メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.537 ◆現代時評「尖閣諸島と安倍新総裁」:井上脩身  2012/10/02


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【609 Studio 】メール・マガジン 2011/10/2  No.537
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 フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上
脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻
訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評「尖閣諸島と安倍新総裁」:井上脩身
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 政府が尖閣諸島を国有化したことをきっかけに、中国各地で反日デモ
が起き、北京で開催が予定されていた日中国交正常化40周年記念式典
が中止される事態になった。反日デモは鎮静化されたが、中国側は日本
政府に対する反発を強める一方だ。こうした中、自民党の新総裁に安倍
晋三元首相が選出された。「強い日本をつくる」という安倍氏が次期首
相になれば、中国側は一層対決姿勢を鮮明になろう。

 今年4月、石原慎太郎東京都知事が突如、都による尖閣諸島の購入方
針を表明したのに対し、7月、野田佳彦首相が国有化の方針を明らかに
した。8月、香港の団体のメンバー7人が魚釣島に上陸、その直後、東
京都議ら10人が許可なく同島に上陸するなど、尖閣諸島をめぐる情勢
は緊迫した。

 石原知事は「尖閣諸島をどんどん利活用する」と述べ、9月2日、同
島の洋上調査を実施。政府は「タカ派の石原知事主導で尖閣問題が動く
と、中国側の反発は必至」と予測。「国が持てば平穏で安定的な維持、
管理ができる」として、秘密裏に地権者と交渉、9月11日、20億5
千万円で契約した。

 国有化によって、現状が変更されないことを中国側は暗に了承してく
れる、と野田首相は胸をなでおろしたことだろう。だが、結果は凶と出
た。中国各地で反日デモがうねるように展開され、参加者は口ぐちに、
「釣魚島は中国のものだ」と叫んだ。1万人規模のデモとなった長沙で
はスーパーが、蘇州ではレストランなど40軒が破壊されるなど、日系
の企業は大きな被害を受けた。

 デモ参加者は中国の小旗を振り、日の丸をライターで燃やすなど、国
を挙げての反日闘争の様相となった。「尖閣諸島=日本領土」に対する
中国側の真っ向からの反撃というよう。中国政府は暴徒化まで容認する
わけにはいかないにしろ、反日デモによって日本に圧力をかける狙いが
あったとみられる。

 26日に行われた自民党の総裁選で安倍元首相が選出された。次期衆
院選で自民党が比較第一党になるとみられており、安倍氏が次の首相に
なる公算は大きい。安倍氏は「尖閣諸島に船舶の避難施設を建設する」
と主張。靖国神社の参拝についても「首相在任中、参拝できなかったこ
とは痛恨の極み」と述べており、安倍氏が首相になれば中国側が一層反
発を強め、「武力衝突も辞さない」との断固たる態度をとらないとは言
い切れない。

 40周年式典が開かれないという、日中双方にとってマイナスでしか
ない異常事態は一刻も早く解消されねばならない。だが、わが国の政権
構造の右傾化は、紛争の火種を取り除くどころか、逆に軋轢を深めるこ
とになりはしないか。今求められるのは、領土権の争いが戦争の発端に
なった過去の歴史を教訓とすることである。(フリーライター)
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2012年9月28日号
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 択捉島道路建設に巨額の予算を

 ロシア政府サイトによると、今年9月20日時で連邦政府はより効果
的な予算実行のために、「2007〜2015年間クリル島社会経済発
展連邦プログラム」を修正し、予算の再編成を行った。従って、択捉島
のクリルスクーレイドヴォ間道路再建に1億2,650万ルーブルが割
当てられる。

水産大学らの総会

 さる25日、サハリン国立大学で全国水産関連大学の教授らが集って
、専門家養成における問題点と現在ロシア水産業における課題などにつ
いて議論した。教授たちは討論の後、大学生たちが実習をしている養魚
場、そしてサハリンを代表しているオハとタラナイの養魚場を視察した。

医療鉄道運行

 9月30日〜10月12日間、8両から編成された健康診断列車が僻
地の駅を巡回しながら住民らに医療サービスを行う。列車には外科、産
婦人科、内科、神経科、眼科、レントゲン科の医師らが搭乗する。

2012−石油ガス会議開催

 ユジノサハリンスク市で今月25に「第16回サハリン石油ガス会議
」が行われた。4年前は180人だった参加者数が今年は400人へと
急増した。ア・ホロシャヴィンサハリン州知事は「今日、サハリン州は
石油及びガス供給のみならずエネルギーの大中心地といえる。極東地域
で石油とガスを採取し輸出までしているのは我が州が唯一である。又、
エネルギー関連事業を成功的に進めている中で島のインフラ構築、仕事
を増やすなどの好ましい結果を生んだ」とエネルギー分野におけるサハ
リン州の重要性と成果を強調した。

