メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.650 ◆現代時評「STAP問題と成果主義」:井上脩身  2014/03/25


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【609 Studio】メール・マガジン 2014・3・25 No.650
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  フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上
 脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻
 訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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<あらすじ>

 福島第一原子力発電所はメルトダウンをした。原発近隣に住む人々はど
うなったか!?同時にテレビ画面上でその出来事を知った人たちは何を考
え、どうしたか?原発事故が日本人に問いかける。言葉とチカラで出来上
がった大人の世界を子どもの純粋な心が、言葉やチカラの枠を外して凝り
固まった大人たちを動かしていく。私たちの未来は何処にあるのでしょう
か・・・。

 現実とファンタジーが入り交じりながらストーリーは展開していく。


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◆現代時評「STAP問題と成果主義」:井上脩身
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 STAP(刺激惹起性多能性獲得)細胞の作製に関する論文に、画像
の改ざんなどの重大な疑問点が指摘された問題で、理化学研究所は「論
文に重大な過誤があった」と調査結果を発表した。理研は論文作成の中
心メンバーだった理研発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・
研究ユニットリーダーについて「未熟な研究者だった」とし、論文撤回
を求めている。この問題の背景には「結果を出す」という言葉で表され
る成果主義がある。有罪立証のため検察官が証拠を偽装するのと構造は
同じだ。景気好転という成果を焦るアベノミクスにも同じ危うさがつき
まとう。

 1月28日に神戸市の同センターで開かれたSTAP細胞の発表は、
世間をアッと驚かせた。「生後間もないマウスのリンパ球を弱酸性の溶
液に約30分浸して1週間培養すると、体のあらゆる細胞に変化する多
能性のある細胞になる」というものだ。「科学の常識を覆す発見」と、
世界中にニュースが駆け巡った。

 この発表の際、小保方さんは「もしかしたら、夢の若返りも目指して
いける」と、笑顔で語った。テレビで記者会見を見ていた私は、違和感
を覚えた。小保方さんの行っているのは基礎的な生命科学研究だ。素人
考えだが、次のステップは、STAP細胞(があるとして)を受精卵に
移植して胎盤を作れるかなどの実験だろう。研究者が夢を持つことは重
要だが、公の前で語れるのは「いま分かったこと」と「次に取り組むべ
きテーマ」だけなのだ。だが、小保方さんは夢を語った。ここに、問題
の本質がある。

 基礎科学研究は本来、ただちに成果が現れることがない目立たないも
のだ。だが、今、大学を含むほとんどの研究機関では、カネに換算でき
る結果が求められている。要するに、かけた予算を上回る金もうけにな
る研究を、研究者に課せられているのだ。STAP細胞で、女性の夢で
ある若返りができるなら、確かに膨大な金儲けになる。

 STAP細胞に関する小保方論文では、博士論文で使った画像を使用
していたほか、遺伝子の実験データ画像の改ざんも判明。14人で構成
されていた研究チームがなぜチェックできなかったのか、と批判されて
いるが、チーム全体が「経済効果の夢」に舞いあがっていたのかもしれ
ない。

 2009年に大阪地検特捜部が摘発した障害者郵便制度悪用事件で、
逮捕した村木厚子・厚生労働省局長(当時)に関し、担当検事が証拠品
として押収したフロッピーディスクの内容を改ざんした。「中央官僚の
悪を暴く」ことは特捜にとって予算を上回る成績となるだろう。その成
果主義が生み出した検察の構造的犯罪だった。村木局長が無罪となった
のは当然だ。

 一昨年暮れに就任した安倍晋三首相が「脱デフレ」を掲げて打ち出し
た成長戦略。今春闘で、政府は経済界に賃金を上げるよう恫喝同然に働
きかけた。自動車、電気などの好調産業はベースアップをし、政府は「
アベノミクスの成果」と誇る。だが、大企業の賃上げ分は中小零細企業
にしわ寄せとしてのしかかる。加えて4月から消費増税の追い打ちだ。
多くの労働者とその家族の暮らしが一層厳しくなろう。目先の成果主義
が弱い者に犠牲を強いるのである。

 「小泉改革」以来、当然視されるようになった成果主義。人員削減や
補助金打ち切りなどのさまざまな問題を引き起こしてきた。いったん立
ち止まって考え直すべきであろう。今求められるのはSTAPよりもS
TOPである。
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2014年3月21日号
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クリミア支持の集会に5千人

 さる18日、ユジノサハリンスク市レーニン広場で開催されたクリミ
ア住民支持集会に約5千人のサハリン住民が参加した。集会の際、採択
された決議文には「我々はクリムが歴史的祖国ロシアとの合併を支持す
ると共に、サハリンへ移住したがるウクライナ人或はロシア人のために
定着支援策を設けることを州政府に要請する」との内容が含まれている。
主催側は同決議文をモスクワ駐在のアメリカ大使館とEU代表部にも送る
と伝えた。

