メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.618 ◆現代時評「デジタル時代の落とし穴」:井上脩身  2013/07/23


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  【609 Studio】メール・マガジン 2013/7/23  No.618
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上
  脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻
  訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評「デジタル時代の落とし穴」:井上脩身
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アシアナ航空のボーイング777旅客機が7月6日、サンフランシスコ
国際空港で着陸に失敗、3人が死亡し180人以上が死亡した。滑走路
への進入速度が遅すぎたのが事故の原因とみられている。機長は「自動
航法装置に速度を入力した」と述べているといい、自動制御への過信の
結果として失速に気づくのが遅れたようだ。こうしたデジタル時代のヒ
ューマンエラーを防ぐためには、かつてのベテラン機長が身に付けたア
ナログ的な経験と勘を取り戻すべきだと私は考えている。

 アシアナ機の滑走路進入時の適正速度は254キロ。報道によると、
アシアナ機は事故82秒前、自動航法装置をオフにして手動操縦に切り替
えたところ途中で急降下した。機長は「34秒前に自動推力調節装置を2
54キロに設定した」と述べたが、高度は152メートルで、通常より
数十メートル低かった。
 16秒前に、着陸誘導灯が高度の低さを警告していることに気づき、
高度を上げるために加速を試み、1,5秒前、着陸やり直しを決断した
が、適性速度を25%も下回っており、再上昇が出来なかった。

 機長の証言通り、自動航法装置に適性速度を入力したとすれば、なぜ
コンピューターが正常に働かなかったかが問題になる。
 航空機は、事故が起こると大勢の人命が失われる。このため、一つの
ミスや不具合があっても別の装置や器具の操作でカバーできるフェイル
セーフの徹底が早くから叫ばれた。

 ジャンボ機の愛称を持つボーイング747型機は油圧パイプが4系統
あり、その2、または3系統にトラブルが起きても飛行できるよう設計
された最新のフェイルセーフ機といわれた。だが、思いもかけない落と
し穴があった。

1983年、アンカレッジ空港を離陸した大韓航空の747型機は航路
を誤り、ソ連領内に侵入。ソ連軍迎撃戦闘機に撃墜され、乗員乗客26
9人が犠牲になった。後に、アンカレッジ航空で自動航路装置への航路
の入力の際に、何らかのミスをしたのでなないかと推定されたが、自動
航路装置によって正しく飛行していると機長らは信じて疑わなかったに
違いない。ソ連の戦闘機が警告を発しても、その意味を正しく理解でき
なかったと思われる。

 私はこうしたヒューマンエラーをアナログヒューマンエラーとデジタ
ルヒューマンエラーに区分して考えている。
 アナログヒューマンエラーは個々の操作する人の人格によることが多
い。JRの尼崎打線事故の運転手が遅れを取り戻すためにスピードを出
し過ぎたのはその例だ。こうしたアナログヒューマンエラーを防ぐため
に機器類は自動制御され、機長席でデジタル表示されるようになった。
医師が聴診器よりも、パソコンのモニター画面を重視するように、パイ
ロットは計器類のデジタル数値を重視するようになった。
 かつて、パイロットは晴天なら自分の目で、悪天候に見舞われれば、
長年培った経験と勘で乗りきって来た。デジタル時代になって、パイロ
ットとしての職人的勘が鈍くなったのではないか。
 アナログヒューマンエラーをデジタル化でカバーしているのと同様に、
デジタルヒューマンエラーはアナログ的職人技でカバーしなければなら
ない。この視点を欠けば新たな事故が必ず起きる。航空機だけに限らな
いことはいうまでもない。
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2013年7月19日号
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 大統領サハリン訪問

さる16日、プーチン大統領がサハリンを訪問し、「ロスネプチ、ロシ
ア鉄道、ルスギドロ、ガスプロム、アエロプロト」など地域を代表する
企業家も参加した中で「島の開発問題会議」を開いた。大統領はサハリ
ン島が早いテンポで発展しており、加工業、農業、水産業においても発
展潜在力の高い地域だと指摘しながら、地域経済の多変化と新しい雇用
創出、社会インフラ強化で住民の生活の質を高める事業に注力すべきだ
と強調した。大統領は昨年末、国家評議会が指示したサハリン関連事業
が20%しか実行されていないことに遺憾を示しながら、「実行するま
では難点も多いだろうが、住民との約束は必ず守らなければいけない」
と政府関係者らを催促した。

