メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.553 ◆現代時評「ポイズンの島」:片山通夫  2013/01/15


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 【609 Studio 】メール・マガジン 2013/1/15  No.553
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  フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上
 脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻
 訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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 《タイトル》
 《ふるさとはポイズンの島 ビキニ被ばくとロンゲラップの人びと》
 
電子雑誌 Lapizで活躍中の渡辺幸重さんがこのほど上梓されました本
 を紹介します。
 
渡辺幸重 (著), 島田興生 (写真)
 価格: ¥ 1,575
 発行 旬報社
 
《内容》
  中部太平洋のマーシャル諸島で、アメリカは1946年から67回の
 原水爆実験を行いました。特に、1954年3月1
 日の水爆ブラボーは、広島に落とされた原爆の約1000倍の威力を持
 つという強大なものでした。
 それは広く太平洋に大量の放射能をまき散らし、さんご礁の島々で平和
 に暮らしていた多くの人びとを被ばくさせました。
 
 その日、ロンゲラップ環礁では、胎児4人を含む86人がその放射性
 物質降下物を浴びました。しかも3日間何も知らされないまま放置され
 たのです。島外に避難して3年後、1957年にアメリカが安全宣言を
 出し、島に帰ったものの、島にはまだ強い放射能が残っていました。そ
 れから28年間、数百人が放射線を浴び、がんや白血病、甲状腺障害、
 流産・死産、先天性の身体的・精神的障害に苦しまされたのです。
 
 1985年、人びとは自分たちの判断で故郷の島を脱出しました。
 “ポイズン(毒=放射能)”に汚染された故郷を捨てなくてはならなか
 ったのです。
 
◆主な目次
 1)脱出
 2)メジャトでの暮らし
 3)被ばくとの闘い
 4)思いはふるさとへ
 5)ふるさとの島ロンゲラップ
 6)リーボムの想い
 7)ジョン・アンジャイン村長の生涯
 【解説】ビキニ水爆実験とロンゲラップの人びと
 ロンゲラップ1次被ばく者全リスト
 
旬報社ホームページ
 http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/808
 
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 日本の植民地統治が生んだ一家離散「二重徴用」「急速転換」「樺太
  への逆密航」を語る貴重な証言!!
  片山通夫 著
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           定価 1900円+税
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 ◆現代時評「ポイズンの島」:片山通夫
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  昨年末に興味深い書籍が発行された。筆者の親しい友人である渡辺幸重
・文、島田興生・写真の《ふるさとはポイズンの島》という本だ。
 この《ポイズン》という語は放射能という意味と説明されている。副題
に《ビキニ被ばくとロンゲラップの人びと》とある。そう、我が国では第
五福竜丸の事件として有名なマーシャル諸島のビキニでのアメリカの水爆
実験で被害を受けた島の人々の物語である。
 
 ポイズンの島はビキニ島ではない。ビキニに近いロンゲラップの島のこ
とだ。この島も、被ばくして島の人々は約200キロ離れたメジャトとい
う島に全島挙げて移住した。元いた島よりも小さく、ヤシの木が少なく生
活に必要な食料も十分ではないという。

 本書のあとがきのタイトルは「二重写しの福島とロンゲラップ」と書か
れている。「島の土地は大事な財産だが、子どもたちの未来の方がはるか
に大切だ」とロンゲラップからの《脱出》を主導したチェトン・アンジャ
イン議員は話す。

 また、3・11後に福島・浪江町の仮設住宅で「ふるさとに帰りたいけ
ど、(放射能が怖くて)帰れない」という話を聞いた。
 ロンゲラップと福島。58年という時空を越えて、本書は《ふるさとを
追われた人々》の悲しみとやり場のない憤りを表わしている。

 昨年の総選挙で生まれた安倍政権は《経済再生》を当面の目標とした。
その《経済再生》の旗印の下に「原発の再稼働・新設も辞さず」という姿
勢を示している。つまり、現在停まっている原発の再稼働は無論、新設も
行うという含みのようだ。

 安倍政権の《懲りない面々》に本書を贈りたいものだ。
「島の土地は大事な財産だが、子どもたちの未来の方がはるかに大切だ」
というチェトン・アンジャイン議員の言葉とともに。