エトノス芸術学校長、大統領直属諮問委員会員に選定

 1996年、大統領直属文化芸術諮問委員会が設立されてから、初め
てサハリンの芸術学校エトノスのナタリヤ・エイジノヴァ校長が委員に
任命された。60人からなる同委員会は文化及び芸術関連国家政策につ
いて諮問を行うもの。

日本の茶道紹介

 9月20〜21日間、州郷土博物館内に日本式茶室が設けられた。博
物館は駐ユジノサハリンスク日本総領事館の協力で日本から茶道専門家
10人を招待して茶道の歴史と作法、お茶の種類などについて習う機会
を提供した。

ソウルで民主平和統一諮問委員会海外地域会議開催

 9月24〜27日間、ソウルで大統領直属機構である「民主平和統一
諮問委員会」の海外地域委員会議があった。15地域から約500人が
参加した。歓迎辞の中で李・ミョンバク大統領は「まず、中国、日本、
ロシアなど隣国の理解と協力を得て、そして韓半島の平和統一が世界の
平和に繋がることを全世界から認識してもらおう」と述べながら各地域
の同胞社会の協力を願った。
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
         引用元 http://japanese.ruvr.ru
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 我が国を取り巻く領土問題に火が付いたようだ。今週はロシアの声」
はどのように伝えているかこの問題に絞ってみた。

◆メドヴェージェフ首相 南クリル発展に資金拠出
ロシアのメドヴェージェフ首相は、2015年までのクリル諸島社会・
経済発展に関する政令に署名した。
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_24/medove-jefu-kuriru-hatten-shikin/

◆台湾漁船70隻、尖閣へ
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_24/taiwan-gyosen-senkaku/

◆中国:日本と中国は尖閣諸島/ジャオユイダオについて協議する
日本政府は24日、中国に河相周夫外務次官を派遣した。河相外務次官
は、中国の張志軍外務次官と尖閣諸島(中国名:ジャオユイダオ)を巡
る状況打開策について協議する。
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_24/chuugoku-nihon-senkaku-mondai-kyougi/

◆中国船舶の日本領海侵入 中国大使に抗議
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_24/chuugoku-nohon-senkaku-mondai/

◆領土問題 中国 状況管理のために無人機使用へ
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_24/chuugoku-mujinki-senkaku/

◆中国の監視船 日本が自国の領土だと考えている尖閣諸島の日本の領
海に侵入
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_24/chuugoku-nihon-senkaku-fune/

◆中国外務省:日本による国境侵害は許さない
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_25/89289862/

◆北京での日中外務次官級会談 成果なし
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_25/nihon-chuugoku-kaidan/

◆海自護衛艦の入港を禁止
韓国当局は、26日から始まる国際演習のためにプサンを訪れた日本海上
自衛隊の護衛艦が入港するのを禁止した。
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_25/kankoku-nihon-nyuukou/

◆中国で日本の製薬、建設資材企業の不買運動
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_27/nihon-chuugoku-keizai/

◆日本の政財界の代表団 中国へ出発
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_27/nihon-chuugoku-seizaikai-daihyoudan/

◆国際法の基準を無視として中国が日本を非難
27日、中国外務省のツィン・ガン報道官は声明を表し、釣魚諸島(日
本名:尖閣諸島)を巡っての中国に対する日本の立場は国際法と歴史的
事実を無視するものだと語った。
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_27/chuugoku-nihon-ryoudo-mondai/

◆東京の中国大使館に銃弾が送付、差出人に野田首相の名前
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_28/toukyou-chuugokutaishikan-
juudan-ga-soufu-sashidashinin-nodashushou/

◆中国外相、領土紛争の正常化交渉を日本に呼びかけ
中国のヤン・ジエチー外相は、国連総会で、日本が東シナ海のジャオユ
イダオ(尖閣)を盗んだと非難した。外相は、諸島は中国に帰属すると
述べた上で、領土紛争を交渉で解決していくことを提案した。
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_28/chuugokugaishou-ryoudofunsou
-seijouka-koushou-yobikake/

◆日韓外相会談 島の領有権問題は平行線
日本の玄葉外相は28日、ニューヨークの国連本部で行われた韓国のキ
ム・ソンファン外交通商相との会談について、日本と韓国は竹島(韓国
名:トクト)の領有権問題で従来と同じ立場を主張しており、平行線だ
ったと伝えた。
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_28/nichikangaishou-kaidan-takeshima
-ryouyuukenmondai-heikousen/