市議員選挙法などを改正

 19日、ユジノサハリンスク市議会は市議員選挙法を変え、26人の
議員すべてを直接選挙で選出するにした。また、新たに市社会委員会を
組織し、都市発展に一般市民が寄与できる道を開いた。15人からなる
社会委員会員中5人は市長が任命し、10人は自発的に参加を希望する
一般市民から選ぶ方針だ。希望者の申請受付は今月19〜末まで。

ホテル6つが新たにオープン

 昨年中6つのホテルがオープンした。ユジノサハリンスク市、オハ市
、ノグリキ市、ポロナイスク市、ネベリスク市などで。現在、サハリン
及びクリル島には96のホテルがある32カ所はユジノサハリンスク市
に位置する。

チェホーフ朗読会

 今月13〜14日間、チェホーフ博物館で、中高校生らのチェホーフ
詩や短編作品朗読会があった。50人程のコンクール参加者中から選ば
れた入賞者らの発表会の他、21日には学生らの演劇大会も開かれる。

写真コンクール「私の姫様」

 ユジノサハリンスク市政府広報部が、2月24日〜3月8日まで一般
市民らを対象に行った写真コンクール「私の姫様」の授賞式が、さる1
4日に行われた。姫様との接し方が分かるように2人以上が移っている
写真と説明をインターネット・サイトに挙げる方式で行われたが、審査
委員らは深い愛情のよく伝わる素晴らしい作品ばかりだったと好平した。

李・イエシク1等賞を

 昨年の下半期から開催された「写真コンクール―高麗人のロシア移住
150周年記念」でセコリョ新聞カメラマン李・イエシク氏が「事件と
人物でみる歴史」部門で1等賞を受賞した。

慈善公演

 3月30日、韓人文化センターで障害者ヒョン・ドミトリー(23歳)
のために慈善公演を開催する。サハリン韓人会と離散家族会が共同主催
する同公演の目的は、知的障害があるにもかかわらず通信で大学教育ま
で受けているヒョンさんを経済的に助けるため。

鐘が到着

 ユジノサハリンスクの正教会にかける鐘が大陸を経て13日、サハリ
ンへ到着。鐘の重さは6.5トン。これを記念して各地で鐘の音コンサ
ートが開催されるとのこと。

出版情報

春渓・柳シウクさんの1957年9月1日から15日までの日記が本と
なった。1941年2月、内淵(現ブイコフ)炭鉱へ強制動員されて、
戦後ドリンスク朝鮮学校で朝鮮語や文学を教えるなど教育者として尊敬
された人物である。一生定職もなく安定した生活はできなかった。そん
な著者がクラスのドルスク林山事業班炊事担当者として山で暮らした時
に書いた日記「山中半月記」が、強制動員調査委員会のバン・イルゴン
博士の協力で、韓国で「オホーツク海の風」という名前で本になった。
また、永住帰国者全・ハクムン博士(ロシア科学アカデミー首席研究員)
の「日本侵略精神とサハリン韓人の宿命」という本が出た。3月13日、
ソウル市内で前駐ソ大使、国会議員など150人の人事が集まったなか
で出版記念会が行われた。(提供:永住帰国者朴・スンイ)
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◆みほの独り言「あれから3年・・。」:はないみほ
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 被災地は阪神淡路大震災の時のように新しく建物や道を建設していく
ことが復興へとつながるという具合にはいっていない。原発では汚染水
は大量に地下水にしみ込み、海へと流れ出ている。
 その情報は新聞に小さく載るだけで、その他の様々なニュースにか
き消されてしまう。

 放射能汚染はいわゆる核汚染であり、被曝である。1986年ソ連が
チェルノブイリの原発事故を起こした。そして1991年ソ連が崩壊し
た。27年経った今も部厚いコンクリートで覆われたチェルノブイリ原
子力発電所からは放射能汚染が続き、老朽化しているコンクリートをさ
らに覆う作業が必要であるというニュースが東日本大震災当時に聞いた。
人間が手に負えない代物を操り間違った結果の結末である。

 福島では放射能が漏れ続けている。3年経っても収束せず、原発労働
者は、今も線量の高い原発で危険な作業を続けている。
 そんな状態の中で福島原発から20キロ圏の町は帰還解除が出た。チ
ェルノブイリ原発事故によりたくさんの町が廃墟の町となった。ソ連と
日本の差は何処にあるのだろうか。

 震災後、原発事故に対して行った民主党の政治に怒りを覚え、各地で
抗議デモが起こった。そしてこの日本は脱原発の道を辿り、東日本の被
災された方々への絆を大事にする民衆第一の優しい国を表現していた。
 当時の野田政権は、ベトナムに原発輸出し、被災地への対応の遅れな
ど政治は不安定になった。国会で自民党が民主党に猛烈批判し、あたか
も救世主到来とでも言いたそうな演出で野田政権 から 自民党独裁政
権+公明・維新と変わった。

 救世主と誰が思ったかは定かではないが、返り咲きした安倍政権にな
ってからというもの東北の復興の話は遠い話となってしまった。脱原発
も頓挫したようである。 
 震災後私達は混乱している。しかし政治を動かす人たちには、復興も
原発事故も現実からはほど遠い紙面の上で起こっている出来事であるか
のようだ。
 