最後に、この本の著者・渡辺氏からの伝言を。
本書の写真を撮られた島田興生氏が《ビキニを見れば、ふくしまが見える
」をコンセプトに各地で《スライドトーク「水爆の島マーシャルの今」》
を精力的に開催されています。
スライドトークのご要望はinfo*lapiz.bzまで。(*を@に変更してください)

【参考】
販売価格1500円+税
発行
旬報社→ 
http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/808
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 ◆現代時評「防人(さきもり)の歌」:片山通夫
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 「年のはじめというものは、いくつになっても心がうきうきする」とい
うと、心ない家人などから「いい年をして」などと失笑されるのが落ちだ
から、けっして人には話さないことにしている。せめてコラムに書くとい
うことで満足したい。もっとも、新年にこのようなコラムを読まされる読
者としては、はなはだ迷惑だろうとは思うが、そこはお正月ということで
ご容赦いただこう。

 宮中では《歌会始》という優雅な行事が催される。宮内庁のホームペー
ジを見てみると、《歌会始》の歴史はなんでも鎌倉時代中期にまでさかの
ぼることができるというから長い伝統だ。

 「天上人の催し」はさておいて、我々庶民が歌を読むという行為を一般
的に始めたのはかなり古い。7世紀後半から8世紀後半頃にかけて編まれ
た日本に現存する最古の和歌集である万葉集には、天皇や貴族、下級官人
などとともに庶民である防人などさまざまな身分の人間が詠んだ歌を45
00首以上も集めたもので、成立は759年頃とみられる。ここで言う防
人は、東国の農民だったとか・・・。

  万葉集巻二十には、「天平勝宝七歳乙未二月、相替へて筑紫の諸国に遣
はさるる防人等が歌」と題して、80首以上が編まれている。

 さてその庶民の代表だった防人の歌をいくつかあげてみよう。ただ、そ
の意はここでは示さない。それは野暮というものだ。

我が妻も絵に描き取らむ暇もか旅ゆく吾は見つつ偲はむ
家にして恋ひつつあらずは汝が佩ける大刀になりても斎ひてしかも
大王の命かしこみ出で来れば我(わ)ぬ取り付きて言ひし子なはも
立ち鴨(こも)の立ちの騒きに相見てし妹が心は忘れせぬかも

 防人たちは、愛する家族や恋人と泣く泣く別れて東国から九州へ赴いた。
《国を守る》という使命を負わされて。ところで、これらの歌を読んでい
るうちに、筆者はふとこの21世紀の今に思いをはせた。

 とたんに話は生臭くなり恐縮だが、フクシマの事故のせいで、ふるさと
を追われた人々、その傷もいまだ癒えない今、原発を再稼働し、新設する
という安倍政権のありように、防人の心情に重なったのだ。《国を守る》
つまり《国体を守る》ということは、庶民を犠牲にしてでもという意識が
時の政権にはあるということだ。1945年8月、我が国は《国体護持》
という条件を真剣に考えた人々がいたとか。そこには庶民の命や国土の荒
廃は全く考えられず「天皇制の安泰」だけが考えられた。
我々庶民は《現代の防人》になりつつある。いや、すでにそのように組み
見込まれている。もっとも天皇の安泰ではなく、国家という得体のしれな
い怪物や財閥化した大企業の安泰だろうが。そして《現代の防人》は古代
の防人と同様、使い捨てである。それは福島原発の事故のあとの国の施策
を見れば顕著だ。
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 ◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:届いておりません。
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   訳者の家族に不幸がありました。申し訳ありませんが、しばらくご猶
予いただきたく。
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 ◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
          引用元 http://japanese.ruvr.ru
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◇日本、原子炉の安全基準厳格化か
日本の原子力規制委員会は金曜、日本の原発の安全基準を厳格化する問題
を検討する意向である。水曜、日本の「日経新聞」が伝えた。
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_11/100654815/

◇日本、中国機の接近に対抗して戦闘機を発進させる
空自のF15戦闘機が中国軍機の係争諸島への接近に対抗して発進した。
フジテレビが伝えた。
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_10/100647427/

◇日本で広島原爆の希少な写真2点、発見される
広島市に投下された原子爆弾の原子雲の写真が新たに2点、日本で発見さ
れた。日本メディアが伝えた。この写真の存在は歴史書によってつとに知
られていたが、今になってようやく発見された。
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_10/100638351/

