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タイトル:609studio No.659 ◆現代時評「美味しんぼ騒動から吉田調書まで」:片山通夫  2014/05/27


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【609 Studio】メール・マガジン 2014・5・27 No.659
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  フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上
 脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻
 訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評「美味しんぼ騒動から吉田調書まで」:片山通夫
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 バカバカしい騒ぎである。ビッグコミックスピリッツに連載されてい
る「美味しんぼ」という漫画で福島の原発を取り上げたらこの騒ぎであ
る。「いかがなものか」と言う人も「言論封殺だ」という人もちょっと
待ってもらいたい。最新のニュースではついに「休載に追い込まれた」
と言うことだ。(実際は以前から計画していた休筆だと言うことだった
ようだが)

 ただちに人体、健康に害が無い

 まず、あの大震災の直後に、政府(当時は菅直人首相)や東京電力は、
持っている情報をすべて国民、特に震災の被害者に提供したか?
 答えは「否」である。あのとき、政府のスポークスマンは、一日何度
もテレビカメラの前に立って「直ちに影響はない」と連呼していた。少
し気になって調べてみた。
 2011年11月8日の衆議院予算委員会の席上、自民党の村上誠一
郎衆議院議員の質疑に対する答弁の中で、枝野官房長官は次のように述
べた。

 「わたくしは3月11日からの最初の二週間で、39回の記者会見を行って
おりますが、そのうち『ただちに人体、健康に害が無い』ということを
申し上げたのは全部で7回でございます。そのうちの5回は食べ物、飲み
物の話でございまして、一般論としてただちに影響がないと申し上げた
のではなくて、放射性物質が検出された牛乳が1年間飲み続ければ健康
に被害を与えると定められた基準値がありまして、万が一そういったも
のを一度か二度摂取しても、ただちに問題ないとくり返し申し上げたも
のです」

 あの混乱の中で官房長官の説明を唯一の情報として聞いていたはずの
国民が「直ちに影響はない」と聞けば安心する。まさか「一度か二度摂
取しても」大丈夫だとは決して思うまい。国民は「一般論としてこの原
発事故は『直ちに影響はない』と聞いた」はずである。ここに原発事故
の「まやかし」の原点があったと筆者は考える。

チェルノブイリの経験

 さて、本論である「美味しんぼ」問題だが再び言う。実にバカバカし
い騒ぎだ。その理由をいくつか挙げよう。まず、たかが漫画なのだ。断
っておくが漫画であれアニメであれ、はたまた小説であれ、事実からほ
ど遠い話の内容であるなら、これはやはり問題となるだろう。しかしこ
の「鼻血問題」に関して言えば、全くの嘘とも思えないのだ。

 なぜなら、チェルノブイリの経験が我々人類にはある。その前に福島
とチェルノブイリを簡単に比較しておきたい。ウイキペディアの力を借
りる。
 福島第一原発事故との比較(ウイキペディアより)
 事故直後、原子炉が停止した時点において、炉心に蓄積されていた放
射性核種の存在量(炉心インベントリー)を比較すると、ヨウ素131は、
チェルノブイリ原発4号機の3200×1015Bqに比べて、福島第一原発1?3号
機の合計の方が、6100×1015Bqと、約1.9倍上回っており、セシウム137
も、福島第一原発1-3号機の合計の方が約2.5倍ほど多い。
 炉心インベントリーは、ヨウ素131、セシウム137ともに、福島第一原発
1-3号機の合計がチェルノブイリ原発4号機よりも上回っているが、放出
割合はチェルノブイリ原発4号機の方が遥かに多い。そのため、実際の大
気中への放出量としては、ヨウ素131、セシウム137ともに、チェルノブイ
リ原発事故の方が福島第一原発1-3号機の合計よりも多いものと見積られ
ている。一方、キセノン133の大気中への放出量は、チェルノブイリ原発
4号機が6500×1015Bq、福島第一原発1?3号機の合計は11000×1015Bqと
推定され、福島第一原発1-3号機の合計が上回っている。チェルノブイリ
原発事故では、短寿命核種の放射性ヨウ素による甲状腺癌の関連が指摘
されているが、同様に、短寿命核種である放射性の希ガスによる影響に
ついては、ほとんどわかっていない。セシウム137などの長寿命核種の
場合は、土壌汚染によって、一部の地域で農作物などに長期にわたる被
害が及んでいる。

  チェルノブイリでの「鼻血」の問題だが、チェルノブイリの取材な
どで知られる広河隆一氏は「チェルノブイリでは、2万5564人のア
ンケート調査の結果、避難民の5人に1人が鼻血を訴えたとしている。