 震災という混乱こそが、権力者の狙い目なのである。そこをこの三年、
嫌というほど感じた。今こそ情報操作に惑わされず、心清らかにして、
情勢を読む目を養う事である。

 私は震災当時から宮城県女川町へサポートに行った。そして節目ごと
に女川の方々に心を送った。その心が本当に彼女らに届いているのかは
わからない。けれど、私は被災地を忘れないことが、大事だと思うこと
が、明日を作ると信じている。女川の町は未だ更地の状態であり、大勢
の人がまだ仮設住宅に住んでいる。

 明日への希望を奪うのは誰か、そして明日という希望を持ち込むのは
誰か・・・。
そう問いながら、3年目を私は迎えた。
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
           引用元 http://japanese.ruvr.ru
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■クリミア情勢
http://japanese.ruvr.ru/tag_6635801/


◆日本関連
http://japanese.ruvr.ru/russia_japan/

◇政治色を排したビザなし交流
露日はクリル諸島住民と日本人との2014年度ビザなし交流プログラム
に合意した。サハリン州投資対外交流国際関係省のドミトリー・ハン次官
は、VORからのインタビューに対し、日本側は、ビザなし交流は両国民の相
互理解と相互信頼の深化に役立っており、今後これが発展することへの関
心を示したとして次のように語っている。
 http://japanese.ruvr.ru/2014_03_22/270046539/

◇日本 クリミアのロシア編入認めない 平和的解決を求める
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_22/270033894/

◇韓米日、ハーグで首脳会談
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_21/269974111/

◇東京で脱原発集会 5000人以上が参加
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_20/269909793/

◇日本とロシアを電力ケーブルが結ぶ
http://japanese.ruvr.ru/2014_03_20/269924264/

◆国際───────────────
http://japanese.ruvr.ru/world/

◇フランス、ロシア人ビジネスマンのビザ緩和へ
フランス政府は外国人ビジネスマンのビザ緩和を検討しており、特にロシ
アと中国を対象とした話が進んでいる。フランス対外貿易省のニコル・ブ
リク大臣が述べた。
 http://japanese.ruvr.ru/2014_02_18/128848164/

◇ウクライナ地対空ミサイル部隊、3分隊がクリミア側につく
 http://japanese.ruvr.ru/2014_03_04/ukuraina-kurimia/

◇ヤヌコヴィッチ氏がキエフに戻るのは不可能 ロシア理解
ヴィクトル・ヤヌコヴィッチ氏がキエフで政権に返り咲くのは不可能であ
ることをロシアも理解しており、そのような意志も持っていない。ロシア
のヴィタリー・チュルキン国連代表が安全保障理事会会合のなかで発言し
た。
 http://japanese.ruvr.ru/2014_03_04/yanukobichi/

◇オホーツク海、ロシアの領海となる
 国連の大陸棚限界委員会は5万2千平方キロメートルの飛び地がロシ
アの大陸棚の一部であることを認めた。この承認は最終的なもので、見
直されることはない。ロシアのセルゲイ・ドンスコイ天然資源環境相は
声明を表し、これを歴史的な決定であり、北極圏における大陸棚の拡大
権を主張する一助となると語った。
http://japanese.ruvr.ru/2014_03_18/269771413/

◆ロシア国内───────────────
http://japanese.ruvr.ru/russia/

◇クリミア情勢は以下のアドレスで・・・。
http://japanese.ruvr.ru/tag_6635801/

◇プーチン大統領:クリミアは強力な主権のもとに置かれるべき。今日
において唯一それを有する国家はロシア
プーチン大統領は18日、クレムリンで、国会議員や閣僚らを前に演説を
行い、クリミア自治共和国の住民投票でロシア連邦への編入を求める民
意が示されたことを受け、クリミア自治共和国およびセヴァストーポリ
をロシア連邦に編入することを発表、しかるべき合意に調印した。
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_18/269796395/

◇プーチン:NATOに反対せず 
 歴史的土地で我が物顔するのには反対する
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_18/269795039/

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◆[編集長から]              片山通夫
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  このメールマガジンも650号を迎えた。これも読者の皆様のおかげ
です。ご購読有り難うございます。今後ともよろしくお願いいたします。

 クリミアがロシア領に編入された。サハリンでも、クリミアの市民を
応援し、支持する集会が開かれたという報道があった。

 この事にはあまり驚かないが、驚いたことが一つ。
筆者の親友、サハリンのセコリョ新聞社写真記者が「写真コンクール―
高麗人のロシア移住150周年記念」で最高賞を受けたことだ。
 「驚いた」とはご本人には失礼な話だが、そのようなコンテストに出
品するという話を全く聞かなかったからである。

 何はともあれ、おめでたいことだ。ご同慶の至りである。
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  発行     2014年3月25日 No.650
  編集・発行  609studio Michio Katayama
   発行     毎週火曜日  購読料無料

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   website  http://www.609studio.com/
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