◇平和を望むなら、戦の準備をせよ、なのか?
日本の軍備拡大は続いている。日本の小野寺五典防衛大臣は2013年度
の防衛予算を4兆7700億円(約542億ドル)まで増額する政府案を確認した。
小野寺大臣は、日本が長年にわたって防衛予算を削減してきた一方で、周
辺諸国が国防予算を増額させてきた状況を指摘している。これは確かにそ
うだ。自衛隊職員の増員のほか、陸海空の装備近代化の実施が計画されて
いる。
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_10/100616927/

◇東京電力が本社を福島に開設
福島第1原発事故を起こした東京電力の福島本社が本格的に業務を開始し
た。共同通信が伝えた。福島本社は事故後の災害復旧問題の解決に全力を
注ぐ。
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_04/toukyoudenryoku-honsha/

◆国際───────────────
◇北朝鮮:スカートの短さで民主化の度合いを測る
北朝鮮は依然謎めいた地域である。しかし予見不可能な地域ではない。た
とえば、政治路線の変更は舞台衣装のスカートの丈から推し量ることが出
来る。
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_10/kitachousen-minshuka/

◇米国 英国のEU離脱に反対
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_10/beikoku-eikoku-eu/

◇豚たちが米国人農民を食べてしまった
http://japanese.ruvr.ru/2012_10_02/beikoku-noumin-buta/

◇エジプト、ルクソールの王家の谷で3000年以上前の墓所発見
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_11/100682381/

◇英国人、電話使用料に3万ドルの請求
英国のティルブリー市在住のクリス・ボーヴィスさんは携帯電話会社から
突然通信サービスを停止された。原因を知ろうとしたボージスさんは、1
万9000ポンド(3万ドル以上)の使用料が自分に課されているのを知
って、驚愕した。
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_09/100406390/

◆ロシア国内───────────────
◇2013年、20の新レーダー基地が軍備
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_08/100400437/

◇ロシアの雪と氷の町
シベリアの古い町トボリスクに、雪と氷のおとぎの町「ロシアの冬のおと
ぎ話」が誕生した。
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_10/100649032/

◇ロシア、新年休暇明け、初出勤の朝
ロシアでは12月30日から1月8日まで続いた新年休暇が終わった。長
い休み明けの9日、市民は職場に、学校に出て来ている。正月明けの第1
週は9−11日が労働日。
http://japanese.ruvr.ru/2013_01_09/roshiajin-shoshutsu/

◇水上原子力発電所
水上原子力発電所「アカデミック・ロモノソフ」号は、2016年9月9
日に引き渡される予定となった。「アカデミック・ロモノソフ」号は、ロ
シアのみならず世界初の水上原子力発電所となる。
http://japanese.ruvr.ru/2012_12_27/99431977/
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 ◆[編集長から]              片山通夫
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 中国で発行されている週刊誌「南方週末」が各地で波紋を広げている。
共同通信が香港から伝えた所によると「台湾女優のサイン会中止 中国
紙支持、当局圧力か」という南方週末への支持を表明していた台湾の女
優・伊能静さんの新著書の出版気サイン会が中止に追い込まれたという。
また、米・CNNは「改ざん問題に揺れる中国紙、通常通り発行」と電
子版で伝えた。

  一党独裁の矛盾が如実に表れている。中国の憲法では《報道の自由》が
保障されているようだが、実際は下手に《真実の報道》をすると、編集長
の解雇や廃刊にまで追い込まれるという。悪くすると首謀者は国家転覆罪
に問われて。

 北朝鮮や、ベトナムそれに中国の《人民共和国》という名称にある《人
民》とは何を意味するのだろうか。我が国のマスコミのように、スポンサ
ーにおもねって《事実の報道》が、《紙面の都合》等の理由で妙に《編集
》されて、伝えない場合とどこが違うのかとも思う時もあるが。

 いずれにせよ、《報道の自由》は保障されるべきだ。それが文明国の証。
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 発行     2013年1月15日   No.553
 編集・発行  609studio Michio Katayama
 発行     毎週火曜日  購読料無料
 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236
 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020
 contact us http://www.609studio.com/html/mailform.html
 website  http://www.lapiz.bz
 投稿   http://www3.ezbbs.net/06/609studio/
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