175万トン採炭

 サハリン石炭企業が今年上半期中175万トンを採炭した。77万ト
ンは輸出したがその中の74万5千トンが日本、中国、韓国へ輸出され
た。年末までの目標は430万ト、200万トンは輸出する予定だ。

国際テコンド大会でサハリン代表メダル獲得

 7月4〜9日まで韓国春川で国際テコンドか開かれ、49カ国から2
700人の選手が参加した。サハリンからも50人余りの選手が参加し、
25の金メダルを取った。

クリル行船舶増やす

 サハリン州交通道路局は、「サハリンー7」ディゼル電気モーター船
が、7月21日から「コルサコフーユジノクリルスクークリルスク」航
路を追加運航すると発表。旅客100人乗りのこの船は7、8月のみ運
航するとのこと。

3千余名海外出国禁止

 サハリン州裁判執行部は、養育費を払わない男性の海外出国を禁止す
る措置を取った。名簿はサイトで確認できる。もし空港で捕まった際、
その場で払えば出国できる。

ヴィソツキ映画上映

 7月25〜30日まで、この10年間最大規模の映画祭がサハリンで
行われる。テーマは有名なソ連の詩人、演劇、映画俳優ウラジミル・ヴ
ィソツキの映画。彼の生涯と作品世界のドキュメンタリ映画も上映され
る。シーティモールの映画館で入場料300ルーブル。
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 ◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
           引用元 http://japanese.ruvr.ru
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◆日本関連

◇安倍首相、安定条件下で政治路線を続行
自民党総裁の安倍首相は今回の参院選の結果を受け、自らの政治路線を
継続する構えを明らかにした。安倍総裁のこの声明はNHKテレビで放
映された。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_21/118300237/

◇モスクワ・シテイ・レーシングで小林可夢偉氏の車が大破
モスクワで行われたモスクワ・シテイ・レーシングで、日本の元F1レ
ーサーで現在スクーデリア・フェラーリのメンバーの小林可夢偉氏の運
転する車両が大破する事故が起きた。小林氏の命に別状はない。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_22/118300363/

◇米カリフォルニア電力会社が三菱重工を訴え
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_19/118186010/

◇新潟で放射性物質を含む汚泥が流出
新潟県の浄水場から、放射性物質を含む汚泥が流出した。共同通信が伝え
た。排水口から数トンの汚泥が、居住地区の道路に流出した。同区域の放
射線量率は1時間あたり最大0.1マイクロシーベルトで、人体に影響は
ない。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_17/118062309/

◇日本、猛暑による犠牲者の数60人に
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_19/118180294/

◇日本で初、ヤクザ、恐喝で訴えられる
日本で史上初めて、最大規模の暴力団「山口組」にゆすり・恐喝で得た金
銭の賠償を求める提訴がなされた。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_17/118025420/

◆国際───────────────

◇アラブ首長国連邦で強姦されたノルウェー人女性に禁固刑
アラブ首長国連邦で強姦被害にあったノルウェー人の女性が地元警察によ
って逮捕され、禁固刑を言い渡された。強姦被害者のマルテ・デボラ・デ
レリフさんには1年4ヶ月の禁固刑が課せられる。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_21/118273379/

◇金正恩:100万ドルで外国メディアのインタビューに応じる
北朝鮮の金正恩第一書記が国外メディアからのインタビューに100万ドルで
応じる、との提案を持ちかけている。韓国メディアが北朝鮮内部の匿名情報
筋の情報として報じた。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_18/118132395/

◇ネルソン・マンデラ国際デー
今日7月18日はネルソン・マンデラ国際デー。2009年の国連総会で採択さ
れた。黒人初の南アフリカ大統領、平和と自由の闘士、ネルソン・マンデ
ラ氏の誕生日だ。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_18/118135893/

◇イスラエルでダビデ王の宮殿発見
イスラエルのイウデヤ低地で、紀元前10世紀頃に統治していたダビデ王
のものと思われる宮殿が発見された。NEWSru Israelが伝えた。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_19/118123899/

