだから、少しでも安全性を高めるよう改良することが
製造者に求められ、使用者も決められた免許を取得したうえ、法規を守り注意深く運
転や操縦、操作することが義務づけられている。これを「許された危険」という。い
かなる名パイロットも、飛行機が安全な乗り物とは思っていない。だから訓練を怠っ
てはならないのだ。

 仮に飛行機が事故を起こした場合。ウクライナでのマレーシア航空機撃墜に見られ
るように、悲惨な結果になるが、それでも犠牲者は乗客・乗員にとどまる。列車や船
も同様だ。では原発はどうか。原発建屋内にいる作業員だけでなく、広い範囲で放射
能による健康被害を引き起こすことはチェルノブイリ原発事故が示した通りだ。

 しかも、事故を起こさない場合でも、使用済み核燃料の処理ができず、何万年もの
未来にまで災禍を起こす恐れがつきまとう。こうしてみると、原発を「許された危険
」ではなく「許されざる危険」というほかない。このことは、以前にもこの欄で指摘
した。

 残念ながら、原発は「許された危険」として全国に立地した。規制委は再稼働を前
提として、どの程度危険性を抑えればいいか、の判断をしたに過ぎない。安全審査で
あるはずはなく(仮に安全審査なら合格するはずはない)、その意味で田中委員長の
言うことは間違いではない。

 しかし安倍首相は「規制お墨付きの安全」という新たな神話にしがみつく。「許さ
れた危険」の法理を理解していないからである。ましてや、「許されざる危険」とは
思いも至らないであろう。

 このような宰相のもとでは、川内原発を皮切りに「許されざる危険な原発」が次々
に再稼働されることになろう。「許された危険」と「許されざる危険」について何ら
議論することなく原発立地を許してきた国民にとって、不幸というしかない。
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
           引用元 http://japanese.ruvr.ru
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◇◇マレーシア航空機撃墜事件に関してのニュースです!

◆日本関連
http://japanese.ruvr.ru/russia_japan/

◇「対ロ制裁」ゲームの中で自己喪失の日本
  日本はウクライナ情勢の改善が遅々として進まないことの責任をロシアに求め、
対ロシア制裁を拡大する意向だ。米国はこれを高く評価している。しかしこれに
よって日本が何か得するだろうか?
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_07_29/275255670/

◇小野寺防衛相「ロシアへの『ミストラル』売却は日本の安全に影響を及ぼす」
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_29/275239969/

◇日本 プーチン大統領訪日 種々の要素を総合的に考慮して検討
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_29/275235862/

◆国際───────────────
http://japanese.ruvr.ru/world/

◇軍拡競争で釜の煮え立つアジア
アジア太平洋地域が軍事的に活発化している。中国は7月29日から8月2日まで東シ
ナ海で一連の演習を行う。北朝鮮は日本海に向けてまたしても短距離ミサイルを発
射した。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_07_29/275251510/

◇ボーイング機墜落に関する客観調査を妨害するキエフ
ウクライナにマレーシア航空のボーイング機が墜落して2週間。国際調査団はいま
だに事件の全容を把握できていない。現地にはオランダ、オーストラリア、OSCEか
ら専門家が駆けつけているが、現場に辿り着くことすら出来ていない。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_07_29/275248704/

◇ウクライナを犯罪者でなく同盟国と見なす米国
米国はウクライナをNATO外の主要軍事同盟国として認定するべく動いている。それ
によってウクライナの一体性が保存され、民主主義が花開くことは、よもやあるま
い。おそらくは反対に、キエフが自国の民衆に対して行っている戦争による犠牲が
増大することになるだろう。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_07_29/275239207/

◆ロシア国内───────────────
http://japanese.ruvr.ru/russia/

◇ロシア国防省:兵器に関する条約違反「ない」
ロシアはかつて一度として中距離核兵器全廃条約に違反をしていない。その点、米
国とは違う。米国はミサイル防衛システムの修正のために組織的に条文違反を行っ
ている。雑誌「国家防衛」編集長でロシア国防省付属社会評議会メンバーのイーゴ
リ・コロチェンコ氏が述べた。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_29/275235079/

◇アルタイ地方にテニスボール大の雹、3000戸に被害、負傷者も(ビデオ)
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_29/275236982/

◇サンクト・ペテルブルグの跳ね橋
 サンクト・ペテルブルグでは「白夜フェスティヴァル」のシーズンが終わりに近
づいています。この季節は、世界でもっとも美しいペテルブルグという街を楽しむ
ことができるときです。ペテルブルグの魅力ある建築物、それは跳ね橋です。跳ね
橋が開くのは4月末から11月にかけての短い期間ですが、白夜の季節に見ること
ができる跳ね橋の美しさは、生涯、忘れることのできないものになるでしょう。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_07_29/275204150/
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◆[編集長から]              片山通夫
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 九州電力川内原発が「再稼動」に向けて動き出している。(今週の現代時評参照)
新たな「神話」の発生である。鹿児島県は避難計画を10キロ圏内にしかきちんとし
たモノを作れないとしている。つまり、10キロ圏以外は具体的な避難計画は出来な
いとした。
 それでおそらく鹿児島県知事は「再稼動やむなし」とするであろうと推測出来る。

 本年5月21日、大飯原発の運転差し止め裁判で「現在定期検査中の2基を「運転
してはならない」と命じる判決があった。
 判決理由に「個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質
的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の
権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の
法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この
人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵
害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できる
ことになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格
権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然で
ある」とある。
 最上位法規範である「日本国憲法」をもって、憲法を超える判断は出来ないとした
わけだ。

 しかし、司法の判断と行政や経済は違うのだと言わんばかりの「再稼動に向けた動
きがある。憲法をないがしろにする安倍政権にその動きが見られる。

 菅義偉官房長官は21日の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おお
い町)の運転差し止めを命じた福井地裁判決に関し、原子力規制委員会の規制基準に
適合すると認められた場合には、再稼働を進める政府方針に変わりはないとの認識を
示した。(福井新聞)
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  発行     2014年7月30日 No.668
  発行     毎週火曜日  購読料無料
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