メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.606 ◆現代時評「最高裁の水俣病認定判決」:井上脩身  2013/04/30


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  【609 Studio】メール・マガジン 2013/4/30  No.606
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上
  脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻
  訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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 ◆現代時評「最高裁の水俣病認定判決」:井上脩身
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 水俣病と認められなかった女性の遺族が熊本県に認定を求めた訴訟で、
最高裁は4月16日、水俣病と認めた高裁判決を支持し、県側の上告を棄却
した。厳しすぎる認定基準の硬直的な行政運用にバツ印をつけた判決だが
 、環境省は「基準を変える必要はない」と基準見直しをしない方針だ。水
俣病認定第1号患者が発症して今年は60年。公害の犠牲者たちは今なお“
苦海”に漂う。

 公害健康被害補償法に基づく水俣病の認定について、国は1977年に基準
を定めた。手足のしびれや視野狭窄などの複数症状の組み合わせを認定の
要件とし、感覚障害だけの申請を棄却した。
 最高裁は「感覚障害だけの水俣病が存在しない科学的な実証はない」と
 したうえで、症状の組み合わせがない場合でも、個別具体的な判断で水俣
病と認定できる余地がある」と判示した。
 17日付の各新聞の1面は「水俣病 最高裁初認定」の大見出しが躍ったが
、平たくいえば「水俣の魚を食べて水俣病の症状が出たら水俣病と認める」
という常識的な判決である。患者に背を向けた77年の判断基準をひっくり返
すのに40年もかかったことの方が問題であろう。

 ところが、判決の2日後、環境省の南川秀樹事務次官は記者会見で「判決
 で認定基準は否定されておらず、基準を変える必要はない」と述べた(4月
18日付毎日新聞)。これまで、同法に基づいて2,975人が認定されたが、
棄却は1万6795人にのぼり、認定率はわずか15%にとどまる。最高裁判決が
あっても、国はこの狭い門を広げる気はさらさらないというのである。

 水俣病は、チッソ水俣工場が垂れ流したメチル水銀で汚染された魚介類を
食べた人に起きた神経性中毒症である。1953年、後に水俣病第1号と認定さ
 れる女児が発症。56年、チッソ付属病院の医師が原因不明の患者の発生を保
健所に届け出たことがきっかけで、水俣病の存在が明るみに出た。
59年、熊本大の研究班が有機水銀説を発表すると、チッソ側はただちに「実
証性がない」と反論。経済成長路線をひた走るなかで、企業の論理がまかり
通り、住民の健康は一顧だにされなかった。国が水俣病を公害と認定したの
は68年である。

 水俣病をテーマに「苦海浄土」を書いた作家、石牟礼道子は7年前、西日
 本新聞社の取材に「水俣をないがしろにしてきたツケが出て、今のような日
本になったと思う」と語った(『水俣病50年――「過去」に「未来」を学ぶ
――』西日本新聞社)。
不知火の美しい海を水銀まみれにした経済成長。自民党政権下、またもや成
長至上主義路線を歩もうとしている。水俣に学ぶことのないアベノミクス。
そのツケは後世の国民に降りかかる。   (フリージャーナリスト)
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 ◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:届いておりません。
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 届き次第お届けします。
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 ◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
           引用元 http://japanese.ruvr.ru
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◆日本関連

◇ロシア 日本人旅行者殺害事件についての捜査が終了
http://japanese.ruvr.ru/russia_japan/

◇日本と中国 尖閣情勢協議へ
日本と中国の国防担当者らが本日、北京で会談し、東シナ海における領
 土問題について協議する。小野田五典防衛大臣は、両国は領土問題解決
の方策を議論する、と語っている。
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_26/111838291/

◇重要な参加者、TPPにおける日本
米国は非常に近い将来、日本と環太平洋パートナーシップ協定(TPP)
 の交渉を開始する構え。米国政府はこの件についてはすでに長きに渡っ
て日本をせかし続けてきた。というのも米国の主たる取引パートナー、
戦略的同盟国として日本がTPPに参加することで、この国際的な組織
の経済的意義は格段に引きあげられるからだ。TPPは商品、サービス
の関税を完全撤廃する組織で、米国、チリ、ニュージーランド、シンガ
ポール、ブルネイ、オーストラリア、ベトナム他、すでに11ヶ国が参
加している。先ごろカナダ、メキシコが招聘された。日本がTPPに加
 盟すれば、世界のGDPの約4割、国際取引全体の3分の1がTPPに
集中することになる。
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_26/111857909/

◇「萎れた花に水をやる」プーチン、安倍両首脳
4月28−30日、十年ぶりに日本の首相がロシアを訪問する。訪問で
 は領土問題の封印をとき、エネルギー、投資協力を拡大することが最も
主要なテーマとなっている。訪問を前に安倍首相は、政治的意思を発揮
し、頓挫している領土問題交渉を再開する覚悟を表した。
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_27/111937662/

