メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.646 ◆現代時評「国家主義的な教育委員会改革」:井上脩身  2014/02/25


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   【609 Studio】メール・マガジン 2014・2・25 No.646
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    フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上
  脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻
  訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評「国家主義的な教育委員会改革」:井上脩身
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 政府・与党は自治体の教育委員会制度について、教育長と教育委員長の
ポストを統合して、常勤の「代表教育委員」(仮称)を設ける方針を打ち
出した。代表教育委員の任免権は首長が持つ。教育方針を定める大綱を策
 定するために新設される協議会に首長も加わるとしており、首長の意のま
まの教育行政になる恐れがある。「教育の民主化と自主性」という戦後教
育の理念を根柢から覆し、「お国のための人材づくり」という国家主義教
育に転換しようというものである。

 戦前の軍国主義教育の反省に立ち、1948年、教育の民主化、教育の
自主性確保、教育行政の地方分権の三つの理念に基づいて教育委員会法が
制定され、各都道府県と各市町村に教育委員会が設置された。教育委員会
は、教育長の専任と教育政策の決定、教育長は決定された政策に沿って事
務を処理することとされた。教育委員会が、独自の判断でその地域に応じ
た教育環境を整えることが期待されたのである。

 しかし、首長が予算案を作成し、議会がその決定をするため、首長や議
会からの完全な独立とは言えない状態だった。発足から間なしの1950
年、当時の文部事務官は「財政権が長にあるため、長の側において教育委
員会を分家視し、必要以上の干渉が多かった」(『戦後日本教育史料集成
 第三巻』三一書房)と報告している。戦前の「おかみの命令による教育」
に疑問を持つことのなかった首長は、「国民主権の下での教育行政」とい
う教育委員会の本務を理解できなかったのだ。

 国家主権教育と国民主権教育は単なる制度上の違いだけではない。
 我が国の教育は、江戸時代の寺子屋で行われた読み・書き・算盤的学習
が底流にある。教室では学習机が先生に向かうように配置されており、先
生の話や指導、指示を早くのみ込み、教科書の記述をより多く覚えた子ど
 もが優秀な子とされる。これに対し、ヨーロッパの多くの国々では、児童、
生徒の机は円形に配置され、あるテーマについて互いに発言し合って授業
が進められる。覚えることより考えること、その考えをまとめて意見を述
べることが重視されるのだ。日本の暗記型教育に対し、ヨーロッパは思考
型教育といえる。

 国が決めた学習内容を覚える暗記型教育は、思考停止型教育という側面
があり、国家主権教育を受け入れやすい構造をもつ。子ども一人々々を大
 切にする真の国民主権教育を成り立たせるためには、思考型教育を取り入
れねばならない。だが、その根本のところを変えなかった(その発想もな
かった)ため、教育委員は名誉職同然の名ばかりとなり、教育委員会が十
分機能しなかったのは当然であろう。「教育委員会を首長の直轄機関にす
べきだ」と考える首長が登場することはかねて予想された。

 はたして、大阪市立桜宮高校で、部活動顧問から体罰を受けた生徒が自
殺したことを機に、橋下徹・大阪市長は体育系2科の入試の中止を決定。
 教育委員会側が反対の意向を示すと、入試関連予算の凍結を突きつけ、教
委側を屈服させた。橋下市長の強引な手法には目に余るものがあるが、教
育委員会が権力に抵抗できない脆弱さも浮き彫りになった。