◆ロシアと日本 10月にクリル諸島に関する協議を実施
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_28/roshia-nihon-kurirushotou-
kyougi-jisshi/

◆中国で村上春樹が消えた
中国で、日本人作家の作品の出版が禁止された。日本との領土問題が背
景にあるとみられている。台湾のチャイナ・タイムズ紙が伝えた。
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_28/89546918/

◆ロシアの地図に新たな地名
 ロシアの地図に新しい地名が登場した。新たな地名を得たのは小クリル
諸島にある無名の小島たち。
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_27/89545265/

◆日本の「平和堂」 中国の反日デモで640万ドルの被害受ける
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_29/Heiwadou-chuugoku-no
-hannichidemo-higai/

◆米国 中国との領土問題で日本に助言
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_29/beikoku-chuugoku-nihon-koudou
-no-jogen-ryoudomondai/

◆調停者の役割、野党に
中国との領土紛争激化を背景に、日本の野党第一党・自民党の総裁に安
倍晋三元首相が選出された。自民党は衆議院解散総選挙の際、政権を取
り戻すことを熱望している。観測によれば、首相経験者の安部氏が、現
職の首相に返り咲くこともあり得る。新総裁は対外政策上の強硬な立場
で知られている。しかし、ロシア科学アカデミー極東研究所、日本研究
センターのヴィクトル・パヴリチェンコ研究員は、タカ派で知られる安
部氏も、新しいポストでは中国との関係においてレトリックを和らげる
努力をするだろう、と考えている。
http://japanese.ruvr.ru/2012_09_28/nihon-chuugoku-ryoudomondai
-chouteisha-no-yakuwari-yatou-ni/
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◆[編集長から]              片山通夫
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 尖閣列島国有化に対する中国の抗議が激しい。中国国内の反日デモは
一応収まったかに見えるが、今度は国連などを舞台にますますエスカレ
ートしてきた。

 国連総会では中国外相は「日本が主権侵害」と激しく非難した。
この演説の中で、外相は「反ファシスト戦争の勝利を否定するものであ
り」と歴史問題に言及した。

 しかし、これは問題を複雑にするだけだ。
この「歴史問題」を繰り返すことによる日本国内の反応は、決して問題
の解決には結びつかない。むしろ、解決を遠のかせる危険を孕んでいる。
 ただ「歴史認識」に関しては、我が国の戦後の処置に問題があったと
思っている。
 あの戦争の総括が出来ていない中で生まれてきた問題なのだ。

 このままでは、お互い「振り上げたコブシのおろし先」を見いだせな
い可能性がある。一方では中国は「話し合いによる解決」に含みを持た
せているかに見える。外務省の次官級会談がそれだ。しかし、今のとこ
ろ日本の譲歩を迫る姿勢でしかない。

 そんなさなかに、米ワシントンポスト紙、ニューヨーク・タイムズ紙
に尖閣諸島(中国名:釣魚諸島)の写真が掲載され、「釣魚諸島は中国
の領土」という広告が掲載された。
 中国の攻勢は顕著で明確だ。

 おりしも、自民党総裁選で、元首相の安倍氏が勝利した。中国や韓国
は警戒態勢に入ったかのみえる。もちろん同氏の考え方に対する警戒で
ある。今週の現代時評で井上氏は(中国が)「武力衝突も辞さない」と
の断固たる態度をとらないとは言い切れないと述べた。
 筆者も同感である。
 
 我が国は、長いあいだの閉塞感が人々の深層にマグマのように渦巻い
ている。そんなところに降って湧いたかのように、石原都知事の尖閣購
入提案と国有化だ。まさに政治に対する国民の不満のはけ口は国境問題
にすり替えられた。

 中国との軋轢は経済にも及んでいる。中国との往来も途絶えたかのよ
うだ。政治家や文化人を自称する連中は「国慶節まで」にはと淡い期待
を口にしだした。中国政府の国内事情から強気に出ているとの見方だ。

 果たしてそうだろうか?メンツと原則を重んじる中国人を相手に、彼
らの考え方を見誤っているのではないだろうか?
 右傾化が加速する我が国で台頭するナショナリズムを国民の不満のは
け口にすることほど危険なことはない。既にネット上などでは《自衛隊
の駐留》に言及する意見なども垣間見られる。

 まさか「いつかきた道」に戻ることはあるまいが・・・。
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発行     2012年10月2日   No.537
編集・発行  609studio Michio Katayama
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