◇韓国議会 靖国神社参拝を非難する対日決議を採択
 http://japanese.ruvr.ru/russia_japan/

◇毎日新聞世論調査 政府は北方領土問題に「柔軟にアプローチ」すべ

日本人の67%以上が、日本政府はロシアとの領土問題に柔軟性を示すべ
きだと考えている。
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_28/111944871/
 
◇イシャエフ極東発展相 日本の技術導入に期待感を表明
ヴィクトル・イシャエフ極東発展相兼極東連邦管区大統領全権代表は「
安倍首相のロシア訪問と彼の内閣の活動は、ロ日関係に好ましい影響を
与え、両国のビジネス協力を新たなレベルに引き上げるだろう」と述べ
た。
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_29/112027101/
 
◆国際───────────────

◇タイで橋が崩落 5人死亡45人負傷
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_29/112027878/

◇CIA 10年以上前からアフガニスタン大統領に資金供与
米中央情報局(CIA)は、10年以上にわたり、アフガニスタンのカ
 ルザイ大統領に秘密資金を送っている。ニューヨーク・タイムズ紙が伝え
た。
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_29/112029178/

◇3本足のワニ ゴルフの競技会場に現れる
米ルイジアナ州 で開かれているゴルフの チューリッヒクラシック・ オ
ブ ・ ニューオリン ズ に、3本足のワニが現れた。デイリー・メール紙
 が伝えた。
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_28/112001653/

◇国連、シリア化学兵器の情報収集に従事
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_27/111934612/
 
◇イラク政府 衛生テレビ「アルジャジーラ」のライセンス没収
イラク政府は、暴力や拡大を助長しているとして、アルジャジーラを含む
衛星テレビ10局の放送ライセンスを没収した。イラク通信省の Mujahid 
Abu al - Hail 報道官が28日、伝えた。 
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_29/112010640/
 
◆ロシア国内───────────────
 
◇サハリン州と日本は共同でコンブを生産する
サハリン州の漁業部門は東京で開かれたプレゼンテーションで、日本の漁
業界にコンブの生産・加工における協力を呼びかけた。プレゼンテーター
を務めたのは「サハリン州漁業コルホーズ・工場組合」のセルゲイ・セン
コ代表。
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_24/saharin-nihon-konbu/
 
◇ウラジオで第二回ロ日極東フォーラム開幕
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_29/112021296/

◇ロシア空軍2機が日本西海岸部を旋回、侵犯はなし
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_27/111949545/
 
◇サハリン州知事、露日「エネルギー・ブリッジ」構想を提案
サハリン州のホロシャヴィン知事が24日、日本でプレゼンテーションを行
い、エネルギー部門における日本との協力の展望を示してみせた。また、
「アジアにエネルギーの<スーパー・サークル>を構築する。その一環と
して、ロシア・中国・韓国・日本のエネルギーシステムを統一する」とい
う野心的なプランが示された。
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_24/111631952/
 
◇ロシア人女性 35年間鼻のなかにボタンを入れたまま生活
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_28/111990399/
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  ◆[編集長から]              片山通夫
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  先週、取材で福島を訪れた。あえて、どなたにも会わずに、ひたすら福
島の町々を歩いた。桜が咲いたのどかな里、忘れられたように雨の中でひ
っそりと咲くタンポポ、墓地にも行ってみた。飯舘村では役場の前に設置
された線量計の示す数値を見てため息をついた。

 ほぼ半年ごとに訪れた4度目の福島はあの大震災の時とはかなり変わって
いた。当たり前のことだが、相馬市の松川浦ではガレキがほとんど片付け
られていて、きれいな更地になっている。ただ地盤沈下はどうしようもな
 いのか、港では波が地面を洗っている。

 大自然の災害の前に人間は弱いものだ。虚しささえ覚える。しかし、そ
の災害の後の人々は果敢に見舞われた不幸に立ち向かってゆく姿に感動さ
え覚えるほどだ。

 一方では、政治屋どもが利権に惑わされてかどうかは知らないが、勝手
なことを言い出した。自民党政権になって、原発再稼働を視野に入れだし
た。原子力規制委員会の判断も待たずに、「9月以降順次安全が確かめら
 れた原発から再稼働」だという。原発の安全など誰が確認できるのか、保
証できるのかいささかどころでない疑問が湧く。

 それどころか原子力規制委員会に対する露骨な圧力だとしか思えない。
またその圧力に屈しないだけの胆力が規制委員会にあるのかも疑問である。
 このような事態になってもマスコミはおろか、国民も静観の姿勢を崩し
ていない。もちろん一部のマスコミや国民が「再稼働反対」を主張してい
ることは、筆者も知っているが、残念ながら声が小さい。やはり「安全よ
 りも快適な生活」を望むのかと嘆きしか覚えない。

 ふるさとの町を追われて仮設住宅などで暮らす人々にとっては理解でき
ないことだろう。
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  発行     2013年4月30日   No.606
  編集・発行  609studio Michio Katayama
  発行     毎週火曜日  購読料無料
  配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236
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