この調査の詳細はこちらへ。
http://www.asyura2.com/14/genpatu38/msg/178.html

 筆者が思うには「疑問があれば徹底的に調査すべきだ」という事だ。
それが科学だろう。「風評被害など感情論」で押し流すべきでは決して
ない。なぜ科学的な交差をしないのか、本当に疑問だ。特に地元の福島
県や、福島県の予算で運営されている県立医大などは県民の不安を払拭
するための調査を早急に(もう遅いのだが)すべきだ。
 そうでなければ、おそらくこれで福島県民は「鼻血が出ても口に出せ
なくなり」、「体調不良がなまけ病」とされてしまう危険がある。
 なぜこのようなことになってしまったのか。やはり巨大な力がそこに
働いているという事になってしまうのだが。

 朝日のスクープ「吉田調書」

 ところが、ここに来て政府にとっては大問題が起こった。朝日新聞が
「吉田調書」なる28時間、400ページの調書の存在と内容を明らか
にし出した。政府は大騒ぎだ。官房長官に至っては「吉田調書は公開し
ない」と素っ気ない。おまけに首相が激怒して「誰がリークした」と犯
人捜しに躍起だとか・・。いったい誰の為の調書なのか、誰が主権を持
っているのか。首相官邸は完全に狂っているようだ。

 この吉田調書で明らかになったことだが、事故当時「650人もの東
京電力のスタッフが吉田所長の命令に反して現場を離れて逃げ出した」
と言うことだ。少し古いが第二次世界大戦で、旧満州の関東軍を例にと
るまでもなく、軍や東京電力のような半分官僚のような会社の連中は決
して「国民を守らない」と言うことが明白になった。

 憲法に書かれている「主権在民」などどこ吹く風のこの騒ぎである。
首相官邸に言っておきたい。「主権は国民にあり、国民は貴方たち政治
家や官僚を監視する権利を有する]のだと。
参考のために記しておきたい。
 表現の自由は21条に定められる。同条では、明文にある集会の自由・
結社の自由・出版の自由や言論の自由のほか、知る権利、報道の自由・
取材の自由、選挙運動の自由など、重要な人権が保障されている。また、
同条2項では、検閲の禁止と通信の秘密が保障されている。

最期に

 漫画「美味しんぼ騒動や「吉田調書」に見られる政権のあたふたは、
いずれも「福島第一原子力発電所の事故」に起因している。是は何を意
味するのか?
 憶測でしかないが、巨大な原子力村の陰湿な力を感じる。一国の首相
から官僚、そして多数の国民を飲み込んで「憲法までも蹂躙することま
でもいとわず」に自分たちの思いを意のままに貫き通すという巨大で陰
湿な力を感じる。いやもしかしたら、当事者であるはずの原子力村の住
民自身も、もはや「引き返すことが出来ない所」まで追い詰められてい
るのかもしれない。
 
 それは国民にとっても、原子力村の住民双方にとっても、悲劇的な現
象だ。我々は既にSFの世界に突入しているのかもしれない。
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2014年5月16日号
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東北アジア青少年平和美術展

 さる13日、ユジノサハリンスク市の「サハリン島」文学美術博物館
で、セコリョ新聞創刊65周年及び高麗人移住150周年を記念しての
東北アジア地域青少年美術展示会が開かれた。「ユーラシア平和への道
」というテーマの下で、サハリン及び在日朝鮮人、韓国と北朝鮮など4
つの地域の青少年らの作品が6月2日まで紹介される。主催側は「国境
と民族を超えての平和への道、そして、若者たちが夢見る平和は何かを
見てほしい」と述べた。

サハリン韓人団体代表者会議

 さる8日、ユジノサハリンスク市韓人センターで第11次サハリン韓
人団体代表者会議が開かれた。韓国赤十字社サハリン地域担当者とロシ
ア及びCIS地域サハリン韓人代表ら(モスクワ、シベリア、ハバロフス
ク、ウラジオストク、ロストフ、カザフスタン)が同席し、昨年事業報
告、評価の後、今年の事業計画について話し合った。赤十字社は、既に
永住帰国を申請している人々の中から申請時期の早い方から徐々に帰国
させると伝えた。代表者らは韓国と日本政府への具体的な助成の要求を
文書化した決議文を提出した。決議文の内容は以下のようである。

「決議文」
1.韓日赤十字社共同事業体にサハリン韓人代表らも参加させる。
2.強制動員被害者らの子孫中、希望があれば永住帰国を許可する。
3.今後も永住帰国事業は続けるべきで、空家が出次第、新規永住帰国
者を入居させる。
4.残留者らに毎月300ドルの生計支援金を払う。
5.未払賃金と郵便貯金を現在の貨幣価値に換算し、特別基金を調整。
6.1世の永住帰国と一時母国訪問の際、同伴者の同行を許可。
7.1世の母国訪問の際、観光ではなく健康診断を受けさせる。

サハリン女性会の総会―権・ヘンザ氏が会長

 さる11日に開催されたサハリン韓人女性会の総会でガガーリンホテ
ルの経営者権・ヘンザ氏が新しい会長に選ばれた。新任の権会長は女性
会設立メンバーでもあり、副会長を歴任するなど積極的に活動してきた。