 教育委員会改革が政府与党案通りになれば、首長が予算という首輪では
なく、直接、教育行政に口出しすることは目に見えている。首長のトップ
は言うまでもなく首相だ。既にみたように、我が国の暗記型教育は国家主
義教育と一体化し、「強い国」をつくるための教育へと進む可能性が高い。
それは戦前への回帰であることは言うまでもない。残念なことに、この改
革案についての国民的議論はない。アベノミクスに躍る国民は思考停止状
態である。
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:届いておりません。
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 届き次第、お届けします。
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◆独り言「持っていかれている意識」:はないみほ
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 昨日、「永遠の0」を観に行った。
昨年の12月21日から上映されて、もう二ヶ月目である。
上映期間の長いこの映画。来客がまずまず入っているからなのだろうが、
こうも長いと、少し意図を感じる。「永遠の0」は命を大事にした特攻隊
の話である。私達戦争を知らない子どもたちや大人に戦争を語るこの話は
大変興味深い。最後まで命を粗末にするなと言い続けた岡田君扮する久蔵
が、最後は特攻隊に志願し敵の軍艦に突っ込んでいく。愛する人がいるか
ら生きたいのだという。当たり前の考えだがあの当時は、自分の命は国の
ために捧げるのが当たり前だとこの映画ではいう。
愛は国の次であるという。生きたくても生きられなかった人たちの思いを
、私達は背負って今に生きているんだ。あの人たちが戦争が終わって、自
由の身になってどう生きるか・・・今に生きる私達に問いかける。
あの戦争を戦った海軍や特攻隊の方々が、逝ってしまった久蔵の孫との出
 会う。命を久蔵に守られ今まで生きる事が出来た人々が、久蔵の遺伝子を
次ぐ孫に久蔵の話を伝える場面は、なんとも不思議な気持ちがした。
いい映画だった。

けれど・・・

  最後の字幕に作家「百田尚樹」とあって、あ〜・・・そうだったのか
・・・と思った。二・三日前に朝日新聞でNHKの経営委員の話が、載っ
てあった。NHK経営委員で作家の百田尚樹さん(57)が、朝日新聞の
単独インタビューに応じ、経営委員の肩書を持つ身としての言動のあり方
や安倍首相の靖国参拝、東京都知事選で特定候補を応援したことなどにつ
いて、自らの考えを述べた。「私は言論人であり、主張するのが仕事」と
強調。経営委員の立場にあっても自身の表現活動は制約されないとの見解
を示した。
NHK経営委員「主張縛られぬ」 百田尚樹さん一問一答
 百田さんは取材の冒頭で「作家として答える」と断り、「昨年11月に
経営委員になってから、放送において公正、不偏不党という(経営委員の
)服務準則を順守している」と話した。その上で「(委員の立場は)個人
的な主義主張を縛るものではない。私の本職は作家であり著述家。政治や
国際問題についても発言してきた。経営委員だからそうした発言を一切す
るなというのは言論封殺、職業否定につながる」と語った。

 百田さんは先の都知事選に立候補した田母神俊雄氏の応援演説で、他の
候補を「人間のくずみたいなもの」と発言。それについては「言葉の表現
としての反省はある。言い過ぎだったなと」と釈明した。ただ、田母神氏
を応援したことについては「何の問題もない」とした。(朝日デジタル)

 そうか、そうか・・・こうも時代は国防軍に向けての仕掛けが出来てい
たのか・・・とため息をついた。
集団的自衛権の問題や、国防軍を作るという政府の方針に、メディアが形
づいている。

 今や政治は単独で動いていない。
メディアが時代を作っている。
 シナリオがあり、国民の士気をいろんな手法で煽っていく。
大変出来上がった意識改革である。
 戦争を知った人はこの意識改革のコントロールにはまらない。身体で怖さ
、痛みを感じているからだ。そしてその時代の親を持つ子どもたち(団塊の
世代)は、その思いを継ぐ。けれど、その次の世代からは、戦争を美化して
しまっていて戦いが正義の戦争と言う言葉に置き換わってしまう。
震災後急に戦争の歴史の置き換えをと言う話が出て来た。
安倍政権になってから急にだ。

 原発問題や沖縄基地の問題、TPPの問題等日本だけの話ではない。
 日本だけの意識で動けるのであればいいのだが、アメリカとの関わりで事が
難しくなってしまっている。そのアメリカとの関わりは第二次世界大戦からだ
った。戦後日本は原爆を投下され、アメリカに統治され、そしてアメリカと友
好関係をもって今に至る。核の傘という言葉でアメリカと共同体となっている。
日本を取り戻す・・・という安倍政権の言葉からは、いかにも日本が自立の生
き方をするかのように思えるが、大変矛盾ある主張と行動である。