◇フィアットの新車は女体製(ビデオ)
多くの男性が自分の愛車を自分の愛人を語るごとくに語るものだ。Fiat社
内のアーティストらに「車体が完全に女体である」ような自動車を創ると
いうインスピレーションを与たのもそうした習慣かも知れない。ハッフィ
ントン・ポストが伝えた。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_19/118141442/

◆ロシア国内───────────────
 
◇農作物をレーザーで強化
ロシア南部のクラスノダール地方で農業上の一大改革が成し遂げられよう
としている。小麦をレーザーで強化する、というものだ。第一段階のテス
トは輝かしい成績を収めた。収穫量は数倍増の見込みだ。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_04/117204470/

◇スノーデン問題 首脳会談は中止となるか?
ロシアは、米国のオバマ大統領のロシア訪問中止に関するいかなる通知も
受け取っていない。ロシアのペスコフ大統領報道官が伝えた。これは、米
中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン氏のロシアへの一時
亡命に関する決定が、露米首脳会談に影響を及ぼすことがないということ
を意味している。スノーデン氏がモスクワのシェレメチボ国際空港のトラ
ンジットゾーンで暮らし始めてから1ヶ月以上が経過したが、スノーデン
氏は今週にも、トランジットゾーンから出られるかもしれないという。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_21/118287510/

◇新たなルートのために極東は開かれている
  2020年までに極東の貨物量は現在の6割アップするとの予測がなさ
れている。これは先日ウラジオストクで行われた日本海を囲む諸都市の市
長らの会議の席に明らかにされた。分析はアジア太平洋地域市場の経済、
景気の拡大予測に基づいて行われた。この増大量を極東が現在有す運輸シ
ステムはこなすことができるだろうか。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_19/118192593/

◇サハリンに巨額投資するロスネフチ
 ロスネフチは、サハリンを開拓している。ロスネフチのセチン社長が、
プーチン大統領とのビデオ会議で伝えた。セチン社長は、戦略的に重
要な地域サハリンの将来の展望について語った。
http://japanese.ruvr.ru/2013_07_17/118058886/
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  ◆[編集長から]              片山通夫
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  自民党が圧勝した。・・・というより、野党がだらしなさすぎた。
少なくとも、政策の一致をみた場合は協定を結ぶ必要があったのも関わ
らず「ドングリが背の高さ」競ってバラバラになってしまっていた。

 争点はいくらでも見いだせた。《TPP》,《原発問題》、《年金問
題》、そして《アベノミクス》、《憲法問題》などなどだ。
 それがバラバラに叫んでいるだけでは、有権者は選ぶことができない。

 その中で、民主党の凋落ぶりは目を覆いたくなるほどだ。誰も民主党
を信用していない結果だ。なぜこれほどまでに落ち込んだのか。
わかりやすい例えをして見せよう。反原発一本で当選した山本太郎氏を
引き合いに出させてもらう。彼は一貫して反原発で通した。その姿が、
人々に共感をもたらしたといえよう。彼は今後6年間、参議院議員とし
て反原発を国会の場でも訴え続けるだろう。しかし、もし彼が「いやあ、
国会の場に出てみたら、とてもとても原発なしでは、わが国は持って行
かないということを勉強しました。だから原発推進に舵を切ります」な
んてことをマスコミにしゃべったら?
 次の選挙では必ず落選の憂き目にあうことは確実だ。
 それを民主党は政権をとってから、やってしまったのだ。つまり国民
から見放されたとい言うことだ。

 さて、先に述べた争点であるはずの、国民生活に直結する問題をあい
まいにして圧勝した自民党は、民主党と同じ轍を踏まないよう巧みに選
挙戦を切り抜けてきた。

 はたしてこれからが正念場だ。国民は目を光らせて安倍政権や自民党、
そして政府の広報機関と化したマスコミに目を光らせてゆかねばならな
い。

 それにしても、山本太郎氏の当選はさわやかだった。 
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  発行     2013年7月23日   No.618
  編集・発行  609studio Michio Katayama
  発行     毎週火曜日  購読料無料
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