「両親の日」を記念して

 5月8日は韓国の両親への感謝の日。サハリン州韓人会では10日、
50人余りのお年寄を招待して、感謝の気持ちを伝える催しを開いた。

永住帰国者らセウォル号沈没被害者のための支援金を

 忠南亜山市に住むサハリン永住国者らが、さる8日アサン市庁を訪ね
、セウォル号被害者のために使ってほしいと募金した50万ウォンを渡
した。
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
           引用元 http://japanese.ruvr.ru
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◆日本関連
http://japanese.ruvr.ru/russia_japan/

◇菅官房長官 「日本は、反省すべき点は反省しながら歴史と正面から
向きあう」
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_05_20/272589667/

◇日本 離島防護のための大規模演習
日本は、鹿児島県に属し東シナ海に浮かぶ複数の無人島で、陸海空の自
衛隊が参加する演習を実施する。
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_05_19/272538673/

◇日本が主張するのは 国防それとも戦争、どちらの権利?
 http://japanese.ruvr.ru/2014_05_17/272475311/

◇東京電力 福島第一原発の汚染水漏れ部分 正確に特定
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_05_16/272437553/

◆国際───────────────
http://japanese.ruvr.ru/world/

◇真実を追うジャーナリストを捕えるキエフ政権
ロシア出身のハリウッド女優ミラ・ジョヴォヴィッチさんは、フランス
のカンヌで、ハッシュタグ「#SaveOurGuys」と書かれたプレートを手に
持ち、マスコミの前に現れた。ジョヴォヴィッチさんは取り囲む西側の
レポーターたちに、ウクライナ南部・東部で抗議運動の制圧に参加して
いるウクライナの兵士たちに拘束された、ロシアのテレビLifeNewsのジ
ャーナリスト、マラト・サイチェンコ氏とオレグ・シジャキン氏の解放
を求めていると語った。
 http://japanese.ruvr.ru/2014_05_23/272693465/

◇インドネシアとフィリピン 20年に及ぶ領有権問題に終止符を打つ
フィリピンのアキノ大統領とインドネシアのユドヨノ大統領は23日、
両国の新たな海上境界線画定に関する協定に調印した。
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_05_23/firipin-indoneshia/

◇インドネシアとフィリピン 20年に及ぶ領有権問題に終止符を打つ
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_05_23/firipin-indoneshia/

◇タイ前首相とその一族に出頭命令
タイで全権を掌握した国家平和維持評議会は23日、前閣僚やその側近
、野党のリーダーなど、タイの政治家ら114人に対し、新たな軍事政
権に出頭するよう命じた。
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_05_23/tai-shushou/

◆ロシア国内───────────────
http://japanese.ruvr.ru/russia/

◇モスクワの夜の博物館をコルセットとペチコートを着た娘たちが歩く
 http://japanese.ruvr.ru/2014_05_21/272611805/

◇西部国境近くのロ軍撤退 ウクライナでの選挙をめぐる不測の事態を
避けるため
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_05_21/272627179/


◇欧米に民族自決権尊重を求めるロシア
ウクライナ危機と欧州における安全保障問題が、モスクワでの国際安全
保障会議参加者の関心の的となった。ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相
は「ウクライナの出来事から、正しい教訓を引き出す必要がある」と考
えている。
 http://japanese.ruvr.ru/2014_05_23/272714559/

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◆[編集長から]              片山通夫
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  今週はこの欄でいささか早いですが2件のお知らせを!
 Lapizで執筆中の原井一郎氏が書かれた
      『欲望の砂糖史-近代南島アルケオロジー』
       が森話社から発売になります。
         6月25日発売です!
http://lapiz-international.com/files/haraibook/index.html

 今一つは、Lapizでユニークな作品を発表されている北博文氏が
      写真展を開催される。詳しくは以下のサイトで。
http://lapiz-international.com/files/kita/index.html

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  ところで福井地裁で画期的な判断が下された。しかしながら「安倍
政権は原子力規制委員会の基準を満たした原発は再稼働させる路線を
変えるつもりはない。判決は安全対策を徹底しても、原発の危険性は
なくならないという根本的な課題を突き付けたが、政府は向き合おう
としていない」と東京新聞が報じている。

 そもそも、安倍政権に司法の判断を尊重するという姿勢が感じられ
ない。それに比べてこの裁判の判決はレベルが高い。高尚だ。憲法を
解釈変更で自由にしようとする輩とは品位が違う。
判決文から感銘した部分を記したい。

 「ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活
基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、
程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。こ
のことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格
権が公法、私法を間わず、すべての法分野において、最高の価値を持
つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指
針である。 

 個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本
質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。
人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とす
るものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値
を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命
を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害の
おそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを
請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、そ
の侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、そ
の差止めの要請が強く働くのは理の当然である。」

 如何でしょうか?
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  発行     2014年5月27日 No.659
  編集・発行  609studio Michio Katayama
   発行     毎週火曜日  購読料無料

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