 アメリカとの関係を保ち、そして憲法改正に挑んでゆく動きとは、右に向き
つつ、国をアメリカに売っている。アメリカというよりその国を支配する多国
籍企業の言いなりだという事である。日本の国がどうのこうのというより、軍
事産業、エネルギー産業、あらゆる権力を握る産業がいいように動く国作りを
しているだけである。

 集団的自衛権の問題も憲法改正もTPPも秘密が強調され、権力と企業の連携を
強化する国作りである。「永遠の0」を見て、愛国心を煽り、強い国日本をと
強調している権力者は、実は私達市民の事など考えていない。
 尖閣諸島、北朝鮮の問題もテロの問題も敵がどこかにいると煽り立て、不安を
煽る話ばかり強調され、消費税の問題も福祉の問題も税を市民から吸い上げて
企業を保護しているのみに停まる。

 過去の戦争は、企業人の利益のために出来上がったシナリオに市民が投入さ
れていった訳である。第二次世界大戦前、世界恐慌が起こり、その対応が戦争
で軍需産業を潤すというシナリオを書き、資本を保った企業・財閥がいるわけ
で・・・。私達市民は、戦争も様々な出来事を勝手に時代が動いていると思い
込まされて、時流だと思わされて、従ってきた。けれど、永遠の0のように、
その犠牲でたくさんの命が消えていった。軍事強化する事が私達市民の幸せで
ないという事は、もう知っているはずである。
メディアに煽られ、単に高揚と涙に意識を持っていかれ、また同じ事を繰り返
さぬように、今目の前に現れる出来事と、情報を混乱させないようにしないと
いけないと強く思う。
 久蔵が次の世代に受け継ごうとしたのは、命の大切さである。国という枠を
強調され、簡単にその意識(命の大切さ)を奪われてはしまってはいけない。
 国は器ではない。国は私達一人一人である。
歴史の修正をするのなら、明治維新前にまでさかのぼり、日本独自の良さを思
い返し教えてほしいのである。思春期の息子を持つ親として、子どもたちをサ
ポートしている立場として、今の日本の意識に異様な危うさを日々感じる。

 今日も子どもが通う造形教室の上をブルブルブルと5機の自衛隊のヘリコプ
ターがけたたましい音を轟かしながら飛んでいった。
何を牽制し、何に立ち向かうのか・・・
資本主義が行き場をなくし蠢いている。
 本当に自由を失いたいのか!?・・・そう皆に問いたい。
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
           引用元 http://japanese.ruvr.ru
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 ◆ソチ冬季オリンピック特集
http://japanese.ruvr.ru/sochi-2014/

◆日本関連
http://japanese.ruvr.ru/russia_japan/

◇日本 石炭買付けの新たな市場を求めサハリンを調査
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_22/129029082/

◇日本当局 朝鮮人「従軍慰安婦」に対する態度見直し
日本当局は、1945年まで慰安婦として働いていた朝鮮人女性に対する態度
を見直す考えだ。ロイター通信が、日本政府筋の情報を引用して伝えた。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_22/129027559/

◇東京都内の図書館でホロコーストに関する書籍 280冊以上が破られる
警視庁は、「アンネの日記」や他のホロコーストに関する書籍が都内のい
くつかの図書館合わせて280冊破られていることを受け、捜査を行ってい
る。現地各メディアが報じた。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_22/129008929/

◇福島の現状、公表されるよりはるかに悪いこともあり得る
福島第一原発から100トンもの汚染水が漏出したという。同原発からは汚
染水漏れの報告が引きもきらない。東京電力は状況をコントロールでき
ていないのではないか。そうした疑問がわく。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_20/128957580/

◇1891年のニコライ皇太子暗殺未遂 日本で完全な資料が初公開
大津市歴史博物館は、1891年のニコライ皇太子暗殺未遂事件をめぐる裁判
記録をすべて一般公開する決定を行った。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_20/128935772/

◇「最後の日本兵」小野田氏がなぜロシアで感動を呼ぶのか
日本の敗戦後、フィリピンのルソン島で30年もパルチザンとして生活を
続けた小野田寛郎(ひろお)さんが91歳で亡くなった。
http://japanese.ruvr.ru/2014_01_17/127435378/

◆国際───────────────
http://japanese.ruvr.ru/world/

◇ウクライナ 反対派勢力 ロシア系メディアを禁止する動き
ウクライナでは近く、反対派(マイダン/「広場」)運動を支持しないテレ
ビやラジオの放送が禁止される恐れがある。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_23/129068214/

◇ウクライナ議員:外国のスパイがウクライナのクーデターに100億ド
ル以上の資金を援助した
ウクライナのコレスニチェンコ地域党議員は、同国で起こっている出来事
について、「外国のスパイ」から資金援助を受けていると述べた。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_23/129063937/

◇英国人 20万ドル相当のダイヤモンドを飲み込む(ビデオ)
オーストラリアのケアンズにある宝飾店で、20万ドル相当の珍しいダイ
ヤモンドが盗まれ、容疑者が逮捕された。逮捕されたのは、観光でケアン
ズを訪れていた29歳の英国人マシュー・オズボーン容疑者。容疑者は、
石を飲み込んだと語ったという。ミラー紙が伝えた。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_24/129073579/

◇火星への片道飛行 イスラム人の参加は禁止
火星への片道飛行は、イスラム教徒にとって罪深いものであると認定され
た。これはアラブ首長国連邦イスラムワクフ宗務庁が出したファトワによ
る。Khaleej Timesが報じた。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_22/129008309/

◇バラク・オバマ大統領 ビール一箱をかける カナダ首相と
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_21/129007666/

◇ウクライナ最高議会、キエフから軍隊を引き揚げることを決定
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_21/128982431/

◆ロシア国内───────────────
http://japanese.ruvr.ru/russia/

◇ソチオリンピック2014閉幕(フォト)
 ロシアのソチで23日、第22回冬季オリンピックが閉幕した。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_23/129077312/

◇北の湖に太古の怪物が住むという、発見なるか
今月26日、ロシアのダイバーたちが、サハ共和国(ヤクーチヤ)
のラブィンクィル湖への探検行を開始する。80mの潜水で、水温
の低い北方の淡水への最高深度を達成する計画だ。しかし、この
潜水行にはスポーツとしての目的だけでなく、学術的なそれもあ

 http://japanese.ruvr.ru/2014_02_22/129044110/

◇IOC会長:ソチオリンピックは素晴らしく、選手からの苦情はなかった
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_23/129076409/

◇ガスプロム、サハリンでガスのみか石油までも発見
 ガスを探したら、石油も出てきた。「サハリン‐3」プロジェクトのための
予備調査を行ったガスプロムは、大陸棚の産地に黒い黄金を発見した。これ、
ロシアでも最大の埋蔵地かも知れない。ガスプロム社の前に、そしてロシア
の前に、新たな展望を開く発見だ。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_22/129028876/

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◆[編集長から]              片山通夫
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 ソチオリンピックが終わった。このあとパラリンピックが開催される。
筆者のところにウクライナからメールが届いた。ロシアとの国境のロシ
ア側にはロシアの戦車が展開していると書かれていた。
 勿論未確認の情報である。しかしながら「さもありなん」という気が
するところが怖い。オリンピックの間はロシアも介入しないだろうとい
う見方があった。そういえばモスクワオリンピックはソ連(当時)のア
フガニスタン侵攻で西側の国々が参加を見送った。

 世界はいまウクライナの情勢を固唾をのんで見守っている。
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   発行     2014年2月25日 No.646
  編集・発行  609studio Michio Katayama
   発行     毎週火曜日  購読料無料

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   contact us http://www.609studio.com/html/mailform.html
   website  http://www.609studio.com/
    投稿   http://www3.ezbbs.net/06/609studio/
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